Ford:2022年までに16車種のEVを投入、モビリティ・自動運転分野で提携拡大

北米はピックアップトラックとSUVの販売比率を86%に拡大、乗用車販売は2車種を残して撤退

2018/06/21

要約

  2017年5月に就任したFordの新CEO、Jim Hackett氏は、収益性が低く、電動化や自動運転など新事業への移行が遅れ、株価が低迷しているFordの改革に取り組んでいる。Hackett氏は低採算の分野や製品を縮小し、その資金を収益性の高い分野および電動化、自動運転技術、モビリティ事業等に振り向ける5ヵ年計画を発表。2022年までに255億ドルのコスト削減や50億ドルの設備投資削減を行うことにより、自動車部門の営業利益率を6.1%から8%に引き上げるとしている。

  北米市場では乗用車からSUVへの需要シフトが生じているが、FordはMustangと2019年に投入するFocus Active以外の乗用車を現行型で廃止する。北米のラインアップの86%はピックアップトラックおよびSUVとなり、収益性の高いモデルの販売を拡大する。

  電動化では、2022年までに110億ドルを投資して、世界で16車種のEVを含む40車種の新型電動車両を投入する。2019年に商用バン Transit CustomのPHV、2020年に高性能SUVのEV、2020-2022年にF-150、Mustang、Explorerなど量販車種のHVを投入する。また、中国の衆泰汽車と合弁で低価格の小型EVを生産する計画。

  モビリティ事業では配車サービスのLyftと提携し、自動運転車の導入を調査するほか、新興テクノロジー企業のAutonomicやTransLocを買収。自動運転車関連では、AIを開発するArgo AIと提携し、自動運転ソフトの開発で協力。Domino's PizzaやPostmatesと提携し、自動運転車による配送サービスの実験を実施している。

  Fordの2017年の売上高は前年比3.3%増の1,568億ドル、調整後税前利益は原材料価格の高騰と為替レートの影響で18.7%減の84億3,700万ドル、純利益は年金費用・退職医療給付金の見直しと税金対策により65.4%増の76億200万ドル。2018年の業績見通しは、売上高は小幅増収、調整後1株当たり利益は1.45-1.70ドル(2017年は1.78ドル)になると見込んでいる。

Fordの連結業績 Focus Active
2019年に北米に投入されるFocus Active(資料:Ford)


関連レポート:
OEM各社の電動化戦略:HV強化とEV・PHV・FCVへの多様化 (2018年4月)
デトロイトモーターショー2018:米国メーカーの展示取材 (2018年2月)
OEM各社の米国投資動向 (2017年12月)

 



Fordの5ヵ年経営計画(2018-2022年)

  2017年5月に就任したFordの新CEO、Jim Hackett氏は同年10月に次期5ヵ年計画(2018-2022年)を発表。効率改善、収益性の高い地域・商品・サービスへの資金投入、コスト削減、設備投資の削減、北米市場での乗用車モデル削減とSUV・ピックアップトラックの拡大等を計画。2018年1月・4月に追加・修正した計画によると、2022年に8%としていた営業利益率(売上高EBIT率)を2年前倒しにして2020年に8%とする。コスト削減は、115億ドル追加して255億ドルを削減する。2019-2022年の設備投資は50億ドル削減して290億ドルとする。電動化への投資は45億ドルから110億ドルに引き上げ、2022年までに16車種のEVを投入する。

 

5ヵ年経営計画(2017年10月3日発表)

営業利益率  自動車部門の営業利益率の目標は2022年に8%(過去7年間の平均は6.1%)。
コネクティビティ  米国で販売されるFordの新車は2018年に55%、2019年に100%コネクティビティを装備する。中国やその他の市場でも同様の計画。2020年までに世界で販売されるFordの新車の90%はコネクティビティを装備する。
コスト削減  2022年までの自動車部門のコスト増加を50%抑制する。その一環として、材料コストを100億ドル、エンジニアリングコストを40億ドル削減する。コスト削減のため、全車種を通じて共通部品を増やし、オプションの種類を低減し、作成するプロトタイプの数を減らす。
投資シフト  70億ドルを乗用車セグメントからSUV・トラックセグメントへ振り向ける。内燃エンジンへの投資を3分の1減らし、電動化に再分配する。
パートナーシップ  各地域向けの商品開発およびモビリティ事業や自動運転車等の新分野で、他社とのパートナーシップ、買収、協力を引き続き進める。
電動化  以前に発表した45億ドルの投資計画の一部として、2022年までに13車種の新型電動化車両を発売する。電動化計画を進めるために社内に設立したTeam Edisonは、広い視野で考え、迅速に決定し、「人間中心」のデザインのバッテリーEVを開発する。
オプション削減  次世代Escapeのカスタマイズ可能なオプション装備数を従来の10分の1に削減。
製品開発の見直し  新しいツールの利用とオプションの削減により、2022年までに新型車の開発期間を20%削減する。また、バーチャルアッセンブリーラインにより、モデル切替に要する時間を25%削減する。

資料:Ford Press Release 2017.10.3

 

5ヵ年計画の変更・追加点(2018年1月・4月発表)

営業利益率
(売上高EBIT率)
 2022年に8%としていた目標を2年前倒しにし、2020年の目標を8%とする。
投下資本利益率(ROI)  2020年に15-19%とする。
設備投資  2019-2022年に予定していた340億ドルの設備投資を50億ドル削減し、290億ドルとする。2018年の設備投資額は75億ドルの予定。
コスト削減  材料、エンジニアリング/商品開発、マーケティング/販売、製造、IT等の分野で2019-2022年に計115億ドルを追加削減する。うち3分の1は2020年までに削減する計画。2022年までのコスト削減目標額は、既に発表された140億ドルと合わせ、255億ドルとする計画。
電動化  2022年までに電動化への投資額を45億ドルから110億ドルに引き上げ、世界で16車種のEVを含む40車種の新型電動車両を投入する。
自動運転車  実現可能で利益が得られる自動運転技術事業を構築する。可能性のある事業としては、ライドシェアリングや荷物配送事業が考えられる。
モビリティ  顧客およびパートナーに向けてモビリティ・プラットフォームとモビリティ体験を創造する。輸送ソリューションだけではなく、都市向けのTransportation Mobility Cloudを提供し、車、道路、企業、住宅間のデジタルコネクションを調整する機関となる。

資料:Ford Press Release 2018.1.16/2018.4.25

 

VWと商用車の共同開発など戦略的提携を検討(2018年6月発表)

 FordとVWは2018年6月19日、競争力強化と顧客サービス向上を目指し、戦略的提携の可能性を検討すると発表した。両社は商用車ラインアップの共同開発を含む、複数の共同プロジェクトを検討していく。なお、今回の戦略的提携に資本提携は含まれないとしている。

 



北米市場の販売比率の86%はピックアップトラックとSUVへ

  Fordは2018年4月、北米でのラインアップの大幅な変更計画を発表した。Fiesta、Fusion、Taurusなど乗用車モデルの大半の販売を現行型で終了し、継続するのはMustangと、2019年に中国で生産され、北米に輸入されるFocusのクロスオーバー風ワゴン、Focus Activeの2車種のみとする。一方、ピックアップトラックとSUVを含むライトトラックは、2020年までに販売比率を総販売台数の86%に拡大する計画(2017年は77%)。SUVは現行の6車種から8車種へ増やす。新型車としては、中型ピックアップトラックのRanger、中型オフロードSUVのBronco等を投入する予定。

  米国ではガソリン価格の低下やトランプ大統領による環境規制緩和で、乗用車からSUVへのシフトが顕著である。米国市場では、2014年に53%だったライトトラックが2017年に65%となった。その間、Fordは多数の小型乗用車を生産し、売れ残ると値引きをしてレンタカー会社に販売していたため、収益性が低下していた。2018年4月に発表された計画では、乗用車販売からほぼ撤退という思い切った方針を示した。FCA USは2016年に北米での乗用車販売からほぼ撤退しており、GMも欧州のOpelをPSAに売却するなど、競合企業は既に低採算事業を整理しているため、Fordも迅速な改革に乗り出すと見られる。

Fordの米国におけるモデル別販売台数 Ford Ranger
2019年に発売予定のFord Ranger

北米での乗用車ラインアップ計画

廃止予定 C-Max  FocusベースのコンパクトMPV。HVとPHVのみを販売していたが、2017年型でPHVが、2018年型でHVが廃止。
Fiesta  サブコンパクトセダン/5ドアハッチバック。メキシコCuautitlan工場での生産は2019年に終了し、北米での販売も終了する。7代目FiestaはドイツCologne工場でのみ生産され、欧州、中東、アフリカのみで販売される予定。
Taurus  フルサイズセダン。現行型で廃止予定。
Fusion  中型セダン。Lincoln MKZ、欧州Mondeoの姉妹車。2020年までメキシコHermosillo工場で生産後、廃止する予定。
Focus  コンパクトセダン。ミシガン工場での現行車の生産は2018年5月に終了。北米でのFocusセダンの販売は終了する。
継続 Focus Active  クロスオーバー風ワゴン。中国で生産され、2019年に北米で発売予定。
Mustang  Fordの旗艦モデルとなるスポーツカー。ミシガン州Flat Rock工場で生産。
開発中 white space
と称するモデル
 乗用車とユーティリティ車の要素を組み合わせた新しいシルエットの車。車高が高く、広いスペースを擁し、多機能。

 

北米でのライトトラックラインアップ計画

2020年の比率  2020年までに北米におけるトラックとSUVの販売比率を総販売台数の70%から86%に拡大する。
2020年までのSUV  現行の6車種から8車種へ拡大する。EV以外は全車種がHVを設定する。
投入予定

Ranger  中型ピックアップトラック。2018年末にミシガン州のMichigan Assembly工場で生産開始し、2019年初頭に発売予定。2.3L EcoBoostエンジンに10速ATを組み合わせる。2011年型で廃止となったコンパクトピックアップRangerの名称を復活させる。
Bronco  フレーム付きの中型オフロードSUV。2020年にMichigan Assembly工場で生産開始予定。1996年に廃止となったBroncoのモデル名を復活させる。
新型Escape  コンパクトクロスオーバーSUV。Lincoln MKC、欧州Kugaの姉妹車。2019年型として投入予定。ケンタッキー州Louisville工場で生産。
新型Lincoln MKC  コンパクトクロスオーバーSUV。Ford Escapeの姉妹車。2019年型として投入予定。ケンタッキー州Louisville工場で生産。
新型Explorer  3列シート7人乗りのフルサイズクロスオーバーSUV。2019年型として投入予定。イリノイ州Chicago工場で生産。
コンパクトクロスオーバー  EcoSportとEscapeの中間に位置する。2020年以降にメキシコHermosillo工場で生産すると報じられている。
Lincoln Aviator  3列シート後輪駆動の高級ミッドサイズSUV。2019年に投入予定。次期Explorerとプラットフォームを共用。ツインターボエンジンを搭載したPHVを設定。2005年に廃止したAviatorのモデル名を復活させる。
Mach 1  Mustangを想起させる高性能EV SUV。2020年に投入予定。

 

米国工場の生産計画

Michigan Assembly 工場   2018年5-10月に閉鎖し、2019年型Rangerおよび2020年型Bronco生産に向けて8.5億ドルを投資して設備更新を行う。これまで生産していたFocusとC-Maxは5月末に生産を中止。
Flat Rock工場   新型EV SUVを生産する予定だったが、自動運転HVの生産を行うため、EV SUVの生産はメキシコのCuautitlan工場で行う。自動運転HVは2021年に市場投入され、Fordのフリート自動運転車両となる計画。9億ドルを投資して、新型車の生産能力を増強する。

 

メキシコ工場の生産計画

San Luis Potosi工場 米国内での雇用の拡大に注力するトランプ大統領の意向に配慮し、2017年7月に工場建設を撤回。San Luis Potosi州に6,500万ドルの違約金を支払う。
Hermosillo工場 Focus生産をMichigan Assembly工場から移管する計画はとりやめ。2020年までFusionとLincoln MKZの生産を2シフトで継続。2020年以降にコンパクトSUVまたはクロスオーバーを生産すると報じられている。
Cuautitlan工場 Fiestaの生産は2019年に終了予定。新型EV SUVは米ミシガン州のFlat Rock工場で生産される予定だったが、自動運転HVの生産を行うため、Cuautitlan工場で生産される予定。
Irapuato
トランスミッション工場
12億ドルを投資し、Getrag社との合弁工場敷地内に新工場を建設。2017年7月から稼働開始。当初は600人で1シフトだったが、2018年中に1,200人で2シフトとする予定。年間80万基を生産する計画。

 

Fordのlight vehicle米国販売台数

2014年 2015年 2016年 2017年 2017年
1-5月
2018年
1-5月
Fordブランド 乗用車 762,545 760,039 653,300 555,838 242,150 211,902
ライトトラック 1,614,296 1,741,816 1,834,187 1,908,203 778,019 789,540
合計 2,376,841 2,501,855 2,487,487 2,464,041 1,020,169 1,001,442
Lincolnブランド 乗用車 42,169 37,778 40,746 39,552 17,467 11,783
ライトトラック 52,305 63,449 70,978 71,607 29,595 28,952
合計 94,474 101,227 111,724 111,159 47,062 40,735
Ford Motor合計 2,471,315 2,603,082 2,599,211 2,575,200 1,067,231 1,042,177
Fordシェア 15.0% 14.9% 14.8% 14.9% 15.3% 14.7%
米国
Light Vehicle
乗用車 7,749,432 7,566,668 6,895,771 6,120,774 2,599,176 2,261,684
ライトトラック 8,773,231 9,916,173 10,657,658 11,125,098 4,382,632 4,804,611
合計 16,522,663 17,482,841 17,553,429 17,245,872 6,981,808 7,066,295

 

乗用車とライトトラックの比率

2014年 2015年 2016年 2017年 2017年
1-5月
2018年
1-5月
Ford Motor 乗用車 32.6% 30.6% 26.7% 23.1% 24.3% 21.5%
ライトトラック 67.4% 69.4% 73.3% 76.9% 75.7% 78.5%
米国
Light Vehicle
乗用車 46.9% 43.3% 39.3% 35.5% 37.2% 32.0%
ライトトラック 53.1% 56.7% 60.7% 64.5% 62.8% 68.0%

資料:Automotive News



電動化への投資を45億ドルから110億ドルへ引き上げ

  Fordが2018年1月に発表した電動化計画によると、2015~2022年に電動化に投資する額を45億ドルから110億ドルに引き上げ、世界で16車種のEVを含む40車種の新型電動車両を投入する。Mustangを想起させるMach 1 という名の高性能EV SUVは、2020年に投入される計画。2020~2022年にはF-150やExplorerなど量販車種のHVを投入する。

 

Fordが計画する主な電動車両

自動運転車HV  ライドシェアリング向け。2021年に投入予定。Flat Rock工場で生産する。
Mach 1  Mustangを想起させる高性能EV SUV。2020年に投入予定。航続距離は300マイル以上。
量販車種 Hybrid  F-150、Mustang、Explorer、Escape、Bronco等のHV。2020-2022年に投入予定。
Transit Custom
Plug-in Hybrid
 欧州で販売する商用バンのPHV仕様。2019年に投入予定。
Police Responder HV  Fusionベースの警察用車両HVセダン。2017年10月に販売開始。メキシコHermosillo工場で生産し、米イリノイ州のChicago工場で警察用に仕上げている。
低価格の小型EV乗用車  衆泰汽車と合弁で生産する。2019年9月より浙江省の新工場で生産開始予定。

 

Renault・日産、Daimler、FordはFCV商用化の共同開発を凍結

  2018年6月、Renault・日産アライアンスは、DaimlerおよびFordと共同開発する燃料電池車(FCV)の商用化を凍結する方針を固めた。3社は2013年にFCVの共同開発で提携していたが、FCVは車両コストが高く、水素スタンド等のインフラ整備も遅れており、普及が進んでいない。同アライアンスは、EVを次世代車の主力に位置づけるとし、今後はEVに経営資源を集める。一方、FordとDaimlerはこれに先立ち、FCVの合弁事業を解消することを明らかにした。FCVの開発は個別に進める方針だが、今後はEVの開発に注力する見通し。


モビリティと自動運転車の事業で提携拡大

  Fordのモビリティ部門は、2018年に事業拡大を加速化し、様々なモビリティ商品やサービスを世界の個人顧客、フリート顧客、都市に提供することを目指す。都市の交通インフラの提供を目指し、買収や提携でソフトウェアの開発者を集めている。2018年1月には、都市交通の効率化支援を手掛ける新興テクノロジー企業のAutonomicとTransLocを買収。都市内移動の需給調整をするクラウドサービスに両社の技術を組み込む計画。

  自動運転車に関する事業については、Fordは他社との提携を通じ、拡張可能な基礎技術と、革新的で強固なビジネスモデルを結び付けることによって進めるとしている。2021年にSAEレベル4の自動運転車の市場導入を目指し、自動運転車ビジネスを複数の都市で構築して行く。

FordとDomino's Pizzaによる自動運転車ピザ配送実験 (資料:Ford) Fordの非救急医療輸送サービス Go Ride (資料:Ford)



モビリティ関連のパートナーシップ

Lyftと提携  2017年9月、自動運転車両の市場導入に向けて、配車サービスのLyftと提携。将来はLyftとFordのプラットフォームがつながり、必要に応じてLyftのアプリでFordの自動運転車が配車されることを目指す。現在はドライバーが運転するFordの車両を使用して、両社のプラットフォームのインターフェースの適合性を調査している。
Autonomicを買収  2018年1月に買収。輸送ソリューションの評価、アーキテクチャー、活用を専門とする新興テクノロジー企業。都市内移動の需給調整を行うTransportation Mobility Cloudプラットフォームを確立するとともに、Ford Smart Mobility LLC内に設立された新規事業開発チーム「Ford X」の土台となる。
TransLocを買収  2018年1月に買収。都市が所有する小規模輸送ソリューションのための需要対応技術のプロバイダー。Fordのモビリティマーケティンググループに組み込まれる。
衆泰汽車と合弁会社  子会社のFord Smart Mobilityは2018年5月、衆泰汽車とフリート車両の配車サービスの合弁会社を設立するMOUを締結した。折半出資で浙江省に合弁会社を設立し、EV生産を行う合弁会社、衆泰Fordと連携して、浙江省でEVのリース、データを活用したフリート管理ソリューション、車載デジタルサービス、コネクティビティ、車両のカスタマイズ等のサービスを提供する。

 

モビリティ事業の拡大

Chariotシャトルサービス  2018年1月、オハイオ州Columbus市にSmart Columbusイニシアティブの一環として、JPMorgan Chaseをパートナーとし、Chariotシャトルサービスを導入した。Chaseの約400人の従業員に対し、6つのルートのシャトルサービスを提供。マイカー通勤を減らして交通渋滞を緩和し、従業員の生活の質を向上させている。
 Chariotシャトルサービスは2018年6月現在、Austin、Chicago、Columbus、Los Angeles、Seattle、San Francisco Bay Area、New York City および英国Londonの8都市で展開。企業向けのシャトルの数は2017年比400%増。
GoRide医療モビリティサービス  GoRideは子会社のFord Smart Mobilityが展開する非救急医療輸送サービス。ミシガン州DetroitのBeaumont Health医療施設と提携し、専門的な訓練を受けたドライバーがミニバンTransitで患者を輸送するサービスを提供。現在15台のTransitを2018年末までに最大60台に増やす予定。
子会社Canvasの事業拡大  2018年2月、Fordは金融子会社Ford Motor Credit Company傘下のモビリティサービス新興企業であるCanvasの事業を拡大すると発表。定額制のレンタカーサービスをSan FranciscoとLos Angeles西部で営業しているが、2018年にプラットフォームを拡大し、より多くの顧客のニーズに対応する計画。起業後1年弱で会員数は600名超。

 

自動運転車関連のパートナーシップ

Argo AI に出資  2017年2月、AIを開発するArgo AIとの提携を発表。5年間で10億ドルを出資し、自動運転ソフトの開発で協力する。Argo AIはミシガン州DearbornおよびAnn Arbor、ペンシルバニア州Pittsburghで実施した自動運転車の走行実験に、30台超のFusionを導入した。
 Argo AIは2017年10月、3DレーザーLiDARを開発するPrinceton Lightwaveを買収した。同社の技術が悪天候時や高速運転時の物体認識で、Argo AIの自動運転システムを補完するとしている。
Qualcommと提携  2017年10月、スマートフォン向け半導体大手のQualcomm、AT&T、Nokiaと共にカリフォルニア州San Diegoの実験場でCellular Vehicle to Everything (C-V2X) 技術試験を開始。自動車の安全性のサポート、自動運転および交通効率へのC-V2X技術の適用を実証する。C-V2X技術は自動車と他の自動車、歩行者、信号機などの道路インフラと直接通信することで、道路の安全性を保持するワイヤレス技術。
Domino's Pizzaと提携  2017年8月、FordはDomino's Pizzaと提携し、自動運転調査車Fusionを使用したピザ配送で顧客の反応を調査。顧客はGPSを通して配送車両を追跡でき、車両が近隣に来ると、Domino'sのヒートウェイブコンパートメントのロックを解除するコードをメールで受信する。
Postmatesと提携  2018年1月、買物・宅配代行サービスのPostmatesと提携。Postmatesはレストランやホームセンター、食料品店等からオンデマンド・デリバリーサービスを手掛けている。FordとPostmatesは自動運転技術による宅配の変化、新規顧客の獲得方法、コミュニティ内での商取引の変化などを検証する実験を実施する。


中国市場での成長計画:2025年までに50車種の新型車を投入

  Fordは2017年に中国市場で前年比6.9%減の113.2万台を販売し、持分利益は36.3%減の9億1,600万ドルにとどまった。市場シェアは前年より0.4%ポイント減り、4.2%となった。同年12月、Fordは2025年までの中国での成長計画を発表。中国での売上を2017年比50%増とするため、50車種超の新型車を投入するほか、衆泰汽車と合弁で低価格の小型EVも生産する。また、2018年4月には、販売網を一本化する計画も発表した。

  中国市場では、米政権との貿易戦争が懸念されている。2018年6月、トランプ米政権は中国の知的財産権の侵害に対し、7月から500億ドル分の中国製品に25%の制裁関税を課すと表明。中国は即座に、同じ500億ドル分の米国製品に25%の報復関税を課すと発表した。両国とも関税の対象に自動車も含めている。米国は中国の報復関税に対し、追加関税を課すとも表明している。

 

中国市場の計画:2025年までにSUV8車種、電動車15車種を投入

今後の計画  2017年12月の発表によると、2025年までに50車種超の新型車(FordおよびLincolnブランドのSUV8車種、電動車15車種を含む)、衆泰Fordの低価格のEVシリーズを投入。2019年にLincolnブランドの高級SUV、グローバル向け小型SUVのEV等、5モデルの生産を開始。2019年末までに中国で販売する全ての新車に通信機能を搭載する。Fordは百度のアポロ計画に参加しており、自動運転技術の開発も進める。2025年までに中国での売上を2017年比50%増とする計画。
販売網を一本化  2018年4月、Fordは中国での販売網を一本化すると発表。Ford National Distribution Services Division in China (NDSD) を新設し、複雑な合弁会社とそのディーラー網に置き換える。これにより、中国のFordディーラーは、どの会社が生産したかにかかわらず、現地生産車も輸入車も含めてFordのフルラインアップを顧客に提供することができるようになる。
衆泰Fordが
新工場建設
 2017年11月、Fordと衆泰汽車は、EVを製造販売する折半出資の合弁会社、衆泰Fordを設立。投資額は50億元。小型EV乗用車を生産するため、浙江省に年産10万台の新工場を建設中。2019年9月に生産開始予定。


連結業績:2018年の売上高は小幅増、1株当たり利益は前年を下回る1.45-1.70ドルの見込み

  Fordは2018年から透明性の向上と業界慣習に合わせるため、決算報告において調整後税前利益(Adjusted pre-tax results)の代わりに調整後EBIT(金利税引前利益)を使用。セグメント分けは「自動車事業、金融部門、その他」から「自動車事業、モビリティ、Ford Credit、その他」に変更した。従来は自動車事業に含められていた自動運転車事業を、2018年からモビリティに含めている。

  Fordの2018年第1四半期の売上高は前年同期比7%増の420億ドル、調整後EBITは13%減の21.9億ドル、純利益は9%増の17.4億ドル。純利益が増加したのは、主に米国の法人税の引き下げ効果による。2018年通年の業績見通しは、売上高は小幅増収、調整後1株当たり利益は1.45-1.70ドルで、2017年の1.78ドルを下回る見込み。

 

Fordの連結業績

2014年 2015年 2016年 2017年 2017年
1-3月
2018年
1-3月
卸売台数(1,000台) 6,323 6,635 6,651 6,607 1,703 1,662
売上高(10億ドル) 144.1 149.6 151.8 156.8 39.1 42.0
自動車事業営業利益率 4.6% 6.8% 6.7% 5.0% 6.4% 5.2%
全社税前利益(100万ドル) 7,293 10,800 10,375 8,437 2,520 2,185
(内)自動車部門 5,499 8,772 9,422 7,259 2,175 1,732
(内)金融部門 1,794 2,028 1,879 2,310 481 641
純利益(100万ドル) 5,665 7,182 4,596 7,602 1,592 1,736

資料:Ford Earnings Review, Annual Report
(注)Fordは2018年1月より業績の指標として税前利益に代えてEBIT(支払金利税引前利益)を採用したため、上表の2017年1-3月と2018年1-3月の全社税前利益は全社EBITを、自動車事業営業利益率は自動車事業売上高EBIT率を示す。

 



LMC Automotive生産予測:Ford Groupの生産台数は2021年に660万台となる見込み

LMC Automotive、2018年4月)

Ford Groupのライトビークル生産予測

  LMC Automotive社の予測(2018年4月)によると、Ford Groupの世界でのライトビークル生産は2018年に前年比0.1%減の631万台となる見込み。北米・南米での生産は減少するが、欧州とアジアでは増加する。特に、インドでの生産は前年より24.3%増加する見通し。LMC Automotiveは、Fordの世界生産は2019年に前年より0.8%減少するが、2020年には増加に転じ、2021年には2018年比4.7%増の660万台に達すると予測している。

  米国での生産は、2018年に前年比5.0%減の228万台となる見込み。Michigan Assembly工場での生産モデル切り替えの影響で、生産が減少する。同工場では、2018年11月から開始する中型ピックアップトラックのRanger生産のため、Focus生産を中国へ移管し、C-Maxを廃止する。この切り替えのため、同工場は4カ月間操業中止となる。LMC Automotiveは、Fordの米国生産は2019年に前年比4.1%減少するが、2020年以降は増加に転じ、2021年には2018年比1.9%増の233万台と予測している。

  Ford Groupのメキシコでの生産は、2018年に前年比8.0%減、2019年に28.1%減となる見込み。トランプ政権の政策に関連するリスクは、以前より減ったとは言え、NAFTAの再交渉や鉄鋼・アルミニウム製品に対する追加関税を巡るリスクなど、まだ継続している。そのため、メキシコへ投資しようとする企業の意欲は引き続き抑えられている。また、メキシコでの生産は乗用車が中心であることも、生産の見通しが振るわない要因となっている。Fordは2019年に新型のコンパクトHVおよび小型SUVを投入する計画で、2020年にはこれらの車種のフル生産を開始する。一方、Fusionの生産は2021年に中国へ移管する。その結果、LMC Automotiveの予測によると、Fordのメキシコでの生産は2020年に前年比89.0%増の39万台となるが、2021年には35万台に減少する見込み。これは、2018年比で22.1%増である。

 

Ford Groupのライトビークル生産予測 (LMC Automotive, 2018年4月)

(台)

COUNTRY GLOBAL MAKE 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021
Ford Group  Ford 6,267,285 6,158,751 6,135,787 6,149,773 6,075,447 6,222,097 6,375,646
Lincoln 131,530 166,034 181,225 158,410 183,731 212,429 226,256
Troller 1,683 1,389 1,726 1,873 2,035 2,468 2,570
Total 6,400,498 6,326,174 6,318,738 6,310,056 6,261,213 6,436,994 6,604,472
USA Ford 2,380,801 2,306,925 2,311,857 2,206,592 2,096,609 2,120,263 2,222,929
Lincoln 59,928 71,382 91,592 77,525 93,289 107,407 104,578
USA sub-total 2,440,729 2,378,307 2,403,449 2,284,117 2,189,898 2,227,670 2,327,507
China Ford 945,380 1,007,647 928,953 900,468 988,828 1,000,587 1,012,253
Lincoln 0 0 0 0 19,398 49,919 84,050
China sub-total 945,380 1,007,647 928,953 900,468 1,008,226 1,050,506 1,096,303
Germany Ford 752,848 678,965 634,019 707,610 728,306 617,885 590,026
India Ford 171,820 242,548 268,706 333,892 372,228 372,983 413,284
Spain Ford 388,436 395,688 417,033 384,997 354,909 373,768 358,590
Mexico Ford 397,594 348,241 272,706 253,252 178,534 374,871 350,077
Lincoln 36,158 42,287 39,087 33,489 27,706 14,849 0
Mexico sub-total 433,752 390,528 311,793 286,741 206,240 389,720 350,077
Turkey Ford 323,666 328,887 367,005 373,014 354,372 350,366 347,818
Brazil Ford 238,780 163,731 249,113 243,329 251,858 244,696 245,118
Troller 1,683 1,389 1,726 1,873 2,035 2,468 2,570
Brazil sub-total 240,463 165,120 250,839 245,202 253,893 247,164 247,688
Romania Ford 47,967 38,849 49,771 107,774 126,472 192,619 228,649
Canada Ford 165,245 219,129 203,608 197,901 187,465 171,529 161,357
Lincoln 35,444 52,365 50,546 47,396 43,338 40,254 37,628
Canada sub-total 200,689 271,494 254,154 245,297 230,803 211,783 198,985
Thailand Ford 138,473 166,148 185,216 179,962 156,364 155,776 182,697
South Africa Ford 72,398 84,577 91,344 90,715 96,560 97,308 96,494
Russia Ford 38,616 44,504 53,437 61,287 68,360 61,476 81,107
Argentina Ford 90,338 68,281 70,464 69,974 71,161 45,010 38,200
Taiwan Ford 19,510 16,270 17,559 20,257 20,755 21,162 23,260
Vietnam Ford 12,047 14,268 11,457 14,094 15,963 14,982 16,458
Nigeria Ford 747 2,439 3,372 3,891 4,252 4,453 4,503
Venezuela Ford 3,717 2,059 167 687 2,366 2,278 2,742
Malaysia Ford 112 19 0 77 85 85 84
Australia Ford 29,503 16,958 0 0 0 0 0
Poland Ford 48,893 12,618 0 0 0 0 0
Belgium Ford 394 0 0 0 0 0 0

Source: LMC Automotive "Global Automotive Production Forecast (April 2018)"
(注) 1. データは、小型車(乗用車+車両総重量 6t以下の小型商用車)の数値。
2. 本表の無断転載を禁じます。転載には LMC Automotive 社の許諾が必要になります。
モデル別やパワートレインタイプ別等のより詳細な予測データのご用命、お問い合わせはこちらのページへ


------------------
キーワード
Ford、フォード、北米、ピックアップトラック、SUV、電動化、EV、自動運転、モビリティ、Lyft

<自動車産業ポータル マークラインズ>