ウィーンモーターシンポジウム2023(1)未来の原動力:駆動システムとエネルギー

VW、現代モービス、Boschのプレゼンテーションより

2023/06/01

要約

 オーストリア自動車技術者技術会(Austrian Society of Automotive Engineers (ÖVK))が主催する「国際ウィーンモーターシンポジウム(International Vienna Motor Symposium)」は、今年で44回目を迎えた。このシンポジウムは4月26日から28日まで、例年どおりオーストリアのウィーンにあるホーフブルク宮殿で開催され、世界各国から1,000人以上の参加者が集まった。今回はCOVID-19のパンデミックの影響で昨年まで参加できなかったアジア諸国からの参加者が再び参加することができた。

 合計で80を超えるプレゼンテーションが3セッション並行で行われた。また、イベント期間中はWebプラットフォーム上での「バーチャルセッション」に加え、さらに掘り下げた内容のビデオ講演が行われた。

 この年次イベントでは、自動車メーカーと部品サプライヤーの専門家、学識経験者が一堂に会し、クライメートニュートラルな未来のドライブソリューションについて意見交換を行っている。

Official logo Event venue
公式ロゴ(第44回ウィーン国際モーターシンポジウム、主催:オーストリア自動車技術者協会(ÖVK)、Institute for Powertrains and Automotive Technology (IFA)、ウィーン工科大学、ロゴ:© ÖVK/Kucera) オーストリアのウィーンにあるホーフブルク宮殿のイベント会場(第44回ウィーン国際モーターシンポジウム、主催:オーストリア自動車技術者協会(ÖVK)、Institute for Powertrains and Automotive Technology (IFA)、ウィーン工科大学、画像:© MarkLines Europe GmbH)


 今年のシンポジウムでは、駆動システムの最新動向、モビリティのエネルギー源、バッテリー/燃料電池/内燃機関の共存が主なトピックとなった。

 また、ドライブライン技術のほか、充電技術、自律走行、コネクティビティなどのトピックも取り上げられた。

 全講演のアジェンダは公式ウェブサイトで確認できる(https://wiener-motorensymposium.at/en/programme/technical-programme)。また、以前のシンポジウムの会議資料も入手可能である(https://wiener-motorensymposium.at/en/conference-documents)。

 初日の夜と休憩時間には、併設された展示会の45のブースを参加者が見学する機会が設けられた。サプライヤー、サービス/ソリューションのプロバイダー、研究機関、エンジニアリングコンサルタント会社などが、最新の製品、技術、コンセプトを紹介した。

 また、会場の屋外エリアでは、参加者が展示車両の最新技術を間近で見て、試乗体験する機会も設けられた。

Test vehicles at the entrance of the venue Test vehicles at the entrance of the venue
会場入口に並んだ試乗車両(第44回ウィーン国際モーターシンポジウム、主催:オーストリア自動車技術者協会(ÖVK)、Institute for Powertrains and Automotive Technology (IFA)、ウィーン工科大学、画像:© MarkLines Europe GmbH)


 開会式の冒頭、オーストリア自動車技術協会(ÖVK)理事長のBernhard Geringer教授・博士は、まずÖKVの名誉会長を務めていたHans Peter Lenz教授・博士が2022年12月に亡くなられたことを伝え、追悼の言葉を述べた。Lenz教授は機械工学が専門で、1985年にÖKVを創設し、ウィーンモーターシンポジウムの先駆者としてその発展に尽力された。

 1分間の黙祷と参加者への挨拶の後、Geringer教授は、欧州では燃焼エンジンが大きな批判の対象となっていることから、単なる目標設定では不十分であり、何らかのアクションを早急に実行することが必要であることを強調した。また彼は、eフューエルの問題について触れ、専門家の間でも賛否両論があるが、地球温暖化防止の目標達成のためには、あらゆる種類の再生可能エネルギーに頼らざるを得ないというのが、共通の認識であることを指摘した。ウィーンモーターシンポジウムは、関連するすべてのエネルギー源や駆動システム、気候に優しいモビリティへの変革プロセスのソリューションについて、幅広い見識を提供するものであると彼は述べた。


 本記事はイベントレポートの第1部であり、開会プレナリーセッションにおける基調講演の一部と、その後の質疑応答の要約を掲載している。

 第2部では、閉会プレナリーセッションの概要を伝え、第3部では、特に目を引いた技術講演をいくつか取り上げる。

 

 

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