GM(2):米国での販売増によりグローバル売上、収益が増加
中国では電動化技術、EV生産の現地化を進める
2023/09/14
- 要約
- グローバル販売の状況:米国での販売が好調でグローバルで増販に転じる
- 米国販売の状況:2022年通年で7年ぶり台数増、販売トップの座をトヨタから奪還
- 中国販売の状況:五菱ブランド車の落ち込みで台数減、シェアが後退
- ブラジル:2023年2月に最新鋭のピックアップトラックを投入
- GMのグローバル業績:2023年上期は米国の売上増が貢献し純利益が7%改善
- GlobalData(グローバルデータ)生産予測:GMのライトビークル生産は漸増傾向、2026年に513万台
要約
中国初のUltiumプラットフォーム採用車「ビュイック・エレクトラ(Buick Electra)E5」2023年4月発売(出典:GMのニュースルーム) |
2023年上期のGMは、収益性の高い米国市場での販売伸長を受けて、グローバルでの売上、収益の大幅な改善を果たした。一方で中国での販売は大幅に減少し、グローバルな収益を北米事業へ依存する構図がより明確になった。
米国では、2022年通年でトヨタから市場シェア1位の座を奪還し、2023年も伸長を続けている。ラインアップのEV化を進めるGMだが、2023年上期のEVの販売比率は小型車のBoltを主力に3%以下に留まっている。2024年にかけて主力セグメントでのEV投入を加速し、併せてフルサイズ・ピックアップやSUVのICE(ガソリンエンジン)車の強化、刷新計画を発表し、収益性の高いセグメントでの優位確保、拡販も図る。
中国では、2021年に小型EVブームを起こしたジョイントベンチャーによる超小型EV(宏光MINIEV)が失速し、2023年上期の中国販売は大きく後退した。4月にはBuickブランドから新世代Ultiumプラットフォーム採用車が発売され、今後は2種類のEVプラットフォームを活用したEVを始め幅広いセグメントで積極的な新車投入を計画する。併せて、Ultiumプラットフォームのメガファクトリーを中国内に3カ所開設し、EVの技術開発、生産の現地化を進める。
GMは2010年代後半から不採算事業からの撤退、収益市場へのシフトを大胆に進め、将来投資へ向けた体質強化に取り組んできた。課題となるEV商品導入の加速や増産体制の構築、安定的なサプライチェーンの確保を進めながら、直近での売上増や業績回復を、野心的な計画の実現に繋げていけるかが注目される。
GMアップデートレポートの第二部となる本編は、主に米国のEV商品の展開や関連投資に焦点を当てた第一部に続き、米国、中国を中心とするグローバル市場での主要車種や販売動向の要点、並びに直近の企業業績などについて報告し、併せてGlobalDataによるGMの生産予測を掲載する。
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