米国の新興EVメーカー:多くが2021年、2022年の発売計画を発表
各社とも商品と販売戦略に独自色を打ち出し、ターゲット市場での競争優位と顧客基盤の確保を図る
2021/01/14
- 要約
- 米国新興EV主要メーカーによる商品投入開始は2021~2022年に集中
- Rivian Automotive:2021年6月からピックアップ、続いてSUVを納入開始
- Lucid Motors:高級イメージを前面に出し、2021年春から段階的にEVを投入
- Lordstown Motors:フリート顧客向けフルサイズ・ピックアップトラックを2021年秋に生産開始
- Karma Automotive:高級PHVの実績を活かし、2021年にEVを市場投入
- Bollinger Motors:機能性優先のオフロード車を2021年内に導入
- Fisker:提携先のリソース活用で効率化とコスト削減を図る
- Nikola:技術力への期待が懸念に転じ、GMとの提携と商品計画が大幅に後退
- Canoo:フラット・スケートボード構造で室内スペースを最大化
- その他の新興EVメーカー:Faraday Future、Byton、Arrival
要約
Lucid Motorsが2021年から高級EVセダンの生産を開始する アリゾナのAMP-1 (先進製造工場) (出典:Lucid Motors) |
世界的な脱炭素化の動きを背景に、主要国・地域がガソリン車制限や電動車導入を政策目標として公表するなかで、自動車各社の電動技術開発やEVの新車投入・ラインアップ拡大計画をめぐる動きが活発になっている。
2000年以降に続々と設立された米国の新興EVベンチャーの中で、商品開発と生産準備を進めてきたいくつかの主要なメーカーは、その多くが2021年、2022年に量販車の生産を開始する計画を発表している。
これらの新興メーカーは、商品戦略では、超高級・高性能路線、あるいは実用性・効率性重視など、また販売面では、直営販売ネットワーク、メーカー直販、フリート顧客中心、あるいはサブスクリプション専用など、市場導入の戦略で独自性を打ち出し差別化を図る。自前の技術や内製にこだわるメーカーとコンポーネントや製造工程のアウトソースでコスト優位を図るメーカーの際立った対比も見られる。大手フリート顧客との提携やコンポーネント外販で規模確保・拡大を図る企業も多い。
また、技術開発や生産準備のための資金確保が新興メーカーにとって常に大きな課題となってきたが、対策としてIPO(新規上場)の新たな手法として認知が高まった特別買収目的会社(Special Purpose Acquisition Company:SPAC)を使った証券市場への上場と資金調達を実施、あるいは計画するEVメーカーが多く現れた。
新興EVメーカーは、ターゲット市場での優位性によって拡大が見込まれる電動車市場でのシェア確保を狙うが、期を同じくして強力な生産体制と販売網を備えた大手OEMからも様々な新型EVの投入が計画されており、競争環境は厳しい。
本レポートでは、米国の新興EVメーカーの動向を報告した前回レポート(2020年4月9日掲載)のアップデート版として、具体的な市場投入の日程計画を発表したメーカーの最新の動きを報告する。
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