Federal-Mogul Holdings Corporation 2015年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2015年12月期 2014年12月期 増減率
(%)
要因
売上高 7,419 7,317 1.4 1)
当期純利益 (110) (168) - -
部門別売上高
-パワートレイン 4,450 4,430 0.5 2)
-モーターパーツ 3,253 3,192 1.9 3)


要因
1) 全社
-2015年12月期の売上高は、前年比1.4%増の7,419百万ドル。主な増収要因は、販売量の増加で734百万ドル、そのうち買収による売上増が657百万ドル。一方で、為替影響による減収分は642百万ドルだった。

2) パワートレイン
-2015年12月期の売上高は、前年比0.5%増の4,450百万ドル。販売量が増加し、買収による売上も伸びた。一方、為替の影響と販売価格の下落が売上を押し下げた。

3) モーターパーツ
-2015年12月期の売上高は、前年比1.9%増の3,253百万ドル。販売量の増加、買収による売上増、市場の活性化や価格効果が増収要因。為替影響による減収が一部相殺した。

買収

-2015年7月、TRWのエンジン部品合弁会社2社に関して、TRWが保有する株式を取得したと発表した。これにより、TRWのエンジン部品事業の買収手続きが完了となった。今回買収した株式は56百万ドル。米国テネシー州とタイにあるバルブトレイン事業を取得したことで買収手続きが完了した。 (2015年7月7日付プレスリリースより)

-2015年2月、TRWのエンジンバルブ事業の買収に関して、大部分の手続きが完了したと発表した。今回買収した事業はドイツのBarsinghausenを本拠とし、世界に約4,000名の従業員が対象。購入価格は309百万ドル。なお、同事業の合弁会社 (ベネズエラを除く) は含まれていない。買収資産は9カ国にわたる15カ所の製造拠点と、北米・欧州・アジアにおける3つのテクニカルセンターを含む。また、日本の自動車メーカーとの商売も獲得することになる。今回の買収により年間500百万ドルの売上増が見込まれ、将来の成長も期待される。 (2015年2月9日付プレスリリースより)

合弁事業

<中国>
-同社と安慶環新集団有限公司 [Anqing Huanxin Group Co., Ltd.] の合弁会社 「輝門環新 (安慶) 粉末冶金有限公司 [Federal-Mogul Huangxin (Anqing) Powder Metallurgy Co., Ltd.] 」 は、2015年10月28日、正式に開業した。新工場は安徽省安慶市に位置し、敷地面積は17,000平方メートル。世界最大のバルブシートインサートおよびバルブガイドの生産工場となり、ターボエンジン、ノンターボエンジン、重工業用エンジンEGRおよび非EGR用の製品を生産する。2017年の生産量は17百万個に達する見込み。 (2015年11月9日付け各種リリースより)

<インド>
-同社とAnand Indiaは、Anandのシーリング事業とピストンリング事業を合弁事業化すると発表した。同社は、シーリング会社 「Federal-Mogul Anand Sealings India Limited」 の株式51%を保有し、Anandと少数株主が残りの49%を保有する。また、ピストンリング会社の 「Anand I-Power Limited」 に関しては、Anand Indiaが過半数を保有する計画。 (2015年3月10日付プレスリリースより)

受注

-2010年の発売開始以来、同社の 「MicroTorq」 エラストマーシールが14を超えるエンジン向けに搭載または開発されていると発表した。このうち、GMの 「Ecotec」 小排気量エンジン群向けには、2015年はじめより生産を開始している。このシールは、同等製品に比べて摩擦損失を最大80%軽減するほか、CO2削減量はエンジン1基あたり最大1.5g/kmとなる。2015年は200万ユニットの生産が見込まれているが、今後5年間で年間生産量は1,000万ユニットを超えるとみられる。これにより同社は、メキシコ、ハンガリー、中国の拠点において 「MicroTorq」 シールの生産能力を拡大する計画。(2015年9月30日付プレスリリースより)

-「Ward's 10 Best Engines」に選出されたエンジンのうち9基にパワートレイン部門の製品が採用されたと発表。これらのエンジンは、2015年モデルの車両に搭載されている。
・BMWの127kW電気モーター: 「i3」
・BMWの1.5LターボチャージャーDOHC直列3気筒: 「Mini Cooper」
・FCAの6.2LスーパーチャージャーOHV Hemi V型8気筒: 「Dodge Challenger SRT Hellcat」
・FCAの3.0L Eco Diesel DOHC V型6気筒: 「Ram 1500」
・Fordの1.0L Eco Boost DOHC DI直列3気筒: 「Fiesta」
・GMの6.2L LT1 OHV DI V型8気筒: 「Chevrolet Corvette Stingray」
・スバルの2.0LターボチャージャーDOHC DI Boxer水平対向4気筒: 「WRX」
・Volkswagenの1.8L TSIターボチャージャーDOHC直列4気筒: 「Golf」
・Volvoの2.0LターボチャージャーT5 DOHC DI直列4気筒: 「S60」
(2015年1月14日付プレスリリースより)

受賞

-Lear Corporationより、2015年 「Supplier of the Year」 を授与したと発表した。 (2015年12月2日付プレスリリースより)

-低摩擦ピストンリングパック技術 「DuroGlide」で、2015年 「Automotive News PACE Award」 を受賞した。 (2015年4月20日付各種リリースより)

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
合計 189 192 173
売上高に占める割合 (%) 2.5 2.6 2.5

研究開発拠点数

(2015年12月31日現在)
  北米 欧州・中東・アフリカ その他地域
テクニカルセンター 6 9 2

研究開発拠点

<米国>
-ミシガン州Plymouth、同Ann Arbor
-イリノイ州Skokie
-ペンシルバニア州Exton
-ミズーリ州St. Louis
-ウィスコンシン州Waupun

<海外>
-ブラジル:Araras
-ドイツ:Burscheid、Nuremberg、Wiesbaden、Bad Camberg、Glinde
-ベルギー:Aubange
-英国:Chapel-en-le Frith, Coventry
-チェコ共和国: Kostelec
-中国:上海

製品開発

スプリング一体型の 「Unipiston」
-クラッチピストン 「Unipiston」 の最新製品として、スプリング一体型の 「Unipiston」 を発表した。この新型ピストンは、スプリングキャリアを不要とし、多板クラッチパックのピストンで重大な制約となる軸方向の長さの要件を減らすことができるという。この技術は、デュアルクラッチトランスミッション、オートマチックトランスミッション、差動制限デフなどのクラッチパックに適用できる。 (2015年12月1日付プレスリリースより)

ディーゼルピストン用のアルミ合金
-ディーゼルピストン用のアルミ合金 「DuraForm-G91」 を新開発したと発表した。ベンチマークテストでは、最新の高負荷ディーゼルエンジンにおける部品寿命が、既存の鋳物素材に比べて3~5倍に延びるという結果を得ている。強度が向上したことでより大きな機械的負荷にも対応でき、エンジンのさらなる高出力化・効率化に貢献するという。 (2015年8月13日付プレスリリースより)

ナトリウム冷却中空ステムバルブ
-2015年9月に開催されるフランクフルトモーターショーにおいて、新たに取得したエンジンバルブ技術を初めて展示すると発表した。特にグローバル・バルブトレイン (Global Valvetrain) 部門が生産する、ステムの直径が非常に小さいナトリウム冷却バルブは、軽量化に貢献するほか、ダウンサイズエンジンにおける制限要因となりえる高温への強い耐性も持つ。従来のソリッドステム付きバルブがヘッドやシートを通じて約75%の熱を放出するのに対し、同社の中空ステム技術は熱の大部分をステムやガイドから伝導させるため、バルブヘッドからの熱流量を約50%に減少させることができる。これによりバルブヘッドの温度が80℃~150℃低くなるという。この中空バルブは主に、温度低下に向けて排気バルブに、軽量化に向けて吸気側にも使用できる。 (2015年7月23日付プレスリリースより)

特許

-2015年12月31日時点、全世界で6,300件以上の特許と申請中の特許を保有しており、内1,200件が米国で登録されている。

設備投資額

(単位:百万ドル)
2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
パワートレイン 301 268 276
モーターパーツ 131 130 86
全社 8 20 13
非継続事業 - - 5
合計 440 418 380


-2016年12月期の設備投資額は、390百万ドルから440百万ドルの見通し。

海外投資

<中国>
-中国・江西省の南昌 (Nanchang) にシーリングおよびガスケットの生産工場を新たに建設すると発表した。中国自動車メーカーからの需要増加や厳しい環境規制に対応する。新工場の面積は24,000平方メートル。同社は南昌拠点のシーリングの生産能力を現在の2倍に引き上げる計画。新工場は南昌経済技術開発区に建設され、2016年に生産を開始する予定。 (2015年3月31日付プレスリリースより)