中国市場2023年第3四半期:外資系メーカーが研究開発を強化、中国大手はAI活用の動き

BYD、Geely、東風、長安等が新ブランドを発表

2023/11/02

要約

IEM by TOYOTA
IEM by TOYOTAの外観(出所:トヨタ)

 中国汽車工業協会(CAAM)の20231011日の発表によると、20231-9月の販売台数(工場出荷台数)は前年同期比8.2%増の2,106.9万台で、このうち乗用車は前年同期比6.7%増の1,813万台、商用車は前年同期比18.3%増の293.9万台となった。新エネルギー車(以下、NEV)は前年同期比37.5%増の627.8万台で、市場占有率は29.8%に達した。MarkLinesのデータによると、多くの外資合弁完成車メーカー販売台数は前年同期比10%以上減少した。外資ブランドに依存しているグループは比較的大きな影響を受けた。

 本レポートは、2023年第3四半期の中国自動車メーカー及び外資大手自動車メーカーの中国市場における主要動向を紹介する。多くの中国自動車メーカーが新ブランドを発表しており、BYDの方程豹(FangChengBao)、吉利汽車の極越(Jiyue)、東風汽車の東風納米(Nammi)、長安汽車の長安啓源(Qiyuan)等の名前が挙げられる。このほか、複数の企業が生成AIモデル及びスマートコックピット分野の応用に焦点を合わせている。例えば、広汽は生成AIモデルプラットフォームを発表し、スマート音声インタラクションシーンの実用化にいち早く取り組み、奇瑞と科大訊飛(iFLYTEK)は大規模言語モデルを利用したAI音声アシストを開発。長城汽車は生成AIモデルサービスプラットフォームを構築するとともに、百度Apollo「文心大規模言語モデル」のスマートコックピットのパートナーになるなどの計画が挙がっている。

 外資大手自動車メーカーについては、VWBMW、トヨタ、GMが現地での研究開発の強化に力を入れている。VW、Audiと小鵬(XPeng)、一汽、上汽が提携し、新型EV車を共同で開発する。BMWは新たな研究開発センターを上海に開設し、海外において最大の研究開発体制を中国に確立している。トヨタはスマート化と電動化技術の現地開発をさらに強化。トヨタ自動車研究開発センター(中国)有限公司はトヨタ知能電動車研究開発センター(中国)有限公司(IEM by TOYOTA) に名称変更した。GMは車両ソフトウェアの技術開発を担当する現地専門家チームを組織すると宣言した。

 

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