ホンダの高速道レベル3自動運転のシステム開発

ドライバーに運転交代できない場合の自動緊急停止も設定

2020/11/10

要約

ホンダレジェンド
レベル3自動運転技術を搭載するホンダレジェンド(出典:ホンダ)

  本レポートは、2020年10月に開催された第13回ReVision Auto&Mobilityウェビナーでの、本田技術研究所 先進技術研究所エグゼクティブチーフエンジニア杉本 洋一氏による「交通事故ゼロ社会実現に向けた自動運転技術の取り組みと、自動運転レベル3実現に向けた技術的チャレンジ」と題した講演の概要を報告する。

  ホンダは、2020年内にも高速道レベル3自動運転車(レジェンドとされる)を発売し、高速道路上での、
・車線内運転支援(ハンズオフのリラックスした姿勢での車線維持)

  さらに、世界でまだ実用化されていない機能である
・高度車線変更支援(ハンズオフでの車線変更)
・渋滞時自動運転(ハンズオフに加えて、アイズオフ(TV視聴やスマートフォン操作などが可能)も含むレベル3自動運転)、を実現する。

  改正道路運送車両法および道路交通法が2020年4月に施行され、レベル3自動運転車が日本の公道を走行することが可能になった。このように、法律でレベル3自動運転を認めたのは世界初とのこと。
  システムがドライバーに運転交代を要求しても、スムーズに交代できなかった場合の自動緊急停止(リスク最小化制御:ミニマル・リスク・マヌーバー(MRM))は、SAEのレベル3の定義には含まれないが、日本の改正された法規はこれを求めている。ホンダは、日本の法規が決まる前から、MRMの採用を計画していた。

  杉本氏はさらに、高速道自動運転車のシステム構成と、各種シミュレーションと130万kmにおよぶ実車走行を組み合わせた安全性検証の概要を紹介した。

  講演終了後に、「自動運転レベル3が実現すること。そのためになすべきこと。」のテーマで、ウェビナー視聴者からの質問に答えながら、杉本氏と自動車ジャーナリストの清水和夫氏の対談が行われた。レベル3自動運転についての、「システムが運転交代を要求した場合に、ドライバーがスムーズに対応できるとは限らない」という否定的な議論など、自動運転に関する疑問、不安などが話題となった。その主要な論点を紹介する。


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