カーシェアリングに関する技術動向

日産、Ford、トヨタのカーシェアに関する近年の特許出願傾向

2019/04/03

要約

  本レポートは、トヨタテクニカルディベロップメント株式会社(TTDC)が提供している「技術情報配信サービス-swimy」の特許情報をもとに、昨今の自動車業界を取り巻く技術トピックスに関するレポートをMarkLinesが作成した。TTDCは、知的財産(IP)事業と計測制御事業を展開。知的財産(IP)事業では世界の自動車開発に関する情報収集と解析を行い、研究企画のコンサルティングをはじめ、外国語特許の出願や技術翻訳を実施している。

  本稿では近年、話題となっているモビリティサービスの一つである配車アプリサービスなどのライドシェア、車を共同利用するカーシェア、従来からあるカーシェアの一形態であるレンタカーに関して、各社の技術開発への取り組み状況について示す。

  カーシェアの特許出願は2011年から2017年の間の近年においては増加傾向にある。日産自動車、Ford、トヨタ自動車、GM、パーク二四、NINGBO SHAREN GO ELECTRIC VEHICLE SERVICE、デンソー、BEIJING DIDI INFINITY TECHNOLOGY & DEVELOPMENT、日本総合研究所、ELECTRONICS & TELECOMMUNICATIONS RESEARCH INSTITUTEなどの出願件数が多く、日産自動車は2011年から2017年の間において継続的に出願を行っている。また、日産自動車では「共用車両管理」に関する開発アイテムの出願件数が多く、Fordでは「RIDE-SHARING LONG-TERM RIDE-SHARE GROUPS」に関する開発アイテムの出願件数が多い。


トヨタテクニカルディベロップメント株式会社
技術情報配信サービス-swimy URL:https://thinktank.toyota-td.jp/



カーシェアの特許出願動向

  2011年以降においては、カーシェア全体の出願件数は毎年数百件規模である。2014年から2015年にかけては出願件数が多少減少しているが、2011年以降の近年を通してみれば全体的には増加傾向にある。

カーシェアの出願件数の年推移
図1 カーシェアの出願件数の年推移

詳細情報:技術情報配信サービス-swimy URL:https://thinktank.toyota-td.jp/


  出願人ごとの出願状況を見てみると、上位においては日産自動車の出願件数が最も多く、続いてFord、トヨタ自動車、GM、パーク二四、NINGBO SHAREN GO ELECTRIC VEHICLE SERVICE、デンソー、BEIJING DIDI INFINITY TECHNOLOGY & DEVELOPMENT、日本総合研究所、ELECTRONICS & TELECOMMUNICATIONS RESEARCH INSTITUTEの順に出願件数が多い状況となっている。

各社の技術力比較
図2 各社の技術力比較

詳細情報:技術情報配信サービス-swimy URL:https://thinktank.toyota-td.jp/


  更に出願件数が上位の出願人ごとの出願件数推移を見てみると、日産自動車は2011年から2017年まで継続して出願を行っていることがわかる。また、日産自動車は2013年の出願件数は14件であったが、2014年の出願件数は40件であり前年と比較して3倍近くに増加している。また、パーク二四は2011年から2017年まで継続して出願を行っていることがわかる。デンソーは2011年から2013年までの間は出願が見られないが、2014年から2016年の間は継続して出願を行っていることがわかる。Ford、トヨタ自動車、GM、日本総合研究所、ELECTRONICS AND TELECOMMUNICATIONS RESEARCH INSTITUTEは2011年から2016年の間において断続的に出願を行っていることがわかる。

各社の出願件数年推移
図3 各社の出願件数年推移

詳細情報:技術情報配信サービス-swimy URL:https://thinktank.toyota-td.jp/



日産自動車:共用車両管理 / 相乗り支援システム

  日産自動車の出願においては、「共用車両管理」に関する開発アイテムの出願件数が最も多く、次いで「相乗り支援システム」に関する開発アイテムの出願件数が多い。

日産自動車の開発アイテム
図4 日産自動車の開発アイテム

詳細情報:技術情報配信サービス-swimy URL:https://thinktank.toyota-td.jp/

 

共用車両管理

  日産自動車の「共用車両管理」に関する開発アイテムにおいては、例えば、複数のユーザに利用される複数の車両を管理する方法があり、下記の技術が含まれる。

  • ユーザから車両の利用要求を受け付ける
  • 車両の利用状態及び前記車両のステーションの状態を管理する
  • 車両の利用状態及び前記ステーションの状態を記憶する
  • ユーザから受け付けた利用要求に基づいて、車両の貸出を行うステーション及び車両が返却されるステーションを利用ステーションとして選定
  • 利用ステーションの状態に応じて車両の相乗りの可否を判定し、車両の相乗りが可能であると判定した場合に、相乗りに関する情報を前記ユーザに通知する

  この技術では、「車両の偏在を抑制する」ことができる(特開2018-081575)。

特開2018-081575の代表図
図5 特開2018-081575の代表図

詳細情報:技術情報配信サービス-swimy URL:https://thinktank.toyota-td.jp/

 

相乗り支援システム

  日産自動車の「相乗り支援システム」に関する開発アイテムにおいては、例えば、複数項目の希望条件を満たす相乗り相手が存在しないときには、希望条件の項目数を減らして相乗り相手を検索する技術がある。

  • 履歴記憶手段が記憶している相乗りを行った相乗り相手の属性に応じて複数項目の希望条件の中から優先項目を設定
  • 検索した相乗り相手のうち優先項目の条件を満たす相乗り相手が上位となるように端末に表示させるようにする

  この技術では、「相乗り希望者へ提示する相乗り相手の出現率を高くし、相乗りの機会を増大することができる相乗り支援システムを提供すること」ができる(特開2015-035044)。

特開2015-035044の代表図
図6 特開2015-035044の代表図

詳細情報:技術情報配信サービス-swimy URL:https://thinktank.toyota-td.jp/



Ford:RIDE-SHARING LONG-TERM RIDE-SHARE GROUPS / Shared vehicle systems and methods

  Fordの出願においては、「RIDE-SHARING LONG-TERM RIDE-SHARE GROUPS」に関する開発アイテムの出願件数が最も多く、次いで「Shared vehicle systems and methods」に関する開発アイテムの出願件数が最も多い。

Fordの開発アイテム
図7 Fordの開発アイテム

詳細:技術情報配信サービス-swimy URL:https://thinktank.toyota-td.jp/

 

RIDE-SHARING LONG-TERM RIDE-SHARE GROUPS

  Fordの「RIDE-SHARING LONG-TERM RIDE-SHARE GROUPS」に関する開発アイテムにおいては、例えば、乗車共有サーバは、出発地、目的地、および時間的制約を特定する旅行特性を含む車両レンタル要求をユーザから受信することができる技術がある(US2016 / 0321566)。

  • 車両レンタル要求のものと一致するレンタル基準を有する別のユーザを識別する。
  • 共同賃貸グループとして、賃貸料共有を求める利用者および他の利用者に賃貸料共有要求を送信する。
  • 賃貸料分担要求が確認されたら、共同賃貸グループに車を借りる。
  • 乗り物を共有するユーザのモバイル装置は、出発地、目的地、および時間的制約を特定する旅行特性を含む自動車のレンタル要求を賃貸料共有サーバに送信することができる。
  • 賃貸料共有サーバから、レンタカーレンタル要求と一致する賃貸基準を有する別のユーザを含む共同賃貸グループとしての自動車を賃貸共有するための賃貸料共有要求を受信する。

US2016 / 0321566の代表図
図8 US2016 / 0321566の代表図

詳細情報:技術情報配信サービス-swimy URL:https://thinktank.toyota-td.jp/

 

Shared vehicle systems and methods

  Fordの「Shared vehicle systems and methods」に関する開発アイテムにおいては、例えば、下記の技術がある(US9384515)。

  • 共有車両の位置が識別される。
  • その場所について共有車両使用データが得られる。
  • 共有車両使用データおよび位置に少なくとも基づいて共有車両の動作モードを調整するための命令が提供される。

US9384515の代表図
図9 US9384515の代表図

詳細情報:技術情報配信サービス-swimy URL:https://thinktank.toyota-td.jp/



トヨタ:カーシェアリングシステムおよび車両貸出返却方法 / オンデマンド車両運行

  トヨタ自動車の出願においては、「カーシェアリングシステムおよび車両貸出返却方法」に関する開発アイテムの出願件数が最も多く、次いで「オンデマンド車両運行」に関する開発アイテムの出願件数が多い。

トヨタ自動車の開発アイテム
図10 トヨタ自動車の開発アイテム

詳細情報:技術情報配信サービス-swimy URL:https://thinktank.toyota-td.jp/

 

カーシェアリングシステムおよび車両貸出返却方法

  トヨタ自動車の「カーシェアリングシステムおよび車両貸出返却方法」に関する開発アイテムにおいては、例えば下記の手段を有する技術がある。

  • ユーザが過去に車両を利用した際の、利用区間と利用時刻に関する情報を含むトリップの集合であるトリップ群を取得する利用履歴取得手段
  • 前記トリップ群を、利用時刻または利用区間に偏りがあるユーザが行ったトリップからなる第一のトリップ群と、それ以外のユーザが行ったトリップからなる第二のトリップ群に分類する分類手段
  • 前記第一のトリップ群に基づいて、定期利用者が車両を利用する時間帯である定期利用時間帯を決定する時間帯決定手段
  • 前記定期利用時間帯の開始時刻または終了時刻における、車両の最適配置台数を対象ステーションごとに決定する車両配置決定手段
  • 前記決定した最適配置台数と、前記第一のトリップ群に基づいて、定期利用者の候補を抽出する候補者抽出手段

  この技術では、カーシェアリングシステムにおいて、定期的に同じ区間を利用させるためにインセンティブを与えるユーザの候補を抽出するための課題を解決することができる(特開2016-148912)。

特開2016-148912の代表図
図11 特開2016-148912の代表図

詳細情報:技術情報配信サービス-swimy URL:https://thinktank.toyota-td.jp/

 

オンデマンド車両運行

  トヨタ自動車の「オンデマンド車両運行」に関する開発アイテムにおいては、例えば下記の技術がある(特許05967205)。

  • オンデマンドバス10を利用して物品若しくはサービスの提供を希望するユーザは、運行管理センタ20に対して、希望提供内容及び希望提供時刻とを含む予約情報を情報端末装置30を利用して送信する。
  • センタ20は、希望提供内容及び希望提供時刻を用いて、物品若しくはサービスが提供される位置までユーザ側を移動させる第1の運行スケジュール、又は、ユーザが物品若しくはサービスの提供を受ける位置まで物品若しくはサービス側を移動させる第2の運行スケジュールを決定する。
  • このとき、センタ20は、ユーザが希望している希望提供時間を満たすように、第1の運行スケジュール又は第2の運行スケジュールを決定する。

特許05967205の代表図
図12 特許05967205の代表図

詳細情報:技術情報配信サービス-swimy URL:https://thinktank.toyota-td.jp/


------------------
キーワード
TTDC、特許出願、カーシェアリング、ライドシェア、レンタカー、モビリティ、配車サービス、オンデマンド車両運行、日産、Ford、トヨタ

<自動車産業ポータル マークラインズ>