OEM各社の電動化戦略:EV・PHVのラインアップ拡充を加速

BMW、Daimler、VW、Renault・日産・三菱、PSA、Teslaの動向

2018/03/26

要約

  世界各国で環境規制の強化が進む中、主要自動車メーカーは電動化戦略を発表。各社とも2022~2025年を目途に電動車のラインアップ拡充や、EVの投入目標を掲げている。

  本稿では、BMW、Daimler、VW、Renault・日産・三菱、PSA、Teslaについて、グループごとに電動車拡充方針・投入計画の概要、主なEV・PHVのラインアップを取りまとめ、電動化に関するロードマップを編集した。また、MarkLinesモデル別販売台数データをもとに、主な電動モデルの販売台数実績(2015~2017年)を集計した。

  ドイツ3社は既存車種にPHVやEVを設定して販売しており、2018年以降はEVのラインアップ拡充を加速する。Renault・日産・三菱は中核モデルの日産LEAF、Renault ZOE、三菱Outlander PHEVの新型モデルを順次投入。今後はEV専用の共通プラットフォームを採用していく方針。PSAも新たに開発する電動車用プラットフォームを採用してEV・PHVを投入していく。ラグジュアリーEV市場で先行するTeslaは、Model 3を発売して手頃な価格(affordable)のEVも量産化。さらに商用車も含めたEVラインアップの拡充を進める。

  レポート巻末にはLMC Automotiveによる電動車のグローバル市場予測(2017年下期)を掲載した。ライトビークルの世界販売台数に占める内燃機関車(IC Only)の割合は、2018年の9割超から2025年に7割程度に低下する。一方で、電気自動車(BEV)と48Vシステムのマイルドハイブリッド車(MHEV)は顕著な増加が見られる。

  次稿では、トヨタ、ホンダ、現代・起亜、GM、Fordについて、電動化戦略の概要を掲載する予定。


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電動車の市場予測について、全世界の国別、モデル別予測データ(~2027年)もご案内しております。



OEM各社、EV・PHV投入を加速

OEM各社の電動化に関するロードマップ

OEM各社の電動化に関するロードマップ
資料:各社発表、各種報道より作成 (2018年3月時点)

 

  ドイツ3社は既存車種にPHVやEVを設定して市場投入しており、2018年以降はEVラインアップの拡充を加速する。各社ともEVの投入目標を掲げており、BMWグループは2025年までに25車種の電動車をラインアップ、うち12車種をEVとする方針。Daimlerグループは2022年までに10車種、VWグループは2025年までに30車種以上のEVを投入する方針。

  Renault・日産・三菱は、それぞれの中核モデルを軸にEVの進化を図る。EV市場の主力車種、日産LEAFとRenault ZOEの新型モデルや、SUVの電動車として販売好調な三菱Outlander PHEVの新型モデルを導入。EV専用の共通プラットフォームについては、2020年までに実用化、2022年までにEVの70%に採用する方針。PSAも新たに開発する電動車用プラットフォームで2021年までにPHVを7モデル、EVを4モデル発売する計画。

  ラグジュアリーEV市場で先行するTeslaは、Model 3発売に続き、コンパクトSUVのModel Yを導入する計画で、手頃な価格(affordable)のEV量産も進める。さらに、セミトラックトレーラー、ピックアップトラック、ミニバスなど、EVラインアップを拡充していく方針。

 



BMW:2025年に25車種の電動車をラインアップ、電動車専用の iシリーズを展開

Strategy Number One > Next

  BMWは2016年3月、EVと自動運転技術の開発に注力する「Strategy Number One > Next」計画を発表。2025年までにプラグイン電動車の販売台数がBMWとMINIブランドの総販売台数のうち15~25%を占めると予測。2017年フランクフルトモーターショーでは、2025年に12車種のEVを含む25車種の電動車両をラインアップすると発表した。全モデルをEV・PHVに対応可能なフレキシブル車両構造とし、ICE(内燃機関)車、EV、PHVを同一ラインで生産できる体制を構築する。

 

BMW iシリーズ、MINIブランドを中心にEV・PHVラインアップを拡充

  BMWはサブブランド iシリーズで電動車のラインアップを拡充している。欧米市場を中心に、小型EV i3をはじめ、PHVスポーツカー i8を展開。2021年には自動運転レベル3を備え、次世代の電動化技術を採用するEV、iNEXTを発売する予定。また、次世代のBMW X3とMINIの各モデルをEV化する計画。

 

BMW i シリーズ
i3   2017年型で33kWh/94Ahの電池を追加。2017年11月にスポーツタイプの「i3s」を発売。
i8   2018年5月にi8 Roadsterを発売予定。
iNext   自動運転技術とデジタルコネクティビティを備えるEV。2021年発売予定。
i Vision Dynamics   2017年フランクフルトモーターショーで発表、電動車の将来モデルを例示したコンセプトカー。BMW i3とi8の間に位置づけられ、フル充電での航続距離は600km。2021年に発売見込み。

 

MINIブランド
Countryman Plug-in Hybrid   MINI 初のPHV。2017年6月に発売。
Electric Concept   2017年フランクフルトモーターショーで発表したMINI初のEV。量産モデルは2019年に発表予定。

 

BMW i Vision Dynamics concept MINI Electric Concept
BMW i Vision Dynamics concept MINI Electric Concept

 

BMWグループの電動モデル販売台数 (主要モデルを抜粋)

ブランド モデル セグメント EV/HV/
PHV/FCV
2015 2016 2017 主な販売国
BMW i3 B EV 21,707 23,675 27,863 米国、ノルウェー、ドイツ、英国
BMW 3 Series D PHV 98 9,445 13,769 英国、米国
BMW X5 SUV (Class E) PHV 1,862 11,118 10,682 米国、ベルギー、ノルウェー、英国
BMW 2 Series C PHV 165 5,652 10,105 ドイツ、ノルウェー、英国
BMW 5 Series E PHV - - 9,581 米国、英国、ドイツ
MINI Countryman SUV (Class C) PHV - - 3,950 英国、フランス、ベルギー、ノルウェー、米国
BMW 7 Series F PHV - 858 2,011 米国、英国、ドイツ、ベルギー
BMW i8 F PHV 5,288 3,637 1,616 米国、英国、ドイツ

出所:MarkLinesモデル別 年次販売実績データより作成

 

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Daimler:2022年までに10車種のEVを投入、PHV・FCVモデルも拡充

  Daimlerは2022年までに10車種のEVを投入し、世界販売の15~25%をEVで構成する計画。EV専用のサブブランド EQのラインアップを拡充。smartは2017年にEVを発売した。また、Mercedes-Benzブランドの各モデルにEV・PHV・FCVなどの電動車を設定する。

 

EV専用サブブランド Mercedes-Benz EQ

  Daimlerは2016年パリモーターショーでEV専用のサブブランド Mercedes-Benz EQを発表した。SUV、セダン、クーペおよび他の車両タイプに使用できるEV専用プラットフォームを開発する。将来のMercedes-BenzのEVはすべて、関連製品・サービスとともに、EQブランドで販売される。EQブランド車は、ドイツ、フランス、米国、中国で生産する。

Generation EQ Concept  2016年パリモーターショーで発表。新開発のEVプラットフォームを採用するSUVクーペ。量産モデルは2020年までに生産開始予定。
Concept EQA  2017年フランクフルトモーターショーに出展したEV。2019年に発売予定。
EQC  EQブランド初の量産モデル。2019年からドイツのBremen工場で生産開始予定。
smart vision EQ fortwo  2017年フランクフルトモーターショーに出展。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動)戦略が全面的な実行段階に入った未来の姿を提示。

 

Mercedes-Benz

  Mercedes-Benz乗用車は全てのモデルシリーズで少なくとも1車種は電動化バージョンを設定する。合計50車種の電動化バージョンを導入する計画。EVにはEQバッジをつける。

  商用バンでは、2018年後半に中型バンVito、2019年に大型バンSprinter、続いてRenault KangooのOEM供給車であるCitanのEVを設定する。

E350e  E-ClassのPHV。2017年に発売。
eVito  中型バンのEV。2018年後半に発売予定。
Concept IAA  2015年フランクフルトモーターショーに出展した4ドアクーペのコンセプトPHV。2018年に発売予定。
GLC F-Cell  2017年フランクフルトモーターショーで、燃料電池とプラグインハイブリッド技術を組み合わせた世界初の車両を発表。

 

smart

  欧州と米国では2020年からEVのみを発売する。

fortwo electric drive  smart fortwoのEV。2017年春に米国、欧州でクーペを発売、2017年夏にカブリオを発売。
forfour electric drive  smart forfourのEV。2017年春に欧州で発売。 

 

Mercedes-Benz GLC F-Cell smart vision EQ fortwo
Mercedes-Benz GLC F-Cell smart vision EQ fortwo

 

Daimlerグループの電動モデル販売台数 (主要モデルを抜粋)

ブランド モデル セグメント EV/HV/
PHV/FCV
2015 2016 2017 主な販売国
Mercedes-Benz GLC-Class
(GLK-Class)
SUV
(Class D)
PHV - 1,582 10,313 ノルウェー、ドイツ、フランス、ベルギー
Mercedes-Benz C-Class D PHV 3,869 5,915 5,236 ノルウェー、ドイツ、米国、英国
smart fortwo A EV 2,038 814 4,927 ドイツ、フランス、米国
Denza (騰勢) Denza (騰勢) C EV 2,958 2,287 4,713 中国のみ
Mercedes-Benz C-Class D HV 631 6,148 3,606 英国
Mercedes-Benz B-Class MPV EV 2,246 3,965 3,202 ノルウェー、米国、ドイツ
Mercedes-Benz E-Class E PHV - 1,137 2,887 英国、ドイツ
Mercedes-Benz GLE-Class
(M-Class/ML-Class)
SUV
(Class E)
PHV 63 1,463 1,642 米国、ドイツ、ノルウェー、ベルギー
smart forfour B EV - - 1,367 ドイツ、フランス
Mercedes-Benz S/CL-Class F PHV 274 1,314 1,144 米国、ドイツ、英国

出所:MarkLinesモデル別 年次販売実績データより作成

 

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VW:2025年までにEVを30車種以上、年販200~300万台目指す

Volkswagen Strategy 2025

  2016年6月、VWグループの中期経営戦略(Volkswagen Strategy 2025)の一環として、年間販売台数に対するEV構成比を20~25%に引き上げる目標を発表。2025年までに30車種以上のEVを投入し、同年までに年間200~300万台のEVを販売する計画。
  2018年3月には、2022年末までに世界16カ所で電動化車両の生産を行う計画を発表。現在は3カ所でEVを生産しており、今後2年間で9拠点にEV生産設備を導入する予定。

  2017年9月、VW単体では電動化車両の導入に今後5年間で60億ユーロを投資する計画を発表。2020年までに3モデル、2025年までに23モデルのEVを発売し、2025年に年間100万台のEV販売を目指す。
  2017年11月に発表したVWブランドの戦略「Transform 2025+」では、モジュラー生産の展開や、eモビリティ製品の市場投入に向け、2018~2022年に総額228億ユーロを世界各国の工場に投資する。EV生産の中核となるドイツZwickau工場に10億ユーロを充て、EV用に開発したMEBプラットフォームを使用するEVの量産化を目指す。

 

VW I.D.シリーズ

  VWの新世代EV、I.D.シリーズは、VWグループ共通のEV専用プラットフォーム、MEB (Modularer Elektrifizierungsbaukasten, Modular Electric Platform)を使用する。2020年にコンパクトカーのI.D.およびSUVのI.D. CROZZを発売する予定。欧州、中国、米国で同時期に発売する予定で、米国ではSUV、欧州ではコンパクトカーが最初の生産モデルになる。2020年のI.D.生産台数は10万台を見込んでいる。2022年にはマイクロバスのI.D. BUZZを発売、将来的にはセダンもラインアップに追加する予定。

I.D.  2016年パリモーターショーでEVのコンパクトコンセプトカー「I.D.」を発表。VWグループのMEBプラットフォームを採用。2020年に発売予定。
I.D. BUZZ  2017年デトロイトモーターショー2017に出展したマイクロバスのEV。2022年に発売予定。
I.D. CROZZ  2017年上海モーターショーにSUVのI.D. CROZZ、2017年フランクフルトモーターショーにI.D. CROZZ IIを出展。自動運転技術搭載のコンセプトEVで2020年に発売予定。
I.D. VIZZION  2018年ジュネーブモーターショーに出展。完全自動運転なのでステアリングホイールを装備せず、音声とジェスチャーによるコミュニケーションでAIに合図をしてAIが運転する。

 

Audi e-tronシリーズ

e-tron quattro concept  2015年フランクフルトモーターショーに出展したフルサイズSUVのEVコンセプト。2018年に発売予定。
e-tron Sportback concept  2017年上海モーターショーに出展したフルサイズセダンのコンセプトEV。2019年に発売予定。
Elaine  2017年フランクフルトモーターショーに出展。e-tron Sportbackデザインスタディを活かし、近い将来の自動運転レベル4を視野に入れたコンセプト。

 

Volkswagen I.D. Crozz II Audi e-tron quattro concept
Volkswagen I.D. Crozz II Audi e-tron quattro concept

 

VWグループの電動モデル販売台数 (主要モデルを抜粋)

ブランド モデル セグメント EV/HV/
PHV/FCV
2015 2016 2017 主な販売国
VW Golf C EV 4,700 10,393 15,817 ノルウェー、米国、ドイツ
VW Passat
(Santana)
D PHV 3,437 12,943 12,844 スウェーデン、ノルウェー、ドイツ、英国
Audi A3 C PHV 4,707 10,682 10,940 ドイツ、米国、ノルウェー
VW Golf C PHV 8,584 10,700 8,750 ノルウェー、英国、ドイツ
Porsche Panamera F PHV 504 878 3,667 ドイツ、ベルギー、英国
Audi Q7 SUV (Class E) PHV - 3,791 3,521 ノルウェー、ドイツ、ベルギー
Porsche Cayenne SUV (Class E) PHV 2,222 4,852 3,468 米国、英国、ベルギー
VW up! A EV 490 2,355 2,607 ドイツ、ノルウェー

出所:MarkLinesモデル別 年次販売実績データより作成

 

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Renault・日産・三菱: 2022年に世界販売1,400万台、電動車3割を目指す

アライアンス2022

  2017年9月、Renault、日産、三菱のアライアンスは、2022年に世界販売1,400万台、売上高2,400億ドルを目指す新6カ年計画「アライアンス2022」を発表。100%EVを12車種投入し、40車種へ自動運転技術を搭載するほか、無人運転車両による配車サービス事業への参画を目指す。EVでは新しいモーターと電池を開発し、アライアンスで共通化する。EV領域でリーダーの地位を強化する計画。

2020年までに ・複数のセグメントに展開可能なEV専用の共通プラットフォームを実用化。2022年までにはEVの70%が共通プラットフォームベースとなる。
・新たなEV用モーターおよび電池を投入し、アライアンスで共有。
2022年までに ・100%EVを12車種発売、日本、米国、中国および欧州市場において、全ての主要セグメントにEVを投入する。2022年のアライアンスの世界販売(1,400万台)のうち、約3割がEVを含む電動車両になる見通し。
・EVの航続距離600kmを達成(NEDCモード)。リチウムイオン電池のコストを30%削減(2016年比)
・15分の急速充電で走行可能な距離を2016年の90kmから230kmに拡大(NEDCモード)

 

Renault:ZOEやKangooなど主力EVの高出力化を推進

  Renaultはフランスなど欧州市場を中心に販売しているZOEやKangooなどの高性能車、高出力モデルを相次ぎ投入。最近のモーターショーではEVスポーツカーのTREZORやライドシェア用EVのEZ-GOを出展している。

ZOE  2017年ジュネーブモーターショーにZOEの高性能モデル「ZOE e-Sport Concept」を出展、0-100km/h(62mph)加速は3.2秒。
 ZOEの2018年モデルは80kWの電気モーター「R110」を搭載する。「R110」はDaimlerグループのsmartモデルにも供給する。
Kangoo Z.E.  2017年夏に33kWhのリチウムイオン電池搭載車「Z.E. 33」を発売。
TREZOR EV GT CONCEPT  2016年パリモーターショーで出展した2人乗りのEVツアラー。フォーミュラE マシンから派生したモーターを搭載。
EZ-GO  2018年ジュネーブモーターショーに出展。ライドシェア用のEVでレベル4の自動運転技術を装備する。

 

Renault ZOE e-Sport Concept Renault TREZOR EV GT CONCEPT
Renault ZOE e-Sport Concept
(ジュネーブモーターショー2017)
Renault TREZOR EV GT CONCEPT
(ジュネーブモーターショー2017)

 

日産M.O.V.E to 2022:新型LEAFを基盤に新たなEVを開発、e-POWERの採用拡大

  日産自動車は2017年11月に中期計画「日産M.O.V.E to 2022」を発表、2018年3月には同計画の一環として電動化戦略を発表した。2022年度までに100%電気自動車(EV)、e-POWER搭載車をあわせて年間100万台の販売を目指す。EVとe-POWER搭載車を含む電動駆動車の販売台数に占める割合が、日本と欧州で2022年までに40%、2025年までに50%、米国では2025年までに20~30%、中国では35~40%になると見込んでいる。具体策として下記の内容をあげている。

  • 新型LEAFを基盤にEVを新たに8車種開発
  • 中国で各ブランドによるEVの積極投入
  • 日本に軽自動車のEVを投入
  • IMxコンセプトカーから発想を得たグローバルなクロスオーバーEVを投入
  • 2021年度以降投入するInfinitiの新型車を電動駆動化

 新型LEAFで培った技術を生かしたCセグメントのEV、AセグメントSUVプラットフォームをベースに手頃な価格で投入するEV、Venucia (啓辰)ブランドから2車種の派生型EVなどを計画。また、日本のNoteおよびSerenaに搭載しているe-POWER技術を拡大採用していく。Infinitiは2021年度以降に発売する新型車両をEVもしくはe-POWER搭載車にし、2025年までにグローバル販売台数の半数以上が電動駆動車になると見込んでいる。

 日産はすでにLEAFの進化をEV開発の主軸とし、高出力化、航続距離の延長を実現するとともに、自動運転技術などの装備を充実させている。また、シリーズハイブリッドシステム「e-POWER」を搭載したNoteやSerenaを日本で発売し、電動駆動車の販売台数を大幅に増加させた。今後はe-POWER向けの発電専用エンジンを開発し、熱効率50%を目指す。EVクロスオーバーコンセプトのIMxには高度自動運転技術を組み合わせている。

LEAF  2017年10月に新型LEAFを発売。自動運転技術「ProPILOT」、自動駐車技術「ProPILOT Park」、アクセルペダルの操作だけで発進、加速、減速、停止までを制御できる「e-Pedal」を採用。
 2017年東京モーターショーでは高性能モデルのコンセプト車Leaf Nismo Conceptを出展。2018年後半に投入する計画。
Note e-POWER  2代目Noteの「e-POWER」バージョンで2016年11月に発売。同年12月には高性能モデルのNote e-POWER NISMOを追加。
Serena e-POWER  Noteに搭載した「e-POWER」をSERENAに設定し、2018年3月に発売。
IMx  2017年東京モーターショーに出展した高度自動運転技術を搭載するEVクロスオーバーコンセプト。充電1回あたりの走行距離は600km以上。2018年ジュネーブモーターショーでは外観を一新した「IMx KURO」を出展。脳波測定による運転支援技術「Brain to Vehicle(B2V)」を搭載する。

 

三菱:Outlander PHEVを軸に電動SUVのグローバル展開を推進

  三菱自動車は2016年10月からアライアンスに参加。ASEAN地域での販売拡大やSUVモデルの電動化で中核的な役割を担うと見られる。主力モデルのOutlander PHEVは特に欧州で販売が好調。2020年までにコンパクトSUV「Eclipse Cross」にもPHVを投入し、電動SUVのグローバル展開を積極的に進めていく。

Outlander PHEV  2018年夏に日本と欧州で改良型モデルを発売する予定。
eX Concept  2015年東京モーターショーに出展したコンパクトSUVのEVコンセプト。2020年に発売予定。
e-EVOLUTION CONCEPT  2017年東京モーターショーに出展したSUVのEVコンセプト。EV技術と四輪制御技術を融合・進化させ、新たにAI(人工知能)技術を搭載。

 

日産IMx 三菱e-EVOLUTION CONCEPT
日産IMx 三菱e-EVOLUTION CONCEPT

 

Renault・日産・三菱の電動モデル販売台数 (主要モデルを抜粋)

ブランド モデル セグメント EV/HV/
PHV/FCV
2015 2016 2017 主な販売国
日産 Note MPV EV (e-POWER) - 19,842 90,299 日本のみ
日産 Serena MPV HV 51,408 61,966 80,123 日本のみ
日産 Leaf C EV 39,813 48,772 45,914 日本、米国、英国、ノルウェー、フランス
Renault ZOE B EV 17,104 21,707 31,328 フランス、ドイツ、ノルウェー
三菱 Outlander SUV (Class D) PHV 23,080 25,961 22,828 英国、ノルウェー、日本、スウェーデン、ドイツ
日産 X-Trail SUV (Class C) HV 17,948 17,532 13,053 日本のみ
三菱 Delica D:2 分類不可 HV 460 7,543 7,250 日本のみ
日産 Murano (楼蘭) SUV (Class D) HV - 63 2,997 中国、韓国
Renault Kangoo 分類不可 EV 69 3,001 2,836 フランス
日産 NV200 分類不可 EV 906 1,985 2,473 英国、フランス
Renault三星 SM3 C EV 1,043 623 2,014 韓国のみ
Infiniti Q50 D HV 4,295 2,607 1,662 米国、韓国
日産 Skyline D HV 3,185 2,139 1,620 日本のみ
日産 Rogue SUV (Class C) HV - - 1,066 米国のみ
Renault Twizy 分類不可 EV 25 42 739 韓国
三菱 i-MiEV A EV 1,124 817 694 ノルウェー、日本、フランス
日産/Infiniti Fuga/Q70 E/F HV 1,784 1,111 637 日本、米国
日産 Pathfinder SUV (Class D) HV 2,245 816 389 米国のみ
Infiniti QX60 (JX) SUV (Class E) HV 2,357 1,115 298 米国
Venucia (啓辰) Venucia (啓辰) C EV 1,127 1,916 4 中国のみ

出所:MarkLinesモデル別 年次販売実績データより作成

 

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PSA:2021年までにPHV 7モデル、EV 4モデル発売へ

  PSAは2016年5月にEV化戦略を発表。2種類の電動車用プラットフォームを開発し、2019年から搭載車を投入する。2020年までに製品ラインアップの60%以上でCO2排出量を100g/km未満に低減、同年にCO2平均排出量91g/km達成を目指す。2021年までにPHVを7モデル、EVを4モデル発売する予定。

EMP2 Efficient Modular Platform
CおよびDセグメントのPHVを開発し、2019年から投入する。容量12~13kWhの駆動用電池を搭載し、EV走行距離60kmを目指す。
CMP Common Modular Platform
東風汽車と共同開発。EMP2プラットフォームよりやや小型のBおよびCセグメント車を対象とし、2019年から搭載車を投入する。電動車両用プラットフォーム「e-CMP」を開発し、2019~2021年にEV 4モデルを投入する。50kWhの電池を搭載し、1充填当たりの航続距離450kmを目指す。

 

  PSAはフランス国内を中心に小型車のEVを販売している。2017年にはパワートレインを共有するコンパクトバン、Peugeot PartnerおよびCitroen BerlingoのEVを発売。最近の展示会では、上記のEV専用プラットフォームを使用するPHVやEVのコンセプトカーを披露している。

 

Peugeot

Partner Electric  三菱自動車と共同開発した小型商用車のEV。2017年9月にパワートレインを共有する5人乗りコンパクトバンのEV「Partner Tapee Electric」を発売。
Quartz  コンパクトSUVのPHVコンセプト。EMP2プラットフォームを採用。2018年以降に発売予定。
FRACTAL  2015年フランクフルトモーターショーに出展したコンパクトEVのコンセプト。

 

Citroen

E-Berlingo Multispace  コンパクトバンBerlingoのEVで、2017年5月に発売。Partner Electricとパワートレインを共有。
Aircross concept  2015年上海モーターショーに出展したコンパクトSUVのコンセプトPHV。

 

DS

DS7 Crossback  2017年ジュネーブモーターショーに出展したDS7のPHV。2019年に発売予定。
DS E-TENSE  2016年ジュネーブモーターショーに出展したスポーツカーのEV。

 

Peugeot Quartz DS7 Crossback
Peugeot Quartz
(資料:PSA)
DS7 Crossback
(ジュネーブモーターショー2017)

 

PSAの電動モデル販売台数 (主要モデルを抜粋)

ブランド モデル セグメント EV/HV/
PHV/FCV
2015 2016 2017 主な販売国
Peugeot iOn A EV 890 1,893 1,503 フランス、ドイツ、ノルウェー
Citroen C-ZERO A EV 648 1,834 1,158 フランス、ドイツ、スペイン
Peugeot Partner 分類不可 EV - 485 1,038 フランス
Citroen Berlingo 分類不可 EV 5 306 646 フランス
Citroen E-Mehari A EV - 536 295 フランス
DS DS5 D HV - 530 189 フランス
Peugeot 508 D HV 23 1,496 149 フランス
Peugeot 3008 MPV HV 157 397 - フランス

出所:MarkLinesモデル別 年次販売実績データより作成

 

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Tesla:ラグジュアリーEVで先行、EVラインアップ拡充へ

  Teslaは2016年7月に発表した中期計画(Part 2)で、EVラインアップを拡充し、全ての主要セグメントに参入すると表明。2019年にModel 3ベースの新型コンパクトSUV、Model Yを投入する計画。2017年11月には、セミトラックトレーラーSemi(2019年投入予定)と、新型Roadster(2020年発売予定)の概要を発表。このほか、ピックアップトラックやModel Xのプラットフォームを使用するミニバスも投入する予定。

Model S  EVセダン、2012年発売。
Model X  Model SベースのSUV、2015年発売。
Model 3  EV量販車、2017年7月発売。
Model Y  新型コンパクトSUV、2019年投入予定。Model 3のプラットフォームを使用。
新型Roadster  2+2シートのスポーツカー、2020年発売予定。

 

  TeslaはModel S、Model Xを先行投入し、ラグジュアリーEV市場を開拓。北米および欧州市場を中心に同セグメントで圧倒的優位にある。2017年7月に手頃な価格(affordable)のModel 3を投入したが、生産工程の高度な自動化を進める中でバッテリーモジュールの生産がボトルネックとなり、生産ペースに遅れが生じている(2018年2月時点)。

Model 3 Model X
Model 3 (資料:Tesla) Model X

 

TeslaのEV販売台数

ブランド モデル セグメント EV/HV/
PHV/FCV
2015 2016 2017 主な販売国
Tesla Model S E EV 39,536 40,569 43,656 米国、ノルウェー、英国、ドイツ、オランダ、カナダ、スイス
Tesla Model X SUV (Class E) EV 208 22,821 35,334 米国、ノルウェー、英国、カナダ、オランダ、ドイツ
Tesla Model 3 D EV - - 1,771 米国
Tesla 不詳 分類不可 EV 4,096 89 400 ノルウェー、ニュージーランド、ルクセンブルク

出所:MarkLinesモデル別 年次販売実績データより作成

 

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Tesla Model 3 分解調査データの販売もご案内しております。

 



LMC Automotive予測:電動車のグローバル市場予測

  LMC Automotiveの販売予測(2017年下期)によると、乗用車*の世界販売台数は2018年に約8,700万台で、2025年には1億台を超える見通し。内燃機関車(IC Only)の占める割合は、2018年の9割超から2025年には約7割程度に低下すると予測している。 
 *北米のライトビークルおよびその他市場の乗用車

  電動車では、電気自動車(BEV)および48Vシステムのマイルドハイブリッド車(MHEV(48V))の増加が顕著で、プラグインハイブリッド車(PHEV)およびフルハイブリッド車(FHEV)も着実に増えていく見通し。

電動車のグローバル市場予測

PFCEV: Plug-in fuel cell electric vehicle プラグイン燃料電池車 PHEV: Plug-in hybrid electric vehicle プラグインハイブリッド車
FCEV: Fuel cell electric vehicle 燃料電池車 FHEV: Full hybrid electric vehicle ハイブリッド車
EREV: Extended range electric vehicle レンジエクステンダーEV MHEV(48V): Mild hybrid electric vehicle (48V) 48Vマイルドハイブリッド車
BEV: Battery electric vehicle 電気自動車 MHEV: Mild hybrid electric vehicle マイルドハイブリッド車
IC Only: Internal combustion only 内燃機関車

Source: LMC Automotive "Global Hybrid and EV Forecast (Second Half, 2017)"
(注) 1. データは、北米のライトビークルおよびその他市場の乗用車を含む数値。
2. 本図表の無断転載を禁じます。転載には LMC Automotive 社の許諾が必要になります。

電動車の市場予測について、全世界の国別、モデル別予測データ(~2027年)もご案内しております。

 


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