インドの日系自動車部品サプライヤー:EV関連の投資も進む

現地部品メーカーとの合弁・提携、コロナ禍でも中長期の視点から生産・事業体制強化

2021/10/25

要約

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インドの自動車工場マップ(クリックすると拠点マップが開きます)

  インドの自動車市場は、2020年、2021年に新型コロナウイルスの感染拡大にともなうロックダウンに見舞われ、自動車メーカー・部品メーカーの生産停止や自動車販売の停止などにより低迷した。また、インドでも半導体不足から、自動車生産の足を引っぱる事態となっている。
  2020年生産台数は339万台(前年比24.9%減)、新車販売台数は294万台(同23.0%減)の大幅減となった。2021年は、5月に生産販売がコロナ禍の影響で落ち込んだが、1-9月累計では生産台数329万台(前年同期比52.3%増)、販売台数280万台(同51.7%増)と大きく回復している。

  インド政府は乗用車への排ガス規制を2020年4月からBS-VIに引き上げたほか、安全規制も強化した。2021年6月には、2019年4月に開始したFAME-IIスキーム補助金(EVとハイブリッド車の導入と生産の加速が目的)の2024年3月までの延長、EVの登録証明書の発行費用の免除案の提出などを発表。同年8月には、自動車燃料として水素の使用を促進するNational Hydrogen Energy Mission策定の発表や、全公務員に対して公用でのEV使用を勧告するなど、CO2排出量削減、エネルギーの安全保障、エネルギー効率化を目指している。


  自動車メーカー各社のEV投入計画も活発化している。インドメーカーのタタ、マヒンドラはEVモデルの開発を進めている。日系では、スズキが2025年までにストロングハイブリッド車と低価格のEVを投入する計画。価格は政府の購入補助分などを差し引いて100万円台を目指す。トヨタ(Toyota Kirloskar Motor)は2020年9月に、国内顧客や輸出のために車両の電動化、電気部品、技術に200億ルピー超(約285億円)を投資すると発表。現代自動車はインドで初の電動SUVを投入。中国系では上海汽車の子会社MG Motorが2020年1月に現地生産を開始した新型SUVのZS EVを発売。BYDが2021年8月にB2Bセグメント向け電動MPVをまもなく発売すると発表している。
  生産体制強化面では、Suzuki Motor Gujaratの第3工場が2021年4月に生産開始。インドでの総生産能力は、マルチ・スズキを含め225万台に増加する。日産は、新型車のSUVマグナイトが好調。仏ルノーとの合弁工場では、2021年初に増産体制を構築した。他方、ホンダは四輪車の2工場のうち1つを閉鎖し、生産能力を約4割削減する方針を明らかにした。


  日系部品・素材メーカーはコロナ禍により投資計画を先延ばしした例もあるが、取引先からの要請やインド市場の中期的拡大を見越した生産体制の増強を図っている。新規進出では、ダイセルのエアコン用インフレータ工場、THKの直動部品工場、スズキ・東芝・デンソーのリチウムイオン電池合弁工場などがあり、生産能力増強では、三菱ケミカルの熱可塑性エラストマーの製造設備新設、三菱電機の電動パワーステアリング用モーターコントロールユニット新工場、八千代工業の燃料タンク生産ライン追加などがみられる。
  インド企業との提携強化も活発で、愛知製鋼はインドメーカーに出資し、同社製特殊鋼をタイ、フィリピンに供給する計画。また、スタンレー電気のHVACパネルやパナソニックの電気バス用充電器設置などでの提携がみられる。合弁事業では、三井物産の台湾企業とのEV駆動用モーター合弁工場や、アルプスアルパインの車載機器、ヨコオの車載アンテナ事業でインド企業との合弁会社設立などがあった。
  開発拠点強化では、アイシン精機のAI分野の共同研究でインド理科大学院との契約、ジェイテクトのインド技術センター拡張、堀場製作所のエンジンシステムの試験のためのテクニカルセンター増強、三菱マテリアルのインドテクニカルセンター開設などがみられた。


  本レポートは、インドにおける日系自動車部品メーカーの動向をまとめた(収録対象は2021年9月上旬までの約2年)。

 

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<日系サプライヤーの海外事業動向>
  メキシコ (2021年7月)
  米国・カナダ (2021年4月)
  中東欧 (2020年12月)
  中国全般 (2020年10月)
  中国・華東地区 (2020年9月)
  ASEAN (2020年8月)
  西欧 (2020年4月)
  インド (2019年11月)