日本、韓国、欧米メーカーの新エネルギー車(NEV)

北京モーターショー2018:トヨタはカローラとレビンのPHV、日産はシルフィのEVを初披露

2018/06/18

要約

会場への入口付近
多くの人が集まる展示ホール入口付近

  北京モーターショー2018は、中国メーカーを中心に新エネルギー車(NEV:New Energy Vehicle)が数多く出展されており、外資メーカーも2019年から実施されるNEV生産台数の一定割合の義務付けに対応すべく、EVやPHVの導入時期に関する発表やコンセプトカー/実車を展示していた。本レポートは、日本、韓国、欧米メーカーの環境対応車を中心に報告する。

  トヨタは、2019年投入予定の「カローラ」及び「レビン」のPHVモデルを公開し、2020年に「C-HR」と「IZOA」をベースとしたEVを投入する計画を発表した。日産は、「リーフ」のプラットフォームとコア技術を継承した「シルフィ ゼロ・エミッション」を公開。2017年に中国で四輪販売台数が過去最高の145万台超を達成したホンダは、中国専用EVのコンセプトカー「EV Concept 理念」を初公開した。2018年3月に中国市場にPHVを導入した三菱自動車は、2018年下期のEV導入を発表した。スバルは、モーターアシスト仕様の「XV」の投入を発表。さらに秋にフルモデルチェンジを迎える「FORESTER」にも対応する。

 現代グループは、9代目「Sonata」及び新型Kia「K5」のPHVを展示。Fordは、2018年3月発売のPHV「Mondeo Energi」を出展。モーターショー期間中に、Ford車を扱う販売/サービスに特化した会社設立を発表した。GMは、上汽GM製造のバッテリーを搭載する2018年発売予定の電動車「VELITE 6」を展示。 浙江吉利控股グループ傘下のVolvo Car グループからは、VolvoブランドとPolestarブランドのNEVモデルが展示された。



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トヨタ:2019年にPHV、2020年にはEVの導入を計画

  2017年上海モーターショー前日のイベントで「カローラ(卡羅拉)」と「レビン(雷凌)」のPHV導入が発表されたが、今回のショーでは導入時期を2019年と発表するとともに、「カローラ」と「レビン」のPHVモデルが公開された。両モデルともEV走行距離は50km以上を想定しており、2019年の生産開始予定。トヨタにとって初の海外生産のPHVとなる。

Corolla PHV Levin PHV
Corolla PHV Levin PHV


  さらに、2017年広州モーターショーで中国初公開となったTNGA採用の「C-HR」と、その姉妹車「IZOA (奕澤)」が展示された。両モデルともにパワートレインは、新型直列4気筒2.0L直噴エンジン「Dynamic Force Engine 2.0L」と「Direct Shift-CVT」の組み合わせ。IZOAは一汽トヨタ、C-HRは広汽トヨタからの販売。2020年には両モデルをベースとしたEVを中国市場に導入することを発表した。なお、トヨタは2020年までにこれらの車種を含む10の電動車を中国市場に導入し、電動化を加速させる計画。
  バッテリー関連では、2019年に江蘇省常熟市にあるトヨタ自動車研究開発センター(中国)有限公司のバッテリーパックの評価試験等の拡張工事が完成し、2020年の稼働が予定されている。また、新中源トヨタエナジーシステム有限公司及び科力美オートモーティブバッテリー有限会社では、2020年までにニッケル水素電池モジュールの生産能力を22万基に増強するなど体制を整える。

IZOAをベースに2020年にEVを導入 CH-Rをベースに2020年にEVを導入
IZOAをベースに2020年にEVを導入 C-HRをベースに2020年にEVを導入


  トヨタと広汽集団の合弁会社の広汽トヨタよりEVのコンパクトSUV「ix4」が出展された。トヨタモデルのEV導入より先行して、年内に生産/販売が開始される計画。「ix4」のフロントとリアには広州汽車のエンブレム、リア左下には生産企業名の広汽豊田と表示されている。

ix4 ix4
2018年内に広汽トヨタから発売予定のix4



Lexusブランド

  中国では輸入車となるレクサスの2017年販売台数は約13.3万台。今回のモーターショーでは新型「ES」がワールドプレミアとなり注目を集めた。「ES」のラインナップは、ガソリン車の「ES260」とハイブリッド車「ES300h」の展開。フルモデルチェンジされた「ES」のプラットフォームは、GA-Kを採用、高剛性化・低重心化が図られている。なお、レクサスのブースにはES以外にハイブリッド車が4台ほど出展されていた。

ワールドプレミアのLexus ES300h ワールドプレミアのLexus ES300h
ワールドプレミアのLexus ES300h





日産:電動車「シルフィ ゼロ・エミッション」を初公開

  今回のショーで日産の中国事業を統括するチーフ・パフォーマンス・オフィサーのJose Munoz氏は「ニッサン・インテリジェント・モビリティ」のビジョンをもとに中国の電動化戦略を推進し、魅力的な製品を提供することで、中国市場に電動車の新しい時代を切り拓いていくと述べた。日産は、今後5年間で20車種の電動車投入を計画している。また、日本では既に導入済みの「e-POWER技術」を数年以内に中国でも展開する。


  初公開された「シルフィ ゼロ・エミッション」は、中国で生産する日産ブランド初の電気自動車。プラットフォーム及びコアとなる技術は、日産リーフを継承。さらに、車線逸脱警報、後退時車両検知警報などの「ニッサン インテリジェント モビリティ」も採用。航続距離338km、中国総合モード13.8kWh/100km。2018年後半に発売予定。

Sylphy Zero Emission Sylphy Zero Emission
Sylphy Zero Emission

新型Leaf IMx KURO
中国市場に導入が検討されている新型リーフ コンセプトカー IMx KURO



Venucia

  2017年2月に東風日産からVenuciaブランドが独立し新会社「東風啓辰」設立後2度目のモーターショーとなった。本モーターショーではヴェヌーシアの新しいデザイン言語を表現したコンセプトモデル「The X」をアピール。「V-Galaxy」と命名された特徴的なフロントグリルは、2018年4月に上海に設立したアドバンスドデザインセンターで設計された。

The X T90
Venuciaブランドのコンセプトカー「The X」 改良新型モデル Venucia T90





ホンダ:中国専用EV「理念」を初公開

 中国における四輪車の販売台数が2017年に過去最高の145万台超、2018年5月末時点で累計販売台数1,000万台超を記録したホンダは、2018年は「電動化戦略」元年と位置づけている。


 2017年上海モーターショーでEV導入時期を2018年と発表したホンダは、今回のショーで中国専用EVモデルのコンセプトカー「理念」を出展。量販モデルは広汽ホンダから発売される。ホンダは、2025年までにNEVを含む20車種以上の電動モデルの投入を計画しており、PHVの導入も予定している。

EV Concept 理念 EV Concept 理念
中国専用モデルとなるEV Concept 理念


 発電用モーターと走行用モーター、ハイブリッド専用エンジンを備える2モーターハイブリッドシステム「i-MMD(intelligent Multi-Mode Drive)」が搭載された「Accord Sport Hybrid」が公開された。若い世代に対して、省エネ・エコとスポーティーな走りを訴求する。2018年第3四半期に広汽ホンダより発売予定。

Accord Sport Hybrid Accord Sport Hybrid
Accord Sport Hybrid



Acuraブランド

  2016年に中国に導入された小型SUV「CDX」のハイブリッドモデルが公開となり、価格(29.98万元-)が発表された。2.0L直列4気筒ガソリンエンジン(最高出力107kW/最大トルク135N・m)とモーター(最高出力135kW/最大トルク315N・m)の組み合わせ。3グレード、外装6色の設定。

Acura CDX Sport Hybrid Acura CDX Sport Hybrid
Acura CDX Sport Hybrid





三菱自動車:電動化を加速、2018年下期に新型EVを投入

  三菱自動車は、広汽三菱との合同ブースで2017年の東京モーターショーに出展したコンセプトカー「MITSUBISHI e-EVOLUTION CONCEPT」や2018年下期に中国で発売予定の「エクリプスクロス(奕歌)」をメインステージに展示。これら2モデルより目立たなかったが、EVコンセプトカーとPHVの市販車が披露されていた。プレス発表では、広汽三菱は引き続きSUVを主力モデルとし、電動化及びコネクテッド化を推進、研究開発や販売ネットワークもアップグレードしていくと表明した。2020年に生産/販売30万台達成を目標に掲げる。


  2018年9-10月に導入計画のEVコンセプトカー「E MORE」が初公開となった。最高出力132kW、最大トルク290N・m。バッテリー容量12kWh、航続距離400km以上、最高時速156km/h。全長4337mm、全幅1825mm、全高1640mm。

E MORE E MORE
コンセプトカー E MORE


  2018年3月に発売された広汽三菱生産のPHVモデル「Eupheme(祺智) PHEV」を展示。1.5ATKエンジンとモーターの組み合わせ。定格出力71kW、最大トルク120N・m。全長4510mm、全幅1852mm、全高1708mm、ホイールベース2650mm。

Eupheme PHEV Eupheme PHEV
発売済みのEupheme PHEV





スバル:モーターアシスト仕様車の導入を発表

  全モデルが輸入車のスバルは、2017年の中国販売台数は3.1万台となった。2018年は同水準の3万台を目標に掲げる。今回のショーで、モーターアシスト仕様の新型パワーユニット「INTELLIGENT BOXER」の投入を発表。スバルにとって、モーターアシスト仕様車の中国市場投入は初となる。当初SUBARU GLOBAL PLATFORM採用の「XV」に搭載し、その後秋にフルモデルチェンジを迎える「FORESTER」へと展開する計画。

XV FORESTER
XV FORESTER





現代グループ:SonataとK5のPHVを披露

  2017年上海モーターショーでは、米国の高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国への配備の影響を受け、プレスデーはブース入口付近に警備員が多く動員されていたが、今年のショーでは物々しい警備もなくゆったりとしたスペースで車両が展示されていた。

  中国自工会の発表によると2017年中国における韓国系メーカーの乗用車販売台数は前年比36.1%減の114.5万台と激減した。なお、2018年1-4月は、前年同期比4.3%増の34.8万台。



Hyundai

  2017年の広州モーターショーで初公開された9代目Sonata(索納塔)PHVを展示。最高出力115kW/最大トルク189N・mの2.0Lエンジンと三元リチウムイオン電池の組み合わせで、航続距離(NEDCモード)75km、1.3L/100kmの燃費。一部のメディアによると2018年7月に北京現代より発売予定と報じられている。

Sonta PHV Elantra EV
Sonata PHV Elantra EV



Kia

  2018年4月中旬に発表された新型K5のPHVモデルが公開された。バッテリー容量は12.9kWh、EVモードでの航続距離は75km、1.3L/100kmの燃費を実現。起亜自動車の中国における合弁会社東風悦達Kiaでは、2018-2020年の間に4モデル(PHVのセダン2モデル、EVの小型SUVモデル、EVセダン1モデル)のNEV投入を計画している。なお、2018年の販売台数目標は50万台を掲げる。

K5 PHV K5 PHV
K5 PHV





Ford:MondeoのPHVを公開、販売関連会社の設立を発表

  2017年の上海モーターショーで初公開され、2018年3月に発売開始となった「Mondeo(蒙迪欧) PHV」は、Fordにとって中国市場における初のPHVモデル。パワートレインは、2.0Lエンジン(最高出力105kW/最大トルク174.9N・m)とモーター(最高出力92kW/最大トルク228N・m)の組み合わせ。バッテリー容量9kWh、EV航続距離52km、最高時速166km/h、燃費2.0L/100km。装備違いにより3グレードの設定。

  Fordはモーターショーの期間中に、新たに販売及びサービスに特化した会社(Ford National Distribution Services Division in China)設立を発表した。長安フォード車のみならず、Fordブランドの輸入車の販売、マーケティング、サービスなどを行い、ユーザーに対する販売窓口を一本化する。新会社は7月1日より業務開始。

Mondeo PHV Mondeo PHV
Mondeo PHV



 



GM:「VELITE 6」のEV及びPHVの導入を発表

  2018年4月17日に開催されたイベントで初公開となったEVコンセプトカー「Enspire」と「Buick(別克)VELITE 6」のPHVモデルを出展した。なお、今回のモーターショーでプレス発表は行われなかった。EVコンセプトカーの「Enspire」は、EV航続距離600km、ワイヤレスでの充電が可能。自動バレーパーキング技術も搭載され、高速ネットワークへの対応も想定している。

Enspire Enspire
Enspire


  2018年内に発売予定の「VELITE 6」は、展示車両のPHVモデルの他にEVモデル導入も計画。「VELITE 6」PHVモデルのパワートレインは、1.5Lエンジンとモーターの組み合わせ。航続距離700km、1.4L/100kmの低燃費を実現。バッテリーは、上汽GMの動力バッテリーシステム発展センターで生産された高性能三元リチウムイオンバッテリーパックを採用。「VELITE 6」EVモデルには、GMの新世代電動駆動システム「eMotion」が搭載される。

  「VELITE 6」には、クラウドプラットフォーム「Buick e-connect」技術を搭載。専用ユーザーID、バーチャルキー、OTAによるアップグレードなどが提供される。

VELITE 6 PHV VELITE 6 PHV
VELITE 6 PHV





Volvo Car グループ:2025年にEV販売割合を5割に

  浙江吉利控股グループ(Zhejiang Geely Holding Group)傘下のVolvo Car グループの2つのブランド「Volvo」と「Polestar」はそれぞれのブースを設けて出展していた。Polestarは、2017年にVolvo Car グループ傘下の高級EVの独立ブランドとして発表され、中国のモーターショーで初出展ということもあり注目を集めていた。



Volvo

  今回のショーで2025年までにEVの販売台数を50%にすると宣言したVolvo。また、2017年に掲げた「電動化戦略」では、2025年までにNEVの累計販売台数100万台の目標を掲げる。中央のターンテーブルには、今回フルモデルチェンジされた「XC40」が展示されていた。XC40にはガソリン車以外にPHVモデルも設定される。

XC60PHV XC40
XC60PHV XC40



Polestar

  2019年発売予定の「Polestar 1」は、VolvoのプラットフォームSPAがベースのPHV。パワートレインは、2.0L直列4気筒のスーパーチャージャー及びターボチャージーャー付きエンジンと2基のモーター+クランクシャフトISGの組み合わせ。最高出力600hp、最大トルク1000N・m。EV航続距離(NEDCモード)は150km。車体はCFRPとスチール複合材で構成されている。Polestarは、現在建設中の成都工場で生産される。

Polestar 1 Polestar 1
Polestar 1


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