デトロイトモーターショー2017(1):米国メーカーの展示取材

米国メーカーの展示は無難な印象で、人気のSUVセグメントの車種に集中

2017/02/06

要約

View of Ford’s exhibit area
Fordの展示エリア
Chevrolet Traverse
Chevrolet Traverse

 2017年北米国際自動車ショー(デトロイトモーターショー2017)は2017年1月9日から22日まで開催された(一般公開は14~22日)。来場者は80万6,554人で、4年連続80万人を超えた。

 今年のデトロイトモーターショーを取り巻く主要な関心事項は、自動車業界が米国の新大統領とどう付き合って行くかを見定めることである。トランプ大統領が、メキシコから車を輸入しているメーカーをツイッターで批判したため、多数のメーカーが米国への過去および将来の投資について時間を割いて説明を行った。Fordは、ショーの開催前に、将来の数車種の電動車の生産をミシガン州Flat Rock組立工場で行うと発表した。また、記者会見では、Ford BroncoとRangerの次期型車も米国で生産すると発表。GMとFCAは米国の生産工場にそれぞれ10億ドルを投資すると発表した。さらに、デトロイトモーターショー閉幕直後、米国3社のCEOは揃ってホワイトハウスを訪れ、トランプ大統領と様々な問題について会談を行った。

 このような事情のためか、米国メーカーの展示は従来より無難な印象で、成長している米国のSUV市場に対応する車種と従来車種に集中していた。新たな技術やスタイルのコンセプトやシステムも出展されたが、重点が置かれていたのは、成功が見込まれる車種および過去に成功していた車種であった。GMは新型SUVのChevrolet TraverseとGMC Terrainを初公開し、FordはF-150とMustangの改良モデルを出展。一方、FCAには初公開モデルがなく、過去の展示会で発表したモデルを展示した。

 本レポートはデトロイトモーターショー2017を取材した3本のレポートの1本目で、GM、Ford、FCAなど米国メーカーが出展したモデルを紹介する。今後掲載するレポートでは、欧州メーカーおよびアジアメーカーが開発したモデルを取り上げる。

関連レポート:
デトロイトモーターショー2016

様々なセグメントの多様なモデルを出展; Chevrolet Bolt、Buick Envision、 Chrysler Pacifica
将来の方向性を示す新技術を出展; M-Benz E-Class、Audi h-tron quattro、Volvo S90
未来を示唆するコンセプト車、過去のフィードバックを踏まえたモデルの出展



GM:Traverse、Equinox、Terrainで成長するSUV市場に対応

Chevrolet Traverse
Chevrolet Traverse

 GMがデトロイトモーターショー2017で発表した主要モデルは、Chevrolet ブランドのTraverseとEquinoxおよびGMCブランドの Terrainで、同社が引き続きクロスオーバーとSUVに重点を置いていることを示した。この戦略は最近の米国市場の傾向とも一致しており、2016年の米国でのピックアアップトラックおよびSUVの販売台数は前年比7.2%増加し、合計販売台数の約60%を占めた。

2018年型Chevrolet TraverseクロスオーバーSUV

 2018年型Chevrolet Traverseの初公開は、ChevroletブランドがクロスオーバーとSUVのラインナップを更新中であることを反映している。2017年秋に新型Traverseが発売されると、Chevroletは1年間に4つのクロスオーバーまたはSUVを更新・発売することになる。新型Traverseは、ChevroletのフルサイズSUVからスタイルのヒントを得、快適性と利便性を向上させる新装備を搭載する。

Chevrolet
Traverse
新型Traverseの外観には、クロームアクセントやLEDシグネチャーライティング、精密な光学部品を使用したD-オプティックLEDヘッドランプ(オプション)など、高級感あふれるスタイリングの要素が散りばめられている。新たに設定された2つのトリムはスポーティなRSとラグジュアリーなHigh Countryで、顧客の好みに合わせて追加の選択肢を提供する。新型Traverseは旧型車より長く、幅も広い。ホイールベースは120.9インチ(約3,071mm)、全長は204.3インチ(5,189mm)、全幅は78.6インチ(1,996mm)で、ピックアップトラックに近いサイズである。一回り大きくなった新型Traverseは、荷物スペースとしてセグメント最高の98.5立方フィート(約2,800L)、3列目のレッグルームには33.7インチ(856mm)を確保する。
エンジン設定では、新たに最高出力305 hp、最大トルク260 lb-ft(353Nm)の3.6L V6エンジンを標準搭載。最高出力255 hp、最大トルク295 lb-ft(400Nm)の2.0L 直列4気筒ターボエンジンをオプション設定した。両エンジンとも9速ATと組み合わせる。駆動方式は標準が前輪駆動、オプションで四輪駆動を選択可能。利便性装備・安全装備には、MyLinkインフォテインメントシステム、ワイヤレス充電、サラウンドビジョン、車線維持支援、低速・高速走行時の前面衝突回避自動ブレーキ等を設定する。また、全トリムに、後部座席に荷物や子供が置き去りにされないようドライバーに警告するリアシートリマインダーシステムを標準装備する。
2018年型Chevrolet Traverseは、ミシガン州ランシング近郊にあるGMのDelta Township工場で生産される予定。



2018年型GMC Terrain小型SUV

 今回のデトロイトモーターショーで初公開された2018年型GM Terrainは、2010年に発売された小型プレミアムSUVの2代目。2018年型Chevrolet Equinoxと同じプラットフォームを使用し、外観は、全面改良されたグリル、C形LEDヘッドライト、フローティングルーフなど、よりシャープで彫刻的な要素で構成されている。風洞試験により外観を変更し、空気力学的特性を改善した。新型Terrainは旧型車より約465ポンド(約210kg)軽く、ホイールベースは5.2インチ(132mm)、全長は3インチ(76mm)短い。

GMC
Terrain
新型Terrainには3種のターボエンジンが設定されている。最高出力170 hp、最大トルク203 lb-ft (275Nm)の1.5Lターボガソリンエンジンを標準装備、最高出力252 hp、最大トルク260 lb-ft (353Nm)の2.0Lターボガソリンと、最高出力137 hp、最大トルク240 lb-ft (325Nm) の1.6Lターボディーゼルをオプション設定する。1.5Lおよび2.0Lガソリンエンジンには9速AT、1.6Lディーゼルエンジンには6速ATを組み合わせる。駆動方式は標準が前輪駆動だが、切替式四輪駆動システムも選択可能。
新型Terrainの車内は機能的で洗練され、幅広のセンターコンソール、アルミトリム、ソフトタッチの素材を使用したインストルメントパネル、標準装備のアクティブノイズキャンセレーションシステム等を備える。助手席と後部座席は、積載スペースを増やすために折りたたむことができる。荷物エリアに新たに備えられたアンダーフロアコンパートメントにより、追加スペースを確保。レーダーおよびカメラベースの技術を利用する最新の安全システムは、サラウンドビジョン、前面衝突警報、車線維持支援システム、低速走行時の前面衝突回避自動ブレーキ等が設定可能。
新型GMC Terrainは2017年晩夏に発売される予定。生産はメキシコにあるGMのSan Luis Potosi組立工場で行われる。
GMC Terrain GMC Terrain 車内
GMC Terrain GMC Terrain 車内



2018年型Chevrolet EquinoxコンパクトSUV

Chevrolet Equinox
Chevrolet Equinox

 2016年ロサンゼルスモーターショーで初公開された2018年型Chevrolet Equinoxは、Chevroletブランドの展示スペースでTraverseと共に展示された。新型Equinoxの外観は、Chevrolet Volt、Malibu、Cruze等の要素を取り入れ、旧型車よりシャープで力強い。フロントにはプロジェクタービームヘッドランプとLEDデイタイムランニングランプを標準装備。リアには水平のテールランプがEquinoxのワイドなスタイルにアクセントを付ける。新型Equinoxは旧型車より全長が5.7インチ(145mm)短く、車両重量は約400ポンド(約180kg)軽い。

Chevrolet Equinox パワートレインの設定はGMC Terrainと同じ。駆動方式は標準が前輪駆動だが、切替式四輪駆動も選択可能。コネクティビティおよび安全装備には、標準で7インチ、オプションで8インチのMyLinkインフォテインメントシステム(Apple CarPlayおよびAndroid Auto対応)、オプション設定のOnStar 4G LTE Wi-Fiホットスポット、サラウンドビジョン、死角検知システム、前面衝突警報、リアクロストラフィック警報等が含まれる。
米国市場向けの2018年型Chevrolet Equinoxは、カナダのインガーソルにあるGMのCAMI工場で生産される。米国市場では2017年第1四半期に発売される予定。販売価格は24,475ドルから。



Cadillac Escalaコンセプト ラグジュアリーセダン

 Cadillac Escalaコンセプトは、2016年ペブルビーチ・コンクール・デレガンスに出展するために制作された。Cadillac部門のヨハン・デ・ナイシェン社長は、Escalaは将来のCadillac車のデザインとテクノロジーの融合を示し、ブランドの方向性を示唆するもので、Cadillacの今後の商品計画に加えられる可能性がある、と述べた。

Cadillac Escala コンセプト Escalaの全長は210.5インチ(約5,347mm)で、Cadillacの最上級車CT6より約6インチ(約150mm)長く、彫刻的なボディラインがその長さを際立たせている。フロントには、水平的なヘッドランプに、有機LEDを使用したCadillac独自の縦型シグネチャーライティングを組み合わせた。立体的なグリルのデザインと2レイヤースポークの22インチホイールに、ディテールへのこだわりが垣間見える。パワートレインは、開発中のプロトタイプである4.2L V8 ツインターボエンジンを搭載。同エンジンはActive Fuel Managementと呼ぶ気筒休止システムを採用し、一定の状況下で8気筒のうち4気筒を休止させることにより、燃費を改善する。また、俊敏性と効率性の向上のため、EscalaはCT6が使用する後輪駆動用プラットフォームと複合素材を用いたボディ構造を採用している。
Escalaの車内には「2つの個性」が共存しており、フロントはテクノロジーに、リアは快適性に重点が置かれている。ダッシュボードには薄い曲面の有機LEDディスプレイが3面備えられ、従来のインストルメントクラスターとセンターコンソールを組み合わせて1つのユニットを構成。操作はタッチ、ジェスチャー、音声で行うことができる。後席乗員のために、前席のシートバックに格納式ディスプレイが設置されている。インテリアは、Cadillacの伝統的なカット&ソー製法で仕立てたものに加え、ファッション業界のパートナー企業から提供された特別なファブリックをドアトリムやシートに使用している。
Cadillac Escala コンセプト Cadillac Escalaコンセプト 車内フロント
Cadillac Escala コンセプト Cadillac Escalaコンセプト 車内フロント


Ford:F-150とMustangの改良型を出展

 Fordは記者会見でFord RangerとBroncoを米国市場で復活させると発表したが、デトロイトモーターショーで公開したのは主に既存モデルの改良型であった。また、Fordは、傘下のChariot社によるライドシェアサービスの拡大に触れ、モビリティ企業としての地位を強化したほか、今後5年間に新たに13車種の電動車を追加すると発表した。



2018年型Ford F-150フルサイズピックアップトラック

 2014年に13代目のFord F-150が発表されると、新採用のアルミ合金ボディが多くの注目を集めた。今回のデトロイトモーターショーで発表された改良型の2018年型Ford F-150は、高張力鋼フレームとアルミ合金ボディを引き続き使用し、新開発のエンジン、新しいスタイリング、セグメント初やクラス初の多様な技術を採用する。

Ford F-150用3.3L V6 エンジン Ford F-150用5.0L V8エンジン
Ford F-150用3.3L V6 エンジン Ford F-150用5.0L V8エンジン
Ford F-150 改良型F-150は、新開発の3.3L V6 直噴エンジンを標準装備するほか、次世代の5.0L V8エンジン、第2世代の2.7L EcoBoostエンジン、3.5L EcoBoostエンジン、F-150としては初のディーゼルエンジンである3.0L Power Strokeディーゼルエンジンをオプション設定する。標準装備の3.3Lエンジンの最高出力は282 hp、最大トルクは253 lb-ft (343Nm) で、置き換わる3.5L V6エンジンの性能と変わらない。一方、3.5L EcoBoostエンジンの最高出力は375 hp、最大トルクは470 lb-ft (637Nm)である。現時点では、他のエンジンの正確な出力値は不明だが、先代より性能は改善されている。3.3Lエンジンは6速ATと組み合わせるが、残りのエンジンは新開発の10速ATと組み合わせる。
改良型F-150の全トリムは、2017年型Super Dutyと同様、2本の太い水平バーがあしらわれたグリルを採用。新設計のヘッドランプとバンパーにより、外観はさらにワイドで堂々として見える。後部には、「F-150」が刻印された彫刻的なデザインのテールゲートと、新開発のテールランプが搭載される。F-150に設定された新たな安全装備とコネクティビティ装備には、セグメント初のストップ&ゴー機能付きアダプティブクルーズコントロール、セグメント初の歩行者検知機能付き自動ブレーキ、360度カメラシステム、車線維持システム、死角検知システムなどが含まれる。
2018年型F-150はミシガン州ディアボーンにあるDearbornトラック工場とミズーリ州クレイコモにあるKansas City組立工場で生産される。販売は2017年秋に開始される予定。
Ford F-150 Ford F-150 後部
Ford F-150 Ford F-150 後部



2018年型Ford Mustangスポーツクーペ

 珍しいことだが、Fordはデトロイトモーターショー2017の一般公開期間中に、改良型の2018年型Mustangを発表した。これは、ニューヨークとロサンゼルスで同時公開するためだった。改良型Mustangは新しい技術と改善された性能により、個人の嗜好に合わせた選択肢をより多く提供する。新設計の低いボンネット、新たなボンネット・ベントの位置、改良されたアッパーおよびロワーフロントグリルにより、Mustangは一層たくましく見える。他の外観の特徴には、標準装備のオールLEDフロントライト、LEDテールランプ、新しいリアバンパー、フロントバンパー、パフォーマンス・スポイラー等が含まれる。

Ford
Mustang
2018年型Mustangのダッシュボードには、Ford初の12インチのデジタルLCDディスプレイが搭載された。これは、顧客が全面的にカスタマイズすることができる。新開発のMustang MyModeシステムにより、ドライバーは自分好みのサスペンションやステアリングの設定を保存できる。また、オプションのアクティブバルブエグゾーストシステムを利用して、Mustangのエンジン音のカスタマイズも可能。その他、新たに採用された装備には、自動ブレーキ、車線逸脱警報、ドライバーの疲労の兆候を検知して警告するドライバーアラートシステム等が含まれる。

注目すべき点は、改良型Mustangはエンジンラインナップから3.7L V6エンジンを除き、改良型2.3L EcoBoost 4気筒エンジン(先代の最高出力305 hp、最大トルク 300 lb-ft (407Nm)より向上)と改良型5.0L V8エンジンのみにしたことである。5.0L V8エンジンは、高圧の直噴と低圧のポート噴射を併用することにより、先代の最高出力420 hp、最大トルク390 lb-ft (529Nm)を上回る。両エンジンとも6速MTまたは新開発の10速ATと組み合わせる。もう一つの新装備であるMagneRideサスペンションは、車両の四隅に設置されたセンサーとダンパーにより、最適なハンドリングを可能にする。

2018年型Mustangの北米販売は2017年秋に開始される予定。生産は、ミシガン州にあるFordのFlat Rock組立工場で行われる。
Ford Mustang Ford Mustang車内
Ford Mustang Ford Mustang車内



Ford Fusion Hybrid自動運転車の開発車両

Ford Fusion Hybridベースの自動運転車
Ford Fusion Hybridベースの自動運転車

 Fordは、CES 2017で初公開したFord Fusion Hybridをベースとする次世代の自動運転車の開発車両を、今回のデトロイトモーターショーにも出展した。先代からの変更は、主に自動運転システムの能力を改善した点である。

Ford Fusion Hybrid
自動運転車
開発車両
次世代のFusion Hybridは、視野が広い新開発のライダー(レーザー画像検出と測距)センサーを搭載する。このため、先代では4つのライダーセンサーで取得していた量と同じデータを、2つのセンサーで得ることができる。その他のセンサーには、3つのカメラと短距離・長距離用レーダーセンサーがある。カメラはFusionの2つのルーフラックにそれぞれ1つずつ設置されるほか、前方監視カメラがフロントガラスの下に搭載される。Fusionのセンサーをすべて合わせると、全方位について約200ヤードの範囲を検知することが可能である。Fusionは、センサーから取得したデータを高精細な3Dマップデータと組み合わせ、意思決定プロセスに使用する。
Fusionのトランクの中では、車載コンピュータが自社開発のバーチャルドライバーソフトウェアを使用して車両の挙動を決定しており、1時間に約1テラバイトのデータを生成している。このため、Fusionのソフトウェアとハードウェアを改良し、コンピュータと多様な車両システムとの通信を可能にしている。さらに、このような改良により、Fusion Hybridの高電圧バッテリーパックに加え、独立した電力変換装置が必要となった。
ライダーセンサー Lidarsライダーとルーフラックカメラ
ライダーセンサー ライダーとルーフラックカメラ



2018年型Ford EcoSportコンパクトSUV

Ford EcoSport
Ford EcoSport

 写真共有アプリのスナップチャットを通して2016年ロサンゼルスモーターショーで初公開された2018年型Ford EcoSportは、アクティブなソーシャルライフを楽しむ人々向けにデザインしたSUVの導入により、成長する北米のSUV市場に対応しようとしている。

Ford EcoSport EcoSportの車内には30個の収納ポケットやボックス、フックがある。車両後部のフロアボードを移動し、2列目シートを折りたたむと、スペースが拡大し、大きな荷物を載せることができる。Fordと提携するHarmanにより、プレミアムなB&Oオーディオシステムも搭載可能。また、8インチのディスプレイを備えたFordのSync 3インフォテインメントシステム(Apple CarPlayおよびAndroid Auto対応)も搭載する。さらに、急速充電できるUSBポートが2個、12ボルト電源が2個、110ボルト電源が1個あるため、すべての乗員のデバイスの充電が可能である。
エンジンは、1.0L EcoBoost 直列3気筒ターボと2.0L 直列4気筒エンジンから選択する。両エンジンとも、標準は6速ATと組み合わせる。駆動方式は、2.0Lエンジンは四輪駆動が標準、1.0Lエンジンは前輪駆動が標準、四輪駆動がオプションで選択可能。2018年型Ford EcoSportは2018年初頭に発売される予定。北米市場にはインドから輸入される。


FCA:初公開モデルはなし、既発表の主要モデルを出展

 FCAは今年のデトロイトモーターショーでモデルを初公開しないという、注目に値する決定を行った。同社にとってデトロイトショーで初公開モデルがないのは、2010年以降初めてのことである。しかし、Stelvioを出展したAlfa Romeoの新たな独立型展示と、PortalコンセプトとJeep Compassを中心とした展示により、デトロイトショーにおけるFCAの存在感は感じられた。



Chrysler Portal ミニバンEVコンセプト

Chrysler Portal
Chrysler Portal

 Chrysler Portalは、「ミレニアル世代(1980~2005年頃に生まれた人)がミレニアル世代のためにデザインした」車として、CES 2017で初公開された。「家族を運ぶ車」と呼ばれるPortalは、その柔軟性、適応性、テクノロジーを通してミレニアル世代の要求に応える。FCAに部品を供給するAdient、Magneti Marelli、Panasonic Automotive、Samsung Electronics等も、ミレニアル世代に訴求する機能を加えることにより、Portalの開発に貢献した。

Chrysler Portal コンセプト Chrysler Portalコンセプトのデザインは「内から外へ」のプロセスを重視し、インテリアはオープンで人々を招き寄せる雰囲気を醸し出す。バッテリーで駆動するため、エンジンコンパートメントは小さく、バッテリーパックを床下に配置してフロアを低くしたため、室内スペースを大きく確保することができる。Adient製の薄いデザインのシートは、様々なアレンジで折りたたむことができる。また、レール上に設置されており、前後に大きくスライドさせることができる。Portalのサイドドアは乗降しやすいように開閉でき、車両のフロント、サイド、リアに搭載されるMagneti Marelli製のフルカラーLEDライティングは、すべてカスタマイズが可能である。
Portalコンセプトの要となるのは、採用されたテクノロジーである。Portalを駆動するのは、容量約110kWhのリチウムイオンバッテリーで、1回の充電で250マイル以上走行できる。350kWの直流を用いる急速充電器を使用すれば、20分未満の充電で150マイル走行可能。Portalコンセプトには、ライダー、レーダー、超音波、カメラ等、各種センサーが搭載され、SAEが定義する「レベル3」の自動運転機能を備えている。顔および声の認証システムにより、Portalはドライバーを区別し、各ドライバーがあらかじめ設定したように車両の設定を行う。また、車車間・路車間通信(V2X)機能は、安全性の向上に寄与する。最後に、Portalは個人の様々な電子デバイスをシームレスに統合し、コミュニティ内での共用を可能にするため、すべての乗員は車内で各自のメディアを共用することができる。
Chrysler Portal車内フロント Chrysler Portalシート
Chrysler Portal車内フロント Chrysler Portalシート



2018年型Alfa Romeo StelvioコンパクトラグジュアリーSUV

Alfa Romeo Stelvio
Alfa Romeo Stelvio

 Alfa Romeoは2016年ロサンゼルスモーターショーで、同ブランド初の量産SUV、2018年型Stelvioを初公開した。同モデルはコンパクトSUVでありながら、スポーツカーの走りが体験できる。Stelvioは、Alfa Romeoの新しい車台を使用する車としては、Giuliaに続く2番目のモデルである。この車台は、軽量素材を使用し、前後の重量配分がほぼ50:50で、セグメント最高のねじれ剛性を有する。車両全体にアルミニウムを多用し、車両重量を軽減。フロントにダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用し、ステアリングフィールを向上させている。

Alfa Romeo Stelvio オールアルミニウム製2.0L直噴4気筒エンジンは、Stelvioの2つの下級グレードに搭載され、最高出力280 hp、最大トルク306 lb-ft (415Nm) を発生する。最上級グレードはオールアルミニウム製2.9L V6エンジンを搭載し、最高出力505 hp、最大トルク443 lb-ft (600Nm)を発揮する。両エンジンとも8速ATと組み合わせる。駆動方式は「Q4」の四輪駆動が標準で、最大60%のエンジントルクをフロントアクスルに配分し、トラクションとパフォーマンスを向上させる。他の採用可能な装備には、リミテッドスリップデフ、トルクベクタリング機構やダンパー制御を連動させるシャシードメインコントロール、ブレーキアクチュエーション機能や制御システムをモジュールに統合するインテグレーテッドブレーキングシステム、トルクベクタリング等が含まれる。
利用可能な安全および運転支援装備には、前面衝突警報および自動ブレーキ、一定の状況下で車両を停止させるアダプティブクルーズコントロール、車線逸脱警報、死角検知システム、後退時に左右から接近する車を警告するリアクロスパス検知システム等が含まれる。2018年型Stelvioは2017年初頭に発売される予定。生産は、イタリアのピエディモンテにあるAlfa RomeoのCassino工場で行われる。



2017年型Jeep CompassコンパクトSUV

Jeep Compass
Jeep Compass

 2016年ロサンゼルスモーターショーで北米デビューを果たした2017年型Jeep Compassも、今回のデトロイトモーターショーに出展された。Jeepブランドのグローバル戦略の主要モデルであるCompassは、クラス最高のオフロード性能と低燃費のパワートレインを備える。2種類の四輪駆動システムが用意され、両システムとも100%の駆動力を1個の特定の車輪に伝達することができる。また、いずれのシステムも、燃費改善のためにリアアクスルと動力取り出し装置(PTO)を切り離すことができる。

Jeep Compass 世界ではCompassは17種のパワートレインを設定する。北米仕様車を駆動するのは2.4L 直列4気筒Tigersharkエンジンで、最高出力180 hp、最大トルク175 lb-ft (237Nm)を発生する。エンジンは燃費向上のためにアイドリングストップ機構を採用。燃費は30 mpgとなる見込み。前輪駆動車、四輪駆動車とも6速MTを標準装備する。四輪駆動車はオプションとしてクラス初の9速AT、前輪駆動車は6速ATも選択可能。
Compassの車内には、センターコンソールに5.0、7.0、8.4インチのいずれかの大きさのタッチスクリーンを備えたUconnectインフォテインメントシステム(Apple CarPlayおよびAndroid Auto対応)が搭載される。ドライバー側には3.5インチのディスプレイを備えたデジタルインストルメントクラスターが標準装備され、オプションでカスタマイズ可能な7インチディスプレイを選択することもできる。他の利用可能な装備には、前面衝突警報、死角検知システム、リアクロスパス検知システム等が含まれる。2017年型Jeep Compassは世界100カ国以上で販売され、生産はブラジル、中国、メキシコ、インドの工場で行われる。米国では2017年春に発売される予定。

------------------
キーワード
フォード, GM, FCA, デトロイト, モーターショー

< 自動車産業ポータル マークラインズ >