Tesla:2022年に生産・販売100万台体制を目指す

ドイツと米テキサス州で新工場が稼働予定、コストを半減したバッテリーを内製化

2021/05/07

要約

  Teslaは2021~2022年にドイツ・ベルリン郊外と米国・テキサス州で建設中の新工場を稼働させ、生産面で年100万台体制を整備する。2021年以降の世界販売台数は毎年平均50%以上伸び、2022年には100万台超になると見込んでいる。

  中国乗用車協会(CPCA)によると、中国における2020年のTeslaの販売台数は13.7万台。EVの販売では、上汽GM五菱に次いでTeslaは2位。2021年1月には中国製Model Yの納車を開始し、さらなる販売拡大を見込んでいる。ただし、中国市場では、EVを積極投入する他の海外メーカーや格安EVを発売する中国メーカーとの競争が激化している。

  Teslaはコスト削減戦略の一環として、電池事業も改善する。2020年9月のTesla Battery Dayには電池セルの形状、生産工程、負極・正極材料、電池パック構造等を改善し、コストを半減させたリチウムイオン電池を内製化する計画を発表。2022年には自社内に100GWh(EV140万台分)の生産能力を持つ計画。電池材料のレアメタルも自社で確保するほか、電池サプライヤーとの連携も強化する。

  新型車投入では、ピックアップトラックのCybertruckを2021年後半に、クラス8の重量級トラックSemiを2年後ろ倒しの2021年に投入する計画。また、2023年までに欧州の都市部向けコンパクトカー、2023年以降にRoadster、minivanの投入を計画している。

  自動運転機能については、無線によるソフトウェア更新により、2020年に信号機/一時停止標識制御や完全自動運転(FSD)市街地ベータ版を利用可能とした。2020年10月にはFSDのソフトウェア更新オプション料金を1万ドルに引き上げた。ただし、Teslaが完全自動運転と称するFSDは、現時点では自動運転レベル2の機能であり、運転手の監視が必要である。

  Teslaの2020年の売上高は前年比28.3%増の315億3,600万ドル、最終損益が7億2,100万ドルの黒字(2019年は8億6,200万ドルの赤字)。通期ベースで最終黒字を計上したのは2010年の上場以降で初めて。2019年末から中国・上海工場が稼働を開始し、現地生産比率が拡大した結果、中国での原価低減が進み、利益が拡大した。2020年の世界生産台数は前年比39.6%増の509,737台、世界販売台数は36%増の499,550台。米国での需要拡大に加え、コロナ禍の世界でいち早く経済が回復した中国での需要を取り込んだ。

Model Sの運転席まわり 上海工場 - Model Yの鋳造工程
Model Sの運転席まわり (出典:Tesla) 上海工場 - Model Yの鋳造工程 (出典:Tesla)

 

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  マークラインズは、デトロイトに本拠地を置く車両ベンチマークのエンジニアリング会社Munroと提携している。Munro社は各種車両の分解調査を行い、全ての部品について、重量・寸法など詳細スペック、コスト分析を実施、分析結果のレポートを提供している。詳しい情報をご希望の方は、下記へお問い合わせください。

>> テスラモデルY 分解調査データ
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