トヨタ:自動運転、コネクティッドの開発体制を強化、商用車のCASEで協業
進化したe-Paletteを公開、ウーブン・シティ建設を開始、ウーブン・プラネットを設立
2021/05/24
- 要約
- 実用化に向け進化したe-Paletteと運行管理システムを公開
- ウーブン・シティの建設を開始
- ウーブン・プラネット・ホールディングス・グループを設立し、ソフトウェア開発体制を強化
- Lyftの自動運転部門を買収するなど、米中で自動運転技術での協業を拡大
- スズキ、SUBARU、ダイハツ、マツダと次世代車載通信機の技術仕様を共同開発
- トヨタ、いすゞ、日野の3社が商用車事業のCASE対応で協業、小型トラックが中心
- 2020年度のグローバル販売・生産台数:コロナ禍でも前年度比9割台を確保
- LMC Automotive生産予測:トヨタの2024年ライトビークル生産は1,144万台の見込み
要約
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Woven Cityとe-Palette(出典:トヨタ) |
トヨタは、2020年1月のCESで「コネクティッド・シティ」プロジェクト(トヨタは「ウーブン・シティ(Woven City)」と命名)を発表した後、自動運転・コネクティッドと、それを支えるソフトウェア開発を強化する計画を相次いで発表している(下表参照方)。本レポートでは、ここ半年ほどの展開を中心に、トヨタの取り組みの概要を報告する。
2020年12月に実用化に向け進化したe-Paletteを公開し、また2つのe-Palette運行管理システムを発表した。e-Paletteは単に車両のみを意味するのではなく、サービスを運行するシステムとパッケージで、プラットフォームとして提供する。
トヨタは2021年2月、静岡県裾野市で「ウーブン・シティ」建設を開始した。e-Paletteが人の輸送やモノの配達に加えて移動用店舗としても使われるなど、街の様々な場所で活躍する。
これらを支えるソフトウェア開発体制を強化するため、ソフトウェア開発会社TRI-ADを、2021年1月に持株会社ウーブン・プラネット・ホールディングス傘下の事業会社ウーブン・コアとウーブン・アルファという新体制に移行した。
さらにトヨタは、Lyftの自動運転部門を買収するなど、米国・中国で自動運転技術についての買収、出資、提携を進めている。
2021年4月、トヨタと提携する乗用車メーカー4社(スズキ、SUBARU、ダイハツおよびマツダ)は、次世代の車載通信機の技術仕様を共同で開発し、通信システムの共通化を推進することに合意した。
商用車事業のCASE対応に関しても、2021年3月、トヨタ、いすゞ、日野の3社は、小型トラック領域を中心に、EV・FCV、自動運転技術、電子プラットフォームの開発に共同で取り組み、輸送課題の解決やカーボンニュートラル実現への貢献を目指すと発表した。
なお、トヨタ(単体)のグローバル販売・生産は2020年9月から前年超えで推移。2020年度のグローバル販売は、前年度比96.0%を確保、主に中国、北米、日本が牽引した。中国では初めて200万台を販売し、前年度比129.6%となった。2021年5月の2020年度決算発表会で示されたEV化、カーボンニュートラルなど、今後の技術課題に関する内容については別途報告する。
自動運転・コネクティッドを強化する計画を発表・実施
2020年 | 1月 | 「コネクティッド・シティ」プロジェクトをCESで発表 |
---|---|---|
2月 | 自動運転技術を手掛ける中国のスタートアップ小馬智行(Pony.ai)に4億ドルを出資 | |
3月 | 「スマートシティプラットフォーム」をNTTと共同で研究・開発すると発表 | |
7月 | TRI-ADをウーブン・プラネット・ホールディングス・グループに再編すると発表(2021年1月から実施) | |
12月 | 実用化に向け進化したe-Paletteと運行管理システムを公開 | |
2021年 | 2月 | トヨタとデンソーは自動運転車開発スタートアップ企業の米オーロラ(Aurora)と連携 |
3月 | ウーブン・キャピタルが自動配送に特化したロボティクス企業「Nuro」に出資 | |
中国の自動運転技術開発企業であるモメンタ(Momenta)に出資 | ||
トヨタ、いすゞ、日野の3社は、商用車事業のCASE対応での協業を発表 | ||
4月 | ウーブン・プラネット・ホールディングスがLyftの自動運転部門である「Level 5」を約5.5億米ドルで買収することで合意 | |
提携先の乗用車メーカー4社(スズキ、SUBARU、ダイハツおよびマツダ)と次世代の車載通信機の技術仕様を共同開発することで合意 |
(出典:トヨタ)
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