「革新的燃焼技術」(その2):どこまで革新進むか?内燃機関エンジン

ICE(内燃機関エンジン)群を更新するトヨタとDaimler、e-Powerの日産

2016/12/16

要約

 2050年に向け、自動車メーカー各社のパワートレ-ン更新動向が活発化している。欧州の2021年のCO2規制への対応、米国の2018年からのZEV規制強化、CAFE規制の動きに現実的な対応が待ったなしの状況となってきた。

 トヨタは2016年12月、プリウス、C-HRに続き、TNGA第3弾であるカムリ等への搭載を睨んだ新型4気筒2.5Lガソリンエンジン(旧ARエンジンからの更新:Dynamic Force Engineと称す)と新型パワートレーンを発表した。新エンジンはHEV用と標準用の性能の異なる2種類を設定している。HEV用は最大熱効率41%、比出力52kW/L(71ps/L)、標準用は最大熱効率40%、比出力を60kW/L(82ps/L)へと旧型から燃費特性と出力特性双方を向上させている。変速機もFF用に8速、FR用に10速ATを新規開発している。HEVはTHS-Ⅱを継続採用したが、トランスアクスル、パワーコントロールモジュール等を新規開発した。今後グローバルに19機種、37バリエーションを2021年までに導入すると発表している。

 Daimlerも2016年5月、30億ユーロ(約3450億円)の開発費を投じ、ガソリン、ディーゼルで4、6、8気筒のモジュラーデザインの新エンジン系列を投入すると発表している。

 一方で日産は初めて、シリーズハイブリッドをノートに採用しBEV(電気自動車)の課題であった航続距離と充電時間を改善し、11月単月の国内販売が30年ぶりに1位となっている。本レポートでは全ての車種を2050年までに電動化すると公表しているトヨタ、BEVに開発を移行するとパリショーで発表したDaimler等、各社のパワートレーン更新内容について報告する。

(トヨタ資料: 2.5L Dynamic Force Engine)
(トヨタ資料: 2.5L Dynamic Force Engine)
(Daimler資料:新型2.0Lガソリンエンジン)
(Daimler資料:新型2.0Lガソリンエンジン)



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