トヨタのモビリティカンパニーへの変革:人・モノ・情報のモビリティを追求
第1回 オートモーティブワールド [オンライン] セミナーより
2021/10/27
- 要約
- 近年の環境変化と“Carbon Neutral”の課題
- 人のモビリティ:“Mobility Teammate Concept”のもと、人とクルマが協調する自動運転
- モノのモビリティ:BEVとFCEVを使い分け、組み合わせてCO2排出量を削減
- 情報のモビリティ:位置情報/CANデータの活用からスマートシティへ
要約
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Advanced Driveを搭載したLexus LSとToyota MIRAI (本レポートの図表の出典は全てトヨタ) |
2021年9月に開催された第1回オートモーティブワールド[オンライン]セミナーにおいて、トヨタ自動車株式会社 先進技術カンパニー president奥地 弘章氏より「モビリティカンパニーへの変革」と題した講演があった。本レポートは、その概要を報告する。
モビリティとは、人、モノ、情報の移動であり、本講演では、人、モノ、情報のモビリティについて、トヨタの考え方や最近の事例を紹介した。
<人のモビリティ>については、トヨタは交通事故による死者ゼロを達成するために、自動運転技術の開発を行っている。MaaSについてはレベル4の自動運転の導入が進められているが、コストが高くオーナーカーへの搭載は現時点では難しい。トヨタは、オーナーカーの自動運転は、レベル2で導入しレベル3以上に引き上げていく計画。また、人とクルマが協調する“Teammate Concept”に基づき、「ガーディアンシステム」を活用した自動運転の開発も進めている。
<モノのモビリティ>では、大型トラックの台数は乗用車に比べ少ないが走行距離が長いので、運輸部門におけるCO2削減が重要だとしている。事業者のニーズに合わせて、BEVとFCEVを使い分け、組み合わせながら進める。米国ロサンゼルス港地域で進めている、FC大型トラックの実証実験などを紹介した。
またe-Paletteは、人の移動に加えモノの移動やサービスにも活用していく。その運行管理システムとして、2つのプラットフォームを紹介した。
<情報のモビリティ>
クルマの情報はクルマのためにだけ利用するのではなくて、クルマ以外からの情報と連携させることで新たなサービスを生み出すことができる。そこで大切になってくるのが、クルマとサービスを連携する情報プラットフォームMSPF(モビリティサービス・プラットフォーム)である。またスマートシティに向けては、トヨタはNTTと共同で「スマートシティプラットフォーム」を開発することを発表している。
クルマの情報を利用したサービスとして、「通れた道マップ」「ワイパーの動きで一般的な雨雲レーダーでは捕捉できない雨を観測するシステム」など多くの事例を紹介した。
また、現在静岡県裾野市で建設が進められている人を中心に据え、人が幸せに暮せる街である「ウーブン・シティ(Woven City)」の、物流システム構築の状況を紹介した。
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