タイの日系部品メーカー (上) :生産能力増強、生産体制再編

エフテック、ケーヒン、クラリオン、ジーテクト、テイ・エステック、トヨタ紡織、パイオラックスなど

2014/01/06

要 約

Thailand Map タイにおける日系自動車部品メーカーの生産能力増強、生産品目の追加、新しい生産拠点構築等の動きを2本のレポートに分けて報告する (収録対象は、2013年12月上旬までの約10カ月間)。

 タイの2013年1-11月の自動車生産台数は、223.3万台(前年同期比2.9%増)と、2012年通年の前年比68.3%増からは減速したが、2013年通年で生産台数が過去最高を更新するのは確実といえる。減速の原因は、2012年は前年の洪水の影響から脱却したことと、政府の自動車購入補助制度終了の反動減で国内販売台数が2013年1-11月に121.7万台(同5.8%減)となったため。輸出は同104.0万台(同10.6%増)と堅調。

 こうしたなか、トヨタ、ホンダ、日産、スズキなど日系完成車メーカーは、2013年から2015年にかけて新工場稼働や既存工場の生産能力増強を進めている。

 そのため、日系自動車部品メーカーのタイでの活動も引き続き活発である。

 生産能力増強では、多くがタイでの需要拡大に備えるものだが、アジア周辺国や日本・欧米地域等への輸出拠点としてタイ子会社の生産能力拡充を図る動きがみられる(エフテックケーヒンクラリオンサンコール、東レ、パイオラックス横浜ゴム、三菱重工など)。また、自動化による人員不足・労働コスト上昇対策(石川ガスケット、エイチワン)、日本からタイへの生産移管(ケーヒンサンコールトヨタ紡織)などがみられる。

 なお、タイにおける、新しい生産拠点設立の動き、開発拠点の設置などの動きは、2本目のレポートをご覧下さい。

 日系部品メーカー動向関連レポート:  
ASEAN編 (2013 年11月)欧州編 (2013年10月)インド編 (2013年8月)
中国 (華北/東北/西南地域) 編 (2013年8月)
中国 (華南/華中地域) 編 (2013年7月)中国 (華東地域) 編 (2013年6月)
米国編 (2013年7月)メキシコ・ブラジル編 (2013年5月)タイ編 (2013年3月)



生産能力増強、生産体制再編の動き

(配列は企業名 50音順)

石川ガスケット:ガスケット生産ラインの自動化を準備

 石川ガスケットは、2013年8月に生産開始したCherry Serina(Chonburi県)のシリンダーヘッド用ガスケットの新製品の生産ラインに、将来の自動化への対応が可能な設計を取り入れた。当面は従来の人員で稼働させる計画だが、需要拡大に合わせて自動化設備に切り替える方針。タイでの作業者不足や人員コスト上昇による人材確保難に対応するもの。時期を見てラインを自動化し、稼働が安定した後は、次に導入する候補ラインを検討する。

エイチワン:Ayutthaya工場は溶接ライン自動化を推進、Chonburi工場はプレス能力を増強

 エイチワンは、H-ONE Parts (Thailand)(Ayutthaya県)の骨格部品生産工場で、溶接ラインの自動化を進める。2013、14年に溶接ロボットを新たに116台導入し、2012年時点の1.8倍に増やす。労務費の増加に伴う収益の低下や生産拡大に対応するもの。また、現在は溶接専用となっているH-ONE Parts Sriracha (Chonburi県)では工場を拡張し、約13億円を投じて2500トンのトランスファープレス機を2014年2月の稼働を目指して導入する計画。タイでの急激な受注増に対応し、プレス能力を増強し生産能力を引き上げながら溶接の生産効率化投資も行う。

エフテック:プレスの生産能力増強を検討

 エフテックは、F.tech Mfg. (Thailand) Ltd.(Ayutthaya県)のプレスの能力増強を検討。2013年にインドネシアに新設したエフテックのサスペンション部品工場へのプレス部品の輸出やタイでの需要増大に対応するもの。

エルナー:アルミ電解コンデンサの生産能力を2013年に増強

 エルナーは2013年9月、TANIN ELNA CO., LTD(本社Bangkok)のChiang Mai工場の建屋改築、増床を行い、アルミ電解コンデンサの生産能力を増強したと発表。投資額は約3億円。生産能力を月産3000万個から、約25%強増加する月産3800万個体制に引き上げる。これにより、既存取引先の欧米系車載電装メーカーへの販売に加えて、日系電装メーカーにも拡販を強化していく。

オイレス工業:軸受工場を拡張し、生産能力増強

 オイレス工業は、2013年度中にOILES (THAILAND) COMPANY LIMITED(Rayong県)の既存軸受工場を拡張する。同社の海外生産拡大計画に基づき、2013年4月にインドでの新工場が操業開始したほか、タイ、中国、米国の工場を拡張し、受注動向に合わせて設備を順次導入する。4カ国への設備投資額は2012-13年度で約30億円を見込んでいる。生産能力は非公開。

クラリオン: カーオーディオ、カーナビなどを増産へ

 クラリオンは、Clarion Asia (Thailand) Co., Ltd.(Rayong県)でCDなどを読み込むカーオーディオを2013年度は2012年度比3割増の100万台弱まで生産能力を引き上げる。2014年3月末までに5~6億円を投じで生産ラインを増設し、基板実装用の自動機や金型などを導入する。加えて、2015年度には2013年度見通しに比べ約2倍の200万台に引き上げる計画。大手自動車メーカー各社の東南アジアでの生産拡大に対応する。カーナビについては、海外生産での中国への一極集中(全体の60%)のリスクを回避するため、数年後には50%程度に引き下げ、その分をタイで増産し、タイの比率を25%にする計画。この他、タイでは車載カメラの生産も増加させる方針。

ケーヒン: ECU用の高効率な新ラインを導入し2013年6月に量産再開、グローバル供給拠点に

 ケーヒンは、Keihin Auto Parts(Thailand)(Ayutthaya県)の工場に、四輪用エンジンのECU生産向けに合理化された新ラインを導入し、2013年6月に量産を再開。ホンダが2013年からグローバル展開する次期主力モデルのエンジンECUをタイで集中生産して量産効果を創出し、タイ/日本/アジア/メキシコに供給する。また、同工場では「DBWスロットルボディ」の増産も開始。日本で生産するホンダの新型フィット向けに、日本での生産をタイに切り替え2割以上原価を低減する。また、ケーヒンは2013年4月にバンコクのKeihin Asia Bangkok Co., Ltd.に現地調達・開発拠点を設置。現地調達の推進や取引先の現地での開発にきめ細やかな対応を行うのが目的。

京浜金属:工場を1.5倍に拡張し、車用バネを増産

 京浜金属工業は、KEIHIN METAL (THAILAND) CO.,LTD(Patumtanee県)の工場の建築面積を2014年夏までに2013年比1.5倍に拡張し、車用バネを増産する。投資額は約1.5憶円。日系自動車部品メーカーからシートに使うバネ部品を新たに受注したためで、2016年の売上高は同1.5倍の15億円を目指す。

児玉化学: 自動車部品第2工場の生産拡大を計画

 児玉化学工業は、中期経営計画(2013-15年度)でアセアン地域事業拡大戦略として海外売上比率50%以上の達成を計画。タイでは、2012年に完成したEcho Autoparts (Thailand)Co., Ltd.の第2工場(Chonburi県)での自動車部品事業の成長を図るとしている。

サンコール:弁ばねの生産能力を2015年に2倍へ引き上げる計画

 サンコールは、SUNCALL HIGH PRECISION(THAILAND)(Chonburi県)でのエンジンの弁ばねの生産ラインを増設し、2015年に生産能力を2012年の2倍に当たる月300万個に引き上げる。投資額は1.5億円。受注の急増に伴う供給能力不足に対応するもの。また、日本から輸出していた一部の弁ばねを現地生産に切り替え輸送費を抑える。今後は、タイからインドネシアなどの周辺国への出荷を本格化させるほか、インドにも供給を開始する計画。

ジーテクト:2014年稼働予定の第2工場に、追加投資して建屋増設へ

 ジーテクトは、車体骨格部品を製造販売するG-TEKT Eastern(Rayong県Eastern Seaboard工業団地)の第2工場として2014年に生産開始予定の新工場(Chachoengsao県)に10億円を追加投資し、建屋を増設する。第2工場はトヨタやいすゞに車体骨格部品を納入する予定だが、ホンダが2015年に稼働させる第2工場にも対応するため。

しげる工業:工場を増設し2013年末に稼働計画

 しげる工業は、SHIGERU(THAILAND) Co,. Ltd. (Rayong県)の工場を増設してシート、内装トリム部品などの自動車向け品目の生産拡大を図る。工場は2013年末に稼働の計画。

シロキ工業:第2工場を建設し2014年5月に稼働

 シロキ工業は、2012年にSHIROKI CORPORATION(THAILAND) (Chonburi県)の工場を拡張して生産能力を増強したが、トヨタやスズキを中心に供給量の大幅拡大しているため2013年6月に既存工場近くに第2工場のための土地および建物を約7億600万円で取得。2014年5月から第2工場を稼働させる予定で、ウインドーレギュレーターやシート骨格部品の生産能力を高める。

大同メタル:第3工場が2012年11月に稼働、ターボチャージャー用軸受などを生産

 大同メタル工業は、Dyna Metal Co., Ltd.(Chachoengsao県)の第3工場の開所式を2012年11月に実施。同工場は、自動車・一般産業向けの軸受や、スモールターボ等に使用されるターボチャージャー用軸受を生産。これら軸受の生産能力の増強に加えて、第1、第2工場にも新たな設備を導入できるスペースが確保され、工場全体の生産能力の増強が可能となった。

田中精密:日本から機能移管し、タイをマザー工場に

 田中精密工業は、ロッカーアームなど自動車用部品の生産マザー機能を日本からタイの子会社TANAKA PRECISION (THAILAND) Co.,Ltd.(Lamphun県)に移し、コスト競争力を高める。新たに稼働するインドやベトナムの生産拠点の人材育成をタイで行うほか、生産設備や金型をタイから供給する。さらにバンコクに調達担当者を置き、調達コストの削減とスピードアップを図る。選定した部材はまずアジアの各工場で使うが、今後、日本での使用も検討する。(2013年6月報道)

中央発條:第3工場建設を発表、2014年6月に生産開始

 中央発條は2013年10月、子会社のCHUO THAI CABLE CO.,LTD.(Rayong県)の第3工場の建設を発表。投資額は約7億円。2014年6月から精密ばねや自動車の操作用ケーブルを生産開始する予定。トヨタ自動車などの増産に対応して供給能力を高める。

テイ・エステック:2013年12月に新会社設立、2015年3月に新工場稼働

 テイ・エステックは、2013年12月に新会社TS TECH(Kabinburi)CO.,LTD.(Prachinburi県)に設立。資本金は約25億円。新工場を建設し、2015年3月に稼働予定。ホンダがタイの第2工場で生産する小型車用のシートやドアトリム等を生産する。年産能力は約20万台。Saraburi県のTS TECH (THAILAND)の既存工場(年産能力28万台)とあわせて、タイでのシートの年産能力は約50万台規模に拡大する。

ティラド:EGRクーラーの生産能力を2017年度までに2倍以上に拡大へ

 ティラドは、EGR(排出ガス再循環)クーラーの生産能力をグローバルで増加させる。ガソリン車の燃費向上アイテムとして需要が大幅に増加する見通しで、2017年度にグローバル生産能力を2013年度比1.8倍に引き上げる。タイでは、同2倍以上に引き上げる。(2013年6月報道)

東研サーモテック:工場増築で部品の熱処理能力を増強

 東研サーモテックは、2014年までに9億円をかけて子会社のTHAI TOHKEN THERMO CO.,LTD(Chonburi県)の熱処理設備を増設する。設備増設により2015年以降の日系自動車メーカーの世界戦略車の本格量産に備える。タイ子会社の南地区にはガソリン直噴エンジン用部品向けに専用ラインを新設し、ステンレス材の真空焼き入れと焼鈍設備などを導入。北地区には、メッシュベルト式連続焼き入れ炉3ラインを整備し、エンジンや変速機に使われる熱間鍛造品の熱処理受託の増大に対応する。

東レ:エアバッグ用ナイロン繊維の設備増強/CFRP部品の合弁会社の子会社化で工場拡張を計画

 東レは2013年4月、Thai Toray Synthetics Co., Ltd. (Bangkok)のAyutthaya工場へのエアバッグ用ナイロン繊維の生産設備増強を発表。新設備の年産能力は約7,000トンで、合計で現行比約4割増の約23,000トンへ拡大する。稼働開始は2015年1月の予定。アジア各国をはじめとする新興国市場におけるエアバッグ装着率の向上によるエアバッグ基布の需要増に対応するもの。
 また、東レは2013年3月、童夢グループのタイ子会社Dome Composites (Thailand) Co., Ltd.(Chonburi県)の株式の75%を取得して子会社化し、社名をCarbon Magic (Thailand) Co., Ltd.への変更を発表。同社は炭素繊維複合材料(CFRP)製部品と付属品の量産工場で、買収により工場の拡張を計画。既存工場のある工業団地内あるいは近隣地に敷地を確保し、現在の2、3倍に広げる。アジア地域で拡大するCFRP関連の需要を取り込む。

トヨタ紡織:オイルフィルターの生産を日本からタイに移管/トヨタ以外の顧客への専用新工場も建設

 トヨタ紡織は、自動車用エンジン用オイルフィルターの生産を日本からタイ、中国に全面移管する。小型エンジン向けを2013年9月にTOYOTA BOSHOKU FILTRATION SYSTEM(THAILAND)CO., LTD.(Rayong県)に生産移管。中型エンジン向けは中国の工場に移管済み。大型エンジン向けは2014年以降に中国かタイの工場に移管する。現地生産に当たり、中間部品の在庫を削減できるコンパクトな生産設備を開発し、設置スペースを現状の3割に縮小。設備費の抑制や製品切り替え時の時間短縮ができる。
 また2013年8月に、自動車用内装部品を生産する新会社BOSHOKU AUTOMOTIVE (THAILAND) CO., LTD. (Rayong県)を2013年11月に設立すると発表。トヨタグループ以外の顧客への供給を目的とした専用拠点の位置付けで、2014年10月に生産開始予定。投資額は約18億円。生産品目は、サイレンサー、パッケージトレイ、ラゲージマット。中期的にはシート構成部品も生産。

日本プラスト:内外装部品を内製化する第2工場を建設

 日本プラストは、2014年度にNihon Plast Thailand Co.,Ltd(Rayong県)の敷地内に第2工場を建設する計画。自動車用内外装部品の成形を内製化する。現在、既存工場では、エアバッグやハンドルの一部の部品を外注先から調達して組み立ている。第2工場ではコンソールやフェンダカバーなどの多くの外注部品を生産し、既存工場ではエアバッグなどの増産を計画。投資額は10億円程度の見通し。(2013年9月報道)

パイオラックス:第4工場を開設、東南アジアの開発・営業統括組織を設置

 パイオラックスは、アセアン地域を中心とした取引先自動車メーカー等からの現地供給要請増大に対応し、PIOLAX (THAILAND) LTD(Rayong県)の生産能力を増強するために2013年6月に隣接地にある空き工場を約4億円で取得し、第4工場を開設。同社では工業用ファスナーのほかエアダンパーなどの開閉機構部品や樹脂タンクを生産しており、今後、CVT向け部品も生産する予定。
 またパイオラックは、2013年7月にPIOLAX (THAILAND) LTD(Rayong県)内にタイ、インドネシア、インド事業の営業と開発を統括する組織をそれぞれ新設。売上げの最大化や開発の効率化を進める。中国を除くアジア事業で、2015年度の売上高を2012年度比約2倍の106億円にする目標を掲げている。

日立化成:粉末冶金製品の生産能力増強

 日立化成は、粉末冶金製品や樹脂形成品などの自動車部品事業で海外生産体制を拡充し、海外生産比率を3年後に約1.4倍に引き上げる計画。その一環として、タイではHitachi Powdered Metals (Thailand) Co., Ltd.(Chachoengsao県)の粉末冶金製品の生産能力を倍増させるため第2工場を建設し、2013年7月に稼働。

プレス工業:大型トラック用部品の生産を2013年8月に開始

 プレス工業は、海外トラックメーカーから大型トラック用のリアアクスルケースの受注が決まったため、THAI SUMMIT PKK BANGPAKONG CO.,LTD.(Chonburi県)の工場を増築し、2013年8月から生産を開始。投資額は約16億円。当初は、部材のプレス加工や組み立ては日本で行い、アクスルケースの最終工程となる機械加工のみを同工場で行う。2013年内に3700軸を生産する。2014年からは部材のプレス加工から組み立て、機械加工などの全工程を整備。2016年度には年産能力を1万8500軸まで引き上げる計画。

丸順:車体部品の新工場が2014年6月に完成へ

 丸順は、Thai MarujunがSaraburi県Nong-Khae工業団地で建設中の車体部品新工場が2014年6月に完成予定。1500トンクラスのトランスファープレスを導入する新工場は、洪水などの被害を受けにくい地域にあり、安定供給体制を整える。投資額は約30億円。タイの既存顧客をはじめ東南アジアの顧客開拓に活かす戦略拠点とする。

水島機工:既存工場の生産能力を2倍にし、エンジン関連部品も生産へ

 水島機工は、Mizuki (Thailand) Co., Ltd.(Rayong県)の工場に2014年3月までに旋盤やマシニングセンター、研磨機、熱処理加工設備などを新増設し、生産能力を2倍に引き上げる。投資額は約3.5億円。現在は主にエアコン関連部品を生産しているが、設備増強に伴いエンジン関連部品の生産も開始し、生産品目を拡充する。

三菱アルミニウム:熱交換器用アルミニウム押出多穴管の生産設備増設

 三菱アルミニウムは、熱交換器用アルミニウム押出多穴管を製造・販売するMUANG-MAX (THAILAND) CO.,LTD.(Samut Prakan県)に押出プレスを1基増設し、2014年8月より生産を開始予定。年産能力は、約2,400トン増の約7,200トンになる。投資金額は約7.9億円。東南アジアでは自動車生産が増加し、冷暖房空調設備のアルミ化も進んでおり、今後の需要拡大に対応する。

三菱重工:乗用車用ターボチャージャーの生産能力を増強

 三菱重工は、2016年までに世界全体の乗用車用ターボチャージャーの生産能力を2013年の年間580万個から1000万個に引き上げ、世界トップシェアを目指す。その第一弾として、Mitsubishi Turbocharger Asia Co., Ltd(Chonburi県)を中心とした設備投資に注力する。ターボチャージャーの中核部品であるカートリッジの部品加工ラインや組立ラインを大幅に増設して、カートリッジの年産能力を2015年までに現状の2.5倍の年間590万台に引き上げ、欧州や中国などの最終組立拠点に供給する。また、タイの自動車メーカー向け完成品の需要も増大しているため、最終組立ラインも増設して2015年の生産能力を現状の2倍に増強する。

山元:自動車部品生産の第2工場建設

 山元は、2013年10月にYamagen (Thailand) Co., Ltd.(Ayutthaya県)の既存工場の隣接地に2億円を投じて第2工場を建設。生産能力を倍増させ、スイッチなどに使うバネ部品など自動車部品の販売を強化する。主力であった家電部品の需要減少に対応し、自動車部品にシフトする。

ユタカ技研:第2工場を建設し排気系部品の生産能力を増強

 ユタカ技研は、YS TECH (THAILAND)(Prachinburi県)の工場を拡張し、トルクコンバーター、サイレンサーなどの年産能力を引き上げる。また、2014年には近隣のChachoengsao県304工業団地に第2工場を建設し、キャタコンバーター、マフラーなどの排気系部品のほかトルクコンバーターの生産能力を拡大する。これによりYS TECH(THAILAND)の2016年の年産能力は、キャタコンバーターが2013年見込み比約6割増の56.1万台、トルクコンバーターが同約7割増の59.8万台、サイレンサーが同約9割増の27.2万台に拡張する。ホンダのタイでの四輪車40万台体制に向け、第2工場は2段階に分け建設する。

横浜ゴム:トラック・バス用タイヤの生産能力を拡張

 横浜ゴムは、YOKOHAMA TIRE MANUFACTURING (THAILAND) CO., LTD.(Rayong県)のトラック・バス(TB)用タイヤの生産能力を増強するため、2013年7月から第2次拡張工事を開始。TB第1工場の隣接地に第2工場を増築する。総投資額は80億円を計画。これにより、年間生産能力を2013年の35万本から2015年に70万本へ引き上げる。拡張分の生産開始は2015年4月、フル生産は同年12月を予定。主に北米や欧州、アジアへの輸出向けで、世界でのTB用タイヤの増販を計画。

ヨロズ:第2工場が2013年6月に稼働、2014年後半にフル稼働へ

 ヨロズは、2013年6月にYorozu (Thailand)(Rayong県)の第2工場が稼働したが、2014年後半までに4億円を投じて塗装用ラインも導入してフル稼働させ、サスペンションの年産能力を30万台分にする。第1工場と合わせた年産能力は80万台になる。

 (参考資料:各社広報資料, 各紙報道)

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>