Stellantis (2) 新プラットフォームで次世代車開発
南米でバイオハイブリッド車、北米・欧州で商用車事業を強化
2025/03/18
- 要約
- マルチエネルギー対応のプラットフォームをベースに次世代モデルを投入
- 南米でバイオハイブリッド技術を開発
- アルジェリアをアフリカの戦略的ハブへ
- 米国のPHV市場をリード、商用車部門のRam Professionalを発足
- イタリアTurinにグローバル商用車拠点を新設
- 2024年の連結出荷台数は前年比12%減の542万台
- 2024年の売上高は17%減の1,569億ユーロ、営業利益は65%減の86億ユーロ
- GlobalData販売予測:Stellantisの2028年ライトビークル販売は692万台の見込み
要約
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新型ミッドサイズ電気SUV Jeep Wagoneer S (2025年1月に販売開始)(出典:Jeep) |
Stellantisは2024年に、マルチエネルギーに対応するSTLAプラットフォームを採用した次世代モデルの投入を開始した。STLAプラットフォームは電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、内燃エンジン車など様々なパワートレインに対応する。また、Smart Carプラットフォームを採用した手頃な価格のマルチエネルギー車を、グローバルに投入している。
Stellantisは南米、中東・アフリカ、中国・インド・アジア大洋州地域を欧米に続く「第3のエンジン市場」と呼び、成長戦略を展開している。南米には2025年から2030年にかけて総額320億レアルを投資する計画。バイオハイブリッド技術に基づく新システムを開発し、生産設備を刷新している。
中東・アフリカでは、2030年までに25車種の新モデルを投入し、同年までに100万台を生産することを目指している。アフリカではアルジェリアを戦略的ハブとする計画。また、エジプトでは現地生産を再開。南アフリカでは2025年末までに新工場で現地生産を開始する計画。
北米では、2024年の米国のPHV市場でStellantisが市場シェア第1位となった。また、Ramが商用車ユニットのRam Professionalを発足した。2025年にはStellantisは北米でDodge Charger Daytona、Jeep Wagoneer S、Jeep Cherokee、Jeep Reconの後継車など10モデルを発売する予定。
欧州では、商用車事業部門Pro OneがイタリアのTurinにグローバル商用車拠点を設立した。80人余の専門家が集い、商用車部門の機能を集約する。また、欧州では2024年にeDCT(電動デュアルクラッチトランスミッション)技術を搭載したHVを多数発売。2026年までにさらに6車種を投入する。
2024年の連結出荷台数(合弁会社の販売台数を含まない)は、前年比12.2%減の541万5,000台となった。在庫削減措置に伴う生産水準の低下と、新型車の発売遅れで現行モデル廃止後に生産ギャップが影響した。
2024年の売上高は前年比17.2%減の1,569億ユーロ。インセンティブの増加、販売台数減少、商品構成の悪化、為替差損の影響とされる。調整後営業利益は64.5%減の86億ユーロとなった。収益低下を受けて2024年12月、カルロス・タバレス氏がCEOを退任。2025年上期中に新CEOの任命プロセスが完了する予定。
本編はStellantisレポートの第二部として、各地域の最近の動きとグローバルの販売状況・業績について報告する。併せて、GlobalData社の販売予測を掲載する。
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