タイの日系部品メーカー :生産拠点・開発拠点の新設、生産能力増強、製品追加

曙ブレーキ、エイチワン、ケーヒン、ジェイテクト、テイ・エステック、デンソー、ニッパツ、ブリヂストン、ユタカ技研、ヨロズなど

2013/03/28

要 約

 以下は、タイにおける日系自動車部品メーカーの新生産拠点構築、開発拠点新設、生産能力増強等の動きである (収録対象は、2013年3月中旬までの約10カ月間)。

Thailand Map タイの自動車生産台数は、大洪水に見舞われた2011年の145.8万台(前年比11.4%減)から2012年には245.4万台(同68.4%増)に急増し過去最高。2012年の国内販売台数も141.5万台(同82.1%増)、輸出は102.7万台(同39.6%増)といずれも過去最高を記録した。2013年1-2月(速報値)も、前年には洪水の影響が残っていたこともあり、販売台数は25.6万台(同51.9%増)と好調を維持。

 こうしたなか、日系完成車メーカーはタイを重要拠点と位置付け、生産能力およびモデルの拡充を進めている。トヨタは2012年の年産能力67万台を2013年半ばのゲートウエイ第2工場(タイ版エコカーを生産)の稼働で76万台に拡充し、さらに「近い将来生産を100万台レベルに引き上げる」と表明(2012年11月)。ホンダは、年産能力を2012年の24万台から2013年度中に約29万台に引き上げ、さらに2015年稼働をめどに新工場を建設し、タイを輸出拠点として強化する。日産は、年産能力を2012年の22万台から2014年の新工場稼働で当初7.5万台、最大で15万台追加し、合計37万台体制を計画している。スズキは、2012年から「スイフト」を生産・販売開始、2013年にはMPV「エルティガ」を投入し、両車種で7万台強を生産・販売する計画。

 このような動きを受けて、日系自動車部品メーカーの新規進出、生産能力増強・品目の追加などが活発化している。新規進出では、ティア1のみならずティア2による取引先の確保、現地調達ニーズへの対応などがみられる。生産能力増や品目追加では、タイの取引先への納入が中心だが、アジア地域等への輸出拠点化(鬼怒川ゴムサンコール、ニチダイ、ケーヒンなど)も多い。また、今後の洪水被害を回避するため、新立地での工場建設(河西工業テイ・エステック日立化成、丸順など)もみられる。この他、R&D拠点の新設・強化(ブリヂストンパイオラックスデンソージヤトコなど)や、地域統括会社設立(テイ・エステック三桜工業ヨロズなど)も進められている。

 なお、タイ以外のASEAN諸国における日系自動車部品メーカーの動きは、2013年2月に掲載した "ASEANの日系部品メーカー:インドネシア、ベトナム、マレーシア他" に収録した。

関連レポート:日系部品メーカー動向レポート

ASEAN編 (2013 年2月)、欧州編 (2012年12月)、インド編 (2012年11月)、

メキシコ・ブラジル編 (2012年9月)、中国(華中地区/西南地区)編 (2012年7月)、中国(華南地区-広東省)編 (2012年7月)、

中国(華東地区)編 (2012年6月)、中国 (東北/華北地区)編 (2012年5月)、米国編 (2012年7月)、

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