VWグループ(上):7事業部門に再編、商用車は新会社TRATONに分離

新燃費試験WLTP対応に遅れ、ディーゼル車の買い替え奨励策を実施

2018/10/18

要約

  VW Groupは2015年9月に米国でディーゼル車の排ガス不正問題が発覚。その後、CEOに就任したマティアス・ミュラー氏は信用を取り戻すべく組織を改革し、業績も不正発覚前を上回るまでに回復させた。しかし、VWの監査役会と主要株主は、抜本的な改革は不十分だとして、2018年4月にミュラー氏を退任させ、ヘルベルト・ディース氏を後任に据えた。ディースCEOは2018年7月、VWグループの大規模な事業の再編を実施。12の自動車ブランドを4部門に集約、商用車部門や部品部門の分離などを行い、意思決定を迅速化することで効率性と対応力の向上を目指すとしている。

  VW Groupは2018年8月、商用車部門を担う傘下の子会社の名称をVW Truck & Bus AGからTRATON AGへ変更した。2018年内には株式を上場し、分社化する計画。これにより、VW Groupは主力事業に注力し、新技術や新サービスへ迅速に対応する。商用車部門は独立し、資金調達や他社との提携をより自由に進めることができる。TRATON AGは日野自動車と戦略的提携を締結し、まず電動技術と調達合弁会社の設立で協力する。

  欧州では2018年9月から新燃費試験WLTPが本格的に導入された。WLTPは実際の使用に近い条件で燃費を測定する。VWは排ガス不正問題の対応で大量のディーゼルエンジンの再評価に人員が必要で、WLTPの試験要員が十分に確保できず、一部の車種の出荷が遅れている。

  ディーゼル車の排ガス不正問題についてVWは、2018年6月にドイツの検察当局から命じられた罰金10億ユーロを全額支払い、一段落ついたとしている。欧州では排ガス不正事件以降、消費者のディーゼル離れが進み、大気汚染が進むドイツの都市ではディーゼル車の走行を禁止するケースが相次いでいる。大気汚染を改善し、ディーゼル離れを食い止めるため、ドイツ政府は2018年10月、Euro 5以前の旧型ディーゼル車の買い替え・改修促進策を発表し、メーカーへ負担を要請した。VWはこれに呼応して、新たに買い替え奨励策を実施する。

  VW Groupの2017年の世界販売台数は過去最高の1,078万台で、再び世界首位となった。売上高も過去最高の2,307億ユーロ、営業利益は138億ユーロに倍増した。VWの見通しによると、2018年の販売台数は2017年を若干上回り、売上高は前年比最大5%増、営業利益率は6.5-7.5%(2017年は7.4%)となる見込み。

  なお、VW Groupの新型車投入計画、電動化、自動化、モビリティサービス、中国市場での動きについては、まもなく掲載予定のレポート「VWグループ(下)」で取り上げる。

VW Groupの世界販売台数 VW Groupの連結売上高と営業利益

 

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