中国の日系部品メーカー (2):華東地区の動向

デンソー、アイシンAW、カルソニックカンセイ、タチエス、河西工業、タカタ、NTNの動向

2012/06/29

要 約

China_West Map

 本レポートは、日系部品メーカーの中国における近年の動向をまとめたものである。地区別に分けて報告する。2本目は華東地区での部品メーカーの動向をまとめた。

 上海市では、中国での開発力を高めるためNTNが技術センターを設置し、デンソー/タカタは現地開発センターを強化した。江蘇省では日系部品メーカーの新規進出/生産能力増強などの動きが非常に活発化している。アイシンAWは4速AT工場を、カルソニックカンセイはコンプレッサー工場を、日本特殊陶業は酸素センサー工場を新設した。

 また、現地自動車メーカーと合弁会社を作る動きも出ており、タチエスは吉利集団と浙江省でシート工場を、河西工業は奇瑞汽車と安徽省で内装部品工場を設置した。

 関連レポート日系部品メーカー動向レポート

タイ編 (2012年6月)ASEAN (インドネシア、ベトナム、マレーシア他) 編 (2012年6月)

中国(東北/華北地区)編 (2012年5月)インド編 (2011年12月)メキシコ/ブラジル編 (2011年12月)

欧州編 (2011年11月)米国編 (2011年8月)

  



上海市:NTN/タカタ/デンソーが現地開発力を強化

愛知製鋼:上海近郊に車載モーター向けのネオジム磁石新工場建設を検討中
 愛知製鋼は、2012年3月時点、上海近郊を候補地として、ネオジム磁石の新工場建設を検討している(MarkLines.調査より)。主に、車載用や工具用小型モーター向けに、原料となる磁粉を日本から供給する。稼働時期や生産規模などの詳細は明らかにされていない。
アドバネクス:上海既存工場でインサートカラー追加生産
アドバネクスは上海既存精密バネ工場「邁進精密部件(上海)有限公司」(Advanex (Shanghai) Inc., former Kato Spring (Shanghai) Co., Ltd.)に、自動車用インサートカラーの生産設備を1台増設した。詳細を明らかにしていないが、2012年3月末時点同製品の生産を行っている。アドバネクスのインサートカラー生産は、切削加工工法ではなく、専用機械で金属板にくぼみをつけて丸めるという、独自の工法で低コスト生産を実現している。
NSKワーナー: 上海既存工場のAT用ワンウェイクラッチ年産能力を4倍に拡張
 NSKワーナーは、上海完全子会社「恩斯克華納変速器零部件(上海)有限公司」(NSK-Warner (Shanghai) Co., Ltd.)を拡張し、AT用ワンウェイ式クラッチの生産能力を2012年6月までに従来の4倍 (生産高ベースで約100億円) に拡大する。
NTN: 2011年5月に上海技術センター稼働
 NTNは2011年5月、上海技術センター「恩梯恩中国技術中心」(NTN Technical Center) を稼働した。自動車/産業機械等に向けて、現地で現地の人が、商品の設計/評価試験/技術サービス等開発を実行していく。最終的に、上海技術センターの技術者200名規模にまで増員する計画。
ショーワ:日本でのガススプリング/米国でのユニットバンパー生産を上海に移管
 ショーワは2011年2月、名古屋工場での自動車ドア用ガススプリング、および米オハイオ州でのユニットダンパー の生産を、上海工場「上海昭和汽車配件有限公司」(Shanghai Showa Auto Parts Co., Ltd.) にほぼ全量移管した。今後、上海から日本など先進国へも輸出して供給を行う。
スタンレー電気: 上海に中国事業統括会社を新設
 スタンレー電気は2011年5月、上海市に、中国事業統括の完全子会社「斯坦雷電気(中国)投資有限公司」(Stanley Electric (China) Investment Co., Ltd.) を設立し、運営を開始した。中国での事業強化・拡大に向けた意思決定の即時対応を図る。
タカタ: 上海に新技術センター設立
 タカタは2012年1月、上海工場の設計・開発部門を分離し、上海市青浦工業区に新技術センター「高田(上海)汽車安全系統研発」(Takata (Shanghai) Vehicle Safety Systems Technical Center Co., Ltd.)を設立。新会社の資本金は1,500万元 (投資総額約10億円)。従業員123名体制で、シートベルト/エアバッグ/ステアリングホイール等の開発/設計/評価・実験機能を集約した。
タチエス:シート構成部品工場を稼働
 タチエスは、車シート用構成部品 (ストラクチャー等) を生産する完全子会社「上海泰極愛思汽車部件有限公司」 (Shanghai Tachi-S Automotive Parts Co., Ltd.)を2010年12月に設立し、2011年12月から慈溪工場「浙江吉俱泰汽車座椅有限公司」向けに生産を開始。新会社の資本金は約7億円(5,400万元)。2015年度には、年間生産100万台分と売上約95億円を計画。
椿本チェイン: タイミングチェーンドライブシステムの生産能力を倍増
 椿本チェインは、2014年末までに、上海子会社「椿本汽車発動機(上海)有限公司」(Tsubakimoto Automotive (Shanghai) Co., Ltd.) での、タイミングチェーンドライブシステムの年間生産能力を2010年に比べて倍増させる。既存工場の隣接地にレンタル工場を利用し、年産能力を2014年末までに自動車約400万台分に拡大する。東風日産乗用車 (新型低燃費エンジン) や、中国大手自動車メーカー等向けに対応する。
デンソー: 上海開発センターを移転拡充へ
 デンソーは中国統括会社の一部門である、上海開発センター「電装 (中国) 投資有限公司上海技術中心」を上海市閔行区莘庄工業区内へ移転・拡充し、2013年6月に稼働する (2012年4月発表)。2013年度までには、合計72億円を投資し、風洞設備などの大型評価設備を投入するなど、設計・開発の対応力を高める。開発技術者も現行の2倍に増員する。
ニチリン: 上海の自動車空調用ホース月産能力を130万mに拡大へ
 ニチリンは、自動車空調用ホース生産の上海工場「上海日輪汽車配件有限公司」(Shanghai Nichirin Automobile Accessories Co., Ltd.) に生産ラインを増設し、2012年3月に試運転を開始した。新ラインの自動車空調用ホースの月産能力は30万mで、既存ライン(月産能力100万m) と合わせて、月産130万m (生産ライン合計4本)に拡大する。新ライン増設への投資総額は約1.5億円。
日立オートモティブ:上海に中国事業統括会社設置
  日立オートモティブは、上海市(盧湾区)で、中国事業統括会社「日立汽車系統 (中国) 有限公司」 (Hitachi Automotive System (China) Ltd.) を2011年1月設立。資本金は3,000万米ドル (約24億円) で、自社が 90%、日立製作所の中国統括事業統括会社「日立 (中国) 有限公司」(Hitachi (China) Ltd.) 10%出資。 2011年4月の稼働当初は約50名で、2012年末までに約70名に増員する。



江蘇省:日系サプライヤーの活動が活発、アイシンAW/カルソニックカンセイ/日本特殊陶業が新工場設置

アイシンAW: 蘇州市にFF車用 4速 AT新工場建設
 アイシンAWは2011年4月、江蘇省蘇州市(呉中経済開発区)に、FF車用AT生産の完全子会社「AW (蘇州) 汽車零部件有限公司」(AW Suzhou Co., Ltd.) を設立した。2011年11月に工場建設に着工しており、2013年半ばからFF車用4速ATの本格的な生産を開始する。稼働当初の年産能力は24万基。新会社の資本金は1億米ドルで、投資総額は約180億円。当初は製品がトヨタ向けだが、将来は欧米系や地場自動車メーカーにも拡販する計画。
アイシン精機: 無錫合弁会社でサンルーフ生産開始へ
 アイシン精機は2011年9月、台湾子会社慧国工業および信昌機械廠と、江蘇省無錫市(濱湖区華荘街道)で、合弁子会社「愛信(無錫)車身零部件有限公司」(Aisin Wuxi Body Parts Co., Ltd.) を設立した。2012年3月から信昌機械廠の現地子会社の一部を借り受け、サンルーフの生産を開始。資本金は500万米ドル(約3.9億円、設備へ中心とした投資は約3億円)。資本構成はアイシン精機株式会社 51%、信昌機械廠株式会社40%、慧国工業株式会社9%。2015年の売上目標は約25億円。
  また、アイシン精機は2011年9月、江蘇省南通市(国家級経済技術開発区)に、開発(完全)子会社「愛信(南通)汽車技術中心有限公司」(Aisin (Nantong) Technical Center of China Co., Ltd.) を設立し、従業員14名体制で営業を開始した。2015年には約50名へ増員を計画。資本金は200万米ドル。
愛知電機:蘇州既存工場の一部でHV/EV向けモーター生産新会社設立
 愛知電機は2011年7月、完全子会社アイチエレック、Xiamen Tungsten Co., Ltd. (厦門) および昆山海峡発展基金 (Cross-Strait Developmen Fund) の3社と、江蘇省蘇州市で、合弁会社「蘇州愛知高斯電機有限公司」(Suzhou Aichi Gauss Motor Co.,Ltd.)を設立。2012年3月に工場の竣工式を行った。2012年末までに、日系/地場メーカー向けに、EV/HV電動コンプレッサ用や駆動用モーターの生産を開始する。新会社の資本金は600万米ドルで、それぞれ20%、35%、25%、20%出資する。工場は愛知電機の蘇州既存子会社 (蘇州愛知科技) のエアコン向けコンプレッサー用モーター工場の一部を改修して用いる。
芦森工業: 無錫工場拡張延期へ
 芦森工業は、江蘇省無錫の完全子会社「芦森科技(無錫)有限公司」(Ashimori Technology (Wuxi) Co.,Ltd.)の工場拡張建設を延期する(2012年4月時点)。2011年後半から新工場を稼働し、中国での欧米系自動車メーカー向けに高級車内装用の電動サンシェードや電動カーテン生産を開始する予定だった。
アドヴィックス:常州に開発センター設立
 アドヴィックスは2011年6月、江蘇省常州市に自動車部品の開発センター「愛徳克斯(中国)有限公司」(ADVICS China Co., Ltd.) を設立。新会社の資本金は2,000万米ドル(約1.7億円)。 アドヴィックスは今後、同開発センターを核に部材の評価やサプライヤーの技術指導を実施し、コスト競争力の高い地場取引先を中心に調達網を拡大していく。
NOK: 無錫工場で、2013年初に自動車用シール年産能力を現行の1.2倍に増強
 NOKは2012年2月、江蘇省無錫工場「無錫恩福油封有限公司」の自動車用シール製品の年産能力を、2013年初に現行の1.2倍に増強すると明らかにした。無錫工場に建屋を新規建設(2012年3月に一部稼働済み)。既存製品を増産する他、日本で集中生産していたAT用シール部品の生産を一部移管(月産30万個分)する。
大熊製作所:太倉市でトラック向けプレス部品新工場設置へ
 大熊製作所は、既存工場のある江蘇省太倉市内で、第2工場を賃貸して設置し、2012年9月をめどにブラケット関連部品など、トラック向けプレス部品を生産する。当初は年間約自動車3万台分で、年間売上は8億円になる見込み。プレスライン構築への投資総額は約1.5億円。製品は主に日系/欧州系トラックメーカーに納入する。
カルソニックカンセイ:海門市で車載空調用コンプレッサー生産へ
  カルソニックカンセイは2011年4月、中国統括子会社を通し、江蘇省海門市で、全額出資子会社「康奈可 (海門) 汽車空調圧縮機有限公司」(Calsonic Kansei (Haimen) Car Air Conditioning Compressor Corp.) を設立した。2012年3月より、車載空調用アルミベーンロータリー・コンプレッサーおよびその部品生産を開始。新会社の資本金は1,000万米ドル。設備投資約20億円。同コンプレッサーの年産規模は約60万台。
協和工業:昆山工場稼働、今後自動車用も追加生産へ
  協和工業は2011年1月、台湾オーロテックおよびGMBと、江蘇省昆山市で合弁会社「協和工業(昆山)有限公司」(Kyowa Industry (Kunshan) Co., Ltd.)を設立 (それぞれ51%、30%、19%出資)。オーロテック昆山既存工場の一部を賃貸し、2011年10月からは現地の台湾系/日系農機具メーカー向けに、ステアリング部品のユニバーサルジョイントの生産を開始した。今後、自動車部品生産を追加するなど、現地の日系自動車関連メーカーに拡販していく。
三桜工業:無錫工場拡張
 三桜工業は、江蘇省の無錫工場「三桜 (無錫) 汽車部件有限公司」の隣接地に新工場を建設する(2011年2月発表)。ブレーキチューブの年産能力を2011年2月時点の3倍に引き上げるほか、樹脂部品 (樹脂チューブ、クイックコネクター等) や、エンジン部品 (フューエルデリバリーパイプ、ウォーターパイプ等)の生産体制も構築する。新工場建設への投資総額は約15億円 (資本金1,270万米ドル)。2015年の売上は約63億円が見込まれている。
住友電気工業:南京でタイヤ補強用スチールコード合弁生産開始
  住友電気工業は2011年5月、韓国曉星(Hyosung Corporation)の江蘇省南京完全子会社「暁星鋼簾線(南京)有限公司」に30%出資し、タイヤ補強用スチールコードの生産を開始した。暁星住友鋼簾線(南京)有限公司と改称。同合弁会社の年産能力は2012年4月時点で約2.4万トン。2012年内には年産4万トンの新工場建設を完工し、年産能力を6.4万トンに引き上げる予定。
住友電装: 常熟で自動車用コネクタ工場建設
  住友電気工業傘下の住友電装は2011年6月、江蘇省常熟市に、完全子会社「常熟住電装汽車部品有限公司」を設立した。2012年6月をめどに、華中/華北地域のワイヤーハーネスを生産するグループ会社など向けに、自動車用コネクタの生産を開始する。資本金は 1,000万米ドル。2012年末には従業員を約 360名に増員。2013年度の月産能力を5,000万個に引き上げる。
セーレン: 蘇州工場で自動車など内装材用合成皮革生産能力を増強
  セーレンは2011年5月から、江蘇省の蘇州子会社「世聯汽車内飾(蘇州)有限公司」(Seiren Suzhou Co., Ltd.) の第2工場で、自動車など内装材 (シート用合成皮革)の生産を月間10万メートル規模で開始した。また、第3 工場でも、2012年6月をめどに合成皮革の生産も開始し、稼働当初の月産能力は20万メートル(乗用車約4万台分相当)。 蘇州では、中長期的に、自動車シートなど用合成皮革の月産規模を50万メートル(乗用車約10万台分)に拡大していく。なお、第1工場では車載エアバッグや、自動車内装材用本革も生産している。
積水化成品:蘇州工場のピオセラン年産能力を2,400トンに倍増
 積水化成品は、江蘇省の蘇州 (既存) 工場「積水化成品 (蘇州) 科技」(Suzhou Sekisui Plastics Co., Ltd.) の自動車向けに使われる緩衝材高機能性発泡プラスチック「ピオセラン」の年産能力を2011年に2,400トンに増強した。
大豊工業:アルミ軸受け素材メーカー買収
大豊工業は、2012年4月、中国のアルミ軸受け素材メーカー常州恒業軸瓦材料有限公司(WBM:江蘇省城州市)を約4,500万元で買収し完全子会社とする契約を結んだ。7月から同社の完全子会社とする予定。大豊工業は山東省でエンジン軸受けを生産しており、WBMから素材の供給を受けていた(現地生産分の5割程度)。同社とWBMは安価で高品質な素材を共同で開発・生産し、2014年までにWBMから供給を受ける割合を7-8割に増やしていく。高品質素材は現在、日本から輸入して現地で軸受けを生産しトヨタ・ホンダ・VWに供給している。
ダイヤモンド電機: 蘇州工場で車載点火コイルの年産能力を拡大
ダイヤモンド電機は、江蘇省の蘇州工場「金剛石電機(蘇州)有限公司」(Diamond Electric (Suzhou) Co., Ltd.)の車載エンジン用点火コイルの年産能力を従来比約10%増の220万個に増強した。日米メーカーに加え地場メーカーへ対応するためとされている。(2011年5月報道)
中央可鍛:蘇州工場でダクタイル鋳鉄の生産能力を倍増
 中央可鍛工業は2011年5月、中国完全子会社「蘇州中央可鍛有限公司」(蘇州市呉中区)で、ダクタイル鋳鉄の新しい鋳造工場を建設すると発表。2011年8月に工場建設に着工、2012年半ばに操業を開始する予定。同中国子会社の工場建屋面積は1.1万㎡で、新工場の年産能力は2.7万トン (既存工場3.3万トン)。自動車用の他、産業用も生産・販売する。
中央発條:昆山開発区に新工場建設
 中央発條は、江蘇省昆山市の子会社 (75%出資) 「昆山中和弾簧有限公司」(Kunshan Chuho Spring Co., Ltd.) から2.5km離れた昆山市経済技術開発区に、同子会社の新工場を建設し、2012年6月に自動車用精密部品の生産を開始する。 新工場建設への投資総額は約11億円で、エンジン用やシート用バネの生産ラインを増設。
THK:常州の自動車部品新工場は2012年6月稼働へ
 THKは、2011年3月、江蘇省常州に、自動車部品生産の子会社「THK Rhythm (常州)汽車配件」(THK Rhythm Changzhou Co., Ltd.) を設立。2012年6月をめどにステアリングタイロッド、サスペンションボールジョイントなど、自動車部品の生産を開始する。生産規模など詳細は明らかにされていない。
トープラ: 常州で自動車用締結部品の新工場を建設
 トープラは2010年12月、江蘇省常州市 (新北区) に、完全子会社「托普拉精密緊固件(常州)」(Topura Precision Fastener (Changzhou) Co., Ltd.)を設立した。2012年内には稼働し、ネジ部品などの自動車用締結部品や金属部品などを生産。資本金は17億円で、従業員は稼働当初100名の予定。2013年の売上目標は60億円。
東海カーボン:蘇州地域で摩擦材製品工場建設に着工
 東海カーボンは2012年3月、現地会社法人の設立に先立ち、蘇州地区で、自動車/二輪車のブレーキやクラッチにも用いられる摩擦材製品の生産工場の建設に着工した。投資総額は約5億円で、2013年1月に工場を稼働する予定。
東洋ゴム工業:張家港市のタイヤ工場稼働
 東洋ゴム工業は2011年12月、江蘇省張家港市にある、全額出資のタイヤ工場「東洋輪胎張家港有限公司」 (Toyo Tire (Zhangjiagang) Co., Ltd.) を稼働。乗用車用とライトトラック用タイヤの生産・販売を開始した。新工場には最新の生産設備が導入されており、稼働当初の年産能力は200万本 で、今後600万本以上に引き上げていく。
東洋紡績: 常熟にエアバッグ用基布工場を新設
 東洋紡績は豊田通商と、2011年5月に江蘇省の常熟市に、自動車エアバッグ用基布生産の合弁会社「東洋紡汽車飾件(常熟)」(Toyobo Automotive Textiles (Changshu) Co., Ltd.) を設立した。2012年4月に生産を開始した。日系および地場部品メーカーに販売を拡大する。月産能力は50万m。新会社の資本金は約 5億円 (東洋紡績70%出資) で、投資総額は約 11億円。
豊田通商: 太倉で自動車部品用特殊鋼加工孫会社稼働
 豊田通商は2011年6月、2011年4月に江蘇省太倉市で設立した孫会社「豊田通商(太倉)特鋼加工有限公司」を本格的に稼働させ、特殊鋼の保管/切断/検査/輸送業務を開始した。当初はエンジン部品向けに、今後、足回り部品向けなどに広げていく。同孫会社の資本金は1,570万元で、2016年の年間売上目標は30億円。
日清紡: 常熟に自動車ブレーキ用の摩擦材新工場建設へ
 日清紡ブレーキは2011年2月、韓国子会社Saeron Automotive Corp.と折半出資で、江蘇省常熟市に、自動車用ブレーキ用摩擦材の新会社「日清紡賽龍(常熟)汽車部件有限公司」(Nisshinbo Saeron (Changshu) Automotive Parts Co., Ltd.) を設立した。2012年7月に稼働する予定。資本金は約10.8億円で、投資総額は50億円。月産能力40万個を有する設備を導入。日韓系自動車メーカーの現地工場に供給する。
ニフコ: 張家港市に合成樹脂成型部品新工場設立
 ニフコは2011年1月、完全子会社 Nifco HongKong Ltd. を通して、江蘇省の張家港市 (経済開発区) に、完全子会社「利富高(江蘇)精密樹脂制品有限公司」(Nifco (Jiangsu) Co., Ltd.)を設立した。2012年6月をめどに、現地の欧米系メーカー向けに、ファスナー等の合成樹脂成型部品の生産を開始する。2011年末の従業員数は34名。
 また、ニフコは2011年12月、香港子会社を通して、同張家港市工場に追加設備投資のために、300万米ドルの増資を行い、資本金を1,000万米ドルに拡大した。今後、主に地場メーカーを含む非日系自動車メーカーを対象に拡販を推進していく。なお、ニフコは今後、Kia塩城工場向けに江蘇省の塩城で合成樹脂成型部品の新工場建設を計画中。
日本特殊陶業:常熟に自動車用酸素センサー工場建設へ
  日本特殊陶業は、江蘇省の常熟市に、自動車用酸素センサー生産の新子会社「常熟特殊陶業有限公司」(NGK Spark Plug (Changshu) Co., Ltd.) を設立し(2012年4月設立済み)、2013年夏から日系など海外の自動車メーカー向けに量産を開始する。年産能力は当初約240万個で、上海と山東省青島工場と合わせせると840万個になる。
日本パワーファスニング:太倉子会社で新工場建設
  日本パワーファスニング(特殊ネジ大手)は、江蘇省の太倉市既存子会社「蘇州強力五金有限公司」(Suzhou JPF Co., Ltd.) 敷地内に、新たに工場を建設し、2011年末に稼働した。工場建設へ投資総額は約2.5億円 (うち、建屋建設1億円)。自動車向けねじ/金具の生産能力を2011年3月時点より10~20%引き上げられた。
日本ピストンリング: 儀徴市/鎮江市の既存工場を合併、エンジン構成部品の生産能力を増強中
 日本ピストンリング (NPR) は、2012年3月に江蘇省のエンジン構成部品生産の子会社2社を再編。ピストンリングやバルブシート/ライナ等生産の儀徴子会社「日環汽車零部件製造(儀徴)」(NPR Auto Parts Manufacturing (Yizheng) Co.,Ltd.) が、バルブシート生産の鎮江子会社「日塞環汽車零部件制造 (鎮江)」(NPR Auto Parts Manufacturing (Zhenjiang) Co.,Ltd.)を吸収・合併した。
 儀徴工場では2012年6月までに、ピストンリング(鉄製)の月産能力を、現行の100万本から200万本に増強。岩手県一関市の主力工場の一部の設備を儀徴工場に移管する。一方、鎮江工場では2012年に、エンジン用バルブシートの月産能力を2011年11月時点の100万個から最大3倍規模に引き上げる拡張建設を行っている。
日立金属: 蘇州工場でピストンリング材生産開始
 日立金属は 、蘇州市の子会社「日立金属(蘇州)科技有限公司」(Hitachi Metals (Suzhou) Technology Co., Ltd.)内に、自動車エンジン向けのピストンリング材の新工場を建設し(2010年11月着工)、2011年11月頃から正式に稼働。日本から供給した鋼材の圧延や熱処理などを、日本と中国の2極で行う体制とした。投資額は約20億円で、売り上げ目標(2010年11月当時)は2012年度に12億円、2015年度に20億円。
なお、上記子会社は、2010年8月に「日立金属 (蘇州) 電子有限公司」(Hitachi Metals (Suzhou) Electronic Co., Ltd.)から社名変更した。
日比野工業: 常熟市にアルミダイキャスト部品工場建設、上海同事業を集約
 日比野工業は2011年12月、江蘇省常熟市に、アルミダイキャスト部品を生産する子会社の工場建設を着工(投資総額4,500万米ドル)。新会社は「日比野鋳件(常熟)有限公司」(Hibino Casting (Changshu) Co., Ltd.) で、2012年10月に稼働する予定。2013年には上海のダイキャスト工場から自動車用部品生産事業を移管して、中国での同部品生産を常熟工場に集約し、年産能力を現行より約75%増の月産700トンに拡大する。
ファインシンター: 無錫の粉末冶金工場増強
 ファインシンターは、江蘇省無錫市にある粉末冶金部品生産の子会社「精密焼結合金(無錫)有限公司」(Precision Sintered Products (Wuxi) Co., Ltd.)の生産能力を2014年までに、売上ベースで30億円と 50%増強する。主要供給先のトヨタや部品サプライヤーがユニット系部品や足回り系部品などを中国で増産するのに対応する。約10億円を投じて、建屋を拡張し、焼結炉やプレス機など新設備も導入する。
フタバ産業: 常州市に中国事業統括子会社を設立
 フタバ産業は2011年9月、江蘇省常州市 (武進開発区) の完全子会社「双叶金属製品(常州)有限公司」を再編し、中国事業統括子会社として「双叶(常州)管理有限公司」(Futaba Changzhou Engineering & Marketing Co., Ltd.) を設立。新会社の資本金は200万米ドル。
富士通テン: カーナビ生産を無錫工場に移管
 富士通テンは、閉鎖した神戸市兵庫区本社工場のカーナビ生産の一部を、江蘇省の無錫子会社「富士通天電子(無錫)有限公司」に移管し、2012年4月から無錫工場での生産を開始した。無錫工場のカーナビ生産規模は富士通テンの2011年カーナビ生産実績全体の3割程度。
プリヂストン:無錫工場で乗用車用ラジアルタイヤ生産能力増強へ
 プリヂストンは、江蘇省の無錫工場「普利司通(無錫)輪胎有限公司」(Bridgestone (Wuxi) Tire Co., Ltd.)に、約155億円 (10.54億元) の設備投資を行い、乗用車用ラジアルタイヤの生産能力を増強する(2011年8月8日発表)。2012年5月をめどに、日産能力を4,100本 (主にECOPIAブランド等環境タイヤ) を増やして、合計1.63万本に拡大する。
プレス工業:蘇州市で事業拡大
 プレス工業は2011年11月、江蘇省の完全子会社「普莱斯冲圧部件(蘇州)有限公司」 (Press Kogyo Manufacturing (Suzhou) Co., Ltd.) を稼働し、建設・農業機械用大型プレス部品の生産を開始した。同工場では今後、自動車用部品や金型・治具の生産、および開発設計も手掛けて事業を拡大していく。  そのため、同社は2012年3月、同子会社に対し追加出資を行うと発表。資本金を現行の600万米ドルから1,170万米ドル (約 9.6億円) に増強する。
 他方、プレス工業は2012年2月、蘇州に新しい完全子会社「普莱斯工業小型駕駛室 (蘇州) 有限公司」(Press Kogyo Mini Cabin (Suzhou) Co., Ltd.) を設立した (資本金 1,700万米ドル)。2012年4月に稼働し、まずは小型油圧ショベルを生産。今後、開発設計や、自動車用部品にも事業を拡大していく。
マブチモーター: 2012年に江蘇省の車載モーター新工場稼働へ
 マブチモーターは2012年内に、江蘇省呉江市(経済開発区)にある、車載モーター生産の子会社「華淵電機(江蘇)有限公司」(Mabuchi Motor (Jiangsu) Co., Ltd.) の新工場を稼働させ、パワーウィンドー/パワーシート用モーターの生産を開始する。
三ツ知:蘇州でカスタムファスナー工場稼働
 三ツ知は2011年6月、江蘇省の蘇州市 (高新区) で、完全子会社「三之知通用零部件(蘇州)有限公司」(Mitsuchi General Parts (Suzhou) Co., Ltd.) を稼働した。日系シートメーカーやウィンドレギュレーターメーカー向けに、カスタムファスナーなどの生産を開始。新工場は冷間鍛造機2台などを導入。資本金は2.2億円(270万米ドル)。
三菱電機: 常熟市でカーナビ、カーオーディオなど生産
 三菱電機は2011年6月、中国事業統括会社とそれぞれ 90%と 10%出資し、江蘇省常熟市 (東南経済開発区) で、新会社「三菱電機汽車部件(中国)有限公司」(Mitsubishi Electric Automotive (China) Co., Ltd.) を設立。新会社の資本金は3,000万米ドル。2012年5月から電動パワーステアリング用機器、カーナビやオーディオ等カーマルチメディア製品などの生産を開始した。
村田発條: 無錫市で車向けバネ生産へ
 村田発條は2011年3月、江蘇省の無錫市に、子会社「村田弾簧 (無錫) 有限公司」を設立。2011年10月から、コイルスプリングなど商用車変速機など向けのバネを生産。本格稼働後は、乗用車向けのバルブバネや変速機用バネを39万個月産する。2013年以降は地場メーカーへの拡販も注力し売上高5億円を見込んでいる。投資総額は約480万米ドル (資本金は250万米ドル)。
リョービ:常州市でダイカスト部品の新工場建設
 リョービは2010年11月、江蘇省常州市で、完全生産子会社「利優比圧鋳(常州)有限公司」(Ryobi Die Casting (Changzhou) Co., Ltd.)および販売子会社を設立した。新工場は2012年8月稼働し、常州周辺の自動車メーカー向けに、ダイカスト部品を生産する。投資総額は約80億円。


浙江省 :タチエスは吉利と合弁シート工場を設立

アスモ: 杭州市に車載小型モーター合弁会社を建設
 アスモは、2011年2月に親会社デンソーの中国統括会社電装(中国)投資有限公司(DICH) と、浙江省に合弁子会社「阿斯莫(杭州蕭山)微電機有限公司」(ASMO (Hangzhou Xiaoshan) Mini-motor Co., Ltd.) を設立した。資本金は1,810万米ドル(投資総額2.21億元)で、両社はそれぞれ90%と10%出資する。   工場建設は2011年8月に着工し、2012年8月から日系/地場メーカー向けに電動パワーステアリング用/ABS用小型モーターの生産を開始する。小型モーターの年産能力は約1,000万個。2016年には売上83億円とする計画。
岡部:浙江省で工場建設、車載蓄電池用端子生産へ
 岡部は、浙江省長興市に全額出資の新会社(仮称)「ウォーターグレムリン(長興)有限公司」(Water Gremlin (Changxing) Co., Ltd.) を設立。2013年内に本格稼働して、ジョンソンコントロール向けに車載蓄電池用端子を生産する。2012年5月時点中国政府許可を申請中。 新工場への投資総額は1,000万米ドルで、年産規模は3,000万セット。製品は今後、地場メーカーにも拡販し、2014年の売り上げ目標は6億円としている。2015年以降の生産ライン増強も計画。
山陽特殊製鋼: 寧波工場で自動車用ベアリング増産、上海では販売子会社新設
 山陽特殊製鋼は2012年4月、浙江省寧波の子会社「寧波山陽特殊鋼製品」(Ningbo Sanyo Special Steel Products Co., Ltd.)で、自動車用のホイールベアリングを増産すると発表した。すでに、同子会社に約7億円投じ加圧力最大2,000トンの縦型プレス機1台 (ベアリング月産能力37万個) を導入しており、月産能力を従来比60%増の100万個に引き上げた。(これまで、最大加圧力2,000トンと2,300トンの縦型プレス機を稼働中。)
タチエス:吉利向けの合弁シート工場を設立
 タチエスは吉利控股集団および浙江倶進汽摩配件有限公司と、浙江省慈溪市で、合弁会社「浙江吉俱泰汽車座椅有限公司」(Zhejiang Gee Ju Tai Automotive Seat Co., Ltd.)を2010年10月に設立した。2011年12月から吉利控股集団 (Geely) 向けに、シートおよび構成部品の生産を開始。稼働当初の年産能力は完成車10万台分。新会社の資本金は約5億円(3,800万元)で、出資比率は、タチエス40%、吉利控股集団9%、浙江倶進汽摩配件51%。初年度の投資総額は約2億円。
中部理科:浙江省平湖工場稼働開始
 中部理科は2012年2月、浙江省の平湖工場「中部理科鋁製品 (平湖) 有限公司」(Chubu-rika Alumite (Pinghu) Co., Ltd.)を完工し、ブレーキや変速機などのアルミニウム部品向けでのアルマイト表面処理を開始した(ライン1本)。処理能力は月間200万個で、2012年後半の月間売上計画は1,500~2,000万円。工場建設への投資総額は約1.2億円。生産ライン3本追加できる余力があり、今後、日系以外の欧米や地場メーカーへも拡販し、受注状況に応じて月産能力800万個にまで引き上げていく予定。
東海ゴム工業: 嘉興で開発完全子会社の建設に着工、2012年秋稼働予定
 東海ゴム工業は2012年3月、浙江省嘉興市にある開発子会社「東海橡胶技術中心(中国)有限公司」(Tokai Rubber Technical Center (China) Co., Ltd.) の建設に着工した 。同子会社を、防振ゴムやホースなどのゴム製品や、ウレタンなどの樹脂製品の開発・拡販拠点と位置づけており、2012年秋をめどに稼働する。新会社の資本金は約6.3億円。従業員は2015年度に現地人材16人を含めて20人に増やす計画。
日本化薬:湖州市工場のインフレーター生産増強、2012年秋年産能力300万個に
 日本化薬は、浙江省湖州市の完全子会社「化薬(湖州)安全器材有限公司」(Kayaku Safety System (Huzhou) Co., Ltd.) に新ラインを設置し、インフレーターの年産能力を200万個(2012年3月時点)に増強。さらに2012年秋をめどにラインを増設し、300万個に引き上げる予定。新ラインは小型軽量化した新製品の生産体制も整えて、能力増強と生産品目拡充に両方対応する。
日本電産トーソク:浙江省平湖でアルミダイカスト製品工場建設へ
 日本電産トーソクは2012年1月、魚岸精機工業と、浙江省平湖市(経済技術開発区)で、新合弁会社「日本電産東測魚岸(浙江)」 (Nidec Tosok-Uogishi (Zhejiang) Co., Ltd.) を設立した。資本金は772.5万米ドルで、両社がそれぞれ92% と 8%出資。2012年末までに稼働し、変速機部品向けにアルミダイカストおよび金型製品の生産を開始する。実験・設計・開発業務も順次開始していく。
 一方、隣接している「日本電産東測機器装置 (浙江)」(NIDEC TOSOK (ZHEJIANG) CORPORATION)では、2011年6月からAT用の電磁弁/コントロールバルブ/スプールバルブ、2011年10月にCVT用のコントロールバルブの生産を開始した。奇瑞汽車やジヤトコの広州工場など向け。
富士機工タチエスと合弁で、シート構成部品工場を設置
 富士機工は2011年3月、タチエスおよび信昌国際投資有限公司と合弁で、浙江省の嘉善県に、自動車シート機構部品の開発・生産・販売を行う合弁会社「浙江富昌泰汽車部件有限公司」(Zhejiang Fu Chong Tai Automotive Parts Co., Ltd.) を設立した。新会社の資本金は10.2億円(約1,200万米ドル)。資本構成は、富士機工 51%、タチエス 9%、台湾・信昌機械廠 (信昌国際投資の完全子会社) 40%。2012年7月に稼働を予定し、2012年12月までの売上は約6.5億円(5,000万元)を計画.中期的に40億円に引き上げる。
プレス工業: 杭州工場建設再開準備
 プレス工業は2011年8月、杭州合弁会社「普利適優迪車橋 (杭州) 有限公司」(PK-UD Axle Co., Ltd.) の持ち株一部 (6%) を54.5万米ドルでUDトラックに売却。2012年3月時点の資本構成 (資本金1,104万米ドル) は、プレス工業 49%、UDトラック 51%となり、筆頭株主はプレス工業からUDトラックと交代した。なお、2009年1月から操業を停止している。
藤倉ゴム工業:安吉市に自動車用ゴム生産工場を設立
 藤倉ゴム工業は2011年1月、浙江省の安吉市 (経済技術開発区) で自動車用や産業用のゴム生産の新子会社「安吉藤倉橡胶有限公司」(Anji Fujikura Rubber Co., Ltd.) を設立した。2012年第2四半期をめどに稼働する。新工場用地面積は6.6万㎡で、用地取得と工場施設の建設費用に6.5億円、生産設備費用に2億円の、合わせて8.5億円を投じる。
 また、詳細は明らかにされていないが、藤倉ゴム工業は、「杭州藤倉橡胶有限公司」(Hangzhou Fujikura Rubber Co., Ltd.) の自動車用のゴム生産体制を拡張する計画(2012年4月現在)。
村上開明堂:嘉興市にイタリアメーカーとの車載ランプ合弁会社を設立
 村上開明堂は2011年2月、イタリア車載ランプ部品メーカー「OLSA S.p.A」と、浙江省嘉興市に、合弁会社「嘉興奥尓薩村上汽車配件有限公司」(資本金210万米ドル、それぞれ45%と55%出資)を設立。2012年内に稼働して、BMW中国工場(華晨BMW)向けに車載用のランプ部品およびミラー組立ての生産を開始する。
横浜ゴム:杭州工場の生産能力を増強し、構内に技術センター新設
 横浜ゴムは、浙江省杭州の乗用車タイヤ工場「杭州横浜輪胎」(Hangzhou Yokohama Tire Co., Ltd.)の乗用車タイヤ年産能力を2011年3月に300万本から310万本に拡張し、さらに2011年12月には510万本に引き上げた。2012年4月時点でも、同工場の拡張建設を続けている。
 また、同工場の敷地内に原材料の試験・評価拠点として、技術センター「優科豪馬中国技術中心」(Yokohama Rubber (China) Technical Center) を設立。投資額は2.5億円。2012年1月には研究員14名でスタートした。2013年に23名に増員する予定。



安徽省・山東省・福建省:河西工業は奇瑞汽車と合弁会社設立

安徽省

河西工業:蕪湖で内装部品工場は2013年春稼働へ
 河西工業は、自社の広州子会社および奇瑞汽車の子会社との合弁会社「蕪湖河西汽車内飾件有限公司 (安徽省蕪湖市:Wuhu Kasai Interior Trim Parts Co., Ltd.) を2010年9月に設立し、 2013年春に稼働する計画。主に奇瑞汽車向けに内装部品を生産。稼働当初の年産規模は自動車約10万台分で、50万台分に引き上げていく予定。
 これに関連して、河西工業は2011年1月、現地開発ニーズに対応すべく、上海に内装部品の設計事務所 を設立した。当初は奇瑞汽車対応の開発拠点での位置づけで3人体制でスタート。日系や欧米系のニーズにも対応していき、3年後にも約10人体制に拡大して子会社化する。
日本精工: 合肥に自動車など用ベアリング生産の完全子会社を設立
 日本精工 (NSK) は2011年10月、安徽省合肥市で、自動車用/産業機械用ベアリング生産の完全子会社「合肥恩斯克有限公司」(Hefei NSK Co., Ltd.)の工場建設に着工した。2012年8月から生産・販売を開始する予定。新会社の資本金は6,200万米ドルで、投資総額は約 1.5億米ドル。当初の従業員数は約500名。

山東省

GMB: 青島で、等速ジョイント新工場生産開始
 GMBは2011年11月頃、山東省の青島子会社「青島吉明美機械製造有限公司」((Qingdao GMB Machinery Product Co., Ltd.) の新工場棟建設を完工し、駆動系部品の等速ジョイントの生産を開始した。月産能力は100万個で、既存工場と合わせて150万個に拡大した。
大豊工業:軸受けの生産能力倍増、バイメタルを現地生産計画
 大豊工業は、中国工場(大豊工業(煙台)有限公司:山東省)のエンジン用軸受け生産能力を増強する。2015年度までに月産能力550万個へと倍増させる計画(2010年度は同250万個)。中国での欧州メーカー、中国現地メーカー向けのシェア拡大を狙う。
東洋ゴム工業:Silverstone工場を買収
  2011年6月に、東洋ゴム工業はマレーシア 「Lion Rubber Industries SDN. BHD. (Malaysia)」 の中国完全子会社である、山東銀石瀘河橡胶輪胎有限公司(Shandong Silverstone Luhe Rubber Tire Co., Ltd.) の株式 75%を2,159万米ドルで取得し子会社化した。同時に、社名を東洋輪胎(諸城)有限公司(TOYO TIRE (ZHUCHENG) CO.,LTD.)に改めた。
 東洋輪胎(諸城) は主に商用車用のタイヤを生産・販売し、年産能力約40万本を有する。東洋ゴム工業は既にToyo Tiresブランドの商用車用タイヤの生産を開始し、北米を含む中国国内外向けに供給。同社には、2012年には設備投資を行い、年産能力を約50万本に引き上げる計画。今後、2~3年間かけて、既存のSilverstone ブランドを廃止し、Toyo Tiresブランドに一本化していく方針。
パーカーコーポレーション:ゴム製品製造の現地子会社の社名変更
パーカーコーポレーションは、自動車用/家電用のゴム/プラスチック製品の製造販売を行う中国子会社、青島華蝶塑膠製品有限公司(山東省)の社名を青島帕卡機電配件有限公司に2011年1月変更した。同社のブランド名パーカー(帕卡)を社名に使用し、製造/営業力を強化する。
セントラル硝子: 青島の新合弁会社を2012年9月稼働へ
 セントラル硝子は2011年11月、仏Saint-Gobainグループと、山東省青島市に自動車用加工ガラス製造の合弁会社「聖戈班中央世固鋭特(青島)有限公司」(Saint-Gobain Central Sekurit (Qingdao) Co., Ltd.) を設立した。2012年9月に稼働し、3期工事を経て2014年に年産能力を自動車150万台分と整備する予定。  新会社は、それぞれ子会社を通じて出資し、資本金は1,300万ユーロ (2014年5,000万ユーロまで増資予定)で、実質的な出資比率はセントラル硝子が32.5%、Saint-Gobainグループが67.5%。新会社の工場は、Saint-Gobainグループの青島既存工場「青島聖戈班韓洛玻璃有限公司」 (Qingdao Saint-Gobain HanGlas Glass) 構内に立地する。

福建省

アドヴィックス:福州にABSの新工場建設
 アドヴィックスは2011年7月、福建省福州市 にABS等制御系部品生産の新会社「愛徳克斯(福州)汽車零部件有限公司」(ADVICS Fuzhou Automobile Parts Co., Ltd.) を設立した。2013年4月以降に生産を開始する。 新会社の資本金は3,100万米ドル(約26億円)。2014年度には従業員約220名体制とし、2017年度に売上1.75億米ドル (約150億円)を計画。
タチエス: 2013年末までに福建省開発子会社の設計試作人員を100名へ
タチエスは、研究開発機能を拡充する方針で、2013年末までに、福建省福州の開発子会社「福州泰昌汽車座椅開発有限公司」(Tachi-S Engineering China Co., Ltd.)」で、車載シート関連の設計試作人員を100名に増やす計画。2008年の稼働当初は10名体制であった。
トピー工業:福州工場の乗用車用スチールホイールの年産能力を2015年に30万本に増強
 トピー工業は、福建省福州の完全子会社「福建東碧汽車零件有限公司」(Fujian Topy Auto Parts Co., Ltd.) の乗用車用スチールホイールの年産能力を拡張し、2015年に現行の20万本から30万本規模に引き上げる (2012年2月報道)。生産設備の新規投入等大型投資をせず、現行の塗装工程のスピードアップなど生産性向上で実現を図る。
 

(参考資料:各社広報資料、各紙報道、ヒアリング調査)

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>