NCAP(新車アセスメントプログラム)の概要と動向(1)
世界の主要NCAPプログラムの総合評価体系の概要と特徴
2020/05/20
- 要約
- US NCAP(米国)
- Euro NCAP(欧州)
- IIHS (米国道路安全保険協会)
- JNCAP(日本)
- その他地域のNCAP
- NCAPの問題点
- NCAPの最新動向 - Euro NCAP "Roadmap2025"
要約
NCAP (New Car Assessment Programme 新車アセスメントプログラム)は、米国(US NCAP、IIHS)、欧州(Euro NCAP)、日本(JNCAP)、オーストラリア(ANCAP)、韓国(KNCAP)、中国(CNCAP)、南米(Latin NCAP)、アセアン(ASEAN NCAP)で実施されている。各プログラム間で衝突テストモード、速度、設置ダミーなどに差があるため、自動車メーカーが全てのNCAP対応にテストしなければならない車の数は加速度的に増大している。
また、現在では大部分の車が殆どのNCAPで最高ランクの評価を得るようになっており、消費者情報の目的である差別化がはっきりしなくなっている。そのため各NCAP共に積極的に新項目を取り入れており、その動きはEuro NCAPが最も激しい。各NCAPの状況を下表に示す(赤字は最近の変化点)。
国・地域 |
プログラム | 前面衝突 | 側面衝突 | 後部衝突 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
フルラップ衝突 | オフセット衝突 | MPDB衝突* | MDB衝突* | ポール衝突 | Far Side 衝突 | |||
米国 | US NCAP | 56km/h | - | 62km/h | 32km/h | - | ||
IIHS** | - | 64km/h | 50km/h | - | 16km/h | |||
欧州 | Euro NCAP | 50km/h | 64km/h | → 50km/h x2 | 60km/h | 32km/h | ← Sled | 24.5km/h |
日本 | JNCAP | 55km/h | 64km/h | 55km/h | - | 20km/h | ||
オーストラリア | ANCAP | 50km/h | 64km/h | → 50km/h x2 | 60km/h | 29km/h | ← Sled | 24.5km/h |
韓国 | KNCAP | 56km/h | 64km/h | 55km/h | 32km/h | 16km/h | ||
中国 | CNCAP | 50km/h | 64km/h | 50km/h | - | 20km/h | ||
南米 | Latin NCAP | - | 64km/h | 50km/h | 29km/h | - | ||
アセアン | ASEAN NCAP | - | 64km/h | 50km/h | - | - |
* MPDB(Moving Progressive Deformable Barrier) 衝突、MDB (Moving Deformable Barrier) 衝突
** 米国ではUS NCAPのほか、IIHS (Insurance Institute for Highway Safety 米国道路安全保険協会)の安全評価がある。IIHSはオーバーラップ量40%と25%の2種類のオフセット衝突を実施している。
出所:各NCAP、IIHSの評価基準より作成
今回のNCAPレポートは、Part1で、各NCAPの特徴、問題点、そしてEuro NCAPの「Roadmap2025」に代表される将来動向を解説。Part2で、新項目を含むNCAPテスト法の詳細と各NCAPの比較を行う。
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