マークラインズ8つの事業
コンテンツ一覧
サービス一覧

Tesla Model Y 分解調査:電動パワートレインの技術

オクトバルブによる熱管理、バッテリー、モーター、インバーター ~Munro社の分解調査データより

要約

Tesla Model Y
Tesla Model Y (マークラインズ ベンチマークセンターにて撮影)

  Tesla Model Yはテスラ初のクロスオーバーSUVとして2020年に発売され、現時点では四輪駆動(AWD)のグレードのみとなっている。Munro & Associates, Inc.では2018年のTesla Model 3に続いて2020年に分解調査を行っており、マークラインズではその詳細情報を販売している。本稿ではMunro社の分解調査(Zone 4: Powertrain & Battery Pack)で明らかになったTesla Model Yの電動パワートレインの技術を紹介する。


  Tesla Model Yの電動パワートレインについては、Model 3、中でもAWD仕様の「パフォーマンス」、「ロングレンジ」のグレードとは共通部品が多い。そうした中で進化が目立つのが熱管理システムである。

  Model 3においても電動パワートレイン排熱によるバッテリーの加熱が可能なシステムとなっていたが、Model Yではそれらに加えて車室内HVACからの熱流の統括制御も可能なように、LLC対応のヒートポンプシステムや「オクトバルブ」と呼ばれるバルブ集合体などの仕組みが導入されており、冷却水の流路をバルブで切り換えて排熱がバッテリーの加熱に使えるようになっている。

  バッテリーは2170形状の円筒形リチウムイオンバッテリーセル4,416個を4個のモジュールで構成し、75kWhのバッテリーパックとしている。

  モーターはModel 3と同様に、主駆動輪である後輪は同期モーター、副駆動輪である前輪は誘導モーターを採用しているが、誘導モーターのローターの導体はテスラでは初めてのアルミ鋳造製となっている。

  インバーターもModel 3と共通部分が多く、後輪駆動用はSiCのMOSFET、前輪駆動用にはシリコンのIGBTをパワーモジュールに採用している。

 

Model YとModel 3の電動パワートレイン諸元比較

  Model Y Model 3
前輪 後輪 前輪(四輪駆動のみ) 後輪
モーター形式 誘導モーター 埋込み磁石型同期モーター(IPMSM) 誘導モーター 埋込み磁石型同期モーター(IPMSM)
最大出力 米国:
69kW (Long Range AWD)
133kW (Performance AWD)
中国:
137kW (Long Range AWD)
137kW (Performance AWD)
米国:
201kW (Long Range AWD)
179kW (Performance AWD)
中国:
180kW (Long Range AWD)
202kW (Performance AWD)
米国:
98kW (Long Range AWD)
131kW (Performance AWD)
中国:
137kW (Performance AWD)
米国:
195kW (Long Range AWD)
190kW (Performance AWD)
198kW (Standard Range Plus RWD)
中国:
202kW (Performance AWD)
202kW (Standard Range Plus RWD)
最大トルク 中国:
219Nm (Long Range AWD)
219Nm (Performance AWD)
中国:
326Nm (Long Range AWD)
404Nm (Performance AWD)
n.a. 中国:
n.a. (Performance AWD)
404Nm (Standard Range Plus RWD)
バッテリー 米国:
82kWh (Long Range AWD)
82kWh (Performance AWD)
中国:
76.8kWh (Long Range AWD)
76.8kWh (Performance AWD)
米国:
82kWh (Long Range AWD)
82kWh (Performance AWD)
54kWh (Standard Range Plus RWD)
中国:
76.8kWh (Performance AWD)
55kWh (Standard Range Plus RWD)

(出所:マークラインズ CASE(電動化・自動運転) Model YおよびModel 3のデータより作成)

 

  マークラインズは、デトロイトに本拠地を置く車両ベンチマークのエンジニアリング会社Munroと提携している。Munro社は各種車両の分解調査を行い、全ての部品について、重量・寸法など詳細スペック、コスト分析を実施、分析結果のレポートを提供している。詳しい情報をご希望の方は、下記へお問い合わせください。

 

Tesla Model 3 分解調査レポート:
Tesla Model 3 分解調査:シャシー、ボディ(2019年5月)
Tesla Model 3分解調査:インテリア、HVAC(2019年4月)
Tesla Model 3分解調査:モーター、インバーター、バッテリー(2019年3月)


関連レポート:
Tesla:2022年に生産・販売100万台体制を目指す(2021年5月)
The Battery Show & EV Tech Digital Days 2020(2020年12月)
Teslaは自動車会社か、テクノロジー企業か?(2020年11月)

 

このレポートは有料会員限定です。

会員登録いただく、期間限定で続きをお読みいただけます。
さらに、以下のようなコンテンツを無料でご利用いただけます。

  • 市場・技術レポート
  • 世界の自動車生産 / 販売台数
  • モデルチェンジ予測
  • 自動車業界の最新ニュース
  • 自動車部品300品目シェア・供給情報
  • ご利用に関するお問い合わせ先

    月~金 9:00~18:00 (祝祭日を除く)
    japan 日本
    〒100-6114 東京都千代田区永田町2-11-1
    tel-icon 03-4241-3907
    カスタマーサポートデスク
    メディア関係者様向け
    USA 米国
    Southfield, Michigan, USA
    +1-248-327-6987
    MEX メキシコ
    León Guanajuato,Mexico
    +52-477-796-0560
    DEU ドイツ
    Frankfurt am Main, Germany
    +49-69–904-3870-0
    CHN 中国 (上海)
    〒200001 上海市黄浦区
    +86-21-6212-6562
    CHN 中国 (深圳)
    〒51800 広東省深圳市南山区
    +86-755-2267-1725
    THA タイ
    Klongtoey, Bangkok, Thailand
    +66-2-665-2840
    IND インド
    Gurgaon, Haryana, India
    +91-124-4048779