欧州市場:乗用車販売は1,500万台超、ディーゼル車は5割以下に減少
電動車の販売比率は5%以下、欧州メーカーはEV/PHVを増強へ
2017/08/28
- 要約
- 2016年の乗用車市場規模は1,500万台超、西欧で1,400万台、主要5カ国で1,100万台
- ディーゼル車の販売比率は5割以下に減少、販売禁止/乗り入れ規制導入の動き
- 電動車の販売比率は5%以下、EV/PHVなどの販売は伸びている
- ドイツ:ディーゼル車の販売比率は45.8%に減少、EV/PHVが増加
- 英国:経済減速で新車販売が低迷、ゼロエミッション車を優先
- フランス:ディーゼル車の販売比率は52.1%、カーボンニュートラルに向けEVを推進
- イタリア:新車販売は4年連続増加、ハイブリッド車が大幅増
- スペイン:新車販売は5年連続増加、ハイブリッド車が大幅増
- LMC Automotive 販売予測:西欧の販売台数は2020年まで1,600万台超を維持
要約
欧州自動車工業会(ACEA)によると、欧州29カ国(EU+EFTA)の2016年乗用車販売台数は前年比6.6%増の1,511.6万台。全体の9割以上を占める西欧18カ国(EU15+EFTA) の販売台数は5.9%増の1,396.9万台。ドイツ、英国、フランス、イタリア、スペインの5大市場で欧州全体の73%を占め、5カ国合計の販売台数は6.5%増の1,103.1万台だった。
2017年7月、英国およびフランスは2040年からディーゼル車/ガソリン車の販売を禁止する方針を表明した。2015年に起きたVWの排ガス不正問題を機に、欧州ではディーゼル車の排ガス性能に対する不信感が高まっており、主要都市でディーゼル車の乗り入れを規制する動きが出てきた。ディーゼル車の販売比率は近年低下傾向にあり、西欧市場では2015年の51.6%から2016年には49.5%となった。
欧州で電動車の販売伸び率は高いが、市場全体に占める割合は5%以下にとどまっている。2016年の西欧市場における電気自動車(BEV)の販売台数は前年比2.9%増の9.0万台、プラグインハイブリッド車(PHEV)は16.9%増の11.2万台、ハイブリッド車(HEV)は26.6%増の28.7万台。主要5カ国では、ドイツ、英国、フランスで電動車の導入が進んでいるが、イタリア、スペインではHEV販売が大幅に増加しているものの、BEV/PHEVの導入は遅れている。
ディーゼル車を多く販売してきた欧州メーカーは戦略転換を迫られ、電動車の投入計画を発表し、近年のモーターショーでは電気自動車やプラグインハイブリッド車のコンセプトカーや量産モデルが相次ぎ披露されている。
出所:欧州自動車工業会(ACEA)資料より作成 |
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