VW、Daimler、BMWの中国市場向け新エネルギー車(NEV)動向

VWはEVの新ブランドを投入、DaimlerはEQブランド車を中国国産化、BMWはバッテリー工場を建設

2017/11/06

要約

  中国工業情報化部、国家発展改革委員会、科学技術部から2017年4月に発表された「自動車産業中長期発展計画」では、2020年までに中国の自動車生産台数は3,000万台、そのうち新エネルギー車(NEV)は200万台と予測されている。9月27日には「乗用車企業平均燃費と新エネルギー車のクレジット制度同時管理方法」が公布された。国を挙げて新エネルギー車の普及に取り組む中国で、現時点では自主ブランドのEVモデルを展開する中国メーカーが外資メーカーよりも販売台数ではリードをしているが、VWグループ、Daimlerグループ、BMWグループのドイツ3社も2020年までにEV及びPHVモデルを数多く導入する計画。また、バッテリー工場建設や充電インフラの構築などEV化への対応を急速に推し進めている。

  VWグループは、上海汽車グループ(以下、上汽グループ)、中国第一汽車グループ(以下、一汽グループ)それぞれの合弁先でEVを生産するとともに、新たに江淮汽車(JAC)と2017年6月に合弁契約を締結し、2018年に低価格の新型EVの生産開始を予定している。また、2020年以降にEV専用プラットフォーム「MEB」を採用したI.D.ファミリー4モデルの導入も計画されている。

  Daimlerグループは、2017年6月に合弁先の北京汽車グループ(以下、北汽グループ)で、新エネルギー車の開発を行い、EV販売が好調な「北京新能源汽車」への出資と、現行のガソリン車の生産ラインを新エネルギー車生産用に改修することを発表した。また、2020年までにEV専用ブランド「EQ」の中国国産化とEVモデル導入にともなうバッテリー生産関連に6.5億ユーロを投資する。既に中国EV最大手のBYDと展開している中国専用ブランド「Denza」の強化も行う。

  BMWグループは、中国専用ブランド「之諾(Zinoro)」のEVやBMW5シリーズ PHV、X1 EVの中国国産モデルを既に市場導入済み。2017年11月の広州モーターショーでは10月に開設されたバッテリー工場で組み立てられるバッテリーパックを搭載した「新型5シリーズ PHV」の発表が予定されている。現在BMWの中国合弁パートナーは華晨汽車のみであるが、2017年10月に長城汽車とMiniブランドのEVの研究開発の可能性についての検討/協議の合意が既になされていたことを発表した。

グループ VW Daimler BMW
合弁のEV/PHV製造会社 上汽 北汽 華晨
一汽 BYD
(Denzaブランド)
長城(予定?)
江淮
バッテリー 中国製 中国製(自社工場にて組立) 中国製(自社工場にて組立)
モデル*1 2017年 Phideon PHV*2 2020年までに
EQシリーズを投入
BMW 5 Series PHV
2018年 e-Golf、Kodiaq PHV、新ブランドEV 他
2019年 Superb PHV 他 Mini EV
2020年~ I.D.ファミリー(4モデル) X3 EV

*1:メーカー発表情報及び各種報道を元にモデルの一部を予測。詳細はレポート内の各グループの項目を参照。
*2:2017年4月の上海モーターショー2017で発表されたが、2017年10月現在、発売が開始されていない。その後の具体的な動向は不明。


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IAA 2017:ドイツメーカーはEVシフト強化を前面に (2017年10月)
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