東京モーターショー 2013:部品メーカーの出展(1)EV/HV関連部品
EV/HVの課題解決を目指す駆動システム、エアコン、ブレーキ関連技術など
2013/12/11
要 約
本レポートは、2013年11月20日~12月1日に開催された東京モーターショー2013での、部品サプライヤーのEV(Electric vehicle)/HV(Hybrid vehicle)/PHV(Plug-in Hybrid vehicle)に関する部品・技術の出展について報告する。
EV/HVの駆動システムや関連するシステム、部品に加え、EV/HVの効率を高め、またはEV/HV特有の課題を解決するための、エアコンシステム、ブレーキに関する技術も数多く出展された。
ガソリン車のアイドリングストップについても、レポート末尾に掲載した。
また、欧州で2011年6月にドイツのOEM 5社が48V電源の規格化に合意し、部品サプライヤーに協力を求め、2016年頃にも採用する車種が投入される見込みで、欧州系サプライヤー(Bosch、Continental AG、Schaeffler)が48V電源を持つプラットフォーム、リチウムイオン電池、マイルドHVシステムなどを出展した。
関連レポート
▽東京モーターショー2013:
・日本メーカー:コンセプトカー編 | ・日本メーカー: 軽自動車と市販車編 | ・次世代パワートレイン技術と商用車 |
・海外メーカー編 | ・サプライヤー編 安全装備、燃費向上 | ・EV/FCV/CNG車の最新動向 |
EV/HVコンセプトカーと専用プラットフォーム
インホイールモータを搭載するQ'moⅡ(NTNが出展)、電動パワーステアリングで培ったモータを制御する技術をアピールするEMIRAI 2(三菱電機)などのEVコンセプトカーが出展された。
Boschは、PHVのシステムを紹介した。Schaefflerは、48V電源を持つプラットフォームを提案した。
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EV/HVコンセプトカー
NTN | Q'moⅡ | 2011年東京モーターショーで発表したQ'moを進化させたQ'moⅡを発表し、デモンストレーションを行った。四輪全てにインホイールモータと減速機を搭載する2人乗り車。公道走行を可能にするため初代Q'moの最高速度10km/hを60km/hに引き上げた。6時間の充電で50kmの走行が可能。 |
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ステアバイワイヤで、四輪を独立して操舵するシステムを採用。四輪インホイールモータのシステムと合わせて、横方向の移動やその場での回転が可能。 | ||
超小型モビリティ実験車両 | Q'moⅡとともに、後輪2輪にインホイールモータを搭載する小型EVを開発し、2013年10月に国土交通省が本年から創設した「超小型モビリティ認定制度」に、インホイールモータ搭載車として初めて認定された。三重県伊勢市の市役所等に5台の超小型EVを貸与し、実証実験を開始した。 | |
三菱電機 | EMIRAI 2 | 2人乗りEVコンセプトカー「EMIRAI 2」を出展した。全長3160×全幅1786×全高1320mm。後輪を2個のモータ、前輪を1個のモータで駆動する。1/1000秒ごとにモータのトルクを管理し、最適なモータ制御を行う。三菱電機の長年に亘る電動パワーステアリングの制御ノウハウがベースになっているとのこと。 |
運転環境を体験できるシミュレータも出展。ドライバーの個性と走行状況に応じて、3枚の可変型ディスプレイ(状況に応じて形を変える)とフロントガラスHUD(Head-Up Display)の表示内容がシームレスに変化する新世代の表示システムを採用した。必要な情報をドライバーの視線移動を減らしながら表示する。 | ||
トヨタ車体 | T・COMS | 前後2人乗りの、国土交通省超小型モビリティ認定制度に対応したT・COMSを出展。既に市販している1人乗りCOMSと比べると、全長は2,395mmで変わらないが、全幅が1,145mmで50mm大きい。また1人乗りCOMSにないドアを装備した。鉛蓄電池を搭載し、1充電走行距離は50km程度。 |
ミツバ | EV レーシングカート | 通常は200cc 2サイクルガソリンエンジンを搭載するレーシングカートを、EV化した。カートレースに特別に参加させてもらい、データを収集している。 |
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EV/HV専用プラットフォーム/システム
Bosch | PHVシステム | PHVシステムの提案。欧州の上級車種で採用予定とのこと。リチウムイオン電池、インバータ、モータ、電子制御ユニット、ブレーキブースター(負圧式と電動式の両方を想定)、ESP hev(通常のESC機能に加え、回生ブレーキと油圧ブレーキの協調を担う)から成る。燃費・CO2排出量をガソリン車比65%削減するポテンシャルがあるとしている。 |
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豊田自動織機 | EV専用 プラットフォーム | これまでは、多くのEVがガソリン車をベースとした設計のため、衝突安全対策等の部品点数が増加する、車種専用の電池搭載が必要となるなどの無理、無駄があった。 |
EV専用とすることにより、直線を多く使用する形状となり、ハイテン材も使いやすい。アンダーボディーについてガソリン車ベースEVと比べると、部品点数は約40%、質量は約30%、コストは30~40%削減が可能。電池は、交換できるタイプを提案している。展示したプラットフォームのサイズは軽自動車クラス。 | ||
Schaeffler | 48V電源 プラットフォーム | 欧州では、48V電源を持つマイルドHVシステムが2016年前後に実車搭載される見込み。Schaefflerは48V電源を持つプラットフォームに、後輪をアシストするモータや、その他同社の様々な製品を搭載し展示した。 |
48V電動 アクスル | 同上プラットフォームに配置し、後輪をアシストする48V電動モータと減速機。モータの最高出力は12kW。基本はマイルドHVだが、時速50~60kmでモータのみによるクルージングが可能とのこと。 |
EV/HVトランスミッション
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EV/HVトランスミッション
アイシンAW | 中容量FR 2モータHV トランスミッション | 新開発した後輪駆動用中容量FR 2モータHVトランスミッション。2500ccエンジンと2つのモータを組み合わせる。新型Crown HV、Lexus IS300h/GS300hが搭載する。 |
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これまでのトヨタの後輪駆動HVシステムは、新型Crown MajestaやLexus GS450hが搭載する3500ccエンジンに対応するシステムとLexus LS用HVシステムであったが、小型、軽量化した本トランスミッションを開発した。 | ||
JATCO | CVT8 Hybrid (チェーン式) | CVT8とモータを組み合わせたHybrid用トランスミッション。日産が米国で生産し発売したPathfinder HVが搭載する。チェーンを使用し、3000cc以上のエンジン、300Nm以上のトルクに対応する。 |
チェーン式CVTは、より高いトルクに耐える特性を持つ(JATCOはこれまで、静粛性に優れ、変速比幅を大きくとれるベルト式CVTを生産してきた)。 | ||
CVT8 Hybrid (ベルト式) | ベルトを使用するCVT8 Hybridを開発中。最大トルク200Nm、2000ccクラスのエンジンと組合わせるHVに対応する。 | |
EXEDY | HV用フライホイ ールダンパー とクラッチ | EXEDYが、JATCOのCVT8 Hybridに供給するフライホイールダンパー(エンジンの振動を吸収する)とクラッチ。エンジン/フライホイールダンパー/モータとその内側にクラッチ/CVTのプーリーとベルト、の配置になっている。クラッチが、エンジンとモータを駆動軸と繋いだり切り離したりして、走行する。 |
Schaeffler | ホンダFit HVが 搭載するi-DCD | 2013年9月にホンダが発売したFit HVに搭載されているi-DCD(Intelligent Dual-Clutch Drive)。 Schaefflerが、モータを内蔵する7速DCTを供給する。 |
Schaefflerは、Acura RLX/Acura NSXが搭載する 3モータ式HVシステムにも、モータを内蔵するDCTを供給する。 | ||
トルクベクトリングを備えた 電動アクスル | EVシステムの提案。モータ、駆動用リチウムイオン電池とトルクベクトリング用の小型リチウムイオン電池、2段ギアのトランスミッションと軽量ディファレンシャルを搭載する。後輪トルクベクトリング(左右輪に、回転に合わせたトルクを配分する)により、駆動特性と走行安全性が大幅に向上する。 | |
Continental AG | Belt driven Starter Generator | フル名称は48V Belt driven Starter Generator with integ. Inverter。48V電源に対応するアイドリングストップと駆動アシストのシステムとして、開発中。 |
その他のモータやEV/HV関連技術
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その他のEV/HV用モータ
三菱電機 | 各サイズのモータ | 今回のモーターショーに出展したEVコンセプトカー(EMIRAI 2)に対応するモータを、軽自動車クラス用SサイズからLLサイズまで4種類展示した。各サイズのモータの生産技術は共通にしたとのこと。 |
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日立 オートモティブ システムズ | EV/HV用モータ | ステータのコイルに平角線(断面が円でなく平行四辺形の電線)を使用することにより、コイル占積率が約10%向上し多くの電流を流せて、モーターの高トルク密度化、高効率化、トルク変動の低減を図った。 |
デンソー | アクア用モータ | デンソーが開発したトヨタAqua用ステータモータは平角線を使用し、またコイルの形状や配置を改善することにより、従来方式のステータに比べ高さを15%低くし直径を10%短縮した。 |
(注)ホンダが2013年9月に発売した新型Fit HVも、平角線を使用するモータを搭載する。
日立金属 | ジェネレータ | 日立金属が出展した、NEOMAX磁石を使用する発電機(ジェネレータ)。NEOMAX磁石は、永久磁石のうち最も強力な磁石の一つ。安価で幅広く使用されているフェライト磁石の10倍の磁力を持つ。レアメタルであるジスプロシウム使用量を従来より大幅に削減したとしている。 |
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EXEDY | レアアースレス モータ | レアアースを全く使用せず、その替わりにフェライト磁石を使用するモータ。北海道大学と共同開発している。フェライト磁石は、日立金属が供給する。Exedyは「人とくるまのテクノロジー展2012」にレアアースレスモータを搭載するコンセプトカーを出展した。 |
トー制御機構など関連部品
日信工業 | Rear Toe Control | ホンダが2014年に発売する新型Acura RLXに供給する。Acura RLXは左右2つの独立したモータで左右後輪を独立して駆動、またナックルを動かすことによりトー(真上から見たタイヤの角度)を左右独立して制御し、小回り性、ブレーキ安定性などを向上させる。 |
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これまでの後輪操舵は、左右同じ角度での制御であった。 | ||
NTN | 後輪独立 転舵システム | NTNは、トーを制御できる後輪操舵システムを参考出品した。操舵(Steering)用とトー制御(Toe Control)用の2個のモータを持ち、両調整機能を一体化した。トー制御まで行うことにより、走行性が向上する。世界初披露。 |
NSK | ツーウェイクラッチ | 外部からの制御により、係合方向の切替えが可能なツーウェイクラッチの試作品を展示した(逆方向のワンウェイクラッチ2個を組み合わせたような構造)。HVのエンジン、モータからの入力切替クラッチとして提案していく。 |
リチウムイオン電池および関連製品
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リチウムイオン電池および関連製品
日立 オートモティブ システムズ | 日産HVに 供給するリチウム イオン電池パック | 日産が米国で生産するFF HV(Pathfinderなど)に供給する円筒形リチウムイオン電池パック。セルは日立ビークルエナジーが生産し、日立オートモティブシステムズの米国ケンタッキー工場でパック化している。セルはGMに供給している電池と同じ日立第3世代電池だが、パック化の方式は第4世代に当たるとのこと。後部トランクに装備している。 |
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1パックに40のセルを収納する。電圧は、3.6V×40セルで144V。写真に向かってパックの左側1/3ほどは、電池コンロトーラー、ジャンクションボックス、サービスプラグを収納する。ファンを使用し空冷する。 | ||
(注)日産は、米国Smyrna工場で、LEAFに搭載するリチウムイオン電池の生産をしているが、LEAF用電池はEV向けのため、HVには日立製HV用リチウムイオン電池を採用したのではないかとのこと。 | ||
角型リチウム イオン電池 | HV向けに、日立第4世代となる角型リチウムイオン電池を開発した。出力密度を、第3世代の3,000 W/kgから4,500W/kgに引き上げた。また表面積が広くなり、冷却効率がよい。 | |
EV/PHV用 リチウム イオン電池 | EV/PHV向けに開発しているリチウムイオン電池。電極活物質の改善により、従来比4~5倍となる高エネルギー密度130Wh/kgを実現し、EV走行距離の拡大、高出力アシストを可能にする。 | |
パナソニック | リチウム イオン電池 | Tesla Model Sが搭載する円筒型18650型リチウムイオン電池を展示した。パナソニックとTesla Motorsは2013年10月に、2011年に締結した契約を拡大更新し、パナソニックはTeslaに対して、2013~2017年に約20億セルのリチウムイオン電池を供給する。 |
Continental AG | リチウムイオン電池 | 48V リチウムイオン電池モジュールを展示した。 |
住友電工 | 非接触給電 システム | 2つの隣接するコイルの片方に電流を流すと発生する磁束を媒介して、隣接したもう一方のコイルに起電力が発生する「電磁誘導方式」を用いた非接触給電システムの提案。上記の写真は、給電側のコイルを示す(給電コイルと受電コイルはほぼ同じものになるとのこと)。EV/PHVの充電向けに開発中。 |
OMRON | アクティブ バランシング ユニット | OMRONが提案する、EV用電池アクティブバランシングのための監視ユニット。EV用電池パックにおいて、EV走行に伴い充放電を繰り返すと各セルの容量にバラツキが生じる。現在採用されているパッシブバランシングでは、あるセルが先に満充電になるとそのセルの過充電を防ぐため、そこに流れる電気を熱に変えて逃がしながら、充電が完了していないセルへの充電を続ける。 |
アクティブバランシングでは、各セルの充電状況をモニタリングし、先に充電が完了したセルからまだ空き容量のあるセルに電気を再配分しながら充電を進める。電池容量を実効レベルで10%引き上げる効果があるとされる。 |
EV/HV用エアコンシステム
デンソーとサンデンがヒートポンプ式エアコンシステムを出展した。EVは、エンジンの熱を暖房に使用できないため、暖房の効率が寒冷期の実走行距離に大きく影響するとされている。
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HV/EV向けエアコンシステム
デンソー | ヒートポンプ式 エアコン | ヒートポンプの原理を応用したエアコンシステム。ヒートポンプは家庭用エアコンにも採用されている原理で、電力を専ら電動コンプレッサのみに使用するので効率がよく、EVの走行距離も延びるとのこと。 |
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2012年秋から日産LEAFのX仕様車とG仕様車が搭載する。またPHVやHVにおいても、エンジンが停止している間はエンジンの熱による暖房が効かないため、今後多くのモデルがヒートポンプ式エアコンを採用する見込みとのこと。 | ||
サンデン | ヒートポンプ式 エアコン | サンデンも、ヒートポンプ式エアコンを提案した。構造はデンソー品と共通する。同社として世界初披露。 |
水加熱電気ヒータ | 「水加熱ヒータ」は、水などの液体中に直接ヒータを差し込んで加熱するタイプのヒータを指す。EVだけでなく、HVも暖房の熱量が不足するため採用を開始しているとのこと(サンデンは実績あり)。 |
ブレーキエネルギー回生とアイドリングストップ
各OEMは燃費改善に全力で取り組んでおり、特に小型HV市場と軽乗用車市場では各社が抜きつ抜かれつの激しい競争を繰り広げている。燃費向上の有力な手段の一つとして、各社がアイドリングストップと減速エネルギー回生の新技術を出展した。
EV/HVは協調回生ブレーキを搭載している。基本構造(モータで発生させる油圧でブレーキをアシストし、同時に発電機を回すことによる回生ブレーキと協調制御する)は共通だが、細部については、各OEMと部品サプライヤーは特徴を持った新商品を投入している。
日信工業がホンダに供給する電動サーボブレーキは、サーボモータの採用により液圧をより精緻に制御することが可能になった。これにより従来回生できなかった制動開始直後と停止前での減速エネルギー回生が可能になり、EVの電費、HVの燃費向上に貢献するとしている。
この他にも、減速エネルギーをより多く回生するためのシステムが出展された。
また、EV/HVでは、従来ブレーキアシストに採用していたエンジンによる負圧がない、または不足するという状況があり、その解決策が提案されている。
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ホンダ/トヨタ/日産のEV/HVが搭載する回生協調ブレーキ
日信工業 | 電動サーボ ブレーキ (ホンダ車) | ホンダのFit EV/Fit HV/Accord HVが搭載する。2つの部分から成り、Brake Operating Simulatorでドライバーの制動意図をセンサで検知し、信号がコントロールユニットに送られ、ブレーキの効き方を調整する。ブレーキペダルストロークによる油圧は、非常時以外は遮断され、ブレーキアシストの油圧発生に使用されない。 |
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Tandem Motor Cylinderで、サーボモータにより液圧を発生させ、ジェネレータによる回生ブレーキ力と協調させながら最適な制動を実現する。回生ブレーキが有効な間は、液圧ブレーキの働きを抑えるよう細かい制御をすることで、より多くの減速エネルギー回生が可能になった。 | ||
ミツバ | 同上用モータ | 電動サーボブレーキ用ブラシレスモータ。モータ径を小さく抑えることにより、高応答性を確保した。EVの電費向上およびHVの燃費向上に貢献する。 |
(注)ホンダのIMAシステムでは、油圧をアキュムレータに溜めてブレーキをアシストするシステムを採用していた。新型Fit HVは、前モデル比で回生量を60%以上向上させた。
ADVICS | 電子制御 ブレーキシステム (トヨタ車) | トヨタのHV/PHVが搭載するブレーキシステムを展示。ドライバーがブレーキペダルを踏むと、ペダルを踏む速度と踏む込み量からドライバーが要求する制動力を判断し、回生ブレーキを最大化しながら適正な制動を行う。 |
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ブレーキのアシストは、モータ駆動により発生させた油圧をアキュムレータに溜め、ガソリン車の負圧ブースターに近い感覚を再現し、ドライバーがブレーキペダルを踏む力をアシストする。 | ||
日立 オートモティブ システムズ | 電動型制御 ブレーキ (日産車) | 日産のEVとHVに供給する。ブレーキペダルからとモータからの2つの入力で油圧を発生させる構造で、通常ブレーキ時および回生協調ブレーキ時の自然なペダルフィーリングを実現した(回生協調時には、ペダル踏力変動を抑制する機構を組み合わせた)。 |
電動型制御ブレーキのアクチュエータには、モータとボールネジを用いて直接ブレーキマスターシリンダーに油圧を発生させるシンプルな構造を採用した。 |
ESCと一体化した協調回生ブレーキシステム
日立 オ-トモティブ システムズ | 負圧レス対応 ブレーキ | エンジンによる負圧がつくれない、または負圧が弱いEV/HV向けに開発中。液圧を発生させるモータとポンプを装備。ESCに回生協調の機能も持たせたので、追加機構なしに回生協調ブレーキへ対応が可能。 |
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同時にガソリン車もターゲットに開発中。負圧ブースターは体積が大きくスペースを取ることと、またエンジン負圧によるブースターをやめて燃費を向上させたいとの狙いもある。 | ||
Bosch | 回生ブレーキ システム | 英文表記は"ESP hev"。EV/HVへの搭載を前提に設計された特殊仕様のESC。通常のESCの機能に加え、回生ブレーキと油圧ブレーキを協調制御する。Mercedes-Benz S400 BlueHybirdに供給しているとのこと。 |
電動ブースター
Bosch | 電動ブレーキ ブースター (iBooster) | EVではエンジンの負圧によるブースターを使用できないため、電動油圧式ブレーキブースターを開発した。従来の負圧ブースターのスペースに収まり、かつ3倍の制動力が得られ制動距離を短縮する。VW e-up!に搭載し、近く発売されるVW e-Golfも搭載を予定。 |
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Continental AG | Electric Vacuum Pump | 負圧が無いまたは弱い車両に装備して、電動で負圧をつくりブレーキブースターの役割を果たす。Tesla車に供給している。またHVや、最近ガソリンエンジン車でも直噴エンジンは負圧が低くなっているので、搭載するモデルがあるとのこと。 |
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ガソリン車用アイドリングストップと回生システム
デンソー | アイドリング ストップ用製品 | スズキが「エネチャージ」の名称で訴求し、Wagon Rなどに搭載するアイドリングストップ兼ブレーキエネルギー回生システムの構成を展示した。デンソーが納入する部品は「高効率オルタネータ」「タンデムソレノイドスタータ」「リチウムイオン電池パック(セルは東芝製)」「蓄冷エバポレータ」の4品目。 |
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サンデン | 同上HVAC | 同上システムの、蓄冷エバポレータとエアコンのケースを出展した(再始動システムやリチウムイオン電池パック等は含まない)。エバポレータについては、スズキの車種により、デンソーと分担している(スズキの2社購買)とのこと。 |
ミツバ | アイドリング ストップ対応の スタータモータ | アイドリングストップ対応のため、静かで、通常より11倍の寿命を持たせたスタータモータ。またリングギアとスムーズに噛み合わせるため、ピニオンギアに斜めに刻んだヘリカルギアを採用した。2013年9月に発売したホンダの新型FITの、ガソリン車用アイドリングストップに採用されている。 |
三菱電機 | アイドリング ストップ用 スタータ | 日産・三菱自が共同開発した日産DAYZ/eK Wagonは、時速13km以下になるとエンジンを停止する。そしてこの時間中に、ドライバーが再び車を発進させようとした場合(Change of mindと呼ぶ)の再始動システムを開発した。 |
ピニオン機構の中間にピニオンバネを配置し、その緩衝力でエンジンが完全に停止する前にリングギアと噛み合わせることを可能にした。しかし、トヨタ/デンソーのタンデムソレノイド式に比べると、さらにエンジン回転が落ちるのを待たねばならない。この違いは、各OEMの方針によるとのこと。 | ||
Schaeffler | 常時噛み合い式 スタータ(1) | スタータのピニオンギアとリングギアは常時噛み合わせておき、走行中リングギアはエンジンから切り離され回転しない。スタータを作動させる場合は、ラップスプリングによりリングギアとトルコンを連結する。開発中。 |
常時噛み合い式 スタータ(2) | ワンウェイクラッチにより、ピニオンギアからリングギアに駆動力を伝えるが、逆は伝わらないシステムを採用(エンジン回転中リングギアは切り離されている)。トヨタVitz1300cc車が搭載する常時噛合い式アイドリングストップとほぼ同様のシステムとのこと。開発中。 | |
豊田自動織機 | アイドルストップ用DC-DCコンバータ | アイドリングストップしてエンジンを再始動する際に、一時的に電圧が下がり車載電気機器に悪影響がおよぶことを防ぐ。英文名は"Voltage Stabilizer"。H社に供給を開始したとのこと。 |
OMRON | 回生システム用DC-DCコンバータ | OMRONが参考出品した、回生システム用DC-DCコンバータ。DC-DCコンバータとキャパシタの組み合わせによる減速エネルギー回生システムを提案する。(マツダがAtenza/Axelaに搭載する"i-ELOOP"に共通するシステムの提案) |
<自動車産業ポータル、マークラインズ>