Robert Bosch GmbH 2014年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2014年
12月期
2013年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 48,951 46,068 6.3 1)
EBIT 3,030 2,751 10.1 -
モビリティー・ソリューションズ
売上高 33,318 30,588 8.9 2)
EBIT 2,402 2,359 1.8 3)


要因
1) 全社売上高
-2014年12月期の売上高は、前年比6.3%増加の48,951百万ユーロ。ユーロ高による為替差損 (500百万ユーロ) の影響を排除した場合は、前年比で7.4%の増加。

-アジア太平洋の売上高は前年比17%と最大の伸びを見せ、130億ユーロとなった。排ガス規制の厳格化による需要の増加が売上増に貢献。また、合弁事業であった韓国のガソリン車用のエンジンシステム事業をフル連結化したことも寄与。

-北米の売上高が前年比8.6%増の85億ユーロになった一方、南米はブラジルの景気悪化を受け同13%減の15億ユーロ。欧州に関しては、景気悪化や東欧の政治的な緊張があったものの、同2.1%増の260億ユーロとなった。

2) モビリティ・ソリューションズ 売上高
-2014年12月期の同部門の売上高は、前年比8.9%増加の33,318百万ユーロ。スペアパーツの売上高が微減となったが、以下製品群の需要増が売上高を押し上げた:

  • ガソリン直噴システム、トランスミッション制御システム、CVT関連
  • 排ガス規制の厳格化の恩恵を受けたディーゼル噴射システム、排ガス後処理システム
  • インフォテインメントシステム、運転者支援システム
  • スターターモーター&ジェネレーターおよびエレクトリカルドライブ製品

3) モビリティ・ソリューションズ EBIT
-2014年12月期の同部門のEBITは、前年比1.8%増加の2,402百万ユーロ。EBITは増加したものの、EBITマージンは減少。前年は、United Automotive Electronic Systemsの連結化に際する資産再評価による増益要因 (一期限り) あり。この資産再評価により減価償却費が今後増加していくため、将来の減益要因となり得る。

買収

-2014年9月の合意に基づき、ZFとの折半出資による合弁会社ZF Lenksystemeに関して、ZFが保有する株式50%を取得し完全子会社化を完了。ZF Lenksystemeは乗用車・商用車向けステアリングシステムを開発・生産・販売しており、従業員は8カ国に13,000名超。ZF Lenksystemeは新たに「Robert Bosch Automotive Steering GmbH」に社名変更。今後はステアリングシステム事業としてモビリティーソリューションズ部門の傘下に入る。(2015年1月30日付プレスリリースより)

合弁事業

-同社、GSユアサ、三菱商事の3社による合弁会社「Lithium Energy and Power GmbH & Co. KG」の事業が開始。ドイツのStuttgartを本拠とし、次世代リチウムイオン電池の開発し、リチウムイオン電池の性能を現在の2倍とする計画。2013年11月に設立した同合弁会社へは、同社が50%、GSユアサと三菱商事がそれぞれ25%を出資している。(2014年2月12日付プレスリリースより)

受注

-2014年の主な受注:

OEM モデル名 供給部品
Audi TT 「Virtual Cockpit」ディスプレイ用インストクラスター
BMW MINI Hatch コンバイナーHUD (ヘッドアップディスプレイ)
i8 インストクラスター (ディスプレイタイプ)
Daimler Setra TopClass 500 運転支援システム 「Eco.Logic Motion」
FCA Chrysler 200 長距離レーダーセンサー、横滑り防止装置 「ESP」
Fiat 500e 電動モーター、パワーエレクトロニクス、バッテリーパック、回生ブレーキシステム
Google 自動運転テストカー レーダーセンサー、電動モーター、パワーエレクトロニクス、電子制御パワートレイン部品、ステアリング部品
Iveco Daily ステアリングポンプ、ステアリングコラム
Jaguar/Land Rover Jaguar F-TYPE Coupe スマートフォン統合システム「mySPIN」
Range Rover Evoque スマートフォン統合システム「mySPIN」


-欧州自動車メーカーの中型車向けに、車両後方用中距離レーダーセンサー「MRR rear」システムの量産を開始。車線変更における安全性を高めるため、リアバンパー左右の裏側に1つずつセンサーを設置。この2つのMRR rearセンサーが車両の側面と後方を監視する。制御ソフトウェアがセンサー情報を集め、車両後方の交通状況の全体像を作成する。後方から急接近する車両や死角に入った車両があると、サイドミラーの警告灯などがドライバーへ危険を警告する。それでもドライバーがウィンカーを出して車線変更をしようとした場合は、車線変更支援システムが、さらに音や触覚による警告を発するという。(2014年11月10日付プレスリリースより)

2015年12月期の見通し

-同社は、2015年12月期の売上高成長率は3%-5%と予測。モビリティ・ソリューションズ部門の成長率は全社成長率を大きく上回ると見ている。

受賞

-2014年の主な受賞:

授与社
Chrysler Design for Six Sigma
昌河汽車 2013 Quality Improvement Award
Cummins Top Supplier
Tesla Excellent Development Partner


-「2014 Automotive News PACE Award」を「Product」部門で受賞。ガソリン直噴燃料インジェクターのレーザー穴あけ技術による噴霧穴の開発が評価されたもの。この技術はAudi 「A3」の2012年モデルで初めて採用され、これまで9社から14のプログラムでグローバルに採用されているという。(2014年4月9日付プレスリリースより)

事業戦略

地域別計画
-2020年までに同社はアジア太平洋および米州の売上高を2013年比で倍増する計画。アジア太平洋の売上高は約222億ユーロ、米州は約190億ユーロを目指す。目標達成の方策として、現地における研究開発能力の増強を掲げている。同社取締役会会長のVolkmar Denner氏が「個々の市場に向けて開発を現地で行うことが特に重要」と述べるように、2014年に同社はベトナムとインドに研究開発センターを新設。また北米においては、メキシコのGuadalajaraに開発・ソフトウェアセンターを開設している。

<アジア太平洋>
-2010年から2014年にかけて同地域に約33億ユーロを投資している。これらの投資は主にインド、中国、ベトナムに配分。その他にもタイ、韓国、インドネシアにも一部投資された。2014年単年では全社設備投資額の約24%相当の620百万ユーロを投資。

<米州>
-近年、米州に対する設備投資は主にメキシコを主軸としている。TolucaおよびJuarezの生産拠点を増強しており、2014年にはAguascalientesでABSおよび横滑り防止システムの生産を開始。

<欧州>
-同地域の売上高目標は明確にされていないが、欧州市場全体の成長を超えると同社は予測している。欧州では景気悪化が見られるものの、同社はすでに同地域に相当額の投資を行なっている。2014年には、半導体、センサー、ガソリン直噴システム、ディーゼル関連技術等に対して、全社設備投資額の約66%相当の17億ユーロを投資。その他にもドイツのRenningenに位置する新研究開発・先端エンジニアリングセンターへの移管費用にも投じられた。

<アフリカ>
-同社は、2020年までに同地域の売上高20億ユーロを達成できると予測している (2014年12月期の同地域売上高:350百万ユーロ)。さらなる成長を目的に、2014年に5カ所の支社を設立し、2015年に予定しているチュニジア拠点を含めるとアフリカ諸国に9カ所の拠点を保有することになる。アフリカ市場の主な事業は、南アフリカのBritsにおける自動車OEM製品・スペアパーツの生産、および南アフリカのMidrandの包装機械事業。

自動車市場・技術
-今後数年間で自動車市場はコネクティビティ (インターネット等への接続)、自動運転、電動化へのシフトがさらに進むと同社は見ている。

<電動ステアリングシステムと自動運転>
-上述したトレンドへの対応として、電動ステアリングの大手メーカー ZF Lenksystemeの完全子会社化が挙げられる。電動ステアリングは様々な安全支援システムに必要不可欠となっていることから、今回の完全子会社化は同社の自動運転技術の分野を補強することになる。さらに、ZF Lenksystemeは近年北米およびアジアに投資しており、これはアジア太平洋および米州の売上を増加する地域別の計画にも合致している。

<電動車両、エレクトロモビリティ>
-将来の車両の電動化に対応するため、電気自動車およびエレクトロモビリティ (電動化) 関連に投資を行なっている。2014年にはGSユアサ、三菱商事との合弁会社「Lithium Energy and Power」の操業を開始。バッテリー効率の改善や次世代リチウムイオン技術の開発をしている。なお、Boschは年間約400百万ユーロをエレクトロモビリティ開発に投じており、1,800名が研究開発に従事している。

<コネクティビティ>
-コネクティビティの分野では同社はナビゲーションおよびインフォテインメントシステムに注力している。これらのシステムは運転手に情報を伝達する手段としてディスプレイが必要であり、同社は近年ディスプレイベースのインストクラスターや各種ヘッドアップディスプレイ (HUD) を開発している。インフォテインメントシステムに関しては、GM、日産やChrysler等の自動車メーカーと共同開発を推進している。

<ガソリン直噴システム>
-2016年までに欧州で生産されるガソリンエンジン車の約半数が直噴システムを採用し、2020年までには60%に上昇すると同社は予測している。中国および米国の厳しい燃費改善需要がポート噴射から直噴システムへのシフトを促すと見ている。さらなる需要に対応すべく同社はガソリン直噴システムの生産拠点をドイツ、トルコ、米国、メキシコ、中国および韓国に保有している。2015年には9百万ユニットの供給を見込む。

技術革新の急速な進展に対応
-昨今の技術革新の急速な進展を受け、新規事業分野は常に生まれており、これは同社にとってのビジネスチャンスになっている。同社はこの流れに対応するため、全社売上高の約1%を毎年「新規事業および関連事業分野」を開発する独立チームに投資している。同チームの近年の主な実績は以下の通り:

  • カーマルチメディア部門:様々なソフトウェアやコネクテッドカー向けのアプリの開発。
  • シャシーシステムコントロール部門:Tesla向けのシャシーおよびセーフティシステムの開発をグローバルで行った。その結果、「Excellent Development Partner」賞を受賞。

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
グループ全体 4,959 4,543 4,442
-モビリティ・ソリューションズ 4,066 約3,600 N.A.



-様々な技術および市場分野で起こる変化に対して、同社は積極的な役割を担うとしている。このような変化はビジネスチャンスであり、同社は継続して研究開発費を増額している。特に電動化、コネクティビティ、自動運転がトレンドのモビリティー・ソリューションズ部門においては顕著となっている。

研究開発体制

-2014年12月末時点の研究開発要員は45,700名。2014年には新たに3,000名の研究開発要員を増員した。

-毎年約400百万ユーロを車両の電動化開発に充てており、専任の約1,800名が同分野の研究開発に従事。

研究開発拠点

-ドイツのRenningenに新設された研究開発・先端エンジニアリングセンターで、約800名の研究開発要員が事業を開始。同社ではStuttgart周辺の各拠点からRenningenの新拠点に移管を行なっており、新拠点がフル稼働の際には従業員数は1,700名達するという。2012年の起工式以来、310百万ユーロが同拠点に投じられている。この研究開発・先端エンジニアリングセンターはBoschグループの中核拠点となる。(2014年10月9日付プレスリリースより)

-米国のミシガン州Plymouth Townshipにある技術センターを拡張すると発表。投資額は40百万ドルで、2015年11月に完了する見込み。今回の拡張により、同センターの面積は220,500平方フィート拡張され、約2倍の445,000平方フィート超となる。また、従業員1,400名の勤務が可能になるという。同社は、今後3年間で最大200名を新たに雇用する計画。自動車エレクトロニクス、スタート/ストップシステム用モーター、電気駆動装置、安全・運転支援システムなど、さまざまな主要技術の開発をさらに加速するとみられる。(2014年8月25日付プレスリリースより)

-ベトナムのホーチミン (Ho Chi Minh) 市に自動車技術の研究開発センターを開設。当面は主に、自動車技術のコンピューター支援設計 (CAD)、シミュレーション、試験などを中心に行う。(2014年7月16日付プレスリリースより)

-メキシコGuadalajaraにおいて、同社にとって北米初のソフトウェア開発・エンジニアリングサービスセンターを開設。第1段階として約5百万ドルを投じる。面積は1,800平方メートルで、200名以上の技術者を雇用する。同センターでは、自動車業界をはじめBoschの他の米州拠点向けに、部門横断的なプログラミングやアプリケーションサービスを提供する。これらのサービスには、自動車のECUに使用するハードウェアおよびソフトウェアの開発・検証が含まれる。(2014年4月25日付プレスリリースより)

研究開発活動

EV・HVに関する研究プロジェクト「OpEneR」
-同社が参加する欧州の研究プロジェクト「OpEneR」は、スペインのVigoで最終報告会を行い、EV・HVの効率性・安全性を大幅に向上させる運転戦略および運転支援システムを発表した。課題の1つは、最適経路を算出する際にEV特有のニーズを考慮する「エコルート (eco routing)」の開発。試験走行では、エネルギー消費量を最大30%削減したことにより、走行時間を14%延長した。また、同プロジェクトでは、電動パワートレインと回生ブレーキの理想的な連携の研究にも取り組んだ。最適なエネルギー回生に向けて、Peugeot 「3008」のデモカー2台に、Boschの電気機械式ブレーキブースター「iBooster」とEV用のブレーキ制御システムに搭載。同プロジェクトによる最終的な運転戦略では、標準的な運転に比べてエネルギー消費量を27~36%削減し、連続走行時間は8~21%延長されたという結果になった。(2014年7月17日付プレスリリースより)

研究プロジェクト「SchmiRmaL」
-同社は、今後、導電性潤滑剤がベアリング内の放電による電気モーターの表面損傷を保護する役割を持つようになると発表。この結果は、ドイツ連邦教育研究省が出資する共同研究プロジェクト「SchmiRmaL」で得られたもの。将来的に、車により高い電圧が必要になると考えられることから、そういった状況に対応するためこのプロジェクトが立ち上げられた。現在は、ライト、ラジオ、エアコンなど全ての自動車用電気システムに必要な電圧は12Vだが、機能の増加に伴い、必要な電圧は今後数年間で48Vになると考えられている。新型のオイルがどのくらいベアリングの耐用年数を延長するかを評価する。なお、このプロジェクトにはSchaeffler Technologiesも参加している。(2014年6月11日付プレスリリースより)

先進運転支援システム (ADAS) 開発
-同社会長のVolkmar Denner氏は遅くとも2020年には、高度な自動運転に必要な技術が成熟期を迎え、それに続く10年間に完全な自動運転が実現すると予測している。同社は同技術で優位に立つと見ており、2016年までに運転支援システムで10億ユーロの売上高達成を見込んでいる。以下5つの開発優先目標を提示:

  • 周囲360度の状況を認識できるセンサーコンセプト
  • 冗長性のあるシステムアーキテクチャー
  • 機能異常が発生した場合やハッキングを受けた場合の信頼性
  • 高精度マップデータ
  • 法的要求事項


技術提携

-同社のスマートフォン統合ソリューション「mySPIN」が、Jaguar Land Roverの2015年のモデルに搭載されると発表。ニューヨーク国際オートショーにおいて、Jaguar 「F-TYPE Coupe」およびLand Rover 「Range Rover Evoque」に、「InControl」アプリとして初搭載される。この「mySPIN」は、機器と車両をリンクさせ、車載ディスプレイでスマートフォンの好きなアプリを快適に使うことができるという。(2014年4月15日付プレスリリースより)

-同社と湖南江麓容大車両伝動股份有限公司 [Hunan Jianglu & Rongda Vehicle Transmission Limited Company] は両社が共同開発した新世代小型無段変速機 (CVT) を発表。この製品は耐久性の高い新世代材料を採用し、CVTベルトの動力伝達効率を大幅に高めている。すでにサンプル機がテストに合格しており、数年以内に量産が始まると見込まれている。(2014年4月2日付け各種リリースより)

-Bosch EngineeringとnanoFLOWCELLは提携契約を締結し、nanoFLOWCELLドライブを装備した4人乗りのプロトタイプEVスポーツセダン「QUANT e-Sportlimousine」のシステム開発を行うと発表。Bosch Engineeringは、パワートレインシステムの設計を行うほか、システム統合、エネルギー管理、高電圧・低電圧部品用制御システムの開発に注力する。さらに、エネルギー管理に向けた車両制御ユニット、ABS、インストルメントクラスター、電気系統の制御を行うボディ系のECUなどの開発にも携わるという。(2014年2月21日付プレスリリースより)

製品開発

ディスプレイベースのインストクラスター
-機械で動作する部品が全くないディスプレイベースのインストクラスターを開発。ハイコントラストな8.8インチTFTディスプレイを採用したこのインストクラスターはBMW 「i8」に採用された。利点の一つとしてディスプレイの多彩な表示機能が挙げられる。ディスプレイの左側にはスピードメーター、右側にはBMW 「i8」の選択した走行モードに応じたメーター (パワーメーター、採用している駆動モード、タコメーター等) が表示される。

24Vスターターモーター
-24Vシステム用のスターターモーターの新製品「HEF109-L」を発表。商用車およびオフハイウェイ車など大型車向け。ベースとなる中型タイプのスターターモーターに比べて出力を18%向上し、最大出力9.2kWを実現。これは排気量28Lのエンジンを安定して始動させることができる出力となる。路上では最大80万kmの走行、オフハイウェイ用途では14,000時間の稼働が可能になるという。(2014年8月21日付プレスリリースより)

機械式真空ポンプ
-ガソリンおよびディーゼルエンジン向けの新型機械式真空ポンプ「EVOII」を開発。同等クラスの電動ポンプに比べて最大75%のコスト削減を実現。CO2排出量は1kmあたり0.4g低減しながら、電動ポンプと同様に機能するという。この次世代製品は、他の機械式真空ポンプに比べて300g、電動ポンプに比べて1キロ超の軽量化を実現した。この違いは熱可塑性樹脂ローターによるもので、安定したブレードで必要な真空状態を作り出し、ユニット全体は非常に軽量になるという。顧客の要望に応じて、クランクシャフトまたはカムシャフト、ギアまたはチェーンで駆動することができる。さらに、オイルポンプや燃料ポンプとの組み合わせも可能になるという。(2014年7月8日付プレスリリースより)

コンバイナーヘッドアップディスプレイ
-コンバイナーヘッドアップディスプレイ (HUD) を開発。新型「MINI Hatch」をはじめ、BMW Groupのさまざまなモデルに採用されている。インストパネルと一体化されたこのシステムは、作り出した映像を外の景色と重ねて、車両の約2m前方に映し出す。情報は、フロントガラス上ではなく、フロントガラスの手前に設置されたプラスチック製の小型スクリーンに映し出される。このシステムは、大がかりな技術的改良なしにさまざまな車種に搭載することができるという。(2014年6月10日付プレスリリースより)

ナビゲーション機能付マルチメディアシステム「NissanConnect」
-日産との提携を継続するなかで、新たに日産のモデル向けにナビゲーション機能付マルチメディアシステム「NissanConnect」を開発。7インチ型カラータッチスクリーンのほかに、エンターテインメント機能など多数の便利な機能が1つの機器に搭載されている。これらの機能には、GoogleのLocal SearchやSend-to-Car、Bluetoothハンズフリーシステム、オーディオストリーミングや、デジタルラジオをベースとした高音質の音楽再生、BluetoothやUSBによる最新のスマートフォンとの統合などが含まれる。(2014年4月22日付プレスリリースより)

慣性センサー
-慣性センサーの次世代製品を発表。このセンサーのプラットフォーム「SMI7xy」は、特にアクティブおよびパッシブセーフティシステムや運転支援システム向けに開発されたもの。高い堅牢性を有するほか、7×7×1.5mmの小型BGAハウジングに収納できるほどの小型化も実現した。なお、このプラットフォームを使用したセンサーは、2種類・4タイプから成る。「SMI720」および「SMI740」センサーはベーシックな製品向け。「SMI700」および「SMI710」センサーはより複雑な製品に適している。Boschはすでにこの「SMI7xy」のサンプルを販売しているという。(2014年3月10日付プレスリリースより)

加速度センサー
-エアバッグシステムの開発をより容易にする加速度センサーの最新世代製品を発表。エアバッグ制御ユニット向けのタイプと車両のフロント・サイド・リア向けのタイプがあり、センサープラットフォーム「SMA6xy」を使用している。製品の種類に関わらず、共通のハウジング設計のセンサーにすることで、販売認可の取得プロセスを簡素化することが可能になる。この「SMA6xy」シリーズは全て、エアバッグシステムに使用するBosch製のASICに対応しているという。(2014年3月10日付プレスリリースより)

コースティングモード付きアイドリングストップシステム
-ゼロエミッション、ノイズフリー、ローレジスタンスを実現する、コースティングモード付きの新しいアイドリングストップシステムを発表。この技術は車両走行中でもエンジンを切ることが可能で、燃費の10%低減、およびCO2排出量の低減に寄与するとしている。同システムはあらゆる種類の内燃機関エンジンに適用可能という。(2014年1月20日付けプレスリリースより)

後方衝突防止システムコンセプト
-子会社のBosch Australiaは運転支援システムに既に採用されているセンサーを用いた後方衝突防止システムコンセプトを開発。このシステムはバック走行中に、車両後部に配置された中距離レーダーセンサーが何かに衝突すると判断した場合、自動的にブレーキを作動させるシステム。ギアをバックに入れるとシステムがモニタリングを開始し、時速15キロ未満で走行という条件下でこのシステムはブレーキに介入できるという。作動範囲は約10メートル。

特許

-2014年、4,593件の特許を申請。


設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
グループ全体 2,585 2,539 2,714
-モビリティ・ソリューションズ 2,200 2,200 N.A.

海外投資

アジア
<中国>
-Mahleとの合弁会社Bosch Mahle Turbo Systems (BMTS) は、2014年11月25日、同社初の中国工場「博世馬勒渦輪増圧系統 (上海) 有限公司 [Bosch Mahle Turbo Systems (Shanghai) Co., Ltd.]」の運用を開始。この工場はMahle上海拠点内に建設されたもので、敷地面積は約5,000平方メートル。Bosch Mahle Turbo Systemsのオーストリアおよびドイツ拠点から約100名が異動する。年間生産能力はターボチャージャー2百万台。主に中国市場向けガソリンエンジン用ターボチャージャーを生産する。(2014年11月26日付け各種リリースより)

-子会社「聯合汽車電子有限公司 [United Automotive Electronic Systems Co., Ltd]」は無錫工場の高圧オイルポンプ生産ラインの設備据え付けが完了したと発表。無錫工場では生産サイクルタイムを18秒から10秒に短縮すべく、2013年初めから生産ラインの更新を進めてきた。2014年3月より量産を開始する予定。生産量は80%増加し、年産180万台に達する見込み。(2014年3月3日付け各種リリースより)

<タイ>
-タイでABSや横滑り防止装置 (ESC) の生産を開始。現地に生産拠点を展開する日系自動車メーカーに納入する。2013年末に稼働したタイ第2工場で生産を始めた。操縦安定性に寄与する新システムへの需要が高まってきたことを受け、新工場を建設して生産品目を追加した。(2014年4月5日付日刊自動車新聞より)

<インド>
-インドでのさらなる事業拡大に向けて2014年に約160百万ユーロを同国に投じる計画を、Bangaloreに新設した研究技術センター (Research and Technology Center:RTC) の開所式で発表。既存の生産拠点および研究開発施設の拡張に充当する予定。新センターでは、「モノとサービスのインターネット (internet of things and services:IoTS)」に向けた接続技術の開発に注力する。さらに、ソフトウェア集約型システムの効率的な設計や画像処理に関する技術も含まれる。同社は2015年にも車、スマートフォン、コンテナ、機械など60億を超える「モノ」がインターネットに接続され、IoTSを実現するとしている。(2014年2月3日付プレスリリースより)

欧州
<トルコ>
-同社はトルコでの事業を拡大している。2013年から2015年の間に約3億ユーロを投じて、Bursa拠点を拡大する予定。また、2014年末までに従業員約500名を増員する。新たに建設する工場の面積は6,000平方メートルで、欧州自動車メーカー向けにディーゼル車用の高圧インジェクター「CRI2-20」を生産する。同拠点で生産しているインジェクターは、すでに欧州で生産されるディーゼル車の1/4に搭載されているという。さらに、同拠点ではガソリン噴射システムおよび部品の生産も行っている。(2014年6月23日付プレスリリースより)

<ルーマニア>
-同社にとってルーマニアで2番目となる自動車部品生産工場を開設。Clujに位置する新拠点では、欧州の自動車市場向けに電子部品やECUを生産する。これらの部品は、運転支援・安全システムやエネルギーマネジメントシステムなどに使用される。新拠点への投資額は70百万ユーロ超。総面積は約38,000平方メートルで、2014年内に従業員750名を雇用する計画。(2014年5月9日付プレスリリースより)

<ロシア>
-ロシアSamaraにおいて新工場の定礎式を行った。2015年から稼働を開始する予定。敷地面積は約20万平方メートル。建物面積は約22,000平方メートルで、生産・管理・物流などの部門が入居する。2016年末までに、同社はSamara拠点に約50百万ユーロを投じる計画。完成時には、従業員約500名を雇用する予定。主に地元の顧客向けに、ABS、スターター、ジェネレーター、商用車用コモンレールインジェクター、フロントガラスワイパーシステムなどを納入する。(2014年2月27日付プレスリリースより)

国内投資

-同社子会社のBosch Emission Systems (BESG) は、ドイツのザールラント州にあるNeunkirchen拠点に新たに生産施設を建設。トラックや掘削機、その他の移動機械向けの排ガス処理システムの需要増加に対応するため。既存の3,500平方メートルの生産エリアは以前からフル稼働状態に達していた。今回、拡張した約15,000平方メートルのエリアは、すでに生産準備が整っているという。Boschはまた、BESGの北米拠点でもSUVなど大型乗用車向けに排ガスシステムの納入を開始している。これには、北米におけるディーゼル市場の拡大が起因しており、Chryslerの「Jeep Cherokee」や「Dodge Ram 1500」向けのプロジェクトが中心となっている。(2014年8月6日付プレスリリースより)