OEM各社の米国事業動向

関税問題に苦慮、クロスオーバーとSUVへのシフト

2018/12/26

要約

 2018年の米国ライトビークル市場はかなり荒れ模様だった。年の前半こそ堅調な国内経済と楽観的な景況感に支えられて市場は成長したが、後半は利上げと車両価格の上昇によって販売が前年実績を割り込んだ。

 政府の通商政策も逆風となっている。ほとんどの貿易相手国に対して鉄鋼・アルミニウムに関税を課し、中国とは輸入で2,500億ドル相当、輸出で1,100億ドル相当の品目が関税の対象となる貿易戦争を始めた。この直撃を受けたOEM各社は、生産体制とラインアップの見直しを余儀なくされた。Fordは中国製Focus Activeの国内販売計画を撤回、VolvoはS60を米国新工場から輸出する計画を断念、BMWはX3生産の一部をSpartanburg工場から移転した。

 国内販売のトレンドはクロスオーバーとSUVに傾き、ライトトラック(SUV・クロスオーバー・ピックアップトラック)の市場シェアが拡大を続けた結果、乗用車のシェアは過去最低を記録した。このため米国系OEM各社は戦略の見直しを迫られ、FordとGMは国内向けラインアップからセダンの大半を外すと発表した。

生産終了となるCadillac CT6

 OEM各社はコネクティビティ・自動運転・電動化・ライドシェアといった技術動向への対応も続けている。トヨタはUberに出資し、この配車サービス会社とモビリティサービスの自動運転技術開発で提携することに合意した。GMとホンダは先進バッテリー技術を開発し、またGM Cruise社で自動運転車を開発することに合意。Mercedes-Benzはアラバマ州Tuscaloosa工場で新バッテリー工場の建設に着手した。

 本レポートでは2018年の米国におけるOEM各社の主要な動向と、LMC Automotiveによる2021年までの米国市場概況および各社の販売予測を報告する。


関連レポート:
米国の自動車関税、トランプ政権下での貿易政策
(2018年9月)
FCAの新5カ年計画:Jeep、Alfa Romeo、Maserati、Ramのラインアップを一新(2018年9月)
Ford:2022年までに16車種のEVを投入、モビリティ・自動運転分野で提携拡大(2018年6月)
日本自動車メーカー:決算発表に見る今後の方向性・計画(2018年6月)
OEM各社の米国投資動向(2017年12月)

 



米自動車業界の状況

SUVとクロスオーバーの販売増加傾向が続く

 LMC Automotiveの販売予測によれば、2018年の米国のライトビークル(乗用車とライトトラック)の販売は1,720万台で、前年と同水準を保つ。2018年1月〜11月の実績を見ると、ライトトラックのシェアが増加し乗用車が減少する傾向が加速している。8月には、米国の新車販売に占める乗用車のシェアが、史上初めて30%を切った。またライトトラック(SUV・クロスオーバー・ピックアップトラック)のシェアは26カ月連続で60%を超えた。

 米国でライトトラックが好まれるトレンドは今後も続くとアナリストは予測している。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは年刊Car Warsの中で、2019年から2022年に投入される新型車のうちライトトラックの割合は71%に達すると見込んでいる。LMC Automotiveで米州事業を統括するJeff Schuster氏は、米国のライトビークル販売に占めるライトトラックの割合は2025年までに75~80%に達すると語った。このトレンドにはいくつかの要因がある。低水準の燃料価格、現行モデルの燃費の改善、堅調な米国経済、近年の自動車ローンの簡便な使い易さといったものだ。大型車の利幅が大きい事実がこのトレンドを加速し、今年度のGMやFordのリストラに見られるように各社の戦略に影響を与えている。

米国におけるライトトラックの割合推移 OEM各社のライトトラックの割合(2018年時点)

 

2018年初の新車販売は好調、後半に失速

 2018年の米国新車販売は、上期は増加したが下期に落ち込み、通年の販売は前年と同水準にとどまる。上期の増加は、堅調な米国経済、楽観的な景況感、前年に成立した税制改革法案等によるものだ。下期に入り、景況感は良いものの、利上げ、ガソリン価格の上昇、中古車在庫の増加、車両価格の値上げが重なって、販売台数は減少した。LMC Automotiveは2019年、2020年の販売も下落すると予測している。

 米国運輸機械局(Office of Transportation and Machinery)によれば、2018年1~8月の乗用車とライトトラックの輸出は、前年同期比で、金額で2.0%、台数で5.8%減少した。この傾向がこのまま続けば、今年の輸出額は2015年以降で初めて前年割れとなる。なお2015年以降、輸出額は毎年増加してきたが、台数は年々減少している。

 

関税の影響がもたらす変化

 OEM各社が抱えるもう1つの懸案が米国の通商政策だ。2018年になって、米国政府は鉄鋼・アルミニウムの関税を導入し、中国とは貿易戦争が始まった。米中はG20サミットで追加関税の導入延期に合意したが、休戦状態がいつまで続くかは不透明である。その上、トランプ大統領は北米以外の国々から輸入する自動車と部品に関税をかけると、繰り返し主張している。

米中貿易戦争の経過(2018年12月1日まで)

 米国自動車工業会 (Alliance of Automobile Manufacturers) によれば、米国への輸入車に25%の輸入関税が導入されると、車両価格は平均で5,800ドル上昇するという。ピーターソン国際経済研究所(The Peterson Institute for International Economics)は、関税の影響で自動車・部品業界の雇用が3年間で1.9%減少すると予測している。

 参照レポート:米国の自動車関税、トランプ政権下での貿易政策

 



米国OEM:GM、Ford、FCA

 2018年にGMとFordの両社はセダンモデルの大半の生産・販売を中止するという大幅なラインアップの見直しを発表した。GMは国内向け6モデル、Fordは北米向け5モデルが対象である。両社ともセダンの大半を対象に選んでいるのが目をひくが、他のセグメントに比べて利幅が小さく需要も減少しているためと思われる。これは、2016年にFCAが発表した、Dodge DartとChrysler 200の生産中止、Jeep SUVとRamピックアップトラックへの集中、電気自動車への投資に相当するものである。

米国販売終了予定のChevrolet Cruze 米国販売終了予定のFord Fusion

 

米国OEM

会社名 2018年の発表内容
General Motors GMのリストラとラインアップ再編
 2018年11月26日、GMは数モデルの廃止と米国4工場、カナダ1工場の閉鎖を含む大規模なリストラを発表した:
  • ミシガン州デトロイトDetroit-Hamtramck 組立工場におけるBuick LaCrosseとChevrolet Voltの生産を2019年3月1日に終了。
  • 同工場におけるCadillac CT6とChevrolet Impalaの生産を2019年6月1日に終了。
  • オハイオ州WarrenのLordstown組立工場におけるChevrolet Cruzeの生産を2019年3月1日に終了。
  • カナダ・オンタリオ州のOshawa組立工場におけるChevrolet Impala、Cadillac XTS 、および前世代のChevrolet SilveradoとGMC Sierraトラックの生産を2019年第4四半期に終了。
  • ミシガン州WarrenのWarrenトランスミッション工場におけるXTS、Impala、Volt、Chevrolet Malibu、Buick Acadia向け6速トランスミッション、およびVolt向けGlobal Front Wheel Electricシステムの生産を2019年8月1日に終了。
  • メリーランド州White MarshのBaltimore工場におけるT1、K2プラットフォーム用フルサイズ・ピックアップトラック・トランスミッションの生産を2019年4月1日に終了。
Ford Motor Fordのラインアップ再編
 Fordは2018年第1四半期の財務報告書で、北米向けセダンはラインアップの大半の生産・販売を中止すると発表した。「需要の減少と採算性を考慮した結果、伝統ある北米向けセダンの次世代モデルへの投資は行わない」という。米国市場で生産・販売が中止されるのは下記のモデルである:
  • Ford Focusの生産は2018年5月に終了した。
  • 2017年9月のFord C-Max Energiに続き、Ford C-Max Hybridの生産も2018年半ばに終了した。
  • Ford Taurusの生産を2019年3月に終了。
  • Ford広報によればFord Fiestaの生産を2019年5月に終了する。ただしFord Mexicoでの終了時期は同年8月になると見ている。
  • Ford Fusionの生産終了時期は未定だが、少なくとも2020年いっぱいまでは生産が続く見込み。
2018年8月、Fordは中国製Ford Focus Activeの米国での販売を中止すると発表。米中貿易戦争がもたらす関税を懸念した。この結果、Fordの国内向けセダンで残るのはFord Mustangのみとなった。

2018年10月、Ford幹部は2019年春まで人員整理は行わないと発言。11月にはGMがリストラを発表した直後に、Louisville組立工場とFlat Rock組立工場の交替勤務を停止し、両工場の従業員をそれぞれKentuckyトラック工場とLivoniaトランスミッション工場に移してSUVの生産に集中すると発表。12月には、ミシガン州Sterling HeightsのVan Dykeトランスミッション工場で余剰となった230人をFordの他工場に振り分けるという発表が続いた。この異動は2019年第1四半期に行われる模様。
SUV生産への投資
2018年2月、FordはKentuckyトラック工場のLincoln NavigatorとFord Expeditionを増産すると発表した。両モデルへの需要の高まりに応じたものである。Fordは同工場に2,500万ドルを投じ、両モデルの生産目標を25%引き上げる。この投資は新型ロボット400台、新型3Dプリンタ1台、および高性能データ分析システムの導入に充てられる。
今後のラインアップ計画
2018年3月、Fordは今後のラインアップ計画を発表した。電気自動車、電動化、およびトラックとSUVセグメントを強化する。2019年には中型トラックのFord RangerとF-SeriesトラックのSuper Duty 系列を発売予定。同社のSUV販売の70%を占める売れ筋のFord EscapeとFord Explorerも発売する。2020年には新型ハイブリッド・パワートレインを搭載した次世代F-150が登場予定。新型Ford Broncoと名称未定のオフロード用小型ユーティリティ車も2020年までに発売される。

F-150、Mustang、Explorer、Escape、Broncoにはハイブリッド車も用意される。2020年には高性能バッテリーを搭載するユーティリティ車の電気自動車を投入する。これは110億ドルを投じるグローバル電気自動車開発の一環として2022年までに発売される、7種類のバッテリー電気自動車の第1号となる。また、2019年末までにはFordの全モデルに標準4G LTE Wi-Fiシステムが搭載される。
Ford Autonomous Vehicles社の設立
2018年7月、Fordは自社の自動運転事業の開拓と市場機会の実現を狙ったFord Autonomous Vehicles社を設立した。同社は自動運転システムの統合、自動運転車の研究、「サービスとしての交通(TaaS)」ネットワークの開発、ユーザーエクスペリエンス、および事業戦略と開発に関する業務を統括する。拠点はミシガン州デトロイトのFord Corktownキャンパス。2023年までに自動運転車開発に40億ドルが投じられるが、うち10億ドルはArgo AI社に充てられる。
Fiat Chrysler ミシガン工場近代化投資
2018年1月、FCAは次世代Ram Heavy Dutyの生産に対応するため、ミシガン州Warrenトラック組立工場の近代化に10億ドルを投資すると発表した。2020年にメキシコのSaltillo工場から同トラックの生産を移転する。今後予定されている新型Jeep WagoneerとGrand Wagoneerの生産に追加されたもの。2017年の税制改革法案の成立もこの投資の一助となった。2,500人の雇用が期待されている。
今後の電動化計画
FCAは投資家向け説明会で今後のラインアップを発表した。ほぼ全ブランドで多数の電動車が計画されている。国内市場に投入される電気自動車は多くは無さそうだがゼロではない模様。同社は2022年までに約90億ユーロを電動化に投資する見込み。2021年までにはJeepの各モデルにEVもしくはハイブリッド車が投入される。Renegade、Compass、Wrangler、Cherokeeには電気自動車も導入される予定。2022年までにJeepには全部でハイブリッド車10モデル、電気自動車4モデルが揃うことになる。Ramにもハイブリッド車が少なくとも1モデル予定されている。
Magneti Marelliの売却
2018年10月、FCAは自動車部品メーカーのMagneti Marelli社を、カルソニックカンセイの持株会社であるCK Holdings社に売却することで合意したと発表した。Magneti Marelli CK Holdingsという新社名のもとで事業が行われる。カルソニックカンセイとMagneti Marelliの事業統合で、売上ベースで世界第7位、売上高152億ユーロの自動車部品メーカーが誕生する。売却は2019年上期に62億ユーロで完了する見込み。
デトロイト新工場
12月6日付のDetroit News紙は、FCAがデトロイトの遊休エンジン工場を組立工場に転換し、3列シートの2021年型Jeep Grand Cherokeeを生産する予定だと報じた。Mack Avenueエンジン第2工場は2012年から操業を停止していた。新工場は最大400人の雇用を生み出す。2019年初頭に建設が始まる予定。

出所:各社プレスリリース、各種報道

 



欧州OEM:VW、Daimler、BMW、Volvo

 2018年は欧州OEM各社の積極的な動きが続いた。中でもVolvoは、同社にとって米国初となる新生産拠点をサウスカロライナ州Charlestonに開設した。Volkswagenは米国向け新モデルに関わる米国事業に巨額の投資を行うと発表すると共に、北米で電気自動車を生産する新工場の建設計画も認めた。同社は現在拠点のあるテネシー州Chattanoogaを建設候補地と考えているが、他の場所となる可能性も残されている。

 米国での生産活動は米国と企業の双方に利益をもたらすが、同時に各社は米国と他国の関税の影響にさらされることにもなる。米中貿易戦争のあおりを受けたBMWとVolvoの生産再編でこのことが浮き彫りになった。

Volkswagen Jetta - VWの米国新車販売の中核モデル Mercedes-Benz EQC - EQブランド初のモデル
資料:Mercedes-Benz

 

欧州OEM

会社名 2018年の発表内容
Volkswagen デジタル事業とソフトウェアへの投資
2018年8月、Volkswagenは2025年までの間に約35億ユーロを投じて、クラウドコンピューティングに基づくデジタルプラットフォームを含む、デジタル関連の事業と製品を開発すると発表した。ここに含まれる新オペレーティングシステムvw.OSは、2020年以降世界中全てのVolkswagenブランドの電気自動車に搭載される。自動運転機能のために設計された新電子アーキテクチャも注目される。
北米事業開拓への投資
2018年のデトロイト・モーターショーで、Volkswagenは2018~2020年の北米向けラインアップに合わせた新モデルの開発と生産に33億ドルを投じると発表した。うち12億ドルは米国内のプロジェクトに充てられる。ショーではVolkswagen Jettaのお披露目が発表に華を添えた。Volkswagenは2020年までに北米事業の黒字化を目指している。
EV工場を北米に建設、場所は未定
2018年9月、Volkswagenは2022年までに北米に電気自動車工場を開設すると発表したが、具体的な場所は明らかにされていない。同社の拠点があるテネシー州Chattanoogaが理想的としているが、最終決定には至っていない。北米工場はVolkswagenが全世界で2022年までに電気自動車を生産する16拠点のうちの1つとなる。複数の報道機関によれば、米国ではID BuzzとCrozzの量産型が生産されるという。Volkswagenは同時期に400億ドルを投じて、生産工場建設だけでなく、電気自動車、自動運転、モビリティ技術の開発を行う。
Daimler Mercedes-BenzはTuscaloosaの投資を継続
2018年10月5日、Mercedes-Benzはアラバマ州Tuscaloosa工場で新バッテリー工場の起工式を行った。同社は2017年、EQブランドのSUV電気自動車の生産とバッテリー工場の建設を念頭にTuscaloosa工場に10億ドルを投じると発表していた。同工場はいずれ、EQモデル生産6工場およびMercedes-Benzのバッテリー・ネットワーク生産8工場の一角を占めることになる。この投資により600人以上の雇用が見込まれる。
BMW SUVの生産と価格の見直し
2018年7月、BMWはSUVのいくつかのモデルの生産を、サウスカロライナ州Spartanburg工場から中国に移すと発表した。同社は中国のパートナーである華晨汽車(Brilliance Automotive Group Holdings)と契約を結び、2019年までに中国生産を52万台に引き上げる。X3についてはSpartanburg工場からの輸出を中止し、南アフリカのRosslynと中国の瀋陽に生産を移転する。また、米国から中国に輸出するSUVの価格を引き上げると発表した。関税上昇分を吸収しきれないためだという。

2018年11月初め、BMWはSpartanburg工場のSUV生産の追加移転を検討していたが、その後この動きに関する発表はなく、肯定も否定もされていない。関税導入以降Spartanburg工場からの輸出は21.2%減少した。
米国第2工場の検討
2018年のロサンゼルス・モーターショーで、BMWのHarald Kruger社長は、米国第2工場の建設を検討していると語った。新工場はSpartanburg工場で生産されるモデルのエンジンとトランスミッションの生産に注力する。
Volvo Charleston工場の竣工と戦略の転換
2018年6月20日、米国でVolvo初となる生産工場がサウスカロライナ州Charlestonで竣工した。同工場は2018年秋からVolvo S60スポーツセダンの生産を開始し、2021年にはXC90 SUVの生産を開始する。新工場の建設と開発には約11億ドルが投じられた。竣工の時点では、2018年末までに1,500人、その後全体で約4,000人の雇用を生み出すことが期待されていた。

2018年11月、Volvoは米中貿易戦争にあおりを受けた一連の変更を発表した。Charlestonで生産されるS60は中国への輸出を中止し、かわりに欧米市場に振り向ける。中国から米国へのXC60 SUVの輸入も中止し、同じくS90セダンの輸入も縮小する。

Charleston工場での生産が当初の計画より減少するため、VolvoのHakan Samuelsson社長は同工場での雇用ペースを落とすと述べた。したがって当初のCharleston工場の雇用目標は達成が困難となった。

出所:各社プレスリリース、各種報道

 



アジアOEM:トヨタ、ホンダ、日産、スバル、現代・起亜

 欧州各社と同様、アジアのOEM各社も米国事業への投資が目立った。投資内容を見ると、先端技術と市場動向への対応、および米国内生産の拡大に向けられている。トヨタはUberに5億ドルを投じ、共同で自動運転車を開発する。トヨタ・ホンダ・日産・現代といったOEM各社の米国生産拠点の拡張は、さらなる自動車関税に対する予防措置である。またホンダは米中貿易戦争対策として、生産の一部を米国から中国に移した。

Toyota Corolla
資料:トヨタ
Nissan Canton Mississippi plant
資料:日産

 

アジアOEM

会社名 2018年の発表内容
トヨタ ミシシッピ工場(Blue Springs)の投資
2018年4月、トヨタはBlue Springsにあるミシシッピ工場に1.7億ドルを投資して、トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)に基づく新型Toyota Corollaの組立を行うと発表した。この投資は同工場の生産ラインの入れ替えに充てられ、先進的な車を効率的に生産するとともに、生産の柔軟性と対応力の向上を図る。この投資で年間400名の雇用が期待されるが、これは2022年までの100億ドルの米国投資の一環である。
Uberとの提携と出資
2018年8月、トヨタとUberはモビリティサービスとしての自動運転車ライドシェアの開発と商業化について、協力関係を拡大することに合意した。Uberは自社の自動運転技術をトヨタのガーディアンシステムと統合して特注Toyota Siennaミニバンに搭載し、Uberのライドシェア・ネットワークで展開する。Siennaはコネクテッド車の情報インフラとなるトヨタ・モビリティ・サービス・プラットフォーム(MSPF)を利用する。トヨタはUberに5億ドルを出資することも表明した。
ホンダ アラバマ州Lincoln工場拡張の投資
2018年7月、ホンダはアラバマ州Lincolnの工場を、5,480万ドルかけて拡張すると発表した。同工場の第2ラインが5万平方フィート拡張される。2021年初めに完工予定。
日産 米国工場のAltima生産支援投資
2018年8月、日産は2019年型 Nissan Altimaの生産支援のために、テネシー州Smyrnaとミシシッピ州Cantonの生産工場に1.7億ドルを投じたと発表した。この投資によりレーザー溶接機、塗装ライン、キャリブレーション設備等の新設備が両工場に導入される。
北米生産の縮小
2018年5月の日経新聞によれば、日産は北米での採算悪化に伴い同地での自動車生産を20%削減する。この動きは従来の個別の発表とは無関係で、積極的な拡大路線から収益重視への戦略変更によるものだと日産は述べている。
スバル スバルはミシガンに技術センターを建設
2018年8月、スバルはミシガン州Van Buren Townshipに技術センターを建設すると発表した。新センターでは自動運転技術の開発に注力する。センターの建設と開発にはミシガン州の補助金150万ドルを活用すると共に、自社で4,820万ドルを投じる。15万~20万平方フィートのセンターが2022年にオープンし、101人の雇用が見込まれている。
現代・起亜 アラバマ州Montgomery工場の投資
2018年5月、現代自動車はアラバマ州Montgomeryに3億8,800万ドルをかけて新工場を建設すると発表した。エンジンヘッドの生産とHyundai SonataおよびElantraの生産支援に注力する、26万平方フィートの建屋にエンジンヘッド加工設備を収める。新工場は2018年11月に完成し、2019年中頃に操業を開始する予定。

出所:各社プレスリリース、各種報道

 



OEM各社の共同プロジェクトと提携:GM・ホンダ、マツダ・トヨタ、Ford・VW

 電動化と自動運転車に向かう自動車業界の急速な進展は、予測のつかない米国政府の動向と相まって、OEM各社に提携や協業の動きをもたらした。各社間の大規模プロジェクトには巨額の投資が行われている。ホンダはGMの自動運転の技術部門であるCruise社に27.5億ドルを投じ、自動運転車を共同開発する。両社はバッテリーの共同開発契約も結んだ。トヨタとマツダはアラバマ工場建設の合弁プロジェクトに16億ドルを投じ、FordとVolkswagenの間では提携が噂されている。

アラバマ州Huntsvilleにおけるマツダとトヨタの合弁工場の起工式
資料:マツダ
Cruiseの自動運転試験車両

 

OEM各社の共同プロジェクトと協定

会社名 2018年の発表内容
GM・ホンダ GMとホンダは先進バッテリー部品を共同開発
2018年6月、GMとホンダは将来の電気自動車用に、セルとモジュールを含む先進バッテリー部品を共同開発すると発表した。新バッテリーシステムは現行のバッテリーよりエネルギー密度が高く、パッケージは小さく、急速充電能力を備えると期待されている。両社は契約に基づき、GMの次世代設計を基にしたバッテリーシステムの開発で協力する。ホンダはGMから自社用モジュールの提供を受ける。北米市場向け電気自動車に搭載される予定。
ホンダはCruise社に投資し、自動運転車を共同開発
2018年10月、ホンダはGMの自動運転部門であるCruise社に27.5億ドルを投資すると発表した。うち7.5億ドルがCruise社の株式取得、20億ドルが12年間にわたる共同プロジェクトに充てられる。ホンダは様々な状況で使えるボリュームゾーンの自動運転車の開発でCruise社、GMと協力する。3社は自動運転車の大規模展開の可能性についても検討する。
マツダ・トヨタ トヨタとマツダはアラバマ州Huntsvilleの工場建設に投資
2018年1月、トヨタとマツダはアラバマ州Huntsvilleに合弁で生産工場を建設すると発表した。新工場は年間30万台の生産能力を備え、マツダの未発表のクロスオーバーとToyota Corollaに均等に割り当てられる。2018年11月に工場建設が始まった。2021年に操業開始し、最大4,000人の雇用を生み出す見通し。
Ford・VW FordとVolkswagen提携の噂
2018年下期を通じて、FordとVolkswagenは様々な共同開発プロジェクトに関するグローバルな提携の議論を重ねてきた。両社の提携範囲については様々な可能性が噂されており、Fordの米国生産拠点をVolkswagenが使用することや、様々なセグメントの新車共同開発、果ては両社の経営統合まで囁かれている。

2018年11月、VolkswagenのHerbert Diess社長はFordと商用車の開発中で提携していることを認めた。提携には電気自動車と自動運転車の開発と統合が含まれている。Diess社長は「商用車以外でもFordとの間で協力する可能性を見いだした」とも語った。ただしこの時点で経営統合の可能性は否定している。

CNBCは両社のどちらかからの情報を基に、具体的な提携内容を含んだ合意が2019年1月に両社から発表される可能性があると報じている。

出所:各社プレスリリース、各種報道

 



LMC Automotive販売予測:米国のライトビークルの販売は2019年以降、1,700万台を下回る

LMC Automotiveの販売予測(2018年第3四半期)によると、米国のライトビークル販売台数は2019年以降1,700万台を下回る。

U.S. yearly light vehicle sales forecast
Source: LMC Automotive, "Global Automotive Sales Forecast (Q3 2018)"

我々の想定外ではあったが、貿易戦争も販売を押し下げる可能性がある。米国・メキシコ・カナダの新貿易協定では、北米製部品の割合を62.5%から75%に引き上げることが求められ、自動車組立の40%は時給16ドル以上の労働者によらなければならない。域内で生産される自動車で条件に適合しない場合は2.5%の関税が課される。ただしこの協定の発効には3カ国全ての議会承認が必要となる。2018年のメキシコ生産車の販売は9%増加して14%となり、カナダ生産車は4%減少すると予測する。

他方、中国との貿易戦争は厳しさが増しており、中国製コンパクトSUVのBuick Envisionは危機に瀕している。FordはコンパクトカーFocusの中国からの輸入計画を白紙に戻し、このモデルが対象とする市場から完全撤退する。一方Volvoは中国から輸入する予定だったコンパクトプレミアムSUVのXC60の生産を欧州に戻す計画を発表した。

関税の変更はさておき、利上げと中古車価格の低迷という2018年からの圧力を受けて、2019年と2020年は販売縮小が予想される。2020年には経済成長が減速する恐れもある。しかし2020年以降は、Generation Y(1990年代生まれ)の多くがファーストカー購入の中心になり、技術志向の消費者が車の最新トレンドを追い求めるため、販売は回復すると期待される。

自動運転車は特定市場での試験出荷を皮切りに、10年を待たずして登場すると予測する。当面は恐らくあまり普及せず、消費者がこの新技術に馴染むまでマイカーを保有するため、販売に対する影響は小さいと考えられる。本格的な影響は2025年以降に現れ、2030年までに50万台規模の販売減少となる可能性がある。自動運転車は主にノンストップ配送に使われることが想定されることから、最も影響を被る車種はバンになるだろう。

 

米国のライトビークル販売予測

(単位:台)

SALES
GROUP
GLOBAL
MAKE
2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021
Total   17,446,906 17,515,866 17,189,410 17,197,462 16,958,654 16,648,215 16,785,563
General Motors Group  Chevrolet 2,188,156 2,169,958 2,147,854 2,107,226 2,035,985 1,928,055 1,910,013
GMC 558,697 546,628 560,240 524,941 532,191 542,585 543,165
Cadillac 175,267 170,006 156,440 153,224 154,196 168,525 184,581
Buick 155,506 143,913 125,512 100,577 84,301 73,982 83,715
Opel 0 7,153 5,684 16,022 12,661 10,284 8,356
Holden 4,740 4,034 4,748 86 0 0 0
General Motors Group sub-total 3,082,366 3,041,692 3,000,478 2,902,076 2,819,334 2,723,431 2,729,830
Ford Group  Ford 2,474,924 2,455,710 2,424,530 2,331,207 2,216,918 2,238,500 2,228,034
Lincoln 101,227 111,724 111,159 99,929 101,682 100,846 82,961
Ford Group sub-total 2,576,151 2,567,434 2,535,689 2,431,136 2,318,600 2,339,346 2,310,995
Toyota Group  Toyota 2,114,631 2,082,130 2,129,118 2,129,897 2,020,099 1,966,525 1,956,768
Lexus 344,601 331,228 305,129 285,003 306,647 295,795 310,133
Scion 40,081 36,229 264 2 0 0 0
Toyota Group sub-total 2,499,313 2,449,587 2,434,511 2,414,902 2,326,746 2,262,320 2,266,901
Fiat Chrysler Automobiles  Jeep 865,028 926,348 828,522 1,002,734 1,020,067 1,034,891 1,077,847
Ram 451,116 485,621 492,668 491,259 512,709 558,116 570,153
Chrysler 328,068 231,980 188,545 167,970 179,899 203,925 212,403
Dodge 517,153 506,847 446,996 471,993 442,328 166,819 123,355
Fiat 81,879 89,220 82,559 68,098 60,827 56,653 55,120
Alfa Romeo 663 516 12,031 24,469 22,159 21,689 34,140
Maserati 11,700 12,534 14,046 11,227 9,223 8,322 15,856
Fiat Chrysler Automobiles sub-total 2,255,607 2,253,066 2,065,367 2,237,750 2,247,212 2,050,415 2,088,874
Renault-Nissan-Mitsubishi  Nissan 1,351,420 1,426,130 1,440,051 1,334,122 1,314,308 1,320,796 1,356,234
Mitsubishi 95,342 96,267 103,686 124,767 112,779 125,501 130,298
Infiniti 133,498 138,293 153,415 135,489 122,191 132,745 126,296
Renault-Nissan-Mitsubishi sub-total 1,580,260 1,660,690 1,697,152 1,594,378 1,549,278 1,579,042 1,612,828
Honda Group  Honda 1,409,385 1,476,860 1,487,408 1,480,781 1,400,529 1,333,146 1,336,532
Acura 177,165 161,091 154,021 159,532 155,153 152,738 153,947
Honda Group sub-total 1,586,550 1,637,951 1,641,429 1,640,313 1,555,682 1,485,884 1,490,479
Hyundai Group  Hyundai 761,710 768,057 664,943 665,746 682,534 690,984 720,963
Kia 625,818 647,598 589,668 622,844 650,269 632,700 644,789
Genesis 0 6,948 20,612 16,867 48,215 59,717 62,877
Hyundai Group sub-total 1,387,528 1,422,603 1,275,223 1,305,457 1,381,018 1,383,401 1,428,629
Subaru Corporation Subaru 582,675 615,126 647,956 688,721 706,106 719,639 704,309
Subaru Corporation sub-total 582,675 615,126 647,956 688,721 706,106 719,639 704,309
Volkswagen Group  Volkswagen 349,440 322,948 339,676 356,815 352,470 343,789 358,475
Audi 202,202 210,213 226,915 229,598 240,813 234,095 226,241
Porsche 51,756 54,280 55,420 57,797 65,538 69,486 66,141
Bentley 2,686 2,581 2,405 2,637 3,226 2,822 2,955
Lamborghini 1,009 963 1,095 1,411 1,671 1,454 1,221
Volkswagen Group sub-total 607,093 590,985 625,511 648,258 663,718 651,646 655,033
Daimler Group  Mercedes-Benz 372,977 374,282 372,196 327,418 344,280 375,305 390,097
Smart 7,484 6,211 3,071 1,259 856 685 537
Daimler Group sub-total 380,461 380,493 375,267 328,677 345,136 375,990 390,634
BMW Group  BMW 346,023 313,174 305,685 299,543 318,353 340,011 328,459
MINI 58,514 52,030 47,102 46,523 42,423 41,240 37,240
Rolls-Royce 1,078 1,200 1,175 1,120 1,383 1,304 867
BMW Group sub-total 405,615 366,404 353,962 347,186 362,159 382,555 366,566
Mazda Motors Mazda 319,184 297,773 289,470 314,012 292,666 287,920 296,475
Mazda Motors sub-total 319,184 297,773 289,470 314,012 292,666 287,920 296,475
Tesla Motors Tesla 25,616 40,515 47,275 129,861 157,900 162,724 189,267
Tesla Motors sub-total 25,616 40,515 47,275 129,861 157,900 162,724 189,267
Geely Group  Volvo 69,791 82,593 81,507 98,752 113,293 111,843 102,493
LYNK & CO 0 0 0 0 3,860 12,853 17,326
Polestar 0 0 0 0 0 1,883 4,221
Lotus 147 47 144 119 102 87 189
Geely Group sub-total 69,938 82,640 81,651 98,871 117,255 126,666 124,229
Tata Group  Land Rover 70,582 73,861 74,739 84,088 78,489 74,195 72,786
Jaguar 14,466 31,243 39,594 28,361 29,874 28,122 24,812
Tata Group sub-total 85,048 105,104 114,333 112,449 108,363 102,317 97,598
Other  SF Motors 0 0 0 0 724 4,061 6,738
Rivian 0 0 0 0 0 516 6,169
Lucid 0 0 0 0 0 580 4,571
Workhorse 0 0 0 0 2,067 3,119 4,111
Karma 0 0 21 100 98 405 3,056
Ferrari 2,258 2,417 2,749 1,946 2,507 1,982 2,539
Faraday Future 0 0 0 0 0 1,783 2,262
Aston Martin 821 633 849 939 1,640 2,063 1,760
Dyson 0 0 0 0 0 0 1,387
McLaren 422 753 517 430 445 410 323
Other sub-total 3,501 3,803 4,136 3,415 7,481 14,919 32,916

Source: LMC Automotive "Global Automotive Sales Forecast (Quarter 3, 2018)"
(注) 1.データは、小型車(乗用車+車両総重量 6t以下の小型商用車)の数値。
2.本表の無断転載を禁じます。転載には LMC Automotive 社の許諾が必要になります。
モデル別やパワートレインタイプ別等のより詳細な予測データのご用命、お問い合わせはこちらのページへ

 

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米国、GM、Ford、フォード、FCA、VW、Daimler、ダイムラー、Mercedes-Benz、ベンツ、BMW、Volvo、ボルボ、トヨタ、ホンダ、日産、スバル、現代、起亜、マツダ

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