Daimler:2025年までに世界販売の15-25%をEVへ

CASE戦略を進展、自動運転レベル4/5の技術開発、モビリティサービスも拡充

2018/01/24

要約

2017年の販売台数は過去最高

 Daimlerの乗用車部門、Mercedes-Benz Carsの2017年の販売台数は、前年比8.8%増の242.4万台で、7年連続過去最高を更新。新型E-ClassとSUVが販売を牽引した。Mercedes-Benzブランドの販売は欧州、北米、アジア太平洋の全地域で過去最高となり、高級車販売で2年連続世界首位となった。

 

2017年1-9月の売上高、EBITは前年比大幅増

 Mercedes-Benz Carsの2017年1-9月の売上高は前年比6.7%増の697億ユーロ、EBIT(支払金利前・税引前利益)は22.2%増の68億ユーロ。2017年10月時点の予測では、2017年通年のEBITも前年比大幅増の見通し。

販売台数

 

DaimlerのCASE戦略

 Daimlerは2016年10月、2020年代のMercedes-Benz Carsの戦略を示す「CASE戦略」を発表。未来のモビリティを提供する企業として、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Share & Service(シェア&サービス)、Electric(電動化)の4つの分野でリーダーシップをとるとしている。2018年も、自動車製造・販売という中核事業の堅調な業績をベースに、「CASE」の各分野に投資し、CASE戦略を進める。

 

2022年までに10以上のEVモデルを投入

 2017年10月に発表したパワートレイン戦略によると、EV、PHV、内燃エンジンの3種類のパワートレインの開発を継続する。EVについては、2022年までに10以上のEVモデルを投入する計画。新たに立ち上げたEV向けサブブランド「EQ」の最初の量産モデルEQCは、2019年から生産を開始。2025年までに総販売台数の15-25%がEVになると見込んでいる。

コンセプト
Concept EQA
コンパクトEVコンセプト (CES2018に出展)

 

自動運転技術でBoschと協力

 2017年に発売した新型E-Class Coupeと改良型S-Classは、レベル2としているが非常に高度な自動運転が可能。2017年4月には自動車部品大手のBoschと提携し、レベル4/5(高度/完全自動運転走行)の自動運転技術を開発している。Daimlerは2020年代初頭に市街地でのレベル4/5走行を可能にすることを目指している。

 

モビリティサービス事業を拡大

 子会社のcar2go(カーシェアリング)、mytaxi(タクシー配車アプリ)を通してシェア&サービス事業を拡大しているが、2017年にも新たに多くの関連企業に出資。2017年末現在、欧州、北米、中国の100都市以上でカーシェアリングやライドシェアリング等のモビリティサービスを提供している。

 なお、Daimlerは2017年10月、組織再編によってグループの構造強化を図るため、既に独立している金融部門に加え、Mercedes-Benzの乗用車・バン部門とDaimlerのトラック・バス部門をそれぞれ法的に独立させると発表。分社化は、早ければ2019年の株主総会で承認される見込み。

 

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Daimlerの電動化戦略:2022年までに10以上のEVモデルを導入

 Daimlerは2017年10月にパワートレイン戦略を発表。未来のモビリティでは、引き続き複数の技術が共存すると予想し、個々の消費者のニーズやモデル特性に合うよう技術が最適化されていくと考えている。電動化については、EV向けサブブランドであるEQブランド車の開発に100億ユーロを投資。2022年までに10以上のEVモデルを導入する。2025年までに総販売台数の15-25%がEVになると予測している。

 

パワートレイン戦略(2017年10月発表)

 内燃エンジン、PHV、EVの3種類のパワートレインの開発を継続。2025年までに総販売台数の15-25%がEVになると見込んでいる。

内燃エンジン ・2017年7月、30億ユーロを投資して新型ディーゼルエンジンを開発する計画を決定。Daimlerは、特に欧州では今後もクリーンで経済的なディーゼルエンジンの果たす役割が大きいとしている。
・2018年も高効率なディーゼル/ガソリンエンジンを投入する。
PHV ・PHVバージョンは2017年末現在、Mercedes-Benz車で8車種設定。
・今後もC-Class以上で増やす計画。
・将来のPHVバージョンは「EQ Power」のバッジを付ける。
EV EQ Mercedes-Benzが2016年9月に立ち上げたEV向けサブブランド。EVだけでなく、関連製品やサービスも包含する。EQブランド車の開発に100億ユーロを投資。2022年までに10以上のEVモデルを導入する。次世代のEVは、SUV、セダン、クーペ等すべてのモデルについて、EVモデル用プラットフォームをベースとする。初の量産モデル EQCの生産を2019年からドイツのBremen工場で開始する。
Mercedes-Benz Cars ・全てのモデルシリーズで少なくとも1車種は電動化バージョンを設定。合計50車種の電動化バージョンの導入を計画。Mercedes-BenzのEVはEQバッジをつける。
・2019年にGLC F-CELLを投入する計画。燃料電池とPHV技術を組み合わせた世界初の車両。NEDCモードでの航続距離は437km、さらにバッテリーのみによる航続距離が49km。
smart ・2020年から欧州と米国ではEVだけを発売する。
・2017年にsmart fortwo/forfour/fortwo cabrioのEVを投入。fortwoはsmartにとっては第4世代のEV。forfourは初のEV。cabrioは現在市販されている唯一の電動カブリオレ。
Mercedes-Benz Vans 全ての商用バンにEVを設定する。2018年後半に中型バンVito、2019年に大型バンSprinter、次にRenault KangooのOEM供給車CitanのEVを設定する。
トラック・バス 将来は全セグメントでEVバージョンを設定する。軽量級ではふそう eCanterを欧州、アジア、米州に導入、重量級ではMercedes-BenzのEVトラックを導入。米国では長距離輸送用のFreightliner eCascadia を開発中。2018年に初のEVバスを量産開始予定。

 

 Mercedes-Benz GLC F-Cell smart EQ

 Mercedes-Benz GLC F-Cell
(フランクフルトモーターショー2017に出展)

smart vision EQ fortwo
CASE戦略を具現化するコンセプト車 (CES2018に出展)

 

EQブランド車とバッテリーを欧州、米国、中国で生産へ

 DaimlerはEQブランドのEVを生産する工場として、欧州で4工場、中国と米国で1工場ずつを選び、従来の内燃エンジン車と同じラインで生産できるよう、工場の拡張や設備の改装を行っている。また、10億ユーロを投資し、EV向けのリチウムイオンバッテリー生産工場を建設する。ドイツには既存工場を含めて3工場、中国と米国に1工場ずつ建設する計画。

 Daimlerは電動化戦略の一環として、充電ネットワークの整備も行っている。欧州では他の自動車メーカー3社と協力して急速充電ネットワークを設置する。また、欧州と米国で、充電システムを提供する企業に出資している。燃料電池車の導入のためには、関連企業と合弁会社を設立して水素ステーションを設置している。

 

EQブランド車の生産工場

Rastatt工場
(ドイツ)
コンパクト乗用車生産のリード工場。2018年に次世代コンパクト乗用車生産を開始するために、2つの新しい車体工場とトレーニングセンターを建設中。2014年からB-Class Electric Driveと内燃エンジン車両を同一ラインで製造している。
Bremen工場
(ドイツ)
2019年末までにEQブランド初のモデルとなるSUVを生産する。また、世界初の水素燃料電池PHVのGLC F-Cellも生産する。さらに、現在は内燃エンジンバージョンを生産しているC-ClassとGLCのPHVバージョンも生産する計画。
Sindelfingen工場
(ドイツ)
次世代S-Class、E-Classの主要工場になるとともに、EQ車の生産も行う。また、電動ドライブ、コネクテッドカー、自動運転の電動アーキテクチャを開発するElectric/Electronic Integration Center (EIC) としても機能させる。
Hambach工場
(フランス)
2007年にsmart初の電動車両を生産。2017年からは第4世代となるfortwo coupeおよびfortwo cabrio electric driveを従来のモデルと同一ラインで生産している。
北京ベンツ
(中国)
2017年7月、北京汽車集団との新エネルギー車での提携について、北京ベンツ(Beijing Benz Automotive Co., Ltd.: BBAC)でのMercedes-BenzブランドのEVおよび電池生産に向け、両社合計で6.5億ユーロを投資すると発表した。両社はBBACでの2020年までのEVおよび電池生産開始に必要なインフラ整備および研究開発体制を準備している。
Tuscaloosa工場
(米国・アラバマ州)
2017年9月、EV生産のため10億ドルを投資して生産施設を拡張すると発表。2020年代初めに最新の自動運転技術を搭載したEV SUVとなるEQブランド車を生産する予定。

 

EV向け電池工場(世界の電池工場の建設に10億ユーロを投資)

Kamenz
第1工場
(ドイツ)
2009年に設立された完全子会社のDeutsche ACCUMOTIVEの工場。Mercedes-Benzとsmartブランド乗用車のHVおよびEV向けにリチウムイオン電池を開発・生産している。また、家庭用・産業用の定置型蓄電池も生産する。従業員は約500名。
Kamenz
第2工場
(ドイツ)
2017年5月、ACCUMOTIVEのKamenz工場で2番目のリチウムイオン電池工場を着工したと発表。投資額は5億ユーロ。ドレスデンから北へ50kmに位置し、既存のバッテリー工場に隣接する。2018年中頃に稼働開始予定。2019年末にはACCUMOTIVEの従業員が倍増し、1,000名となる見込み。同工場で生産されるリチウムイオン電池は商用バンのVitoとSprinter、小型トラックのFuso eCanterなど商用車に供給される計画。
北京ベンツ
(中国)
2017年7月、北京汽車集団と、北京ベンツ(BBAC)でのMercedes-BenzブランドのEVおよび電池生産について合意したと発表した。投資総額6.5億ユーロのうち1億ユーロを投じてバッテリー工場を建設し、2020年までに中国製セルを使用した電池生産を開始する計画。
Unterturkheim工場
(ドイツ)
2017年2月、パワートレイン部品のリード工場であるUnterturkheim工場の近代化計画を発表。今後は内燃エンジン増産とともに、eモビリティ生産の準備も進める。燃料システム部品やタービンハウジング部品の生産は他工場へ移管し、新たに電動パワートレイン用試作センター「E-Technikum」を設立。電動パワートレインモジュールや電動車両用部品の生産も開始する。
2017年7月、EV用バッテリーを生産すると発表。Kamenzの2工場と北京工場に続き4番目のEV用バッテリーの生産拠点。今後、250名の新規雇用を見込む。
Tuscaloosa工場
(米国・アラバマ州)
EV生産のための10億ドルの投資の一部を使用して、2018年から車両生産工場の近くに100万平方フィートの新バッテリー工場の建設を開始し、2020年代初頭に稼働開始予定。同社のバッテリー工場としては5番目となる。

 

充電・電力システムへの投資・出資

 Daimlerは電動化戦略の一環として、車、サービス、イノベーションが一体となった包括的な電動モビリティエコシステムを提供するとしている。これには、家庭、職場、道路上にチャージング・ソリューション・ネットワークが整備されることが必要不可欠である。

米ChargePointに出資 Daimlerは2017年3月、EV充電ネットワークを提供するChargePoint Inc.の8,200万ドルの資金調達を主導し、取締役を送り込んでいる。ChargePointは米国・カリフォルニア州に本拠を置き、世界最大規模のEV充電ネットワークを展開する。北米の7,000カ所で33,000の充電器を提供しており、欧州への事業拡大を計画している。
独The Mobility Houseに出資 Daimlerは2017年10月、三井物産と共に、ドイツの電力サービス会社The Mobility House (TMH) に出資したと発表した。TMHは欧州でEV充電システムを提供するほか、Daimlerと共同でEV用電池を利用した合計出力 30MWの蓄電システムをドイツに建設し、電力事業を展開する。また、駐車中のEVを蓄電リソースとして送電系統とシェアし、EV所有者が系統安定化サービスによる電力収入を得られるようにする技術「Vehicle to Grid (V2G)」の事業化も進めている。
急速充電ネットワーク設置で4メーカーが協力 Daimler、BMW、Ford、VW (AudiとPorscheを含む)は2017年11月、欧州で急速充電ネットワークを設置する合弁会社、IONITYの設立で合意したと発表。他の自動車メーカーや地域のパートナーにも参加を奨励している。最大350kWの容量の充電設備による超高速充電ステーションを2017年から設置し、同年に20カ所、2020年までに400カ所に拡大する計画。Combined Charging System (CCS)と呼ばれる汎用技術をベースとしており、ブランドに関係なく現在および将来の大半のEVモデルに対応する。

 

水素ステーションの整備

H2 Mobility JV 燃料電池車の導入をサポートするため、DaimlerはH2 Mobility (Air Liquide, Linde, OMV, Shell, Totalとの合弁会社)と共にドイツの水素インフラを拡大する計画を策定。ドイツでは2018年末までに100基の水素ステーション網を整備し、2023年までに400基に拡大する予定。


自動運転技術の取り組み:2020年代初頭にレベル4/5走行を可能に

 Mercedes-Benzが2017年春に発売した新型E-Class Coupeと7月に発売した改良型S-Classは、「レベル2としているが非常に高度な自動運転」が可能で、自動車線変更機能や設定ルートに合わせた自動速度調整機能を備えている。今後の目標は、2020年代初頭に市街地でレベル4(高度自動運転)とレベル5(完全自動運転)走行を可能にすること。2017年には自動車部品大手のBoschと提携し、レベル4/5の自動運転技術と自動駐車技術を共同開発している。

 

DaimlerとBosch、自動運転・自動駐車技術を共同開発

レベル4/5の
自動運転技術
2017年4月、DaimlerとBoschは高度自動運転(SAE レベル4)および完全自動運転(SAE レベル5)システムのソフトウェアとアルゴリズムの開発について提携すると発表した。2020年代初頭に市街地での高度/完全自動運転およびドライバーレス走行を目指す。
提携の主な目的は、車両の完全自動運転化によるタクシーサービスの改善や、カーシェアリングの利便性向上である。たとえば、特定エリア内でユーザーがスマートフォンでカーシェアリングの自動運転車を呼ぶと、車両は自動運転でユーザーのもとまで来て、自動運転で目的地まで送り届けるといったサービスを目指す。
自動駐車システム 2017年7月、DaimlerとBoschはMercedes-Benz Museumで自動駐車システムのデモンストレーションを実施した。Boschが供給するインテリジェントパーキング・ガレージインフラとDaimlerの自動車技術を利用することによって、無人運転による完全自動駐車サービスが可能となる。
ドライバーがスマートフォンで指示を出すと、駐車場に設置されたセンサーが周囲をモニターしながら車両を誘導。ドライバーは車内/車外のいずれにいてもよく、車両の動きを監視する必要はない。今後は行政機関の承認を得て、2018年初頭から同Museumの駐車場での運用を開始する計画。


多数の関連企業に出資してモビリティサービス事業を拡大

 CASE戦略のShare & Service分野に含まれるモビリティサービス事業については、Daimlerは子会社のcar2go(カーシェアリング)、mytaxi(タクシー配車アプリ)、moovel(経路探索)等を通して事業を拡大し、その登録客数は1,700万名にのぼる。2017年にも新たに多くの企業に出資して、同年末現在、欧州、北米、中国の100都市以上でモビリティサービスを提供している。

 

Daimlerが投資/実施するモビリティサービス事業

既存の子会社 子会社のcar2go(2007年に開始したカーシェアリング事業)、mytaxi(欧州10カ国の約11万台のタクシーをスマホアプリで呼ぶことができるサービス)、moovel(移動経路探索サービス)を通してモビリティサービス事業を拡大。2017年12月時点で登録顧客数は1,700万名。
新たな出資先 さらに、2017年にBlacklane(ベルリンに本拠を置く配車サービス)、Careem(中東に本拠を置く配車サービス)、FlixBus(欧州の長距離高速バス)、Turo(カーシェアリング)、Via(ライドシェアリング)、flinc(ライドシェアリング)、Familonet(子供等の位置情報通知アプリ)、Chauffeur Prive(フランスの大手プライベートハイヤー企業)、CINTEO(サイバーセキュリティやビッグデータを専門とするITサービス会社)にも出資。これらの企業への出資により、欧州、北米、中国の100都市以上で、モビリティサービスを提供している。

 

Mercedes-Benz Vanのモビリティサービス事業

 Daimler Financial Services部門傘下に新会社Mercedes-Benz Vans Mobility GmbHを設立。2017年半ばに業務を開始し、バンのレンタル、シェア、リース、フリート事業に携わる。



2018年には新型A-Classや新型G-Classを投入

  Mercedes-Benzは2017年に新型E-Classの派生車のクーペ、カブリオレ、エステートを投入。新モデルのE-Class All-Terrainも発売し、新型E-Classシリーズのラインナップを完成させた。同シリーズの販売は堅調で、Mercedes-Benzの販売増に貢献した。2017年11月にはMercedes-Benz初のピックアップトラック X-Classを発売した。

 2018年には高級4ドアクーペの新型CLS、悪路に強い高級SUVの新型G-Class、コンパクトセダンの新型A-Class等を投入する予定。新型A-Classには、人工知能(AI)を活用する新開発のインフォテインメントシステム「MBUX」を搭載する。

新型E-Class

 

Mercedes-Benz:2017-2018年のモデル計画

モデル 発売時期 概要
新型 E-Class Coupe/
Cabriolet/
Estate
2017年 新型E-Classの派生車。旧モデルより一回り大きく、室内空間も大幅に拡大。ディーゼルエンジン1種類とガソリンエンジン3種類を設定し、最高出力は184hpから333hpまで。全モデルに9速ATを標準装備。アクティブブレーキアシスト、ステアリングパイロット等、充実したADAS機能を搭載する。Cabrioletのソフトタイプルーフは走行中でも開閉できる電動式。
E-Class All-Terrain 2017年 全地形対応、4WD。Mercedes-Benz初のクロスオーバーワゴン。大きなホイールハウスを持ち、地上高は標準車より29mm高く、121-156mmまでの車高調整が可能。PHVを含め4種のエンジンを設定。2Lガソリンおよびディーゼルエンジンで最高出力は194hp-353hp。9速ATを搭載。
X-Class   2017年11月   新型ピックアップトラック。Renault-日産Allianceと共同開発。日産NP300と基本構造を共有する。従来のピックアップと一線を画するデザイン、装備、材質やカラーでの幅広い選択肢で、オフロード車としての使い方から都会的ライフスタイルでのファミリーカーとしての使い方まで多様な使い方ができる。
発売時には2.3Lターボ/2.3Lツインターボの2種の4気筒ディーゼルエンジンを設定。一部地域では直列4気筒ガソリンエンジンが選択可能。ディーゼルモデルは後輪/四輪駆動が選択可能だが、ガソリンモデルは後輪駆動のみ。標準は6速MTだが、ツインターボでは7速ATも選択可能。2018年にはより強力なV6ディーゼルエンジン仕様が発売予定で、V6バージョンには4MATIC四輪駆動と7速ATの7G-Tronicが標準装備。
2017年11月に欧州で発売後、2018年初めには南アフリカ、豪州、ニュージーランド、2019年初めにはアルゼンチン、ブラジルで発売予定。アルゼンチン、ブラジル向けにはRenaultのアルゼンチン・Cordoba工場で生産、それ以外は日産のスペイン・Barcelona工場で生産する。ドイツでの価格は37,294ユーロ(19%の付加価値税を含む)から。
新型CLS 2018年3月 高級4ドアクーペ。新開発の直列6気筒3.0Lガソリンエンジンは最高出力 367ps、最大トルク 500Nm。燃料消費量はNEDCモードで7.5L/100km。ディーゼルエンジンも選択可能。ドイツでの価格は68,127.5ユーロ(19%の付加価値税を含む)から。
新型G-Class 2018年5月 オフロード向けのラグジュアリーSUV。2018年1月のデトロイトモーターショーで公開。外観はG-Classの象徴的な角型のデザインが継承されたが、中身は大幅に変更。新開発のサスペンション、ダンパーやステアリングがオフロード向けに設定される「Gモード」等の採用で悪路走破性を向上。「G500」グレードは4L V8 ガソリンツインターボエンジンに9速ATを組み合わせ、最高出力は422hp、最大トルクは610Nm。ドイツでの価格は107,040.50ユーロ(19%の付加価値税を含む)から。
新型A-Class 2018年 コンパクトセダン。新しいFWD用プラットフォームを採用。人工知能(AI)を活用した革新的技術と直観的オペレーティングシステムを特徴とする、新開発のインフォテインメントシステム「MBUX」を標準装備。

 

新型G-Class インフォテインメントシステム
新型G-Class
2018年投入予定 (デトロイトモーターショー2018に出展)
新インフォテインメントシステムMBUX
新型A-Classに標準装備 (写真:Daimler)


中国市場:現地生産車の比率は68.8% に拡大

 Mercedes-Benz Carsの最大市場である中国の2017年1-9月の販売は前年比30.1%増の46万台。そのうち現地生産車は31.5万台で、68.8%を占めた(前年同期は64.4%)。新型E-Classのロングホイール車とミニバン/パネルバンのV-Class/Vitoが販売を牽引した。2018年には中国の若者をターゲットとする次世代コンパクトプレミアムセダンのA-Sedanを投入する予定。

 中国市場は電動車市場としても有望だが、Daimlerは新エネルギー車(NEV)事業で北京汽車集団との提携を強化した。また、BYDと展開している中国専用のEVブランド Denzaも強化する。さらにEVサブブランドのEQモデルを、欧州と同時期に中国の北京ベンツでも生産して投入する。

騰勢(Denza)
騰勢(Denza)
(上海モーターショー2017に出展)

北京汽車集団と新エネルギー車で提携強化

 Daimlerは2017年6月1日、ガソリン車の生産・販売で合弁事業を展開している北京汽車集団と、新エネルギー車(NEV)事業で提携強化の合意書に署名したと発表した。提携強化のため、下記の2つの投資を行う。

NEV事業の強化 北京汽車集団の子会社で、EVの生産・販売に携わる北京新能源汽車(Beijing Electric Vehicle Co., Ltd.)へ少数株主として出資する。
NEVの生産 両社の合弁会社である北京ベンツ(Beijing Benz Automotive Co., Ltd)の現行生産ラインを改修し、NEVの生産を可能にする。

 

BYDとの提携強化

 中国EV最大手のBYDとの合弁会社の社名を2016年11月、「深センBYD-Daimler」から「深センDenza新エネルギー車」に変更。2017年9月にBYDとの提携強化と、BYDとの合弁会社が展開している中国専用ブランド「騰勢(Denza)」の強化が発表された。



Mercedes-Benz Carsの販売台数と業績

 Mercedes-Benz Carsの2017年の販売台数は、前年比8.8%増の242.4万台で、7年連続過去最高を更新。新型E-ClassのセダンとエステートおよびSUVが販売を牽引した。2017年1-9月の地域別販売では、同社にとって最大市場の中国が前年比30.1%増と大幅に増加。欧州も5.7%増加したが、米国は6.1%減少した。2018年は一部改良も含めて12車種以上の新型車を投入する予定で、さらに販売拡大を目指す。

 2017年1-9月の売上高は前年比6.7%増の697億ユーロ、EBIT(支払金利前・税引前利益)は22.2%増の68億ユーロ。利益率(EBIT/売上高)は9.7%で目標の10%には若干届かなかったが、販売増加による利益が、ディーゼルエンジンの自主改修、車両リコール、新技術・製品の開発等の費用増を補い、高い利益率を実現した。2017年10月時点の予測では、2017年通年のEBITも前年比大幅増の見通し。

2017年の販売台数

 

Mercedes-Benz Cars の地域別販売台数 (卸売台数)

(単位:台)

  2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2016年
1-9月
2017年
1-9月
西欧 西欧合計 640,162 668,578 873,723 979,723  - 723,476 764,675
内ドイツ 279,894 272,459 295,693 313,700  - 232,827 242,246
内ドイツを除く西欧 360,268 396,119 578,030 666,023  - 490,649 522,429
米国 318,507 344,365 359,108 347,207 - 253,758 238,205
アジア アジア合計 389,065 475,633 618,244 715,392  - 519,060 634,726
内中国 238,727 292,663 400,395 487,564  - 352,077 457,978
その他 217,829 233,985 150,363 155,634  - 112,543 122,895
合計 1,565,563 1,722,561 2,001,438 2,197,956 2,424,369 1,608,837 1,760,501

資料:Daimler Fact Sheets 各年版およびQ3 2017版、Press Release 2018.1.8
(注)2017年通年の合計台数は小売台数。

 

Daimler Groupの連結業績

(単位:100万Euro)

  2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2016年
1-9月
2017年
1-9月
生産台数(1,000台) 2,195 2,384 2,582 2,924 3,041 2,307 2,490
販売台数
(1,000台)
乗用車 1,452 1,566 1,723 2,001 2,198 1,609 1,761
商用車 746 788 823 852 800 591 640
Total 2,198 2,354 2,546 2,853 2,998 2,199 2,401
売上高 乗用車 61,660 64,307 73,584 83,809 89,284 65,353 69,743
商用車 44,388 44,947 46,575 53,164 50,198 36,986 38,625
Total 114,297 117,982 129,872 149,467 153,261 112,260 120,741
EBIT 乗用車 4,391 4,006 5,853 7,926 8,112 5,551 6,785
商用車 2,023 2,392 2,757 3,670 3,367 2,787 2,913
Total 8,820 10,815 10,752 13,186 12,902 9,443 11,212
Net Profit 6,830 8,720 7,290 8,711 8,784 6,578 7,576

資料:Daimler Annual Report 各年版, Interim Report Q3 2017
(注)1. 乗用車はMercedes-Benz Cars部門、商用車はDaimler Trucks, Mercedes-Benz Vans, Daimler Busesの合計。生産台数は両部門の合計。 
2. 販売台数は卸売台数。
3. 売上高とEBITのTotalにはFinancial Services部門を含む。



LMC Automotive販売予測:Daimler Groupの2021年世界販売は300万台

LMC Automotive、2017年第4四半期)

LMC Automotive(2017年第4四半期)

 LMC Automotive(2017年第4四半期)予測によると、Daimler Groupの2017年のライトビークル販売は前年比9.4%増の278万台となる見込み。米国では市場鈍化と競争激化により販売が減少するが、アジアと欧州では好調な市場と最近投入したMercedes-Benz E-Classに支えられ、大幅な販売増が予想される。Daimlerの世界販売は2018年には前年比0.1%増の279万台、2021年には2018年比8.0%増の300万台に達する見込み。

 LMC Automotiveは、Daimler Groupにとって最大市場である中国では、2017年の販売は前年比27.3%増の640,952台と予測。現地生産されるGLCとプレミアムセグメントの好調が販売を後押ししている。2016年8月の発売以来、堅調な需要が続くE-Classも販売増に大きく貢献している。今後もDaimlerの中国での販売は増加するが、そのペースは低下するだろう。2018年以降、Daimlerの販売は緩やかに増加し、2021年に786,636台となる見通し。

 LMC Automotive予測によると、Daimlerのドイツにおける2017年販売は前年比5.2%増の428,654台。Mercedes-Benz C-Class Coupe、E-Class、GLC、GLC Coupeが非常に好調であった。プレミアムセグメントは、回復しつつある欧州市場の恩恵を受けている。しかし、中長期的に見ると、ドイツ市場の成長可能性は他の市場よりも低い。成人人口は減少しており、その結果として新車販売台数も減少傾向にある。LMC Automotiveは、ドイツの自動車市場は2020年代初頭から緩やかに縮小すると予測している。2019年以降、Daimlerのドイツでの販売は減少し、2021年には431,265台となる見込み。

 米国では、Mercedes-Benzブランドのクーペモデルが好調だが、LMC AutomotiveはDaimlerの2017年販売は前年比2.1%減の372,648台となると予測。Mercedes-Benzは近年、ラインアップの大半を更新してきたが、現在は競合メーカーが同様にモデルを更新し、消費者が他のブランドに移行している。Mercedes-Benzは既に全サイズのSUVを投入している上、乗用車需要は減少しているため、成長の余地はあまりない。投資の中心は電気自動車サブブランドのEQになると見られ、販売拡大は限られている。Daimlerの米国販売は2018年に前年比8.7%減少後、2021年まで34万~36万台にとどまる見込み。

 

Daimlerの販売予測 (LMC Automotive, 2017年第4四半期)

(販売予測の全データはこちらからダウンロード可能です。)
(単位:台)

COUNTRY GLOBAL MAKE 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021
Daimler Group   Mercedes-Benz 2,124,453 2,351,776 2,593,524 2,601,697 2,690,332 2,783,331 2,836,172
Smart 121,721 143,217 134,361 136,173 130,557 125,223 123,286
Fuso 46,300 49,819 55,317 48,761 51,190 50,615 50,202
Total  2,292,474 2,544,812 2,783,202 2,786,631 2,872,079 2,959,169 3,009,660
China  Mercedes-Benz 389,969 482,525 616,870 633,886 682,107 732,980 760,094
Smart 13,786 21,093 24,082 25,841 26,555 26,640 26,542
China sub-total  403,755 503,618 640,952 659,727 708,662 759,620 786,636
Germany   Mercedes-Benz 343,221 369,760 393,486 407,440 407,476 404,297 400,535
Smart 37,888 37,421 34,981 35,614 32,830 31,189 30,384
Fuso 245 217 187 286 313 328 346
Germany sub-total  381,354 407,398 428,654 443,340 440,619 435,814 431,265
USA  Mercedes-Benz 372,977 374,541 369,546 337,523 342,219 357,987 354,271
Smart 7,484 6,211 3,102 2,575 2,247 1,783 1,326
USA sub-total  380,461 380,752 372,648 340,098 344,466 359,770 355,597
UK   Mercedes-Benz 179,001 203,591 214,459 207,839 208,667 210,700 215,901
Smart 8,455 12,020 10,072 6,710 6,088 5,947 5,964
Fuso 201 204 163 200 213 231 245
UK sub-total  187,657 215,815 224,694 214,749 214,968 216,878 222,110
Italy   Mercedes-Benz 57,937 70,287 72,792 84,300 92,223 94,736 95,971
Smart 23,915 28,007 26,616 29,336 28,638 27,280 26,752
Fuso 130 330 283 370 422 460 490
Italy sub-total  81,982 98,624 99,691 114,006 121,283 122,476 123,213
France   Mercedes-Benz 73,427 81,225 85,849 94,353 95,626 95,694 96,268
Smart 8,102 8,980 7,846 8,328 7,808 7,636 7,475
Fuso 246 273 327 352 365 384 402
France sub-total  81,775 90,478 94,022 103,033 103,799 103,714 104,145
Spain   Mercedes-Benz 47,736 56,549 64,427 68,572 70,572 72,433 74,085
Smart 4,971 6,143 5,714 5,608 5,270 5,176 5,144
Fuso 81 185 235 222 235 257 271
Spain sub-total  52,788 62,877 70,376 74,402 76,077 77,866 79,500
Russia  Mercedes-Benz 49,943 43,216 44,252 53,161 60,787 69,821 75,021
Smart 471 696 978 1,178 1,284 1,318 1,500
Russia sub-total  50,414 43,912 45,230 54,339 62,071 71,139 76,521
Japan   Mercedes-Benz 65,159 67,381 63,780 56,080 55,689 48,514 44,144
Fuso 26,459 26,464 24,793 24,394 25,459 23,872 23,628
Smart 1,012 4,508 4,496 4,678 4,626 3,574 3,552
Japan sub-total  92,630 98,353 93,069 85,152 85,774 75,960 71,324
Korea Mercedes-Benz 46,994 56,343 73,017 57,962 54,218 51,114 52,547
Source: LMC Automotive "Global Automotive Sales Forecast (Quarter 4, 2017)"
* 国名は一部抜粋のため、各国の合計値は表中のDaimler Totalと一致しません。
(注) 1.  データは、小型車(乗用車+車両総重量 6t以下の小型商用車)の数値。
2.  本表の無断転載を禁じます。転載には LMC Automotive 社の許諾が必要になります。
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キーワード
Daimler、ダイムラー、Mercedes-Benz、メルセデス、ベンツ、EV、EQ、電動化、自動運転、モビリティ、car2go、MBUX

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