米国・カナダの日系サプライヤー:電動化、コネクテッド対応の設備増強、米国企業と連携

北米市場におけるライトトラック需要の拡大に伴う生産能力増強も

2021/04/16

要約

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米国・カナダの自動車工場マップ
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  米国の自動車販売(乗用車、小型トラック)は、2019年に前年比1.3%減の1,706万台。2020年は新型コロナウイルス感染の影響から同14.6%減の1,458万台に縮小。2020年第1四半期が前年同期比13%減、第2四半期が同33%減、第3四半期からは減少幅が縮小した。車種別販売では、ライトトラック(SUV、クロスオーバー、ミニバンを含む)が乗用車を上回る傾向が続いている。


  こうした厳しい市場状況の中にあっても、自動車メーカー各社はライトトラックやEVなどを中心に意欲的な投資計画を発表している。

  GMは電動化と自動運転技術に2025年まで270億ドルを投資する計画。また、北米主力工場のリストラ計画の実行と併せて、既存工場の生産能力増強にも23億ドル以上を投資する。Fordはミシガン州の複合施設でのハイブリッドおよび電動モデルの開発・組立に7億ドル、EVの開発支援に2.5億ドルを投資すると発表。Teslaは約11億ドルを投じてテキサス州Austinに組立工場を建設する。VWはテネシー州に生産キャンパスを建設しEV生産に備える。ホンダはGMのバッテリーを用いてEVを共同開発する計画。このほか、新興EVメーカーの動きも活発化している。

  トヨタはライトトラックとハイブリッド車の強化を進めており、2017~2021年の5年間に米国に130億ドルを投資する計画。2020年にはインディアナ州の主力工場に7億ドルを追加投資すると発表。トヨタとマツダは2021年から生産を開始するアラバマ州の合弁工場に8億3,000万ドルを追加投資する。SUBARUはインディアナ州の工場を拡張するために1億5,800万ドルを投資すると発表。いずれの工場もSUVを生産している。


  日系サプライヤーによるEV関連の動きでは、三菱ケミカル(リチウムイオン電池用電解液の設備増強・新製造技術導入)、タチエス(MaaS用EVのシート量産計画)、武蔵精密工業(全固体電池開発の米ベンチャーに出資)、パナソニック(小型商用EVの米スタートアップとの共同開発)、燃料電池車関連では、東レ(水素タンク向け炭素繊維の生産ライン設置)などがみられる。

  コネクテッドや自動運転関連では、ファルテック(ミリ波レーダー特殊カバーの専用ライン新設)、京セラ(レーザー光源技術の米スタートアップを子会社化)、小糸製作所(ADASや自動運転向けランプ開発でLiDARの米ベンチャーに出資)、デンソー(次世代LiDARやコクピットシステムで米企業と共同開発)、村田製作所(5G向け通信部品開発に向け米企業技術を独占契約)、ルネサスエレクトロニクス(コネクテッドカー開発でマイクロソフトと協業)などの動きがみられる。

  このほか生産能力増強の動きとして、帝人(自動車向け複合成形材料の新工場建設)、ニッパツ(スバルの生産能力増強に対応してシートの新工場建設)、日本製鉄(電炉の新設)、ユニプレス(骨格部品工場にホットスタンプライン導入)、豊田合成(内外装部品工場の建屋拡張・設備増強)、光生アルミニューム(アルミホイール工場の増設)、日本ペイント(電着塗装の新工場建設)などがみられる。


  一方、2019年、2020年に北米自動車市場が縮小した影響により、曙ブレーキ(2工場を閉鎖し1工場体制に)、ジェイテクト(軸受での2工場から1工場体制に)、日本電気硝子(ガラス繊維での1工場閉鎖による2工場体制に)などによる生産体制再編が行われている。また、三菱製鋼は米中貿易摩擦に伴う材料コストの上昇により採算が大幅に悪化し、米工場での巻ばね生産を休止してカナダの工場に生産を集約する。


  本レポートは、米国・カナダにおける日系自動車部品メーカーの生産能力拡充、事業体制強化などの動向についてまとめた。(収録対象は2021年2月までの約1年6カ月間)

 

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<日系サプライヤーの海外事業動向>
  中東欧 (2020年12月)
  中国全般 (2020年10月)
  中国・華東地区 (2020年9月)
  ASEAN (2020年8月)
  西欧 (2020年4月)
  インド (2019年11月)
  米国・カナダ (2019年9月)
  メキシコ (2018年10月)