インド:国内販売376万台、2030年までに電動車普及を目指す

2020年に世界第3位の市場へ、起亜、上海汽車、PSAが参入

2018/03/08

要約

  インドの自動車産業は同国のGDPの7.1%に貢献しており、直接・間接的に3,200万人を雇用している。高い国内需要と政府の支援策により、自動車産業は成長し、生産では世界第5位、販売では第4位となった。インド政府は、2020年には日本を抜いて、中国、米国に次ぐ世界第3位の市場となると見込んでいる。

  2014年5月に就任したモディ首相は「Make in India」と呼ぶ政策で、雇用創出と輸出を促進する製造業の振興を図っている。2017年7月には、外資の参入を遠ざける一因となっていた州ごとに異なる間接税に代わり、全国統一した新物品・サービス税(GST)を導入。統一された市場を形成するとして期待されたが、GST導入後に中大型車やSUVに対する「補償税」の税率を引き上げるなど政府の施策が一貫しておらず、メーカー各社は対応に苦慮している。

インドの生産・国内販売・輸出台数 インド国内乗用車セグメント別販売台数

 

  インド政府はEV普及方針についても、2017年3月に、2030年までにインドで販売するすべての車をEVにすると発表して、多くのメーカーを慌てさせた。インドでの新車販売に占めるEV比率は2017年4月~2018年1月に0.02%で、関係者の多くはこの計画の実現性を疑問視している。スズキやトヨタはハイブリッド車(HV)も環境対応車として重要であるとして、EVのみを優遇する方針を批判している。同年12月に公表されたインド自動車工業会(SIAM)の報告書では、2030年の新車販売に占めるEV比率は40%程度と予測している。2018年2月には、インド政府が従来のEV政策を撤回したとも報じられた。EVの普及のためには行動計画を準備し、2030年までに新車販売をすべてEVにするという方針は、政策としては導入しないとしている。

  世界第2位の12億人の人口を抱え、その約半分が25歳以下であるインドの自動車市場の拡大は確実とみなされ、インドでの生産拡大やインド市場への参入を計画するメーカーも多い。インド乗用車市場トップのスズキは3つ目となるグジャラート(Gujarat)工場を建設し、2019年には年産能力200万台体制を整備する。現代自動車グループ傘下の起亜自動車は2019年にインド初の工場を稼働させ、インド市場に参入する。上海汽車は、2019年にインドでMGブランド車の生産を開始する計画。PSAはインドのコングロマリットCK Birlaとの合弁で、2020年までにインド市場に再参入する。

Kia SP Concept Mahindra eKUV100
Kia SP Concept 2019年後半に発売予定
(Auto Expo 2018)
Mahindra eKUV100 SUVの電気自動車
(Auto Expo 2018)

 

関連レポート:
インドオートエキスポ2018:Tata、Mahindra、欧州メーカーの展示 (2018年2月)
インドオートエキスポ2018:マルチ・スズキ、現代・起亜、ホンダ、トヨタの展示 (2018年2月)
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2016~17年度の国内販売は376万台、SUVのシェアが拡大

  インドの新車販売は2013~14年度から着実に増加し、ドイツを抜いて、中国、米国、日本に次ぐ世界第4位の市場に成長。販売台数は2016~17年度に前年度比8.2%増の376万台、2017年4月~2018年1月の10カ月間では前年同期比9.9%増の337万台に拡大した。

  セグメント別の販売では、全長4m以下の小型車が依然として全体の6割以上を占めている。新GST導入後も小型車と中大型車の税率の差は大きく、小型車セグメントは今後も高い比率を維持する見込み。全長4m超の中大型車(SUV以外)の比率は徐々に減り、2012~13年度の17.1%から2017年4月~2018年1月には6.4%に低下したが、SUVは同時期に20.8%から27.7%に拡大している。

  インドの国内生産も2013~14年度から一貫して拡大し、2016~17年度に前年度比8.2%増の460万台となった。2017年4月~2018年1月の10カ月間では、前年同期比5.8%増の398万台に拡大した。

  インドからの輸出も徐々に拡大し、2016~17年度は前年度比14.7%増の87万台。しかし、2017年4月~2018年1月の10カ月間の輸出は前年同期比3.6%減の69万台にとどまっている。

 

インドの生産・国内販売・輸出台数

(台)

2012-13年度 2013-14年度 2014-15年度 2015-16年度 2016-17年度 2017年度
4-1月期
2018年度
4-1月期
国内生産 乗用車 3,231,058 3,087,973 3,221,419 3,465,045 3,791,540 3,111,105 3,289,074
商用車 832,649 699,035 698,298 786,692 810,286 653,635 694,929
合計 4,063,707 3,787,008 3,919,717 4,251,737 4,601,826 3,764,740 3,984,003
国内販売 乗用車 2,665,015 2,503,509 2,601,236 2,789,208 3,046,727 2,509,401 2,711,930
商用車 793,211 632,851 614,948 685,704 714,232 559,889 659,997
合計 3,458,226 3,136,360 3,216,184 3,474,912 3,760,959 3,069,290 3,371,927
輸出 乗用車 559,414 596,142 621,341 653,053 758,830 624,787 613,077
商用車 80,027 77,050 86,939 103,124 108,271 91,305 77,352
合計 639,441 673,192 708,280 756,177 867,101 716,092 690,429

資料:MarkLines Data Center

(注) 1. 2012-13年度は、2012年 4月~2013年 3月期。
2. 「乗用車」はSIAMのセグメント分類による広義の乗用自動車 (Passenger Vehicle)で、Utility Vehicle, Vanを含む。
3. 2012-13年度以降はBMW、Audi、JLR、Mercedes-Benzの台数は含まれていない(以下同様)。

 

インド国内セグメント別販売台数

(台)

セグメント 2012-13年度 2013-14年度 2014-15年度 2015-16年度 2016-17年度 16-17年度
4-1月期
17-18年度
4-1月期
Micro 53,843 21,129 16,901 21,012 7,591 7,105 1,770
Mini 570,023 568,234 524,247 542,632 582,811 488,131 479,061
Compact 795,580 975,823 1,080,413 1,189,862 1,266,985 1,043,216 1,149,266
Super Compact 226,502 45,770 47,284 72,676 66,991 58,231 19,297
Mid-size 200,176 155,090 186,584 181,450 163,567 131,598 143,198
Executive 23,537 18,250 20,206 15,360 11,730 9,853 8,855
Premium 4,387 2,529 2,064 2,105 3,317 2,734 2,293
Luxury 2 1 7 0 4 4 6
Total Passenger Cars 1,874,050 1,786,826 1,877,706 2,025,097 2,102,996 1,740,872 1,803,746
Utility vehicles 553,662 525,839 552,135 586,576 761,997 618,422 750,080
Vans 237,298 190,844 171,395 177,535 181,734 150,107 158,104
Total Passenger Vehicles 2,665,010 2,503,509 2,601,236 2,789,208 3,046,727 2,509,401 2,711,930
Total Commercial Vehicles 793,211 632,851 614,948 685,704 714,232 559,889 659,997
Grand Total 3,458,221 3,136,360 3,216,184 3,474,912 3,760,959 3,069,290 3,371,927

資料:MarkLines Data Center

 



物品・サービス税(GST)の導入:HVは43%、EVは12%

  インド政府は2017年7月1日から、州ごとに異なっていた間接税を一本化し、全国で統一した新物品・サービス税(GST)の施行を開始した。自動車には基本税率28%が適用されたが、電気自動車(EV)の基本税率は12%とされた。これに税収減少分を補償する補償税(compensation cess)を加えたものが合計税率となる。この時点ではハイブリッド車(HV)を除くほぼすべての車種で大幅減税となり、多くのメーカーは値下げをして需要喚起に努めた。

  しかし政府は、新GSTの導入により自動車の税負担が軽減されたとして、2017年9月に全長4m超の中大型車やSUVに対する補償税の課税率引き上げを決定。メーカー各社は値下げした価格を元に戻すなど、税率変更の対応に追われた。一貫した長期的な政策がないことにより、新商品や新技術への投資に悪影響が出かねないと懸念するメーカーも少なくない。

  また、ハイブリッド車(HV)は基本税率28%に補償税15%が追加され、合計税率43%となった。HVについては補償税率の追加引き上げはなかったが、合計税率はGST導入前の30.3%より増税となっており、EVの合計税率12%とは大きな開きがある。これまでインド政府は環境対応車としてHVの普及も積極的に推進していたため、スズキはCiazやErtigaのディーゼルマイルドハイブリッド車、トヨタはCamry HybridやPriusなどハイブリッド車を投入して対応していた。新GST導入後は増税分を価格に反映させたため販売にマイナス影響が出ているという。

  新GST導入前後のセグメント別販売台数を見ると、導入直前の2017年6月は導入後の減税を期待して、ほぼすべてのセグメントで買い控えが生じた。7月の導入後は、全長4m超の乗用車に含まれるSuper Compactの大幅減が目立つ。一方、SUVの販売は7月の導入後に大幅に増加し、9月の補償税率引き上げ後も販売台数が伸びている。

 

物品・サービス税(GST)と補償税を2017年7月に導入

物品・サービス税
(GST: Goods and Services Tax)
  2017年7月1日に施行された全国統一の物品・サービス税 (GST)。17の税 (tax) と福祉など特定目的のための23の課税 (cess) をまとめたもの。従来の州ごとに異なる税率はなくなり、複雑な課税慣習を排除する。乗用車・商用車・自動車部品の基本税率は28%、EVは12%(二輪車・三輪車含む)。
補償税
(Compensation Cess)
  GSTが導入されると、一部の品目については州の税収が減少するため、その減少分を補償する「補償税(compensation cess)」の追加課税が認められた。補償税の税率は、当初は小型車が1-3%、中大型車が15%と設定された(下表参照)。HVには15%が適用され、間接税全体でGST導入前の30.3%から43.0%への増税となった。

 

補償税の税率を2017年9月に引き上げ

中大型車とSUVの
補償税率の引き上げ
  2017年9月、インド財務省はGST審議会の推奨に基づき、自動車に対して追加課税可能な「補償税」の上限を、現行の15%から25%に引き上げることを承認した。これは、7月の新GST導入後、GSTと補償税を合計した自動車の税負担が、GST導入前より軽減されたためにとられた措置。実際に税が引き上げられるのは中大型車やSUVで、課税率が2-7ポイント高くなった(下表参照)。

 

乗用車に賦課される間接税

セグメント GST導入前 GST導入時(2017年7月) 補償税率変更後(2017年9月)
合計 内訳 合計 内訳
小型車
(全長< 4m、ガソリン<1,200 cc)
30.2% 29.0% 基本税率 28.0% 29.0% 基本税率 28.0%
補償税率 1.0% 補償税率 1.0%
小型車
(全長< 4m、ディーゼル< 1,500 cc)
30.2% 31.0% 基本税率 28.0% 31.0% 基本税率 28.0%
補償税率 3.0% 補償税率 3.0%
中型車
(排気量<1,500 cc)
47.3% 43.0% 基本税率 28.0% 45.0% 基本税率 28.0%
補償税率 15.0% 補償税率 17.0%
大型車
(排気量 >1,500cc、SUV以外)
49.0% 43.0% 基本税率 28.0% 48.0% 基本税率 28.0%
補償税率 15.0% 補償税率 20.0%
SUV
(排気量 >1,500 cc、最低地上高 >170mm)
55.3% 43.0% 基本税率 28.0% 50.0% 基本税率 28.0%
補償税率 15.0% 補償税率 22.0%
ハイブリッド車 (HV) 30.3% 43.0% 基本税率 28.0% 43.0% 基本税率 28.0%
補償税率 15.0% 補償税率 15.0%
電気自動車 (EV) 12.0% 12.0% 基本税率 12.0% 12.0% 基本税率 12.0%
補償税率 0.0% 補償税率 0.0%

出所:Central Board of Excise and Customs (CBEC)およびMinistry of Finance資料、各種報道よりMarkLines作成
(注)GST導入前は州により税率が異なるが、平均値を記載。

 

新物品・サービス税(GST)導入前後のインド国内セグメント別販売台数

(台)

2017年6月 2017年7月 2017年8月 2017年9月 2017年10月
台数 前年比 台数 前年比 台数 前年比 台数 前年比 台数 前年比
Compact以下(全長4m以下) 124,860 -9.3% 175,282 11.1% 176,181 12.2% 185,369 8.4% 166,478 -2.7%
Super Compact以上(全長4m超) 12,035 -27.2% 17,491 -11.8% 22,630 8.8% 23,287 -3.8% 18,188 -23.8%
Total Passenger Cars 136,895 -11.2% 192,773 8.5% 198,811 11.8% 208,656 6.9% 184,666 -5.3%
Utility Vehicles 49,547 -11.2% 86,874 35.5% 78,664 19.6% 84,374 26.2% 79,323 12.4%
Vans 11,957 -10.7% 19,350 7.6% 16,860 11.3% 16,925 3.7% 15,848 5.0%
Total Passenger Vehicles 198,399 -11.2% 298,997 15.1% 294,335 13.8% 309,955 11.3% 279,837 -0.3%
Total Commercial Vehicles 56,890 1.4% 59,000 13.8% 65,310 23.2% 77,195 25.3% 69,793 6.4%
Grand Total 255,289 -8.7% 357,997 14.9% 359,645 15.4% 387,150 13.9% 349,630 1.0%

資料:MarkLines Data Center

 

Suzuki Ciaz Suzuki Vitara Brezza
Suzuki Ciaz ディーゼルHVも設定
(Auto Expo 2018)
Suzuki Vitara Brezza 全長4m未満のSUV
(Auto Expo 2018)


EV普及方針:2030年までに電動車の本格普及を目指す

  インド政府は2017年3月に突然、「2030年までにインドで販売する車を全てEVとする」という計画を発表し、自動車メーカーを驚かせた。インドでの新車販売に占めるEV比率は2017年4月~2018年1月に0.02%で、政府の目標の実現性を疑問視する声が多い。インド自動車工業会(SIAM)は2030年までのEV比率は新車販売の40%程度と予測している。2018年2月には、インド政府が従来のEV政策を撤回したとも報じられた。EVの普及のためには行動計画を準備し、2030年までに新車販売をすべてEVにするという方針は、政策としては導入しないとしている。

  現在、インド市場でEVを販売している唯一のメーカーであるMahindraは、政府のEV普及方針に沿ってEV技術と製品の開発ロードマップを発表。EV生産向けにChakan工場に50億ルピーを追加投資する。トヨタとスズキは2017年11月、2020年頃にインド市場にEVを投入するために協力すると発表した。

 

インド政府のEV普及計画

FAME-Indiaスキーム
(2015年4月1日~2018年3月31日)
  EV生産販売促進プログラム(Faster Adoption and Manufacturing of Hybrid & Electric vehicles in India: FAME-India)。技術開発、需要創出、パイロットプロジェクト、充電インフラの4分野でEVの生産販売を支援する。フェーズ1(2015年4月1日~2017年3月31日)に79億ルピーの投資を承認。2017年2月までに13億ルピーをインセンティブとして活用し、11万1,897台のEVとHVを導入。フェーズ1は2018年3月31日まで延長され、新たに17億ルピーの投資が承認された。
  2017年4月以降、マイルドハイブリッド車に対するインセンティブは廃止された。
EV普及計画
(2017年3月27日発表)
  インド電力省の2017年3月27日付の発表によると、モディ首相はインドのすべての自動車を2030年までにEVに転換するという取り組みの実施について関係省庁に指示をした。
 これにより、年間1,000億ドル相当の石油利用を削減し、外貨支出を減らし、輸入石油製品に依存せず、都市部の大気汚染を80-90%改善することができる。2030年にEVへの転換が完了したら、国内の全車両の電力をラジャスタン州の1%の土地を利用した太陽光発電でまかなうことが可能だとしている。
EV政策を転換か
(2018年2月報道)
  2018年2月、インド政府は、2030年にインドで販売する自動車をすべてEVとする従来の計画を撤回した、と複数の地元紙が報じた。Gadkari道路交通相は「EV普及に向けた行動計画を準備しており、政策導入は必要ではない」と述べた。排出ガスや石油輸入の削減に向けて、メーカーがEVだけでなくHVなど他の技術を選択できる柔軟性が示された。

(注)インド自動車工業会(SIAM)は、2017年12月に発表した報告書で、2030年までのEV比率は、公共交通機関向け新車販売では100%、個人向け新車販売では40%と予測しており、すべての新車販売がEVとなるのは2047年とみている。

 

Mahindra:EV技術と製品のロードマップを発表、EV生産に追加投資、LG Chemと協働

充電インフラやEV技術に投資   Mahindra Group傘下のMahindra Electricは2017年5月、EV技術と製品のロードマップを発表した。インド政府のEV普及計画に呼応し、次世代EVの開発のほか、充電インフラの整備、EV技術の開発(ハイエンド電動パワートレイン、モーターコントローラー、システムインテグレーション、バッテリー技術など)に投資する計画。2017年5月までにMahindraが販売したEVは2,700台で、既に4,000万kmを走行している。
Chakan工場に追加投資   2018年2月、Mahindraはマハラシュトラ州Chakan工場でEV向けに50億ルピーを追加投資すると発表。現在進行中の拡張投資650億ルピーに追加され、EV向けの部品や車両の増産と製品開発に充当する。
LG Chemと協働   Mahindraと韓国の大手バッテリーメーカーLG Chemは2018年2月、先進的なリチウムイオンバッテリー技術の開発で協力すると発表した。LG Chemはインド市場向けセルを開発し、正極にNMC(ニッケル-マンガン-コバルト)を使用するエネルギー密度の高いリチウムイオンセルをMahindraとSsangYongのEVに供給する。また、Mahindra Electric向けにリチウムイオンバッテリーモジュールを開発する。

 

トヨタとスズキ:2020年頃にインド向けにEV投入で協力

  トヨタとスズキは2017年2月に業務提携に向けた検討を開始する覚書を締結していたが、同年11月、2020年頃にインド市場向けにEVを投入するために協力することで合意。具体的には、インド市場向けにスズキが生産するEVにトヨタが技術的支援を行い、スズキはその車両をトヨタへ供給する。また、充電ステーションの整備や、販売網におけるサービス技術者の教育を含めた人材育成、使用済み電池の処理体制の整備、インドにおけるEVの普及・定着に資するための活動について、総合的に検討する。


メーカー動向:起亜、上海汽車、PSAが参入

スズキ:インドでの年産能力を2019年に200万台に拡大

Gujarat工場第1ライン   2017年2月稼働開始、2017年末にフル生産。車両の年産能力は25万台。インドでは初めてスズキが全額出資した工場。既存のGurgaon工場とManesar工場(合計年産能力150万台)はMaruti Suzukiの工場である。
Gujarat工場第2ライン   2017年9月に建設開始、2019年初めに稼働開始予定。車両の年産能力は25万台、エンジン・トランスミッションは50万基。投資総額は15億ドル。第2ラインが完成すると、スズキのインドでの年産能力は200万台体制となる。2017年6月には、2020年代初めに稼働する第3ライン(年産能力25万台)の増設を計画中と表明した。(既存工場の生産体制の見直しもするため、第3ライン完成時点の合計年産能力は不明。)
リチウムイオン電池工場   2017年9月、スズキ50%、東芝40%、デンソー10%出資による合弁会社が、Gujarat工場に隣接したサプライヤーパークにリチウムイオン電池工場の建設を開始。投資総額は1億8,000万ドル。2020年稼働開始予定。年産能力60万台分(2019年初頭の車両生産能力200万台の3割)。

 

トヨタ:InnovaとFortunerが好調、2018-19年度に新型Yarisと新型Land Cruiser Pradoを投入

  トヨタは2017年のインドでの販売台数が前年比5%増になったと発表した。特にInnova(73,000台)とFortuner(24,000台)の販売が好調で、両車種を合わせたインドでのIMV*の販売台数は過去最高となった。Camry Hybridは新GST導入後、増税のために価格が高くなり、販売にマイナス影響が出た。Camry Hybridは2020年に導入される予定のBS-VI排ガス規制に既に適合しているため、2018年も販売促進に注力する計画。
 *IMV: Innovative International Multi-purpose Vehicle, トヨタの新興国向け戦略車
  2018-19年度には、Bセグメント車の新型Yaris、中型SUVの新型Land Cruiser Pradoを投入する計画。

Toyota Yaris Toyota Fortuner
Toyota Yaris (Auto Expo 2018) Toyota Fortuner (Auto Expo 2018)

 

MahindraとFord:電動化やモビリティ・プログラムで3年間提携

  2017年9月、Mahindra & MahindraとFordは今後3年間、幅広い分野で戦略的提携の可能性を探ると発表した。提携の可能性がある分野は、モビリティ・プログラム、コネクテッドカー、電動化、商品開発、調達、Fordのインド国内での販売、Mahindraのインド国外での販売等である。提携の終了または継続については3年後に決定する。MahindraとFordは1995年に提携し、Ford EscortをChennaiで合弁生産したが、同提携は1999年に解消した。

 

TataとVW Group、Skoda:エコノミーセグメント車を共同開発

  2017年3月10日、Tata、VW Group、Skodaは長期的に共同で商品開発を行う合意書に署名した。VW Groupを代表して傘下のSkodaが、Tataとエコノミーセグメントの車を共同開発する。今回の提携で、Tataは新技術を採用し、プラットフォーム共用でコスト効率を改善できる。VW Groupは新興国市場で顧客志向のモビリティソリューションを提供できる。Tataは、共同開発による新型車を2019年からインド市場に投入する計画。

注:2017年8月、TataとSkodaは上記の提携分野について、当初期待されたような成果は出ないだろうという結論に達した。両社は、今後も協力できる分野について話し合いを続けるとしている。

 

現代:2020年までにEV1車種を含め新型車9車種を発売へ

  HyundaiはAuto Expo 2018で、2020年までに、フェイスリフトモデル2車種、新セグメントで2車種、全面改良モデル4車種、EV1車種の合計9車種の新型車を発売すると発表した。

 

起亜:2019年後半に稼働開始予定の新工場を建設

  Kia Motorsは11億ドルを投じてインド初の工場をアーンドラ・プラデシュ州に建設する。2018年2月に着工、2019年後半に稼働開始予定。年産能力は30万台。コンパクトセダンおよびコンパクトSUVを生産し、2019年末からインド市場で販売する。新工場には、プレス、車体、塗装、組立工場が建設され、サプライヤーの工場も建設可能。

 

上海汽車:MGブランド車の生産工場を建設

  2017年9月、上海汽車はグジャラート州政府と、傘下のMGブランド車の生産工場を建設する覚書を締結。GMが同年4月末に生産を終了したHalol工場を取得して、改修する。今後5年間に200億ルピーを投資する。2019年に生産開始予定で、初年度は5~7万台を生産する計画。

 

PSA:インドのコングロマリットCK Birlaとの合弁でインド市場に再参入

インド市場に再参入   2017年1月、PSAグループとインドのコングロマリットCK Birlaグループは、2020年までにインドで自動車および自動車部品を生産・販売する合弁会社を設立することで合意した。これにより、PSAグループは20年ぶりにインド市場へ再参入する。両社は2つの合弁会社を設立し、70億ルピーを投じてタミル・ナドゥ州に2つの生産施設を建設する計画。
HMFCLとの合弁で自動車工場   1つ目の合弁会社はPSAとCK Birla傘下のHMFCL(Hindustan Motor Finance Corporation Limited)が設立し、PSAが過半数の株式を保有する。同合弁会社はタミル・ナドゥ州に工場を建設し、インドでPSAの乗用車を生産・販売する。
AVTECとの合弁でパワートレイン工場   2つ目の合弁会社は、PSAとCK Birlaグループ傘下のAVTEC Ltd.が50%ずつ出資して設立。2017年11月、同合弁会社はタミル・ナドゥ州Hosurでパワートレイン工場の起工式を実施した。当初の年産能力は20万基で、2019年初めごろに稼働開始予定。

 

Volvo Cars:インドでXC90の生産開始

  2017年10月、Volvo Carsはインド国内での自動車生産を開始した。Volvo Group(商用車メーカー)の協力により、同Groupの生産インフラと生産ライセンスを活用し、南インド・Bangalore近郊の既存工場で、高級SUVのXC90を生産する。今後、SPAプラットフォームをベースにした他のモデルも生産する計画。インド高級車セグメントでのシェアを2017年の5%から、2020年までに10%にすることを目指す。

 

GM:インド国内販売から撤退、インドを輸出拠点化へ

Talegaon工場に生産集約   2017年4月末、GMはグジャラート州Halol工場での操業を停止し、インドでの生産活動を西部マハラシュトラ州Talegaon工場に統合した。さらに同年5月、2017年末までにインド国内での販売から撤退し、Talegaon工場で輸出向けの生産に注力すると発表。
Talegaon工場を輸出拠点化   2017年8月のGMの発表によると、Talegaon工場からの輸出台数は過去1年間で3倍となり、2017年4-6月の輸出はインドの乗用車メーカーの中で5番目に多かった。小型車Chevrolet Beatの中南米への輸出、エンジンやKD部品の輸出開始など、輸出拠点として実績を上げている。


LMC Automotive販売予測:インドのライトビークル販売は2021年に499万台へ

LMC Automotive, 2017年第4四半期)

インドのlight vehicle販売予測

  インドにおけるライトビークル販売は、2017年7月1日の物品・サービス税(GST)施行に伴い、短期間減少したが、LMC Automotiveは、インド市場は拡大傾向にあると見ている。2017年の2桁成長の後、2018年はやや緩やかなペースで成長するが、長期的には年率7.6~10.0%ずつ拡大し、2021年には2017年比35.3%増の499万台となる見込み。

  インド市場で最大メーカーのスズキは、自信を持ってインドでの生産拡大を進めている。2017年10月、マルチ・スズキはグジャラート州にあるスズキ所有のHansalpur工場で第2シフトを追加した。これは、需要が伸びている新型BalenoとVitara Brezzaの納車待ち期間を短縮するためである。また、スズキは新たに5億8,500万ドルを投じてHansalpur工場に第3ラインを設置し、同工場の年産能力を2020年までに75万台に引き上げる。年産能力25万台の第2ラインと年産能力50万台のエンジン工場は現在建設中で、2019年には稼働を開始する予定。LMC Automotive(2017年第4四半期)予測によると、スズキのインドでのライトビークル販売は2018年以後徐々に増加し、2021年には2017年比9.0%増の174万台となる見込み。

  インド市場で2番目に販売台数が多い現代自動車グループ傘下のHyundaiは、5世代目のAccent/Vernaの生産を韓国からインドに移管している。2017年10月には、中東から新型Accentに対して過去最高の輸出注文を受けた。2018年初めには南アフリカ、その他湾岸諸国、アジア各国にも新型Accentの輸出を開始する計画。Hyundaiの姉妹ブランドであるKia Motorsは、11億ドルを投じて南インドのAnantapurに生産拠点を建設する。2019年に稼働を開始する予定で、年産能力は30万台。LMC Automotiveの予測によると、現代自動車グループのインドでのライトビークル販売は、2018年には前年より1.8%減少するが、その後は増加に転じ、2021年には2017年比48.9%増の789,820台となる見込み。

 

インドのライトビークル販売予測 (LMC Automotive、2017年第4四半期)

(台)

SALES GROUP GLOBAL MAKE 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021
Total 3,128,003 3,352,494 3,686,768 3,895,801 4,284,755 4,633,446 4,987,118
Suzuki Group Suzuki 1,284,883 1,395,268 1,598,295 1,600,777 1,647,003 1,682,441 1,742,333
Hyundai Group Hyundai 476,001 500,537 530,332 520,907 572,419 567,608 609,259
Kia 0 0 0 0 5,694 109,608 180,561
Hyundai Group sub-total 476,001 500,537 530,332 520,907 578,113 677,216 789,820
Tata Group Tata 289,786 307,519 355,308 436,922 498,358 549,944 573,216
Land Rover 1,452 1,716 2,406 2,478 2,428 2,816 3,034
Jaguar 1,253 684 1,583 1,642 1,592 1,708 1,780
Tata Group sub-total 292,491 309,919 359,297 441,042 502,378 554,468 578,030
Mahindra Group Mahindra 361,475 393,448 418,759 458,625 515,370 531,933 557,065
Ssangyong 396 155 8 0 0 0 0
Mahindra Group sub-total 361,871 393,603 418,767 458,625 515,370 531,933 557,065
Renault-Nissan-Mitsubishi Renault 21,018 108,551 99,975 114,375 148,736 165,510 171,965
Datsun 19,378 39,009 41,234 60,936 70,576 75,937 89,195
Nissan 21,547 14,725 13,128 18,214 32,427 35,641 49,352
Dacia 32,829 23,684 18,283 22,335 26,940 30,425 32,310
Mitsubishi 1,981 816 530 753 727 747 777
Renault-Nissan-Mitsubishi sub-total 96,753 186,785 173,150 216,613 279,406 308,260 343,599
Honda Group Honda 202,403 154,506 182,733 202,289 219,136 223,719 243,892
Toyota Group Toyota 139,820 134,141 140,577 149,175 181,890 242,376 231,281
Lexus 0 0 236 379 411 415 465
Toyota Group sub-total 139,820 134,141 140,813 149,554 182,301 242,791 231,746
Ford Group Ford 77,715 86,425 90,798 97,000 108,843 112,692 142,615
Volkswagen Group Volkswagen 43,162 47,323 47,859 55,042 53,931 56,700 63,328
Skoda 15,457 13,370 17,595 23,047 20,538 25,550 25,032
Audi 11,192 7,074 7,602 11,798 14,204 15,206 17,379
Volkswagen Group sub-total 69,811 67,767 73,056 89,887 88,673 97,456 105,739
Fiat Chrysler Automobiles Jeep 0 316 13,045 19,932 28,119 37,492 43,083
Fiat 8,575 6,330 2,967 3,003 6,985 13,725 14,997
Fiat Chrysler Automobiles sub-total 8,575 6,646 16,012 22,935 35,104 51,217 58,080
SAIC Group MG 0 0 0 0 14,568 20,173 29,638
Daimler Group Mercedes-Benz 13,502 13,231 15,333 14,180 15,940 18,023 20,777
Isuzu Motors Isuzu 1,708 2,310 3,880 7,504 17,465 18,269 20,101
PSA Group Peugeot 0 0 0 0 0 3,662 19,373
BMW Group BMW 6,550 7,706 8,609 7,326 8,522 9,947 11,219
MINI 340 355 441 381 380 366 370
BMW Group sub-total 6,890 8,061 9,050 7,707 8,902 10,313 11,589
Geely Group Volvo 1,423 1,584 1,921 3,299 3,628 3,869 4,089
General Motors Group Chevrolet 20,175 13,957 4,154 0 0 0 0
Wuling 5,186 5,708 253 0 0 0 0
Isuzu 11,320 9,284 3,028 0 0 0 0
General Motors Group sub-total 36,681 28,949 7,435 0 0 0 0
Other Indian
Manufacturers
Ashok Leyland 26,625 30,203 34,990 31,176 34,214 39,264 45,542
Force 23,357 24,987 23,432 22,590 23,176 26,508 30,452
Bajaj 0 0 0 2,705 2,995 3,135 3,779
Eicher 451 1,885 2,758 2,162 2,289 2,439 2,626
Premier 2,006 1,988 2,034 1,978 2,055 2,114 2,515
Other Indian Manufacturers sub-total 52,439 59,063 63,214 60,611 64,729 73,460 84,914
Other Piaggio 5,037 3,699 2,682 2,871 3,196 3,484 3,718

Source: LMC Automotive "Global Automotive Sales Forecast (Quarter 4, 2017)"
(注) 1. データは、小型車(乗用車+車両総重量 6t以下の小型商用車)の数値。
2. 本表の無断転載を禁じます。転載には LMC Automotive 社の許諾が必要になります。
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