インドの二輪車生産と工場生産能力の分析
コロナ禍で混乱する二輪車市場、高級ブランドは現地生産を強化
2021/07/27
- 要約
- インドの二輪車生産の分析
- 二輪車メーカー別の生産・輸出分析
- Hero MotoCorp Ltd.
- Honda Motorcycle & Scooter India (Pvt) Ltd. (HMSI)
- Bajaj Auto Ltd.
- TVS Motor Company
- India Yamaha Motor Pvt. Ltd.
- Royal Enfield
- Suzuki Motorcycle India Private Limited (SMIPL)
- Piaggio Vehicles Pvt. Ltd. (PVPL)
- プレミアム二輪車
要約
インドは世界最大の二輪車生産国である。二輪車業界はインドの製造業GDPの7%を占めており、同国の消費税収入の2%を占める。インドの二輪車保有台数は約1億9,000万台と推計される。現時点で二輪車はインドの自動車生産台数全体の約80%を占めている。二輪車メーカー全体での生産能力は年間2,500万台超にのぼる。インドの二輪車市場は主にオートバイとスクーターで構成される。
二輪車生産・販売・輸出台数
2020-21年度(2020年4月~2021年3月)の二輪車の国内生産は、前年度の2,100万台から12.8%減の1,840万台に減少。国内販売は前年の1,740万台から13.2%減の1,510万台に落ち込んだ。輸出も2019-20年度の350万台から6.9%減の330万台となった。
インドの二輪車業界は2020-21年度に需要の激減を経験する一方で、一定の回復傾向も見られるという「需要の矛盾」を経験した。主な需要減の要因の1つが新型コロナウイルスの影響である。さらには、経済的な打撃、高い燃料価格、新規制の影響による二輪車価格の上昇、サプライチェーンの諸問題に起因する原材料費の高騰と基幹部品の不足が二輪車需要を押し下げた。一方、農村部ではモンスーンが需要の増大に貢献した。また、コロナウイルスの感染拡大はパーソナル・モービリティ需要を押し上げた。これら2つの要因は、二輪車販売のさらなる下落に歯止めをかけた。
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インドの自動車生産台数(2020-21年度) (出典:各種発表および情報ソースよりマークラインズ作成) |
インドの二輪車生産/販売/輸出台数(2020-21年度) (出典:各種発表および情報ソースよりマークラインズ作成) |
インドの自動車生産台数 (単位:1,000台)
カテゴリー | 2019-20年度 | 2020-21年度 | 前年比 |
---|---|---|---|
二輪車 | 21,033 | 18,350 | -12.8% |
乗用車 | 3,425 | 3,062 | -10.6% |
三輪車 | 1,133 | 611 | -46.1% |
商用車 | 757 | 625 | -17.4% |
(出典:各種発表および情報ソースよりマークラインズ作成)
二輪車生産/販売/輸出台数 (単位:1,000台)
カテゴリー | 2019-20年度 | 2020-21年度 | 前年比 |
---|---|---|---|
生産 | 21,033 | 18,350 | -12.8% |
販売 | 17,416 | 15,119 | -13.2% |
輸出 | 3,519 | 3,278 | -6.9% |
インドの二輪車生産台数 月次データはこちらよりご参照ください。
本稿ではインド二輪車業界の近況と主要二輪車メーカーの動向について報告する。なお、インドにおける電動二輪車の新興メーカーについては次回レポートで取り上げる。
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