中国自動車メーカーの海外進出動向:上汽、奇瑞、東風、長安

上汽は海外でも電動化を加速、奇瑞は2025年に50万台の輸出を計画

2023/06/12

要約

中国乘用车出口量

 中国自動車工業協会(CAAM)の発表によると、2022年の中国自動車メーカーの輸出台数は前年比54.4%増の311.1万台。うち、乗用車の輸出は前年比56.7%増の252.9万台、商用車の輸出は前年比44.9%増の58.2万台となった。なお、NEVの輸出は、前年比2.2倍の67.9万台。

 上海汽車集団股份有限公司(以下、上汽集団)で、海外での販売は年々増加し、中国国内自動車メーカーでは7年連続トップ。MarkLinesのデータによると、2022年は前年比48.5%増の82.4万台。欧州では同社初の「10万台レベル」を達成した。傘下のMG、上汽GM五菱、上汽大通(MAXUS)は複数のグローバルモデルのEVを発表し電動化を推進している。

 奇瑞汽車股份有限公司(以下、奇瑞汽車)の2022年の輸出台数(MarkLinesデータ)は、前年比69.0%増の45万台。主な輸出モデルは「Tiggo(瑞虎) 8」、「Tiggo 7」、「EXEED(星途) Lanyue(攬月)」、「EXEED Lingyun(凌雲)」、「Jetour(捷途) X70」などである。仕向地は80の国と地域にわたり、1,500余りのディーラーとサービス拠点を有し、10の海外工場で展開し総生産能力は年間20万台に達する。2025年までに輸出台数50万台、輸出額50億ドルの目標を掲げる。

 東風汽車集団有限公司(以下、東風公司)の2022年の輸出台数は前年比38.0%増の16.7万台で過去最高を記録した(東風悦達起亜を含まない)。2023年の輸出目標を25万台とすることを表明している。2023年にグループ傘下で電動モデルを展開するVOYAH(嵐図汽車)をイスラエル、スウェーデン、オランダ、デンマークなどへ投入する計画。

 中国長安汽車集団(以下、長安汽車)の2022年の輸出台数は前年比57.3%増の24.9万台。中国自動車工業協会(CAAM)が発表した2022年完成車輸出台数のトップ10のうち第4位となった。長安ブランド乗用車及び軽型商用車の輸出販売台数は14.7万台。2023年の海外販売は22万台を目標に掲げ、2025年までには海外輸出規模を40万台とし、グループの販売台数の15%占めるとする。また、欧州、オーストラリア、ニュージーランド、中東(GCC)、中南米、ASEAN、アフリカ、独立国家共同体(CIS)、ロシア、パキスタンなど80の国と地域に参入することを計画する。

 本レポートでは政府系メーカーの上汽、奇瑞、東風、長安のグローバル市場における最近の主な動向をまとめた。

 

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