Tesla FSD(Full Self-Driving)の考察
完全自動運転の代替になり得るか?
2024/08/21
- 要約
- FSDに対する当初の印象
- Autopark(自動駐車)の新規アップデート
- ドライバー監視機能とハンズフリー操作の改善
- Tesla FSDは今後どうなるのか?
- まとめ
要約
本レポートについて
本レポートは、MarkLinesのポータルユーザー向けにVSI Labs(VSI)によって作成された。VSIは、アクティブ・セーフティと自動運転を支えるテクノロジーを対象に、深い洞察と分析を行い業界に発信するテクノロジー調査会社である。
はじめに
2024年4月上旬、2024年型「Tesla Model Y(テスラ・モデルY)」の定期ソフトウェア更新後、ディスプレイに次のようなメッセージが表示された。「FSD(Supervised)v12への更新により、市街地走行がアップグレードされました。30万行の明示的なC++コードが、数百万の動画クリップでトレーニングされた単一のエンドツーエンド・ニューラルネットワークに置き換えられています」
これは、TeslaのFull Self-Driving(FSD)システムが、従来の手作業でコーディングされたルール(C++コード)に依存していたものから、市街地走行に対応する単一のニューラルネットワークに移行したことを意味する。このニューラルネットワークは広範な動画データから学習し、入力と出力を比較して、車両の挙動を直接制御する。コードベース全体がよりAI主導型となり、手動プログラミングに依存していない。
この技術概要では、Tesla FSD Supervisedについて深く掘り下げ、最新型FSDのリリースについて感想を述べる。また、実現可能なロボタクシープラットフォームや、他のOEMが導入可能なライセンス資産という観点から、FSDの影響について調査する。
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VSIが調査に使用したTesla車両(出所:VSI-Labs) |
Teslaのウェブサイトに掲載された説明は次のとおりである。Full Self-Driving(Supervised)機能により、Tesla車はほぼすべての場所を走行することができます。FSDにより、車両は車線変更を行い、分岐路を選択してナビゲーションルートをたどり、他の車両や物体を回避して、右左折をすることができます。Full Self-Driving (Supervised) を使用する場合、ドライバーとドライバーが承認した人は、注意を払い続ける必要があります。FSDによって車両が自動化されるわけではないため、慢心は禁物です」。Teslaのウェブサイトに掲載されているAutopilotの機能を以下に示す。
- Autopilotによるナビゲーション:車線変更の提案、インターチェンジのナビゲーション、方向指示器の自動作動、正しい出口への進入など、高速道路の進入車線から出口車線までの間の車両の積極的な誘導。
- Auto Lane Change(車線の自動変更):Autosteer作動時に、高速道路上の隣接車線への移動を支援する。(ユーザーはパッシブ動作とアサート動作を選択できる)
- Autopark(自動駐車):ワンタッチで、縦列駐車または直角駐車を自動的にサポートする。
- Summon:モバイルアプリまたはキーにより、狭いスペースへ車両を出し入れする。
- Smart Summon:車両はより複雑な環境や駐車スペースへ移動し、必要に応じて物体を回避して、駐車場にいるユーザーのもとへ移動する。
- 市街地でのAutosteer
- Traffic and Stop Sign Control(交通標識および停止表示による制御):停止表示と信号を識別し、該当する地点に接近すると自動的に減速して停止する。
資料:Mayura Gunarathneによる2024年6月18日付け"[Technology Brief] Tesla FSD Examination: Is this a Proxy for Full Self Driving?" をVSI Labs(同社ウェブサイト VSI Labs AUTONOMOUS SOLUTIONS PORTAL)の許可を得て掲載しています。
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