Faurecia SE 2019年12月期の動向
業績 |
(単位:百万ユーロ) |
2019年 12月期 |
2018年 12月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
売上高 | 17,768.3 | 17,524.7 | 1.4 | 1) |
営業利益 | 1,283.3 | 1,273.9 | 0.7 | 2) |
部門別売上高 | ||||
-シート | 6,973.2 | 7,438.0 | (6.2) | 3) |
-内装システム | 5,370.2 | 5,362.6 | 0.1 | 4) |
-クリーンモビリティ | 4,653.5 | 4,615.0 | 0.8 | 5) |
-クラリオンエレクトロニクス | 771.4 | 109.1 | N/A | 6) |
要因
1) 売上高
-2019年12月期の売上高は、1.4%増の17,768.3百万ユーロ。内装システム及びクリーンモビリティ事業がわずかに増加したものの、シート事業の減少によって相殺された。主に、為替の影響とクラリオンの買収による業務拡大が売上高増加に貢献した。
2) 営業利益
-2019年12月期の営業利益は0.7%増の1,283.3百万ユーロ。シート、クリーンモビリティ、クラリオンエレクトロニクスの事業部門は増益となったものの、内装システムが大きくマイナスの影響を与えた。
3) シート
-シート事業の売上高は6.2%減の6,973.2百万ユーロ。為替の影響で0.7%の増加があったものの、複数プロジェクトにわたる生産の中止によって6.8%減少した。
4) 内装システム
-2019年12月期の内装システムは0.1%増の5,370.2百万ユーロ。欧州におけるルノー・日産・三菱、北米におけるFCA、テスラ、アジアにおいては現代、Vinfast及び中国OEMに向けた売上高が増加した。一方でその他OEMへの売上高が減少し、0.9%の影響を受けたが、為替の好影響1.1%によって相殺されている。
5) クリーンモビリティ
-クリーンモビリティ事業は0.8%増の4,653.5百万ユーロ。本業の売上高は0.8%減少したものの、ルノー・日産・三菱、GM、現代、ホンダに対して取引を拡大した。また、為替において1.6%の増加影響を受けた。
6) クラリオンエレクトロニクス
-2019年12月期の同事業部門における売上高は、771.4百万ユーロ。Parrot Automotiveの買収及びクラリオンの買収によって同事業部門の売上高を押し上げた。
買収
Parrot Automotive
-2018年7月、スケジュールを前倒しし、Parrot Automotiveの全株式を取得することでParrotと合意したと発表した。取引は、2017年にFaureciaがParrot Automotiveに資本参加した時に付けられた企業価値100百万ユーロにて行われ、2018年第3四半期に完了する見通し。(2018年7月6日付プレスリリースより)
-2018年10月、Parrot Faurecia Automotiveの全株式の取得が完了したと発表した。(2018年10月1日付 プレスリリースより)
クラリオン
-2018年10月、日立製作所の子会社、クラリオンを買収する方針を固めたことが25日明らかになった。自動運転など次世代技術の開発強化がねらいとみられる。(2018年10月26日付日刊自動車新聞より)
-2018年11月、クラリオンの川端敦社長兼CEOは、日刊自動車新聞社の取材に応じ、仏フォルシアとの本格的な相乗効果を3年前後で創出する考えを示した。カーナビ事業の低迷で苦戦する中、独フォルクスワーゲン (VW) などの欧州メーカーに強く内装部品を手がけるフォルシアと協業し、反転攻勢を図る。「既存顧客には提案力がより高まる効果を期待してほしい」と強調した。(2018年11月15日付日刊自動車新聞より)
-2019年1月30日からクラリオンに対する株式公開買付け(TOB)を開始すると発表した。買い付け価格は1株2,500円で、期間は2月28日までとなる。買収により、Faureciaはクラリオン、Parrot Faurecia Automotive、Coagent Electronicsを再編成した「Faurecia Clarion Electronics」という、日本に本社を置く従業員数約9,200名のビジネスグループを設立する予定。2018年10月26日に調印された契約に従い、日立製作所は子会社のクラリオンの全保有株式63.8%を売却する。(2019年1月29日付プレスリリースより)
-2019年3月、同年1月30日に開始したクラリオンに対するTOB(株式公開買付け)が完了したと発表した。4月1日に日本に新会社「Faurecia Clarion Electronics」を設立し、クラリオン、Parrot Faurecia AutomotiveおよびCoagent Electronicsを再編成する。新会社は約9,200名の従業員と1,650名超のソフトウェアエンジニアを雇用し、2022年までに20億ユーロ超の売上を目指すという。(2019年3月1日付プレスリリースより)
-2019年3月、クラリオンの買収資金調達のため、2026年満期の500百万ユーロの優先社債を発行したと発表した。Faureciaは、3月1日にTOBによりクラリオンの株式95.28%を買い付ける旨を発表済で、残りの全株式取得の手続きは3月末までに完了する予定。(2019年3月13日付プレスリリースより)
その他の買収
-2019年10月、Continental (コンチネンタル)から合弁会社SASの残りの株式50%を取得する覚書に署名したと発表した。株式取得により、Faureciaは内装モジュール、ディスプレイ、電子機器、センサー、熱管理などの新製品ラインをカバーし、ジャストインタイム工場ネットワークの強化を図る。1996年設立のSASは、内装モジュールの組立と物流などを手掛けており、2019年の売上高は700百万ユーロ規模。SASの株式50%の取得額は225百万ユーロで、取引は2020年初頭に完了する見込み。SASは内装事業グループに統合される。(2019年10月14日付プレスリリースより)
-2019年5月、イスラエルのサイバーセキュリティ企業GuardKnoxに出資すると発表した。GuardKnoxは、コネクテッドカーおよび自動運転車に対するサイバー攻撃防御技術(ソフトウェア、ハードウェア)を提供するプロバイダー。GuardKnoxの技術の活用により、Faureciaはソフトウェア、データ、クラウドを保護するエンドツーエンドソリューションを供給する予定。今回の投資は、Faureciaのスタートアップ投資関連部門のFaurecia Venturesによって行われる。(2019年5月27日付プレスリリースより)
-2019年4月、音響およびアクティブノイズコントロールソリューションを提供するスウェーデンのCreo Dynamicsの株式の過半数を取得したと発表した。Creo Dynamicsの技術は、Faurecia Clarion Electronicsのスマートヘッドレスト、アクティブサーフェス、チューニングアルゴリズム、デジタルサウンドなどのオーディオ機能を補完するもので、臨場感のあるサウンド体験とパーソナライズされたサウンドバブルを可能にする。Creo Dynamicsは、自動車業界や航空業界などに音響、流体力学、スマート構造における革新的なソリューションを提供しており、自動車用音響および制御アルゴリズムに関する独自の専門知識を活用した製品を開発している。(2019年4月10日付プレスリリースより)
再編
-埼玉県を本拠に置く新事業グループ「Faurecia Clarion Electronics」の設立を発表した。新事業グループはコックピット電子部品と低速ADAS製品事業に注力する。Faureciaは2018年10月にクラリオンの買収を発表、2019年3月にクラリオンを完全子会社化した。「Faurecia Clarion Electronics」の従業員数は9,000名(うちエンジニア1,650名)で、2022年までに20億ユーロ超の売上高を目指す。(2019年4月1日付プレスリリースより)
合弁企業
SYMBIO, A FAURECIA MICHELIN HYDROGEN COMPANY
-Michelinとの水素燃料電池関連事業の合弁会社設立に関する覚書に調印したと発表した。両社が折半出資する新会社「SYMBIO, A FAURECIA MICHELIN HYDROGEN COMPANY」は、Michelinの子会社Symbioの事業を統合することとなる。Symbioは2019年2月1日にMichelinが子会社化した水素燃料電池システムおよび関連デジタルサービスのサプライヤー。新会社はMichelinとFaureciaの既存および補完資産を組み合わせ、小型車両、ユーティリティビークル、トラックおよびその他車両向け水素燃料電池システムを開発、製造、販売する。(2019年3月11日付プレスリリースより)
-Michelin(ミシュラン)子会社のSymbioは、燃料電池「StackPack」の生産が2030年までに20万個に達する見込みであると発表した。MichelinのサポートとパイプラインでのFaurecia(フォルシア)との合弁事業によりSymbioは燃料電池生産を促進し、2025年に2万個、2030年に20万個の生産を目指す。「StackPack」は水素燃料電池と主要なコンポーネントで構成されており、電池の長寿命化、車両への適合性と統合の最適化に貢献するという。Symbioは標準化された製品、複数の自動車メーカーの生産を可能にする費用対効果の高い適合性、フランスおよび欧州全域での燃料電池開発の実績により、燃料電池車市場に参入するための準備が整っているとしている。(2019年9月10日付プレスリリースより)
-Michelin (ミシュラン)とFaurecia (フォルシア)は、水素燃料電池に特化した合弁会社「SYMBIO, A FAURECIA MICHELIN HYDROGEN COMPANY」の設立を発表した。Symbioは、ライトビークル、商用車、トラック向け水素燃料電池システムの開発、生産、販売を展開する。MichelinとFaureciaは、次世代燃料電池の開発加速と量産、欧州、中国、米国での事業拡大を目指してSymbioに140百万ユーロを投資する。Symbioは25%の市場シェアを獲得し、2030年までに約15億ユーロの売上高を達成することを目指すという。(2019年11月21日付プレスリリースより)
-Michelin (ミシュラン)と Faurecia (フォルシア)の合弁会社Symbioは、2020年3月10日にフランス工場の建設を開始すると発表した。Symbioは燃料電池スタック「StackPack」を2030年に年間20万個生産する計画。工場はAuvergne-Rhone-Alpes地域に建設予定で、LyonとAuvergne-Rhone Alpesの地方自治体がプロジェクトを支援する。(2019年12月19日付プレスリリースより)
Aptoideとの合弁会社設立
-AptoideとAndroidアプリストアソリューションを開発、運用する折半出資の合弁会社を設立すると発表した。新会社は地域ごとに適応する手頃で安全な自動車アプリケーションサービスを展開する。Aptoideはまた、車両と乗員のデータプライバシーを保護しながら、サービス収益化のためのOEM戦略をサポートする安全な支払いメカニズムも提供する。合弁会社設立にあたり、Aptoideは広範なAndroidアプリと配信を供給する独自のエコシステムをもたらし、Faureciaは幅広い顧客ポートフォリオ、車載インフォテインメントのシステム統合機能、サイバーセキュリティの専門知識を提供する。(2019年11月5日付プレスリリースより)
業務提携
オーディオ開発のスタートアップDevialet
-自動車用高品質サウンドソリューション開発でフランスに拠点を置くオーディオ開発のスタートアップDevialetと提携すると発表した。音響アーキテクチャ、スピーカー、信号処理の分野で160件を超える特許を有している。Faureciaは、サウンドドメインコントローラー技術だけでなく、電子設計およびシステム統合機能も提供する。両社は初のパートナーシップの成果をCES 2020に出展する。Faureciaはイベントで専用のサウンドルームを開催し、来場者にPhantomスピーカーの音質を体験してもらうという。(2019年12月4日付プレスリリースより)
珠海全志科技股份有限公司[Allwinner Technology CO., Ltd.](全志科技)
-11月8日、仏吉亜(中国)投資有限公司 [Faurecia (China) Holding Co., Ltd. ]と珠海全志科技股份有限公司[Allwinner Technology CO., Ltd.](全志科技)は戦略提携合意書に調印した。両社は供給、技術、製品、製造、市場、ネットワークなどの面で各自の強みを生かしながらインテリジェントコックピットの領域で提携し、未来のIoV、バーチャルリアリティー、ADASでの使用を想定したオーダーメイドチップを開発する。なお、全志科技は、新製品として国内初の自動車用プロセッサ「T7」を発表している。(2019年11月11日付け複数メディア報道より)
マイクロソフト
-コネクテッド、パーソナライズされたサービスの展開に向けてマイクロソフトと協業すると発表した。エッジコンピューティングや人工知能 (AI) 、クラウドベースのサービス、コックピットシステムの統合、顧客情報などの分野での専門性を組み合わせて、Faureciaは「Microsoft Connected Vehicle Platform」をベースにした車内向けデジタルサービスの共同開発を目指す。またFaureciaは、クラウドプラットフォームとして「Azure」を優先的に使用するという。なお、2020年1月に米国ラスベガスで開催されるCESでは、両社のコラボレーションとしての技術を紹介するという。(2019年7月22日付プレスリリースより)
近年の動向
-米国調査会社のJ.D. Powerは、「2019 U.S. Seat Quality and Satisfaction Study」を発表した。この調査は、2018年11月から2019年2月までに新車登録された2019年モデルの乗用車およびライトトラックの購入者75,000名超から購入後90日間での反応を基に作成されており、シートの品質及び満足度を数値化したもの。優秀な評価を得た主なサプライヤー別の結果は以下の通り(搭載車種・100台当たりの問題有りシート点数の順で記載)。(2019年8月22日付プレスリリースより)
- Learは、ポルシェ「918」 [0.0]、ポルシェ「911」[2.5]、現代「サンタフェ(Santa Fe)」[3.0]、シボレー「シルバラード(Silverado)」[2.8]。
- Magna International (マグナインターナショナル) は、フォード「エッジ(Edge)」[4.7]、ジープ「グランドチェロキー(Grand Cherokee)」[4.7]。
- Faurecia (フォルシア) は、VW「ゴルフ (Golf)」[3.2]、シボレー「コロラド(Colorado)」[4.0]。Adientは、シボレー「マリブ(Malibu)」[3.9]、トヨタ「アバロン(Avalon)」[3.9]。
- タチエスは、日産「マキシマ(Maxima)」[3.5]、三菱「アウトランダースポーツ(Outlander Sport)」[1.4]。
- トヨタ紡織は、トヨタ「4Runner」[4.5]など。
-同社の事業部であるフォルシアクラリオンエレクトロニクス(FCE)は、車載インフォテインメントシステム(IVI)のプラットフォームを集約する。クラリオンの傘下入りでプラットフォームの種類が増加し、OSや地域特性に応じたIVIを提供できるようになった一方、重複する領域があるため、一部を集約する。現在保有する合計15種類のプラットフォームを半数程度に減らす模様。開発効率の向上やコストを抑制した上で、顧客への提案力を高める。FCEは、IVIを手がけるクラリオン、仏パロット、中国のコエージェントで構成する事業部。具体的には、ハイエンド、ミドル、エントリーの3種類に分類し、それぞれにリナックス用、アンドロイド用を設ける。開発実績をもとに、ハイエンドはパロット、ミドルはクラリオン、エントリーはコエージェントが主に手がける。これらとは別に地域環境が異なる中国用のプラットフォームをコエージェントが用意する。(2019年7月22日付日刊自動車新聞より)
見通し
-同社は、SASとの合弁企業及びクラリオンの買収による業務範囲拡大によって、2020年の売上高は増加するとの見通し。1~2%程度自動車市場の成長を上回るとしている。なお、同社の見通しはコロナウイルスによる影響を考慮していない。
-2025年までに1台当たりの同社製品の金額が乗用車で8,000ユーロ、商用車で40,000ユーロになるとの見通し。2030年までには、乗用車で1台の2割、商用車の3割を同社製品で占めるとする。
ー2022年までに同社は205億ユーロの売上を目指す。
研究開発費 |
(単位:百万ユーロ) |
2019年12月期 | 2018年12月期 | 2017年12月期 | |
合計 | 1,329.7 | 1,093.2 | 1,152.3 |
売上に占める割合 (%) | 7.5 | 6.2 | 5.7 |
研究開発体制
-8,300名のエンジニアおよび技術者が、49カ所のR&Dセンターに在籍。
研究開発拠点
-イスラエルのテルアビブに技術プラットフォームを設立し、サイバーセキュリティ戦略を加速させると発表した。同社はトレンドや新技術へのアクセスを提供する地元の新興企業や主要なイノベーションクラスターとの提携を通じてサイバーセキュリティの専門知識を開発する。これによりエンドツーエンドソリューションを提案し、ソフトウェア、データ、クラウド接続を保護する。同社はソリューションのセキュリティ保護に加えて、拠点およびオフィスのネットワークをサイバーセキュリティリスクからグローバルに評価し、保護するために取り組んでいる。テルアビブでは現在、60名の従業員がサイバーセキュリティの問題に取り組んでおり、複数のコーディング言語およびプロトコルにわたる潜在的な脆弱性を分析している。(2019年10月3日付プレスリリースより)
-フランスBavansの研究開発センター内に、水素貯蔵システムのグローバルセンターを建設中であると発表した。約25百万ユーロを投じ、2020年第2四半期に操業開始を予定する新センターでは、効率的で軽量な新世代の高圧タンクの研究開発を目指す。現在約750名が従事するクリーンモビリティ事業の従業員に加え、Bavans拠点ではさらに50名の雇用を創出する計画。(2019年6月28日付プレスリリースより)
-Mexico-Nowは、Faurecia (フォルシア)が20百万ドル以上を投じてメキシコ・プエブラ州Lomas de Angelopolisの商業地区に新社屋を建設すると報じた。この建物にはインテリア部門とシート部門の研究開発センターが入るという。同社は、主要な機能を1カ所に集約することで、メキシコでの生産能力を高めたいとしている。(2019年6月10日付Mexico-Nowより)
-2019年3月6日、Faureciaの中国シート研究開発試験センター及び無錫シート・エレクトロメカニカル製品生産拠点が完成し、稼働を開始した。この研究開発試験センター及び生産拠点の総投資額は95百万元。延べ床面積は13,000平方メートル。研究開発試験センターにはFaurecia世界第3の衝突実験室が設けられている。無錫シート・エレクトロメカニカル製品生産拠点は2003年に完成した無錫工場を拡張したもので、敷地面積は6,000平方メートル。この生産拠点の完成により、無錫工場のシート生産ラインは現在の2本から7本に増加される。(2019年3月21日付けリリースより)
研究開発活動
商用車の排気ガス量をライブトラッキングする2年間のパイロットプロジェクト
-シンガポールの国家環境庁(National Environment Agency)から、商用車の排気ガス量をライブトラッキングする2年間のパイロットプロジェクトを受注したと発表した。FaureciaはDHLと提携し、独自のセンシング技術を使用したNOxと微粒子をリアルタイムで監視するためのセンサーをフリート車両に搭載する。また、排出レベルに関するライブ情報を提供するデジタルシティダッシュボードも供給する予定。さらに、実際の排出量をベースとする交通管理システムの可能性を評価することを目的として、Faureciaが収集したデータの高度な計算解析を実行するため、ハイパフォーマンスコンピューティング研究所(IHPC)との研究協力契約も締結した。(2019年1月22日付プレスリリースより)
技術提携
-同社とAccenture、Affectivaは、ドライバーの安全性を向上する車載デジタルシステムの共同開発を発表した。Accenture Industry X.0の支援を受けて開発された「コネクテッドカーラボ」は、Faureciaが将来の車内デジタルアプリケーションをテスト、開発するための施設で、車内外の行動や状態に関するデータを収集するコネクテッドカープラットフォームを備えている。コネクテッドカーラボではAIやスマートセンサー、車載ビデオカメラなどの技術を使用してドライバーの眠気、注意、姿勢の不快感、体温などを検出する。また、体感AIのパイオニアであるAffectivaの技術活用により、ドライバーと乗員の表情や声から感情や認知状態をモニターし、安全性の強化を図るという。(2019年6月5日付プレスリリースより)
-2019年2月、ジャパンディスプレイと車載コクピット向けディスプレイの協業プロモーションの覚書を締結したと発表した。両社は車載向け32.1インチ横長ディスプレイのプロモーションを開始する予定。すでに両社はCES2019において32.1インチ横長ディスプレイを採用したモーフィング・インストルメントパネルを展示している。将来の自動運転を想定してデザインされたこのパネルは、手動運転時には運転者席の前方に位置し、ナビゲーション情報やスピードなど運転に必要な情報、安全情報を表示し、自動運転に切り替えるとセンターコンソールに移動し、エンターテイメント・スクリーンとして使うことが可能だという。(2019年2月26日付プレスリリースより)
製品開発
CES2020
-コックピットオブザフューチャーとサスティナブルモビリティ向けの最新ソリューションをCES2020に出展すると発表した。Faureciaは、新設のフォルシアクラリオンエレクトロニクス、Michelin (ミシュラン)との燃料電池合弁事業、Microsoftとのパートナーシップなどのデモンストレーターやテストドライブ車両などを出展する。また、フォードのピックアップトラック「F150」の内装をコネクテッド化、多目的化、個別化した技術ポートフォリオや、自動車メーカーやモビリティプロバイダーがアップグレードできるスケーラブルなハードウェア・ソフトウェアソリューションも公開する。このほか、燃料電池スタックや水素貯蔵システムなどのゼロエミッションモビリティソリューションや、燃費と運転の安全性を向上させるインテリアディスプレイを備えたeミラーテクノロジーも発表。さらに先進運転支援システム (ADAS)搭載の体験型車両のデモや、最新のデジタルサウンドチューニングとアクティブノイズキャンセリング技術搭載の燃料電池車を使用した没入型サウンド車両のテストドライブも実施する予定。(2019年11月14日付プレスリリースより)
東京モーターショー2019
-未来のコックピットとゼロエミッション技術をフォルシアクラリオンエレクトロニクスと共に東京モーターショーに出展すると発表した。Faureciaは水素タンクを備えた燃料電池システムと小型商用車向け燃料電池スタックを公開する。また、複雑なメニュー構造を排除し、車載機能の選択と管理をより柔軟に行えるマルチビュー・ヒューマン・マシン・インターフェースも出展。このシステムはユーザーが頻繁に使用するアプリやサービスをブックマークして、IVIディスプレイの上部にあるアクセスしやすい部分に整理することが可能。さらに、地図を使用して経路を再計算し、カメラとセンサーを統合したシステムで運転環境を監視し、ドライバーをピックアップする途中の障害物を回避する自動運転ソリューションも発表する。このほか、乗員の位置を自動的に理解し、サウンド環境を最適化するデジタル技術と音響ソリューションを組み合わせたシステムも公開予定。(2019年10月23日付プレスリリースより)
「SHIコックピット (Safe Human Interaction Cockpit)」
-ZFは、Faurecia (フォルシア) および独fkaと自動運転車の快適性と安全性を向上させるコックピットのコンセプトモデル「SHIコックピット (Safe Human Interaction Cockpit)」を共同開発したと発表した。「SHIコックピット」は、自動運転が可能になった際にドライバーに対して情報を状況に応じて触覚、視覚、聴覚で伝達し、ステアリング操作を車両側に託した瞬間に車両が運転操作を引き継ぐ機能を持つ。これはステアリングのハンズオン検知 (HOD) 機能により起動する。また乗降車時は自動でシートやステアリングが移動し、ドライバーが運転席に座ると車内3Dカメラが高さを測定して、最適なポジションとなるようにシートとステアリング位置を調整する。さらに、ヘッドアップディスプレイ・インストルメントクラスター (HUDIC) モニターは自車を鳥瞰表示し、アクティブ・ビークル・オーラ (AVA) がアダプティブクルーズコントロール、ブラインドスポット警告、車線維持支援などの情報を総合的にまとめ、効果的にドライバーに表示するなど、運転支援とフィードバック機能を集約する。(2019年9月12日付プレスリリースより)
2019年上海モーターショー
-最新の「Sustainable Mobility(持続可能なモビリティ)」と次世代インフォテインメントシステム「Cockpit of the Future (未来型コックピット)」を上海モーターショーに出展すると発表した。「Cockpit of the Future」は、車両前列・後列の全乗員が車内の時間を最大限に活用できるように個別化され、より臨場感のある体験を味わうことが可能だという。同社はまた、クラリオンの車載インフォテイメントや直感的HMIソリューションなども公開する。このほか、ライトビークルと商用車向けの燃料電池システムや、コンパクトな排熱回収システムなどの燃費改善を図るハイブリッドパワートレインソリューションも出展予定。(2019年4月11日付プレスリリースより)
特許
-2019年、同社はシート、内装システム、クリーンモビリティ事業の476の特許と、クラリオンエレクトロニクス事業による132を含む608の新規特許を申請した。
部門別設備投資額 |
(単位:百万ユーロ) |
2019年12月期 | 2018年12月期 | 2017年12月期 | |
シート | 195.1 | 218.5 | 219.5 |
内装システム | 222.8 | 218.1 | 262.3 |
クリーンモビリティ | 206.1 | 204.2 | 240.4 |
クラリオンエレクトロニクス | 29.1 | 6.6 | - |
その他 | 27.5 | 25.4 | 21.6 |
合計 | 680.6 | 672.8 | 743.8 |
地域別設備投資額 |
(単位:百万ユーロ) |
2019年12月期 | 2018年12月期 | 2017年12月期 | |
フランス | 140.9 | 99.7 | 114.8 |
ドイツ | 19.5 | 22.5 | 37.8 |
その他欧州 | 186.1 | 211.3 | 206.2 |
北米 | 179.7 | 166.8 | 177.4 |
南米 | 15.5 | 14.9 | 18.7 |
アジア | 133.2 | 154.8 | 177.1 |
その他 | 5.8 | 2.8 | 11.8 |
合計 | 680.6 | 672.8 | 743.8 |
海外投資
-仏フォルシアグループは、グループ内での生産や開発の合理化を進める。今春に子会社化したクラリオンの工場でフォルシアや傘下の仏パロット・オートモーティブ社の製品の生産を開始するなど、グループ間で拠点の利活用を加速する。カーナビやオーディオを生産しているクラリオンのハンガリー工場で、フォルシアの欧州自動車メーカー向けの車載インフォテインメントシステム(IVI)などを生産する。また、クラリオンのメキシコ工場では、パロット社のIVIやオーディオコンポーネントの生産を見込む。2年後をめどに生産を開始する。クラリオンの郡山工場でもフォルシア製品の生産を来年以降に予定しており、グローバルで生産の効率化を推し進める。(2019年12月6日付日刊自動車新聞より)
<メキシコ>
-メキシコの各種報道は、Faurecia (フォルシア)がSan Luis Potosiのシートフレーム工場の拡張を開始したと報じた。この拡張により、2016年開設の同工場は16,000平方メートルから35,000平方メートルに広がり、北米部門で最大の工場となる。同社は12百万ドルを投じ、従業員数を980名から1,180名に増員する。同工場はインダストリー4.0製造技術、自動誘導車両(AGV)、無線周波数識別(RFID)などを導入する。同社は過去3年間でメキシコに約200百万ドルを投資し、2016年にSan Luis Potosi工場を開設、2018年にはGuanajuatoに本社ビルを新設している。(2019年10月22日付各種報道より)
-Mexico-Nowおよび各種メディアは、Faureciaが25百万ドルを投じてプエブラ州Huejotzingoの内装システム製品工場を拡張すると報じた。拡張に伴い200名の新規雇用を見込んでいる。同工場は2012年開設、2017年には総面積20,000平方メートルに拠点を拡張しており、現在はフォード、FCA、VW向けに毎週68,000ユニットの製品を生産している。フォードは最近Faureciaに対して、リンカーン「コンチネンタル(Continental)」、「ナビゲーター(Navigator)」およびフォード「レンジャー」、「エクスプローラー(Explorer)」、「F-150」などの製品品質に関してQ1 Mexico 2019認証を付与した。(2019年8月1日付 Mexico-Nowおよび各種報道より)
<米国>
-ミシガン州経済開発公社(MEDC)は、Faurecia(フォルシア)がミシガン州Highland Parkで操業を開始し、自動車用シート、シートフレーム、フォームクッション、シートカバーの組み立てを行う計画であると発表した。Faureciaは10.7百万ドルを投じて500名の雇用を創出する見込みで、実績ベースでミシガン州ビジネス開発プログラム(Michigan Business Development Program)が200万ドルの助成金を拠出する予定。(2019年9月24日付MEDCプレスリリースより)
<日本>
-日本初となるクリーンモビリティ製品工場を福島県郡山市に設立すると発表した。新工場はFaurecia Clarion Electronicsが所有する9,000平方メートルの工業用地に建設され、2020年8月に操業開始を予定する。同工場では50名を雇用し、乗用車および商用車向け排気システムを製造する。工場新設により、Faureciaは日本での事業展開を強化するという。(2019年4月30日付プレスリリースより)