ホンダのEV戦略:日本/欧州にHonda eを投入、北米でGMと自動運転EVを開発

2020年度業績見通しは売上収益13兆円(12.6%減)、営業利益4,200億円(33.7%減)

2020/11/25

要約

Honda e
欧州と日本市場に投入したHonda e(欧州仕様、出典:ホンダUK)

  本レポートは、ホンダのEV戦略と、2020年度第2四半期決算および同年度通期の業績見通しを報告する。

  自動車業界が100年に一度の大転換期に直面する中、ホンダは最重要課題である環境への取り組みとして、従来の「2030年に世界販売台数の2/3を電動化する」との目標に加えて、2020年10月に「2050年カーボンニュートラルの実現」を目指すと発表した。カーボンフリー技術の中心となる燃料電池車(FCV)・バッテリーEV(BEV)などの研究開発に経営資源を重点的に投入していく。そのため、2021年シーズンをもって、FIAフォーミュラ・ワン世界選手権(F1)へのパワーユニットサプライヤーとしての参戦を終了することを決定した。

  具体的には、世界の地域ごとに、1)北米市場向けにはGMと提携して2車種のEVを開発、またGM、クルーズと提携してMaaS向け自動運転EV車両を開発、2)中国では現地合弁2社とEVを共同開発するとともに、初のホンダブランドEV「Honda SUV e: concept」を北京モーターショーで発表、3)日本と欧州市場には、多彩な先進技術を搭載するHonda eを2020年に投入した。


  ホンダの2020年度第1四半期(4~6月期)の業績は、新型コロナウイルスの影響により、売上収益2兆1,237億円(46.9%減)、営業赤字1,136億円(前年同期は2,524億円の黒字)であった。

  第2四半期(7~9月期)は、中国・米国を中心とした市場の回復と販売費・一般管理費の節減により、グループ販売台数は1.0%増、売上収益は2.1%減だが、営業利益は28.5%増の2,829億円と回復した。その結果、上半期(4~9月期)では、グループ販売台数204.5万台(20.2%減)、売上収益5兆7,751億円(25.2%減)、営業利益1,692億円(64.2%減)まで減少幅が縮小した。

  2020年度通期の業績見通しは、市場の先行きは依然不透明であるものの、上半期に構築した事業体質を反映し、全利益項目で8月時点の見通しを上回り、グローバル販売台数460万台(2019年度比4.0%減)、売上収益13兆500億円(12.6%減)、営業利益4,200億円(33.7%減)を見込む。期中平均の為替レートは1米ドル=106円と予測している。


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