スズキのインド事業:新工場稼働、生産能力225万台に拡大へ

2020年度に販売網を3,000店舗に拡大、年販200万台を目指す

2017/07/13

要約

2017年7月下旬に日本で発売される新型Civic Sedan(写真:ホンダ)
インド製の世界戦略車「バレーノ(Baleno)」
(Maruti Suzuki資料)

 スズキの2017年3月期世界販売台数は前期比2.0%増の291.8万台。同社最大市場のインドでは10.7%増の144.5万台と大きく販売を伸ばし、全社販売台数の約5割を占めた。

 スズキはインドを世界戦略拠点として育成する方針。インド発のグローバルカーを現地で生産し、国内市場向けの供給能力をさらに高めるとともに、輸出拡大も図る。2017年2月にはインド西部のグジャラート新工場が稼働を開始。第1ラインの生産能力は年間25万台だが、第2、第3ラインも増設し、同拠点の生産能力を75万台まで引き上げる計画。ハリヤナ州にある既存の2工場(年産能力150万台)と合わせて、スズキのインドにおける年産能力は225万台に達する見通し。

 グジャラート新工場では小型ハッチバック「バレーノ(Baleno)」を生産している。「バレーノ」は、まず初めにハリヤナ州マネサール(Manesar)工場で生産を開始し、2015年10月にプレミアム販売網「ネクサ(NEXA)」で発売した。インド国内では月販1万台を超える最量販プレミアムハッチバックとなっている。また、「バレーノ」はインド製の世界戦略車として約100以上の国や地域に輸出される。日本向けにも2016年初から輸出を開始、インド政府の「Make in India」政策を受けて、マルチ・スズキから日本に輸出される最初の車となった。

 スズキは2017年6月末、2020年度にインドで年販200万台を目指し、販売店舗数を3,000店、サービス拠点を5,000店に拡大する方針を発表した(2017年3月末時点の店舗数は2,312店、サービス拠点が約3,200店)。同社は2015年7月に立ち上げたプレミアム販売網NEXAの店舗数を増やし、急増する中間所得層向けのラインナップを拡充している。また、小型SUV「ビターラ・ブレッツァ(Vitara Brezza)」や小型商用車(LCV)「スーパーキャリイ(Super Carry)」などの新モデルを投入し、同社として新たなセグメントにも参入。既存の量販モデルも刷新して、インドの排ガス規制や安全基準の強化にも対応していく。

 2017年4月には、東芝、デンソーとインドにリチウムイオン電池パックの新会社を設立すると発表。インドでは2020年にBharat Stage 6 (Euro 6準拠)が導入される予定。スズキはすでにインドで「シアズ(Ciaz)」および「エルティガ(Ertiga)」のディーゼルHVモデルを販売しているが、さらに現地生産モデルの電動化を推進する。

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