インドネシア:ニッケルを活用してEVサプライチェーン構築
五菱と現代がEV発売、CATL、LG Energy Solutionなどがバッテリー生産
2023/01/26
- 要約
- 電動化政策:2035年にバッテリーEVの国内生産を100万台へ
- EV用バッテリー生産をめぐり電池メーカーやインドネシア国有企業が協力
- EV用充電ステーションを2030年までに3万台へ
- 現代自動車が新工場の稼働開始、トヨタ、三菱、ダイハツはEV生産投資
- 市場動向:2022年1-11月は奢侈税引き下げと新型車投入の効果で販売は19%増
- 輸出動向:2022年1-11月の完成車輸出は59%増、CKD輸出は5%増
- 国内市場:2022年1-11月にMPVとSUVが大幅増
- LMC Automotive生産予測:インドネシアの生産台数は2026年に149万台となる見込み
要約
インドネシア政府は国家開発計画の重点事項に環境を挙げ、脱炭素化に取り組んでおり、2060年までにカーボンニュートラルの達成を目指すとしている。その一環として、自動車の電動化を推進。2021年7月に発表した電動車の生産台数目標によると、2035年に100万台のバッテリー電気自動車(EV)を生産する計画。EV販売台数は2021年には685台だったが、2022年には五菱Air EVや現代自Ioniq 5が投入され、11月までに約8,000台のEVが販売された。インドネシア政府はEVの普及を促進するため、電動車購入時に補助金の支給を計画している。
インドネシアでは電動車の生産に加え、国内に豊富にあるニッケル鉱石を利用してEV用バッテリーの生産ハブとなることも目指している。国有企業や内外のバッテリー関連企業が協力し、ニッケル鉱石の採掘、精製、前駆体や正極材の生産、リサイクル等も行い、EVおよび車載バッテリーのサプライチェーンを構築している。
EVの普及のため、充電インフラの構築にも注力している。インドネシア政府は2030年までにEV用充電ステーションを31,859台、電動二輪用のバッテリー交換ステーションを67,000台に増やす計画。2021年末時点で導入済みの充電設備は両施設合わせて約500台にとどまっており、政府は2025年までに4,000カ所以上に拡充するとしている。
生産に関する動きでは、現代自動車が年産能力25万台の新工場を2022年3月に稼働開始した。トヨタ、三菱、ダイハツは電動車の生産等に向けて投資を計画。奇瑞汽車はEVとバッテリーの生産拠点の建設を計画している。
インドネシア自動車製造業者協会(GAIKINDO)の統計によると、2022年1-11月の生産台数は前年比32.5%増の133万台、販売台数は19.2%増の94.2万台、輸出台数(完成車)は58.5%増の42.4万台となった。延長された奢侈品販売税の減免措置と新型車の投入が販売を押し上げた。
2022年の新型車の投入では、トヨタがブランド初の量産EVであるbZ4Xを導入。五菱(Wuling)は小型で低価格のAir EVを発売。インドネシアで需要の高いMPVは、トヨタが新型Voxyと新型Kijang Innova Zenix、スズキが新型Ertiga Hybrid、現代自がStargazer、起亜が新型Carensを投入した。
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トヨタのKijang Innova Zenix(2022年11月世界初公開のMPV)(写真:トヨタ) | インドネシアの自動車生産・販売・輸出台数 |
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