ZF Friedrichshafen AG 2019年12月期の動向

業績

 (単位:百万ユーロ)
2019年
12月期
2018年
12月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 36,518 36,929 (1.1) 1)
営業利益 927 1,537 (39.7)
部門別売上高
パワートレインテクノロジー 7,312 7,775 (6.0) 2)
シャシーテクノロジー 7,684 7,876 (2.4) 3)
商用車テクノロジー 3,701 3,720 (0.5) 4)
E-Mobility 2,346 2,195 6.9 5)
アクティブセーフティ 6,303 6,559 (3.9) 6)
パッシブセーフティ 4,337 4,125 5.1 7)
エレクトロニクス&ADAS 1,848 1,666 10.9 8)
ZF アフターマーケット 2,929 2,975 (1.5) 9)

   

要因

1) 売上高
-2019年12月期の同社売上高は前年比1.1%減の36,518百万ユーロ。企業買収および為替の影響を除いた実質の事業成長率は約1.9%減となった。減収の主な要因は自動車市場の鈍化、英国Brexit及び米中貿易戦争による不確実性であった。

2) パワートレインテクノロジー部門

-同部門の2019年12月期売上高は前年比6.0%減の7,312百万ユーロ。自動車世界生産が低下したことにより同部門の売上高も減少となった。

3) シャシーテクノロジー部門
-2019年12月期同部門売上高は前年比2.4%減の7,684百万ユーロ。同部門についても上記要因により減収となった。

4) 商用車テクノロジー部門
-商用車テクノロジー部門における2019年12月期売上高は前年比0.5%減の3,701百万ユーロ。下半期の需要減に対し中国における合弁事業及びバス部門の需要増が一部相殺した。

5) E-Mobility部門
-2019年12月期、同部門の売上高は6.9%増の2,346百万ユーロ。市場全体の需要減に対し、Eモビリティにかかわる部品・システムの需要が増加したことにより同部門は売上増となった。

6) アクティブセーフティ部門
-アクティブセーフティ部門の2019年12月期売上高は前年比3.9%減の6,303百万ユーロ。乗用車の生産減により減収となった。

7)パッシブセーフティ部門
-パッシブセーフティ部門の2019年12月期売上高は前年比5.1%増の4,337百万ユーロ。エアバッグの需要増加によって、市場の減少が相殺された。

8)エレクトロニクス&ADAS部門
-エレクトロニクス&ADAS部門の2019年12月期売上高は前年比10.9%増の1,848百万ユーロ。カメラシステムの好調が同部門の増収を牽引した。

9) ZF アフターマーケット
-アフターマーケット部門の2019年12月期売上高は1.5%減の2,929百万ユーロ。

 

買収

WABCOの買収(時系列順)
-WABCOは、ZFから買収の打診を受け、予備交渉に入ったと発表した。現在のところ、買収に関して何らかの合意が得られたり、取引が完了する保証はないとしている。WABCOは、この件について更なる開示が要求されていると認められない限り、追加のコメントをするつもりはないと述べている。(2019227日付プレスリリースより)

-WABCOは、ZFとの合併契約を締結したと発表した。買収額は70億ドル (7,700億円)超で、今回の買収によりWABCOの安全性と効率性を備える商用車向け車両ダイナミクス制御、アクティブエアサスペンションシステム、フリート管理システムなどの技術と、ZFの商用車向けドライブラインおよびシャシー技術を統合することとなる。(2019328日付プレスリリースより)

-WABCOZFによる買収について、WABCOの株主から承認が得られたと発表した。627日に行われた株主による投票において、自己株式を除く発行済株式所有者の68.44%が、20193月にZFWABCO社間で結ばれた合意に賛成票を投じた。ZFは今後、WABCOの全発行済み株式を1株当たり136.50ドルで取得する。取引は2020年初頭に完了する予定で、両社のキャッシュフロープロファイルによりZFは、買収終了後における財務レバレッジの大幅な削減を見込んでいる。(2019627日付プレスリリースより)

その他買収
-Simi Reality Motion Systemsの株式90%を取得する計画を発表した。Simi Reality Motion Systems1992年設立、従業員数35名で、人間の動きを記録および分析するための画像ベースの3Dシステムを開発する企業。買収により、ZFSimi Reality Motion Systemsの技術を自動運転の基本要素となる乗員認識システムの開発に活用する予定。(2019513日付プレスリリースより)

-オランダのユトレヒト(Utrecht)に本拠を置く自動運転輸送システム企業2getthereの株式60%を取得したと発表した。この戦略的投資により、ZFMaaS(Mobility as a Service)および自動誘導車両成長市場への足がかりを強化するための次世代モビリティ戦略を実行し、既存の活動を補完するという。2getthereのエンジニアリングおよびソフトウェア開発チームは、今後数年間で従業員数を現在の60名から倍増する見込み。(2019319日付プレスリリースより)

-ルーマニアのエンジニアリングサービスプロバイダーBeeSpeedの自動車部門を買収したと発表した。2019年1月1日付けで、BeeSpeed Technical Engineering CenterはZFの子会社となった。BeeSpeed Technical Engineering Centerはルーマニア西部のTimisoara工科大学で100名超の開発者を雇用しており、ZF2020年までに230名超に増員する計画。BeeSpeedは、2008年からアクティブセーフティ部門のブレーキシステム事業ユニットと協業している。今回の買収によりZFは、機械システムのサプライヤーとしてのポジション強化を図る。(2019111日付プレスリリースより)

再編

-Haldexの最大株主として、同社は保有株を売却する意向を表明した。ZFは現在、子会社のZF International B.V.を通じてHaldexの発行済み株式約20%に相当する890万株を保有している。(2019912日付プレスリリースより)

-傘下のZF Steering Gears Indiaは、Boschグループ傘下の独Robert Bosch Automotive Steering GmbHとの合弁企業であるRobert Bosch Automotive Steering Private Limited (RBASPL) を独Robert Bosch Automotive Steering GmbHに625百万ユーロで売却する計画であると発表した。RBASPLは継続的に損失を抱えており、2019年3月31日時点での累計損失は3,836.9百万ルピーであった。またZFはBoschから合弁事業解消の通達を2019年2月14日に受けていた。ZFは累積損失やその他の不確実性を考慮し、そして更なる損失を軽減するために、同社が保有しているRBASPLの全株式をRobert Bosch Automotive Steering GmbHに売却することに合意したという。(2019年6月17日付臨時総会報告書より

合弁事業

-同社は、e.GO MOOVEの所有権に関する調整を行う。2020年初頭にe.GO MOOVE GmbHの株式をe.GO Mobile AGの株式と交換する予定。今回の再編において、2社間での相乗効果が期待できるとしている。電動ドライブ、ブレーキ、ステアリング及び自動運転技術におけるソリューション提供、開発での協業が今後継続される。(2019年12月13日付e.GO MOOVEリリースより)

-Wolong Electric Groupとの間で自動車用電気モーターおよび関連部品を製造する合弁会社を設立する契約を締結したと発表した。新会社の名称は「Wolong ZF Automotive E‑Motors Co Ltd.」で、すでにハイブリッドおよび電動ドライブ用電気モーター部品の量産契約を受注している。合弁会社は浙江省上虞区に本拠を置き、中国市場向けに製品を供給する。2025年までに最大2,000名の雇用を見込む。(20191119日付プレスリリースより)

事業提携

-Transdeve.GOと提携し、自動運転シャトル「e.GO Mover」にTransdevのオペレーティングシステムを統合したシェアモビリティソリューションを開発すると発表した。e.GOZFの合弁会社e.GO Mooveが製造する「e.GO Mover」は、ZFの自動運転用電動ドライブシステム、ステアリングシステム、ブレーキ、セントラルコンピューター「ProAI」、センサーを装備する。Transdevは、監視システム、接続インフラ、クライアントアプリケーションなどの自動運転システムを供給するという。3社は2020年までにフランスとドイツでソリューション供給を開始する予定。(201917日付プレスリリースより)

最近の動向

-子会社上海采埃孚変速器有限公司[ZF Transmissions Shanghai Co. Ltd.](ZFTS)が8速トランスミッション(8HP)の生産・納品を開始したと発表した。ZFTSは国内の多くの顧客に高品質な8速オートマチックトランスミッションを提供するため、本年第1四半期に8HP専用生産ラインの運用を開始した。設計年産能力は40万セット。ZF 8HPモジュール化コンポーネントは伝動エネルギーロスを大幅に引き下げることが可能。各種トルク範囲に適合し、伝統的な内燃機関自動車だけでなく、ハイブリッド車にも適しており、標準的な全輪駆動やスタートストップ機能との互換性にも優れている。(2019年9月2日付けリリースより)

-同社は、中国において完全現地生産化を行うため拠点の拡大を行う。乗用車向け8速ATを中国の現地顧客に向けて供給する予定。 将来的には中国において完全電動自動車を生産したい考え。今回の生産能力拡大は現在すでに進行しており、乗用車用電動パワーステアリングへの需要を満たすよう張家港市にステアリング生産拠点を建設中。同社は商用車においても現地化を推進しており、福田汽車との合弁企業が数週間以内に商用車向けATシステム「TraXon」の生産を開始する。すでに上海には、今回の合弁事業による工場が建設されている。さらに、上海の2カ所の開発センターでは1,000名のエンジニアの追加雇用を見込んでいる。(201949日付プレスリリースより) 

-SiC (炭化ケイ素) パワー半導体を使用したインバーターを3年以内にも量産車で実用化する。今後市販化が進むとみられる電圧800ボルトのシステムを搭載した電気自動車 (EV) で採用を見込む。SiCパワー半導体の特徴である高いエネルギー効率を生かした駆動システム全体のコスト低減効果を打ち出し、量産化を目指す。従来のEVは、電圧300~400ボルトのシステムを使用している車両が多いが、今後は充電時間の短縮や走行性能向上を目的に同800ボルトに高めたEVの市販化が進む見通し。2019年内にも欧州自動車メーカーは800ボルトのEVを市販化する。(2019年3月12日付日刊自動車新聞より)

受注

-同社Creeは、効率的な電動ドライブラインを開発する戦略的パートナーシップを発表した。両社は駆動効率を高め、電気自動車 (EV)の航続距離を伸ばすSiC (シリコンカーバイド)ベースのインバーターを備える電動パワートレインの開発に取り組む。ZFCreeの技術を活用し、大手自動車メーカー数社から受注済みのSiCベースの電動ドライブシステムを製造する。この製品は2022年までに市場投入予定。SiCベースのパワー半導体は特に800Vの電動システムと組み合わせるとEVの効率改善に大きく貢献するという。Creeは最近、米国ノースカロライナ州Durhamの材料工場と、ニューヨークの世界最大級のSiCデバイス工場の生産能力拡張を発表した。(2019115日付プレスリリースより)

-FCAの後輪駆動および全輪駆動車のフロント縦置きエンジンレイアウト向けトランスミッションのグローバルサプライヤーに選定されたと発表した。ZFは現行の8速ATをさらに最適化し、ハイブリッド車用の電動駆動装置を内蔵した新型の8速トランスミッションを供給する。新型のトランスミッションは2022年からドイツのSaarbruecken 工場がリード工場として量産開始予定で、将来的には米国や中国でも量産を行う計画だという。また当該トランスミッションは、電気駆動装置を統合したもので、フロント縦置きエンジンレイアウトを採用するほぼ全セグメントの車両に展開可能となる。今回の受注はZF史上2番目の規模を誇り、契約締結済みのBMW向けの同製品納入を含めた場合は同社では最大の受注となる。(2019年7月3日付プレスリリースより

-6月25日、いすゞ自動車と日野自動車が共同開発した国産初のハイブリッド連節バスにアクスルが採用されたと発表した。前軸、中軸、後軸のアクスルで、ディスクブレーキを搭載するほか、円滑な運行に貢献する。いすゞ「エルガデュオ」と日野「ブルーリボンハイブリッド連節バス」に大型バス向けアクスル「RL75A (前軸) /AVN132 (中軸) /AV133 (後軸) 」がそれぞれ採用された。フラット構造としたことで乗降のしやすさなどに貢献するほか、ディスクブレーキを標準とすることで安全性にも寄与する。(2019年6月27日付日刊自動車新聞より)

-BMWから新型8ATの複数年受注契約を獲得したと発表した。この新型AT2022年からドイツのSaarbrucken工場で量産を開始し、その後BMWの米国Spartanburg工場近郊のサウスカロライナ州Gray Court工場と中国の上海工場でも生産する計画。2009年から生産しているZF8ATの最新バージョンは、電動およびハイブリッド駆動の統合により最適化されている。次世代ハイブリッドトランスミッションは、さまざまなスターティングエレメントを使用したモジュラー構造により、あらゆる乗用車に適合するという。(201944日付プレスリリースより)

-Alexander Dennis2階建て燃料電池バスに電動ドライブアクスル「AxTrax AVE」が採用されたと発表した。ZFが製品を供給するのは、ADLEnviro400」をベースとするモデル。このバスは水素を使用して電気を発生させて、電動ポータルアクスル内の2つの電気ホイールハブモーターを駆動させるシステム構成で、化石燃料を使用していないため、有害な排気ガスは発生せず、蒸気のみを発生させるという。またZFAxTrax AVE」に加えてインバーター、電動コントロールユニット、制御ソフトウェアの供給によりパフォーマンス、効率、耐用年数の最適化を図るとしている。(2019115日付プレスリリースより)

 

見通し

-現時点での為替レートが継続する前提において、WABCOの買収影響を除き、同社は2020年12月期売上高を350億ユーロから370億ユーロと予想している。なお、この見通しはコロナウイルスの影響により下方修正される可能性がある。

  

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
合計 2,652 2,501 2,230

*2018年1月より同社は会計基準IFRS15の適用を開始。

-年間売上高の7%以上を研究開発費に投資する予定。

 

研究開発体制

-2019年12月31日時点、同社は以下16カ所の研究開発拠点を有する。

  • ドイツ: Friedrichshafen, Koblenz, Schweinfurt, Alfdorf, Duesseldorf, Dielingen, Passau, Auerbach
  • 米国: Detroit
  • 中国: 上海
  • インド: Hyderabad
  • ポーランド: Czestochowa
  • チェコ: Pilsen
  • 英国: Solihull
  • スペイン: Vigo
  • 日本: 横浜

-2019年11月27日、広州市花都区人民政府と投資協定書に調印した。ZFは同区にR&Dセンターを建設し、自動車エレクトロニクス、ブレーキ、ステアリング、セーフティシステム及び新エネルギー車と無人運転車などの研究開発を進める。このR&DセンターはZFが上海嘉定区と松江区に続き建設する中国では3番目の、華南地区では初めてとなるR&Dセンターである。2023年から運用を開始する予定で、投資額は約7億元を見込む。また、上海嘉定区R&Dセンターは広州に支所を開設し、迅速な顧客対応を展開する計画である。(2019年11月27日付けリリースより)

-ドイツSaarbruckenAIおよびサイバーセキュリティの技術センターを新設すると発表した。新センター「ZF AI & Cybersecurity Center」では従業員の約2/3AI関連に、残りの1/3がサイバーセキュリティ分野に従事する予定。同社はさまざまなアプリケーションでAIベースの機能を使用しており、将来的にSaarbruckenの新センターでは自動運転技術のみでなく、風力発電およびケーブルカーのトランスミッションの予知保全、乗用車および商用車のインテリジェントトランスミッション制御、製品開発および生産における機械学習などにも携わる計画だという。(2019312日付プレスリリースより)

-70百万ユーロを投じたFriedrichshafenの新テストセンターが開設したと発表した。新センターは電動、ハイブリッド、内燃機関の全てのパワートレインを試験するよう設計されおり、駆動システムの種類に関わらずテストできるバッテリーシミュレーターなどを備える。また、新センターの東側にある研究開発センターの敷地内に、400名収容可能なオフィスビルも建設する予定。現在、プロジェクトは計画と承認の段階にあり、同社は数千万ユーロを投資する見込み。(2019227日付プレスリリースより)

研究開発動向

-Mobility as a Service (MaaS)アライアンスへの参加を発表した。欧州にまたがるこの特別利益団体 (SIG)の目的は、都市のモビリティにパラダイムシフトをもたらし、ネットワークモビリティのコンセプトを促進し、技術と法律の統一基準を作成することにある。MaaSは、公共交通機関、タクシー、ライドシェア、バイクシェアプロバイダーなどのサービスをリンクしてシームレスなネットワークを形成することに注力する。このためのバックボーンは、需要に応じて乗客を目的地に連れて行くロボタクシーやゼロエミッション・モビリティによって形成される。ZFは、自動運転モビリティに必要な全コンポーネントを提供すると同時に、ネットワークおよび自動運転アプリケーション向け統合システムの継続的な開発に取り組むという。MaaS Allianceは、官民パートナーシップの一環として設立された団体で、欧州内外でMaaSソリューションの均一で開かれた市場を立ち上げることを目的としている。(2019117日付プレスリリースより)

-同社のレベル2高速道路自動運転システムを搭載した東風「風神奕炫 (Fengshen Yixuan)」は北京とウルムチを結ぶ高速道路G7京新高速の内蒙古巴彦淖爾(バヤンノール)-額済納(エジナ)間全長500kmの無人区間での走行に成功した。ZFのレベル2高速道路自動運転システムが中国自主ブランドと組むのは今回が初めてである。このシステムはミリ波レーダー及びHDカメラを融合したソリューションを採用。ドライバーが速度を設定すれば、前を走る車に追従し本線車道を長時間自動で走行する。このシステムは車のいるレーンから車のいないレーンへの移動、低速から高速への切り替えをスムースに行うことができる。また従来のアダプティブクルーズコントロール(ACC)機能とレベル2自動運転をワンキーで自由に切り替えることができる。2020年第4四半期にはレベル2マルチレーン自動運転システムを量産する計画である。(2019年9月2日付けリリースより)

-ドイツの神経科医と協業して、乗り物酔いの早期発見方法について研究していると発表した。乗り物酔いの症状を早い段階で発見するスマートドライビング機能の開発に活用することを目的としている。車両の動きに対する反応は人により異なり、乗り心地に関する感覚も個々に持っているが、ZFは人工知能 (AI) ベースのアルゴリズムで身体的反応の認知を乗員毎に行う。これにより、個々の乗員に最適な運転スタイルを蓄積することができるという。(2019年7月12日付プレスリリースより

技術提携

-Microsoftと共同でスピードと品質をもたらすソフトウェアエンジニアリングのプロセス、方法、ソリューションについて発表した。両社はAzureクラウドサービス、開発者ツールおよびアジャイルソフトウェア開発におけるマイクロソフトの経験を活用して自動車業界にソフトウェアソリューションを提供する。CES 2020で、ZFは「cubiX」によるソフトウェア開発のビジョンを発表する。「cubiX」は、車両からセンサー情報を収集し、シャシー、ステアリング、ブレーキ、駆動装置のアクティブシステムを最適化するソフトウェア製品。ベンダーに依存しないアプローチによって、「cubiX」はZFのコンポーネントとサードパーティのコンポーネントをサポートする。ZFは2020年に最初の顧客企業とプロジェクトを開始し、2023年に「cubiX」を市場投入する計画。(20191219日付プレスリリースより)

-英国オックスフォード大学のスピンオフ企業Oxboticaは、ZFとの提携により自動運転ソフトウェアをZFのProAIコンピューティングプラットフォームとセンサーに統合すると発表した。今後、オックスフォード周辺の公道でシステムを搭載したOxboticaの車両でテストを行う。両社は自動運転システムの検証で緊密に協力し、様々なアプリケーションで産業化を展開する予定。(20191212日付プレスリリースより)

-イスラエルの新興企業OptimalPlusは、ドイツオフィスの開設と、ZFとの新たな戦略的パートナーシップを発表した。提携により、ライフサイクル分析を提供して、工場運用管理の分野におけるZFの能力を強化し、ADAS検証運用の効率改善を図る。新オフィス設立により、OptimalPlusはドイツの自動車業界および製造業向けのソリューション提供を強化するという。ZFはOptimalPlusの技術を活用して、工場機器、製品、製造システムから直接データを収集し、ZFの工場全体にIndustry 4.0ソリューションを展開する。また、生産の概要を理解し、効率を改善し、信頼性の低い製品展開を防ぐことで、費用のかかるリコールを回避する行動の実現を目指すとしている。今回の戦略的パートナーシップはZFが事故ゼロとゼロエミッションを目標とする「VISION ZERO」実現に向けた次世代モビリティソリューションの一環。(20191125日付プレスリリースより)

-Danfoss Silicon Powerとの間でシリコンおよびシリコンカーバイド (SiC)パワーモジュールの戦略的パートナーシップを締結したと発表した。両社はパワーモジュールとインバーター間のインターフェイスでエンジニアリングとコストの利点を活用することにより、電動ドライブラインの効率を改善することを計画している。提携により、両社は共同研究開発に従事し、Danfossはシリコンアプリケーション向けのパワーモジュールも提供する。主要目的の1つは、大規模なZF量産プロジェクト向けのDanfossのパワーモジュール供給契約となる。また、省スペースのインバーターと効率的なパワーモジュールの開発により、排出ガス削減を目指すという。(20191114日付プレスリリースより)

-イスラエルの技術企業のCognataおよびOptimalPlusと工場運用管理とADAS検証の効率改善を目的とした戦略的提携を発表した。ZFとCognataは、ADASの生データの管理と変換で協業する。提携により、ZFは検証用ADASデータ管理能力の強化を図る。また、ZFOptimalPlusは工場の性能を改善し、専門的なソフトウェア製品を共同開発する計画。ZFは、車両が見て、考え、行動できるように、デジタル接続と自動化の分野でシステムを継続的に強化しており、今回のイスラエルの新興企業2社との提携は、ZF独自の社内研究開発に加えて、技術エコシステムとの共同作業を必要とする革新的管理プロセスを支えるとしている。(2019115日付プレスリリースより)

-自動運転やその他アプリケーションに使われるLiDARセンサー技術を発展させるために、高性能センサーソリューションの世界的サプライヤーであるamsと自動車用LiDARセンサー技術の専門企業であるIbeo Automotive Systemsと提携したと発表した。3社はLiDAR技術が2021年までに迅速かつ安全に適用されることを目標とし、協業で研究開発を行うパートナーとなる。amsはエッジエミッター(端面発光レーザー)やLEDなどの競合する光源より優れた信頼性と安定性をもつ自動車向けVCSEL(垂直面発光レーザー)アレイとドライバーを提供する。amsはまた、LiDAR照明ソリューションを最初に市場に持ち込んだ企業であり、その技術により光軸調整のための機械部品が不要となり、構造の複雑さや寸法、重量、コストなどを改善させたという。(2019年5月20日付プレスリリースより

-AirbusZFは、提携によりAirbusの衛星情報をZFの車載システムに組込自動運転機能を強化すると発表した。協業により、両社は自動運転および事故位置推定車両用のエンドツーエンドのソリューションを提供する。Airbusは、レーダー衛星画像を使用して計算された独自の高精度地上基準点(GCP)を提供し、LidarやRadarなどのZFセンサーデータをサポートし、さらにZFのセマンティックカードを補完するため、宇宙でのアプローチに基づく高精細度マップ(HDマップ)の生成を調査するという。リモートセンシング情報GCPとHDマップの両方が、基層として「ZF AD Environment」に統合され、クラウドベースのシステムに実装される見込み。(2019年4月15日付プレスリリースより)

-2019年3月6日、ZF中国投資有限公司と中国汽車技術研究中心有限公司(CATARC)は天津で戦略提携合意書に調印した。両社は自動車業界標準と技術法規の研究、C-NCAP安全標準評価、製品検査試験と認証、管理トレーニング、情報サービス、科学研究プロジェクトなどの領域で提携する。両社はこれまで多くのプロジェクトで協力してきており、その内容は組織宣伝、技術展示と普及など多岐にわたっている。(2019年3月6日付け複数メディア報道より)

-Microsoftとのパートナーシップを強化し、自動車市場向けの包括的デジタルクラウドプラットフォームを確立すると発表した。戦略的提携により、ZFは自動運転、自動車のモーションコントロール、安全性とエレクトロモビリティ統合の分野でデジタルサービスを提供する。製品はフリート管理ソリューションから、ZF Cloudをベースとする予知保全アプリケーションおよびプロセス自動化まで多岐にわたるという。ZFは2018年、Microsoft Azureをベースにした独自のIoTプラットフォームを発表している。Microsoftとの緊密な協業により、ZFはより顧客重視のオーダーメイドのソリューション開発が可能となるとしている。(201918日付プレスリリースより)

製品開発動向

配達サービス向け電動カーゴバン「e.GO Cargo Mover」
-ドイツの新興電気自動車 (EV)メーカーのe.GO MOOVE GmbHは12月13日、配達サービス向け電動カーゴバン「e.GO Cargo Mover」を発表した。「e.GO Cargo Mover」は低床コンセプトとキュービックデザインにより、広い車内スペースと優れたアクセスを提供する。「e.GO Mover」には電動ドライブに加えて、コンパクトな燃料電池レンジエクステンダーも搭載される。e.GO MOOVEは2020年にUNECE車両カテゴリーM2「ピープル・ムーバー (People Mover)」とN1「ウォークイン・ムーバー (Walk-in Mover)」の認証を完了する予定。また2020年の第2四半期にはアーヘン・ローテ・エアデ(Aachen Rothe Erde)の新工場が稼働する。2020年は250台の「e.GO Mover」を、2021年には2,000台超の「e.GO Mover」を量産する計画。さらにe.GO MOOVEの所有権に関する調整も行われ、ZFは2020年初頭にe.GO MOOVE GmbHの株式をe.GO Mobile AGの株式と交換する予定。ZFは引き続き電動ドライブ、ブレーキ、ステアリングの主要サプライヤーとして自動化技術を提供する。(2019年12月13日付リリースより)

2019年北米商用車ショー
-ドライバー不足、排出ガス、効率、コスト、安全性に関する最新技術を北米商用車ショーに出展した。同社は中型商用車向け8ATPowerLine」を出展。この製品は2020年末に生産を開始し、2021年初めに北米OEMが投入するモデルに搭載される。最適に展開されるギアシフトにより、従来の6速トランスミッションと比較して最大30%の高速加速を可能にする。また、最先端のツイントーショナルダンパートルクコンバーターを組み合わせることで、燃費を10%以上改善するという。このほか、短距離レーダーの採用により、車線変更時の安全をサポートする車線維持システム「OnTraX」も公開した。このシステムは車体の側面に取り付けられた短距離レーダーは、ドライバーから見えない死角を検出し、安全性を高める。(20191027日付プレスリリースより)

バス向けATシステム「EcoLife 2」
-2020年市場投入予定の「EcoLife 2」は、燃費効率を最大3%改善する。トルクコンバーターとプライマリーリターダーを備える6速ATシステムは、最大入力トルク2,000 Nm。このシステムは新型トーショナルダンパー付きのトルクコンバーターにより、迅速かつスムーズな変速が可能になる。またトランスミッションの後ろに取り付けられたステンレス熱交換器はトリプルダクトになり、トランスミッション冷却システムを統合し、追加コンテナを必要としない。その結果、重量が約10kg軽量化され、メンテナンスも容易になるという。現在は、トルク範囲1,700-2,800Nmのコーチ用EcoLife 2」も開発中。(2019108日付プレスリリースより)

バス向け最新ATソリューション
-最新の電動ソリューションなどをブリュッセルで開催のBusworld Europeに出展すると発表した。同社は「プラグ・アンド・ドライブ」が特徴の電動セントラルドライブ「CeTrax」を出展する。「CeTrax」により、バスメーカーはシャシー、アクスル、構造エンジニアリング、ディファレンシャルギアを大幅に変更することなく既存のバスを電動化できる。電動ポータルアクスル「AxTrax AVE」も既存のバスの電動化を可能にする。また、燃料消費を最大3%削減し、排ガス低減を実現するATシステム「EcoLife」の最新版を世界初公開する。このほか、充電インフラを最大限に活用し、予測に基づいて車両メンテナンスを計画するデジタルフリート管理システム「Openmatics」や、「EcoLife」用のクラウドベースの予測メンテナンスプログラムなども発表予定。(2019108日付プレスリリースより)

「SHIコックピット (Safe Human Interaction Cockpit)」
-Faurecia (フォルシア) および独fkaと自動運転車の快適性と安全性を向上させるコックピットのコンセプトモデル「SHIコックピット (Safe Human Interaction Cockpit)」を共同開発したと発表した。「SHIコックピット」は、自動運転が可能になった際にドライバーに対して情報を状況に応じて触覚、視覚、聴覚で伝達し、ステアリング操作を車両側に託した瞬間に車両が運転操作を引き継ぐ機能を持つ。これはステアリングのハンズオン検知 (HOD) 機能により起動する。また乗降車時は自動でシートやステアリングが移動し、ドライバーが運転席に座ると車内3Dカメラが高さを測定して、最適なポジションとなるようにシートとステアリング位置を調整する。さらに、ヘッドアップディスプレイ・インストルメントクラスター (HUDIC) モニターは自車を鳥瞰表示し、アクティブ・ビークル・オーラ (AVA) がアダプティブクルーズコントロール、ブラインドスポット警告、車線維持支援などの情報を総合的にまとめ、効果的にドライバーに表示するなど、運転支援とフィードバック機能を集約する。(2019年9月12日付プレスリリースより

コンセプトカー「EVplus」
-プラグインハイブリッド車(PHV)のコンセプトカー「EVplus」をフランクフルト・モーターショーで公開すると発表した。「EVplus」は実際の環境下で100km以上の電動走行が可能で、ユーザーは通勤など日常の車両の使用を一回の充電でまかなうことができる。「EVplus」は量産中型セダンにZF8速プラグイン・ハイブリッド・トランスミッションを組み合わせ、35kWhの大容量バッテリーを搭載する。トランスミッションに組み込まれた定格65kW、最大95kWのモーター出力は、量産モデルと同レベルで、エアコンや暖房の使用など季節的な要因を加味しても、常に100kmを超える電動走行が一回の充電で可能だという。なお、長距離走行が必要なケースでは、エンジンを始動して走行する。(2019910日付プレスリリースより)

完全統合型ホイールセンサー・システム
-傘下でコネクティビティ専業者のOpenmaticsとMaxion wheelsは、世界初の完全統合型ホイールセンサー・システムの共同開発を行うと発表した。「スマート・ホイール・コネクティビティ・ソリューション」は空気圧やタイヤ温度、ホイール荷重などタイヤとホイールに関する主要な情報を収集・分析してドライバー、フリート事業者、モビリティ事業者、およびインフラ管理組織に提供する。このソリューションは、Maxion Wheelsの「MaxSmart」ホイールセンサー技術とOpenmaticsの統合TAG (タグ) センサー・プラットフォームを組み合わせる。ホイールリムに直接取り付けたBluetoothタグが湿度、タイヤ温度、空気圧、車両荷重、ホイールポジション、速度、振動を9つの軸でモニタリングする。リアルタイムで収集された情報は、車載テレマティクスユニットからZF Cloudへ送信される。それらのデータは、顧客要望に応じてPCやスマートデバイス、サードパーティのシステムで分析・確認される。なお、このシステムの試作型はフランクフルト・モーターショーで展示される。(2019年9月10日付プレスリリースより

「Flying Carpet 2.0」シャシーコンセプト
-シャシーのコンセプトとして、アダプティブダンピング、ブレーキ、ステアリングシステムを接続させた「Flying Carpet 2.0」を開発したと発表した。ZFはセンサーシステムやスマートコントロールユニット、インテリジェント・アクチュエーターをリンクさせ、それらをシャシーシステムと接続させることで、乗員が車両動作に対して抱く不快感を防止することを可能にした。車両コントロールの中心システムには「sMOTION」が使用され、運転状況や路面状況に応じて4輪のサスペンションをアクチュエーターにより独立で制御する。また乗員の快適性を最大化するために、「AKC」リアアクスル・ステアリングシステムを採用し、安全性、ダイナミクス、操縦性を向上。そのほか、「cubiX」コントロールシステムでスマートシャシー技術を制御しているという。(2019年7月18日付プレスリリースより

新型2速電動ドライブ
-乗用車向けに電気モーターを備えたシフト装置と最適化されたパワーエレクトロニクスを統合した新型の2速電動ドライブを開発したと発表した。新型の2速電動ドライブを装備した車両は省エネとなり、1速電動ドライブ適用車両より最大5%の航続距離延長を実現。またモジュールとしてコンパクトに設計されたことで、小型乗用車への搭載も可能なほか、スポーツカーや高性能車向けのチューニングや拡張ができる特徴を持つ。自動車メーカーはこの2速電動ドライブついて、従来と同等サイズのアキュムレーターのまま航続距離を更に延長するか、小型のアキュムレーターを搭載するかの2通りの選択が可能。(2019年7月16日付プレスリリースより

ハイブリッド車向け新型8速AT
-マイルドハイブリッド車 (MHV)・フルハイブリッド車 (HV)・プラグインハイブリッド車 (PHV) 向けの新型8速ATを開発中であると発表した。このATは2022年にドイツのSaarbruecken工場で量産開始されるという。このATシステムは、外寸を大型化することなく、パワーエレクトロニクス部品も完全にトランスミッションハウジング内に統合した。PHV向け電気モーターは最高出力160kWで、80kWの出力を継続的に発揮。MHV向けでは48Vドライブはクランクシャフトやインプットシャフトなどに装着可能という。 (2019年7月9日付プレスリリースより

2019年IAAフランクフルト・モーターショー
-次世代のモビリティソリューションを展示すると発表した。同社はハイブリッドおよび電気自動車 (EV) 、アクティブシャシーシステム、統合安全、自動運転などの将来モビリティ向けのソリューションを含む製品ポートフォリオを拡大中。プラグインハイブリッド車 (PHV) 用新型8速オートマチックギアボックスのほか、電気を動力とした駆動系の開発も行い、最高出力140kWの電気モーターや2段階のスイッチング素子、パワーエレクトロニクスを組み合わせた、乗用車向け電動2速ドライブシステムを披露する。同社はほかにも、「Flying Carpet 2.0」のコンセプトのもと、センサーとスマートアルゴリズムにより車体の動きを予測制御するシャシーを出展し、安全と快適性を実現させるシステムを自動運転へも応用させる。(2019年7月2日付プレスリリースより

ADAS技術採用デュアルレンズカメラ
-商用トラック市場向けに専用設計されたADAS技術採用のデュアルレンズカメラを開発したと発表した。レンズが2つ搭載されたこの車載用カメラは、国々で異なる規制要件に対応するため、そして道路標識検出や車線維持支援機能、障害物歩行者検知による自動緊急ブレーキ (AEB) などの先進機能を有効化するために開発された。同社は2個のレンズを使用することで、障害物検知の視野が広がるほか、片方のカメラが故障した場合ももう片方が稼働することで、自動運転レベル2+の機能に冗長性を持たせられるとしている。また、同社のADAS技術と組み合わせることで、車線変更支援機能や渋滞アシスト機能などの自動運転機能の実現が可能になる。同社は2020年に日本の大手自動車メーカー向けに最新のADASシステムを供給予定で、このシステムにはカメラハウジングとは別ユニットで画像処理される同社初の画像処理モジュールなどが含まれる。(2019年6月13日付プレスリリースより

国際公共交通連合 (UITP) サミット
-2019年6月、ストックホルムで国際公共交通連合 (UITP) が開催するサミットにおいて、公共交通向けのソリューションを出展すると発表した。都市部の交通渋滞や環境問題を背景に、多くの都市が公共交通サービスを拡大している中、同社は全ての車両クラスにソリューションを展開しているという。バス製造会社向けの「CeTrax」や、OEM以外も適用可能な「AxTrax AVE」などのソリューションで電動化の促進をサポート。コネクティビティプラットフォームの「Openmatics」や予知保全プログラムの「ZF-DriveLife」によりフリートマネジメントを効率化する。さらにはAI制御のセントラルコンピュータ「ZF ProAI RoboThink」などを活用して将来の公共交通の自動運転化に備えているという。(2019年6月10日付プレスリリースより)


衝突予防乗員安全システム
-同社は、外側エアバッグ世界初の衝突予防乗員安全システムの試作を公開した。同システムは150ミリ秒でエアバッグの展開を判断する。これは人間が瞬きを1回する速さ。今回のシステムは、衝突時対向車の車内への衝撃を最高30%緩和することができ、乗員の負傷リスクを削減できるという。カメラ、レーダー及びLiDARの連携によって、車両のセンサーが衝撃のレベルを即時かつ正確に判断することができる。システムソフトウェア中のアルゴリズムが衝突が不可避であるかまた、エアバッグが作動可能か、有意であるかを判断する。(2019年6月5日付リリースより)

日本市場向け小型電気トラック
-日本法人ZF Japanは、日本市場向け小型電気トラックを開発したと発表した。今回の試作車両は、横浜の技術センターでZF Japanのエンジニアリングチームがドイツ本社と共同で開発した。この試作車は日本で最も一般的に使用されている小型商用車の従来のICEドライブラインをZFの「CeTrax lite」に置き換えて製造された車両総重量5トン、積載量2トンの電気トラック。乗用車用電動ドライブシステムをベースに開発された「CeTrax lite」は、車両総重量7.5トン対応の小型商用車用電動ドライブシステム。試作車が搭載するこのシステムは総重量120kgの小型軽量ドライブラインユニットで、最高出力は150kW、最大トルクは380Nmで、ICEと同レベルの性能を発揮するという。(2019年4月23日付プレスリリースより)

バス・中型トラック向け電動セントラルドライブ
-新型の電動セントラルドライブをバスや中型トラック向けに開発したと発表した。このセントラルドライブは、中国で開発され、将来的には同国内で生産する計画をしている。また、このユニットは中国市場特有の条件や中国メーカーに課されている条件を満たすように作られている。1012メートルの長さを持つ都市バスやシャトルバス、ならびに12トンまでの中型トラック向けに考案されたこのユニットは、確立された車両プラットフォームに統合するために必要な基準を全て満たすように設計されている。また、永久磁石同期モーター(PSM)を動力源としている当該ユニットは、最高出力170kW、最大トルク3000Nmを発揮し、バスでは最大勾配15%、トラックでは25%まで通行可能であり、厳しい地形でも問題なく走行することができる。このシステムは世界の安全機能標準(ISO26262)をASIL-Cレベルでクリアできるよう設計されているという。(2019415日付プレスリリースより

インテリジェントADASシステム「ZF coPILOT」
-安全性と快適性を向上するインテリジェントADASシステム「ZF coPILOT」を発表した。「ZF coPILOT」は、音声コマンドで操作することができ、交通状況を認識、車両ハンドリングを感知、ドライバーを監視するよう設計されており、能動的な制御介入を通して危険な状況を回避するのに役立つという。ZF ProAI中央コンピューターとNVIDIA DRIVEプラットフォームを搭載するZF coPILOT」は上海モーターショーに出展予定で、2021年量産開始を予定する。NVIDIA DRIVE Xavierプロセッサーの高性能でエネルギー効率の高い計算を中核にして、ZF ProAIはすべてのドライバー補助機能のために事前に訓練されたアルゴリズムを統合・制御するという。(2019412日付プレスリリースより)

車外側面用エアバッグ
-車外側面用のエアバッグを開発したと発表した。衝突による衝撃を40%低減し、より確かに乗員の安全を守るとしている。このエアバッグはシート内シートフレームに接続される形で取り付けられる。正確な精密電子センサーによりデータを分析し、衝突する時間を予測。それにより車外エアバックは衝突直前に膨らみ衝撃を緩和する。(2019年2月22日付け複数メディアより)

スーパーコンピューター「ZF ProAI」
-自動車用スーパーコンピューター「ZF ProAI」の最新モデルを発表した。「ZF ProAI」新シリーズは、独自のグラフィックプロセッサを搭載し、150テラOPS(1秒間に150兆回の計算に相当)を超えるコンピューティング性能を提供する。またソフトウェアアルゴリズムのカスタマイズ統合用のオープンプラットフォームを提供し、従来の機能とAIアルゴリズムをカバーするという。ZF ProAI」は、NVIDIAの自動運転Level2+対応の新製品「NVIDIA DRIVE AutoPilotを採用している。(201916日付プレスリリースより)

CES 2019
-自動運転ロボタクシーをCES 2019に出展すると発表した。同社が出展するロボタクシーは自動運転用のスーパーコンピューター「ZF ProAI RoboThink」を搭載する。「ZF ProAI RoboThink」は、膨大な量のセンサーデータを処理し、それを一貫した画像に変換して、車両に適したコマンドを導き出すように設計されている。また、デモ車両にはFaureciaと共同開発したシート構造「Trendsetting Cockpit」も装備。3面のスクリーンを備え、ステアリングホイールとペダルがなくても操作できる仕組みになっているという。(201916日付プレスリリースより)

-センサー、LiDARなどの最新技術をCES 2019に出展すると発表した。同社は、速度、距離、角度分解能、高さの4つの次元で優れた検出性能を発揮する高解像フルレンジレーダーを発表する。またIBEOとの共同開発による、歩行者や小さな物体を3Dで検出できる高解像ソリッドステートLiDARセンサーも出展。そのほか、世界最小の単眼レンズカメラ「S-Cam4」や、乗員のサイズ、位置および姿勢についてのリアルタイムの情報を集めることができるインテリアカメラも公開する。さらに、接近する緊急車両のサイレンを検出し、「右側に寄る」「緊急車線に移動する」等の重要情報を知らせるシステム「Sound.AI」なども発表予定。(201916日付プレスリリースより)

特許

-2019年において、同社は3,007の特許を申請した。 うち1,979は初回出願。 

 

設備投資額

 (単位:百万ユーロ)
2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
全社 1,879 1,586 1,350

-2019年12月期、44.5%が建設前/建設中の費用に、34.1%が設備・機械に、12.1%が工場・オフィス設備に、9.3%が土地・建物に用いられた。

-地域別にみると、2019年12月期の設備投資は欧州に59%、北米に21%、アジア太平洋地域に18%投じられた。

-同社の設備投資費は、生産設備の拡大及び製品ポートフォリオの拡大、また新規製品立ち上げに用いられた。特にハイブリッド化対応製品を含むトランスミッション製品、シャシー、エレクトロニクス、ダンパーモジュール、ブレーキ、ステアリングその他セーフティテクノロジー、Eモビリティ及び自動運転にかかわる分野へ投資を行った。また、拠点への投資はチェコPilsenに対して行われた。

 

Eモビリティ事業部門
-Eモビリティ事業部門の拡張を発表した。同社はドイツSchweinfurt本社に管理、研究開発、販売部門を有するオフィスを新設した。30百万ユーロを投じた新オフィスは約520名の従業員の収容が可能で、16台のテストベンチと電気駆動およびハイブリッド駆動システムの検査施設も併せ持つ。またセルビアのPancevoでは、電気駆動システム用製品の新工場が稼働開始予定。Pancevo工場では電気モーター、電気駆動およびハイブリッド駆動システム用ジェネレーター、トランスミッションセレクター、マイクロスイッチなどを製造する計画で、将来的には1,000名の雇用を見込む。さらに中国・上海南部の杭州でも電気駆動システム工場を建設中で、2020年の開設を目指している。(201967日付プレスリリースより)

ドイツ国外の投資

<中国>
-中国子会社の采埃孚(中国)投資有限公司[ZF (China) Investment Co., Ltd.]Jiaxing Economic & Technological Development Zone (JXEDZ)が中国嘉興市に工業団地を設立することに合意したと発表した。工業団地設立により、ZFは顧客とパートナーを効率的にサポートし、中国で「次世代モビリティ (Next Generation Mobility)」戦略を展開するという。(20191122日付プレスリリースより)

-2019年5月16日、同社は采埃孚(張家港)汽車底盤零部件工場[ZF Chassis Components Plant]の着工式を開催した。ZFは張家港にすでに3工場を建設しており、ステアリング、ブレーキ、乗員安全システムなどの部品を生産している。今回建設する新工場は張家港の4番目の工場となる。敷地面積は4万平方メートルで、約400名の雇用を予定する。コントロールアーム、ステアリングナックル、タイロッド、プラスチック部品などを生産する。2020年7月の正式稼働を目指す。(2019年5月20日付け複数メディア報道より)

-同社と福田[Foton]は2016年末、商用車用トランスミッションを生産する合弁会社を2社設立した。そのうちの一社、采埃孚福田自動変速箱(嘉興)有限公司[ZF Foton HCV Automated Transmissions (Jiaxing) Co., Ltd.]は2019年4月18日、正式に営業を開始し、嘉興で生産開始とラインオフを祝う式典を行い、最新の重型トラック用自動トランスミッション「伝勝(Traxon)」を発表した。同社の資本構成はZF 51%、福田49%で、「伝勝(Traxon)」を生産する。「伝勝(Traxon)」は、伝動効率が99.7%と非常に高い、トルクが大きくても出力は下がらない、シフト範囲が更に広くなったが騒音は低減する、信頼性が向上しB10ライフは160万kmを超えるなど多くの特徴を備えている。乾式クラッチと組み合わせるだけでなく、ハイブリッドモジュール、デュアルクラッチモジュール、トランスミッションクラッチとの組み合わせも可能である。もう一つの合弁会社、福田采埃孚軽型自動変速箱(嘉興)有限公司[Foton ZF LCV Automated Transmissions (Jiaxing) Co., Ltd.]は、ZFが40%、福田が60%の株式を保有し、軽型商用車用トランスミッションを生産することになっている。(2019年4月19日付けリリースより)

<ベトナム>
-ベトナム初となる工場をHai Phongに開設したと発表した。25百万ユーロ超を投じた新工場はベトナム北海岸沖のCat Hai島にあるVinfastのサプライヤーパーク内に位置し、現地の自動車メーカー向けにジャストインタイムでシャーシモジュールを生産する。同工場はすでに7月から量産を開始している。新工場はVinfast生産バリューチェーンにおける重要な拠点となり、部品供給を確保してVinfast製品の現地生産率改善をサポートするとしている。(20191111日付プレスリリースより)

<インド>
-インド現地法人ZF STEERING GEAR (INDIA)は、第2工場設立のため‎マディヤ・プラデーシュ州Pithampur26,246平方メートルの産業用区画をリースしたと発表した。すでに建屋は完成し設備も導入済みで、2019年9月末までに操業を開始する予定。投資額は1,750百万ルピーで、生産能力は300,000ユニットとなる見込み。(2018-2019年度 annual reportより)

-Rane Groupと同社のインド合弁会社Rane TRW Steering Systemsは、タミルナドゥ州Tiruchirapalli乗員安全製品施設を開設したと発表した。新施設では予想される市場の需要に対応し、親会社および輸出向けにレーザー切断生地およびエアバッグクッションを供給する。400百万ルピーを投じた新施設の当初の年間生産能力は、エアバッグモジュール50万個と、シートベルトASSY100万個。今後2年間で250百万~300百万ルピーの追加投資を行い、生産能力をエアバッグモジュール100万個、シートベルトASSY200万個に増強する計画。(2019212日付プレスリリースより)

-インドPune工場の拡張を開始したと発表した。乗用車・商用車用パワートレインおよびアフターマーケット事業を展開する広さ16,770平方メートルの同工場は、拡張により2019年末までに生産施設および倉庫などを備える4,000平方メートルの複合施設が完成する予定。新施設では2020年からシャシーモジュール、トラック・小型商用バン用ドライブライン、乗用車用パワートレインモジュールを製造する計画。(201925日付プレスリリースより)

<オーストリア>
-アクティブ・キネマティクス・コントロール (AKC) システムを生産するオーストリアのLebring工場の生産能力増強の計画を発表した。当該拠点では製造開始6年で、合計50万ユニットのAKCシステムの生産を達成。現在は1日当たり約1,000ユニットを生産している。AKCシステムは内燃機関エンジン車のみならず、ハイブリッド車や電気自動車にも適応可能であるため、継続的な需要が見込まれる。同社はこの需要に対応するため、3つ目の生産ラインを導入したほか、新規組立ラインの設置も計画中であるという。同社はこれにより、長期的にはAKCシステムを年間100万ユニットまで生産できるとしている。(2019年6月26日付プレスリリースより

<セルビア>
-セルビア開発庁は、同社がPancevoの工業団地に工場を開設したと発表した。同工場では、電動モーターや電動機械、ジェネレーターなどのハイブリッド車や電気自動車 (EV) 向けの部品のほか、ギアボックス用スイッチや小型スイッチも製造する。これらの部品は需要が高く、工場面積も25,000平方メートルから60,000平方メートルに拡張中である。それに応じて、稼働開始時は300名の従業員も、将来的には1,000名以上になると見込んでいる。さらに、同社には5,000平方メートルの敷地に研究センターを開設する計画もあるという。(2019年6月13日付Development Agency of Serbiaより