日本の車載半導体サプライチェーンに関する一考察
TSMCの工場誘致、半導体不足に対応する政策と自動車業界の動き
2021/11/04
- 要約
- 経済産業省の「半導体・デジタル産業戦略」
- 熱意を失った日本半導体メーカー
- TSMCの工場を誘致
- TSMCの日本顧客はソニーとルネサス
- TSMC依存が問題な車載マイコン市場
- 車載半導体不足の見通し
要約
2021年10月14日、台湾積体電路製造股份有限公司(以下、TSMC)は決算発表時の記者会見において、日本に半導体工場を建設する、と発表した。工事の着工は2022年で、2024年の操業開始を目指す。同社CEOの魏哲家氏は、「当社の顧客、日本政府の双方から、プロジェクトを支援するという強いコミットメントを頂いた」とコメントしている。この工場建設あたっては、トヨタグループからの強い要請を受けて経済産業省が誘致を働きかけた、という経緯もあり、今後の日本における車載半導体サプライチェーンに大きな影響を及ぼすものと思われる。ここでは、経産省の戦略を解説しながら、今後の見通しについて考察する。
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