日産ノート 分解調査 (下)

スーパーチャージャーを採用したドライブユニット

2014/09/26

要 約

日産ノート
2014年8月22日に行われた日産ノート 粗分解の様子。
*写真はクリックすると拡大されます。

 公益財団法人 ひろしま産業振興機構 カーテクノロジー革新センターの主催で、2014年8月に日産ノートのベンチマーキング活動が行われた。MOD(Moving Object Detection;移動物検知)機能付アラウンドビューモニターやエマージェンシーブレーキ等の主要安全技術および先進運転支援システムについては「日産ノート 分解調査 (上)」にて報告した。

 本レポートは「日産ノート 分解調査 (下)」としてスーパーチャージャー、エンジン、副変速機付きエクストロニックCVTについて紹介する。スーパーチャージャーはエンジンまでの空気の流れと駆動方法に、エンジンは構成する各部品に重点を置く。CVTについては分解調査の写真に加え、2014年5月に開催された「人とくるまのテクノロジー展2014」でジヤトコが展示したカットモデルの写真を活用して報告する。



過去の分解レポート:

ホンダ アコードハイブリッド (2014年2月掲載)
  (上):PCUとシャシ関連部品
  (中): 電池関連部品と電動サーボブレーキシステム
  (下): ドライブユニット

ホンダ フィットハイブリッド (2013年12月掲載)
  (1) 電池関連部品と電動サーボブレーキシステム
  (2) エンジンとモーター内蔵7速デュアルクラッチトランスミッション

トヨタ アクア (2012年11月掲載)
  (1) 主要部品サプライヤーと電池関連部品
  (2) 燃費35.4km/Lを達成したハイブリッドシステム

日産 リーフ
  (1) 分解調査(2012年2月掲載)
  (2) 主要部品の分解展示報告 (2012年9月掲載)
  (3) カットボディーの展示取材報告(2012年11月掲載)

トヨタ プリウス (2010年3月掲載)
  プリウスの分解実験

エンジン  1.2L(1,198cc)直列3気筒直噴スーパーチャージャーガソリンエンジン (最高出力:72kW/98ps、最大トルク:142Nm/14.5kgf-m)、型式:HR12DDR、愛知機械工業製
スーパーチャージャー  四葉・ルーツ式スーパーチャージャー、Eaton製
 - 1.2L 3気筒エンジンは旧型ノートに搭載されていた1.5L 4気筒エンジンより小排気量なため、燃費は向上するが、走行性能は低下してしまう。そのため、スーパーチャージャーを搭載することで、1.5Lエンジンと同等の走行性能を確保している。
 - ターボチャージャーと比較した際のスーパーチャージャーの長所はアクセル開度に対する応答が早い、クラッチでオン/オフを切り替えられる、等がある。
CVT  副変速機付きエクストロニックCVT、ジヤトコ製

注) スーパーチャージャーはエンジンの動力でコンプレッサーを駆動するが、ターボチャージャーはコンプレッサーに繋がっているタービンを排ガスで回転させることで駆動する。



分解作業前

 

分解作業前 分解作業前
エンジンルームを上から見た写真。白矢印がROKI製のエアクリーナー、赤矢印がインテークマニホールド、青矢印が新神戸電機製のアイドリングストップ専用バッテリー、黄矢印が日立オートモティブシステムズ製のトランスミッションECU。緑矢印はエクセル製の樹脂吸気ダクトで、スーパーチャージャー用インタークーラー、インテークマニホールド、エアコントロールバルブを繋いでいる。 車両後方から床下を見た写真。白矢印がInergy Automotive Systems製の燃料タンク、赤矢印がフタバ製のプリサイレンサー、青矢印がフタバ製のサイレンサー、黄矢印が触媒コンバーター。燃料タンク、エキゾーストパイプの配置はプラットフォームを共有しているマーチと同じ配置になっている。

 

 



ドライブユニット

 

ドライブユニット
ドライブユニット ドライブユニット
ボンネットとバンパーが取り外されたエンジンルームを車両右側の前方から見た写真。白矢印がスーパーチャージャー用のインタークーラーで、赤矢印がエアコン用のコンデンサー。コンデンサーのエンジン側にはエンジン冷却用のラジエーターがある。インタークーラー、コンデンサー、ラジエーターは全てBehr製で、コンデンサーとラジエーターはインドで生産されている。青矢印は宮本警報器のクラクション用ホーン。 インタークーラー、コンデンサー、ラジエーターが取り外されたエンジンルームを車両正面から見た写真。ドライブユニットで白矢印が指している部分がジヤトコ製の副変速機付きエクストロニックCVT。エンジンにある赤矢印は三菱電機製のオルタネーター、青矢印は三菱電機製のスターターモーター、黄矢印はカルソニックカンセイ製のエアコン用コンプレッサー。
ドライブユニット ドライブユニット
エンジンルームから取り外されたドライブユニットを運転席側から見た写真。白矢印が指しているのはEaton製のスーパーチャージャー。赤矢印が指す銀色のカバーの内側にはエキゾーストマニホールドがある。青矢印が指す黒い樹脂製のダクトがスーパーチャージャーとスーパーチャージャー用インタークーラーを繋ぐROKI製のアウトレットダクト。 ドライブユニットを車両右側から見た写真。スーパーチャージャーのアウトレットダクトとエンジンの間には2種類のベルトがある。白矢印が指しているベルトはオルタネーター、コンプレッサー、エンジン冷却用ウォーターポンプを、赤矢印が指しているベルト(幅10mm)はスーパーチャージャーを駆動する。

 

 



スーパーチャージャー駆動時/非駆動時の空気の流れ

 

スーパーチャージャー駆動時 スーパーチャージャー非駆動時
スーパーチャージャー駆動時 スーパーチャージャー非駆動時
・青矢印は空気の流れ、赤色の線はドライブベルトを指す。
・加速力を重視する場合はスーパーチャージャーを駆動し、燃費を重視する場合はスーパーチャージャーを非駆動にする。
エアクリーナーから取り込まれた空気は、エアコントロールバルブが閉じられているので、スーパーチャージャーに流れる。スーパーチャージャーはドライブベルトでコンプレッサーを駆動し、空気を圧縮する。圧縮された空気はインタークーラーで冷却され、インテークマニホールドに流れていく。 エアクリーナーから取り込まれた空気はエアコントロールバルブが開いているので、インテークマニホールドに流れていく。スーパーチャージャーは電磁クラッチでドライブベルトとスーパーチャージャー用ベルトのプーリーを切り離し、スーパーチャージャーの駆動を止める。

 

 



スーパーチャージャー

 

スーパーチャージャー
スーパーチャージャー スーパーチャージャー
エンジンから取り外されたスーパーチャージャー。スーパーチャージャーは左写真の向きでエキゾーストマニホールドの上に搭載されている。右写真はスーパーチャージャーの裏側。スーパーチャージャーのハウジングはアーレスティ製。白矢印は愛三工業製のエアコントロールバルブ、赤矢印はEaton製のコンプレッサー(圧縮機)、緑矢印はコンプレッサーを駆動するプーリー、青矢印はGates製のベルトテンショナー。ベルトテンショナーのテンショナーベアリング(黄矢印)は日本精工の中国工場で生産されている。エアクリーナーから取り込まれた空気は紫矢印からスーパーチャージャーまたはインテークマニホールドへと送られる。

 

エアコントロールバルブ 電磁クラッチ
エアコントロールバルブ 電磁クラッチ
スーパーチャージャーから取り外された愛三工業製のエアコントロールバルブ。スーパーチャージャーが駆動していない時はエアコントロールバルブを開き、エアクリーナーから取り込まれた空気がインテークマニホールドに流れるようにする。スーパーチャージャーを駆動する時はエアコントロールバルブを閉じ、空気をスーパーチャージャーに流れるようにする。 2つのプーリーの間にあるのが小倉クラッチ製の電磁クラッチ(白矢印)。赤矢印はドライブベルトのアイドラー。写真では取り外されているが、青矢印のプーリーにはスーパーチャージャーと繋がるベルトが、緑矢印のプーリーにはエンジンのクランクシャフトと繋がるベルトが装着されていた。スーパーチャージャーが駆動する時は青矢印と緑矢印のプーリーを電磁クラッチで繋げることでエンジンの動力をスーパーチャージャーに伝える。

 

コンプレッサー アウトレットダクト
コンプレッサー アウトレットダクト
空気を圧縮するEaton製のコンプレッサー。白矢印が指している3本の棒はコンプレッサーのローターにある3つの穴(赤矢印)に繋がる。電磁クラッチによりエンジンの動力がスーパーチャージャーに伝わるようになると、スーパーチャージャーのプーリー(青矢印)とコンプレッサーのローターが回転し、空気を圧縮する。圧縮された空気は黄矢印が指す穴から排出され、アウトレットダクトに流れる。 スーパーチャージャーとインタークーラーを繋ぐROKI製の樹脂製アウトレットダクト。写真はアウトレットダクトの裏側。コンプレッサーで圧縮された空気は白矢印から入り、赤矢印に排出される。スーパーチャージャーを駆動するとノイズが発生するため、アウトレットダクトにはノイズを低減するための空洞(青矢印)がある。アウトレットダクトの内径は80~90mm。

 

インタークーラー 樹脂吸気ダクト
インタークーラー 樹脂吸気ダクト
Behr製のスーパーチャージャー用インタークーラー。スーパーチャージャーで圧縮された空気は高熱になるため、インタークーラーで冷却されてからインテークマニホールドに流れる。 エクセル製の樹脂吸気ダクト。白矢印はスーパーチャージャー用インタークーラーに、赤矢印はインテークマニホールドに、青矢印はエアコントロールバルブに繋がる。黄矢印は日立オートモティブシステムズ製のエアフローメーター。

 

 



エンジンおよび関連部品

 

エンジン
エンジン エンジン
エアクリーナー、インテークマニホールドが取り外されたエンジンを上から見た写真。写真の上部が運転席側。白矢印が日立オートモティブシステムズ阪神製のイグニッションコイル。赤矢印がデンソー製の燃料噴射装置。青矢印が三菱電機製のEGRバルブ。 CVT、オルタネーター、コンプレッサー等が取り外されたドライブユニット。写真は車両右側の前方から見ている。白矢印が指している空間にはスターターモーターが搭載されていた。赤矢印はMagna製のエンジン冷却用ウォーターポンプ。
エンジン エンジン
エンジンを車両左側、CVT側から見た写真。スーパーチャージャー、エキゾーストマニホールド等は取り外されている。白矢印はフライホイールで、直径は265mm。その上にある赤矢印は三菱電機製のEGRバルブ。シリンダーヘッドカバーにある青矢印はデンソー製の直噴システム用高圧燃料ポンプ。 シリンダーヘッドカバー、チェーンケースが取り外されたエンジンを運転席側から見た写真。クランクシャフトにはカムシャフトとエンジンオイルポンプを駆動するための2つのチェーンが繋がっている。写真では見えないが、矢印が指している箇所にエンジンオイルポンプがある。

 

シリンダーヘッド シリンダーブロック
シリンダーヘッド シリンダーブロック
取り外されたシリンダーヘッドのシリンダーブロック側の写真。シリンダー内の上部にある2つのバルブが吸気用、下部にある2つのバルブが排気用。バルブの長さは約100mm。 シリンダーヘッド、カムチェーンが取り外されたシリンダーブロック。白矢印はエンジンオイルポンプ。赤矢印が指す部分にはエンジン冷却用ウォーターポンプがあった。

 

インテークマニホールド 燃料噴射装置
インテークマニホールド 燃料噴射装置
取り外されたインテークマニホールド。インテークポート内にはデンソー製のスワールコントロールバルブが見える。赤矢印はスワールコントロールバルブを制御するスワールアクチュエーター。白矢印は日立オートモティブシステムズ製のスロットルボディ。スロットルボディの吸気口の直径は55mm。 デンソー製の燃料噴射装置。搭載エンジンは直噴システムを採用しているため、高圧燃料ポンプ(白矢印)、高圧インジェクター(赤矢印)、燃料圧センサー(青矢印)が搭載されている。写真には高圧インジェクターが1つしかないが、エンジンは3気筒なので3つの高圧インジェクターが搭載されていた。

 

エンジンオイルポンプ スターターモーター
エンジンオイルポンプ スターターモーター
エンジンオイルポンプの内部。エンジンオイルポンプはクランクシャフトに繋がっているチェーンを介して駆動する。 三菱電機製のスターターモーター。矢印が指している部分の裏側にはエンジン始動時にフライホイールのリングギヤを回転させるピニオンギヤがある。

 

オルタネーター コンプレッサー
オルタネーター コンプレッサー
三菱電機製のオルタネーター。減速時の回生エネルギーでバッテリーを充電し、減速時以外での発電を抑制する。 カルソニックカンセイ製のエアコン用コンプレッサー。プーリーの直径は95mm。

 

キャニスター エンジンマネージメントシステム(EMS)
キャニスター エンジンマネージメントシステム(EMS)
エンジンルームの助手席寄りに搭載されているMAHLE製のキャニスター。 日立オートモティブシステムズ製のエンジンマネージメントシステム。エンジンルームの助手席寄りに搭載されている。

 

 



副変速機付きエクストロニックCVT

 

CVT
CVT CVT
ドライブユニットから取り外されたCVTをエンジン側から見た写真。白矢印の部分がドライブシャフトと繋がり、前輪を駆動する。赤矢印はセカンダリー(ドリブン)プーリーの回転センサー。CVTのハウジングはアーレスティ製。 CVTを車両左側から見た写真。白矢印はジェイテクト製のトランスミッションオイルポンプ。赤矢印はプライマリー(ドライブ)プーリーの回転センサー、青矢印はレンジスイッチ、緑矢印はセカンダリー(ドリブン)プーリーの回転センサー、黄矢印は車速センサー。

 

CVTのカットモデル
CVTのカットモデル CVTのカットモデル
ジヤトコが2014年5月に開催された「人とくるまのテクノロジー展2014」で展示した副変速機付きエクストロニックCVTのカットモデル。ジヤトコでの製品名はCVT7。白矢印はプライマリー(ドライブ)プーリー、赤矢印はセカンダリー(ドリブン)プーリー、青矢印は副変速機(二段変速)。副変速機の採用により、プーリーを小型化しつつ、変速比の幅を拡大することが可能となった。

 

トランスミッションECU トランスミッションオイルポンプ
トランスミッションECU トランスミッションオイルポンプ
日立オートモティブシステムズ製のトランスミッションECU。エンジンルーム中央の助手席側にあり、バッテリーにくっついた状態で搭載されている。 CVTから取り外されたジェイテクト製のトランスミッションオイルポンプ。

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