2030年の乗用車用パワートレインの姿 ~内燃機関が生き残っていくために~

人とくるまのテクノロジー展2019 フォーラムプログラムより

2019/07/12

要約

  2019年5月に自動車技術会主催の人とくるまのテクノロジー展2019横浜(会期:2019年5月22日~24日、会場:パシフィコ横浜)にて各種フォーラムが開催された。その中で「2030年の乗用車用パワートレインの姿」というテーマで乗用車用ガソリンエンジンのあるべき姿とそれに向けた各社の開発状況について、AVL、日産自動車、Bosch、本田技術研究所、吉利汽車、トヨタ自動車、SOUTHWEST RESEARCH INSTITUTE、マツダによる講演が行われた。

  また、講演後には講演者によるパネルディスカッションが開催され、「ICE(内燃機関)は終焉を迎えるのか」などについて議論が行われた。急速に電動化が進む中で、ICEはどうすれば生き残れるのか、それとも終焉を迎える運命にあるのか、などが議論された。

プログラム(講演者) 発表概要
どうすれば内燃機関車は末長い未来を保てるか
(AVL, Guenter Fraidl氏)
ICE車が市内走行を承認されるためには、EU7排気規制の後には環境を汚さないゼロインパクトエミッションが必要と考える。そのためには2030年までに30~60%のCO2排出量の削減が必要。
電動化に求められる内燃機関の姿について
(日産自動車 久保 賢明氏)
世界中に広がりを見せる燃費規制に対してBEVとe-POWERで電動化を加速して対応していく。
将来パワートレインのキーエレメント
(Bosch, Georgis Levee氏)
乗用車市場発展シナリオとして2つの道程を描いている。1つは進化シナリオとして、2030年に世界市場でBEVが21%、ICEが79%、電動化シナリオとして、2030年に世界市場でBEVが33%、ICEが67%を占める。
2030年に向けたエンジン環境技術の取り組み
(本田技術研究所 新里 智則氏)
電動化とエンジンの熱効率向上でCO2排出量を低減していき、環境負荷ゼロ社会を目指す。
将来パワートレイン用内燃機関
(吉利汽車 SHEN Yuan氏)
将来的には電動化は避けられないが、ICEが依然として将来をけん引する主力であり続けると考える。ハイブリッドには4気筒よりも3気筒が良い選択であり、現在開発中である。
電動化とともに進化する内燃機関
(トヨタ自動車 中田 浩一氏)
トヨタはICEでゼロCO2に加えてゼロエミッションにもチャレンジしていく。将来に向けた持続可能な自動車社会のために、ICEの持続的な熱効率向上は重要と考えている。
電動化を通してICエンジンの持続可能な未来を創造していく
(Southwest Research Institute, Graham Conway氏)
BEVは電気を作るために空気を汚染しており、環境保護のためには最適解とは言えないと考えている。「And(ICE+電動化)」の力を活用して消費者の満足を最大化しつつ、CO2排出を減らすためのコストを最低限にする、コスト効果の高い電動化を組み合わせるのが良いと考える。
乗用車用内燃機関の将来進化構想について
(マツダ 山本 寿英氏)
電源のゼロCO2化を進めてからBEVの普及をすべきと考える。それまではICEの熱効率改善によるCO2削減が合理的である。

 

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