Anand Automotive Limited 2020年3月期の動向
財務ハイライト (2020年3月期)
Gabriel India Limited
-同社の2020年3月期売上高は、前年の20,523.7百万ルピーに対して9.7%減の18,543.1百万ルピー。EBITDAは前年比22.5%減。税引き後利益は847百万ルピー (前年は950百万ルピー) 。同社製品販売は、自動車市場の低迷、BS-VI規制への対応、および3月下旬には新型コロナウイルス感染症拡大によるマイナス影響を被った。
合弁事業・提携
-2020年2月、同社グループとベルギーのMAZAROは、排ガス削減に適した革新的なソリューションを提供する目的で技術提携を締結したと発表。この技術は、ICEやEVのエネルギー消費量を最大18%削減する可能性を有する。同社グループは、2025年までに約35億ルピーの潜在的な収益を見込む。
-2020年2月、同社グループは、FAR-UKと炭素繊維複合材料で協業することを発表。同製品は、アルミの重量で高強度合金鋼と同等の強度を持ち、自動車を50%近く軽量化できる可能性を秘める。2025年までに約60億ルピーの潜在的な収益を見込んでいるという。
-2019年12月、同社グループは、ドイツを拠点とするHenkelとインドのRLE Internationalとの戦略的な「モビリティアライアンス」をHenkel Anandが牽引すると発表。両者は事業目標の達成に向けた明確なシナジー効果を持ち、高度な材料科学とエンジニアリングの専門知識を独自に組み合わせることで提携を活用する。本提携により、次世代の設計ソリューションと新レベルの軽量構造の開発を目指す。
-2019年10月、提携先であったFederal-MogulがTennecoに買収されたことを受け、同社との合弁事業を終了。
事業提携
-同社は以下企業と合弁事業契約を締結している。
提携先 | 提携関係 | 本社 |
CY Myutec | 合弁 | 韓国 |
Dana Incorporated | 合弁 | 米国 |
Faurecia | 合弁 | フランス |
Haldex | 合弁 | スウェーデン |
Henkel | 合弁 | ドイツ |
Ningbo Joyson | 合弁 | 中国 |
MAHLE | 合弁 | ドイツ |
Mando | 合弁 | 韓国 |
Valeo | 合弁 | フランス |
MAZARO | 技術提携 | ベルギー |
FAR-UK | 技術提携 | 英国 |
Bluetech Holdings | 技術提携 | 香港 |
KONI BV | 技術提携 | オランダ |
KYB | 技術提携 | 日本 |
LIQUI MOLY GmbH | 技術提携 | ドイツ |
Seiken Chemical Industry Company | 技術提携 | 日本 |
Sunrise MSI Corporation | 技術提携 | 日本 |
Yamaha Motor Hydraulic Systems | 技術提携 | 日本 |
受注
Gabriel India Limited
-2020年3月期、同社はグジャラート州Sanandに工場を建設し、ホンダスクーターのフロントフォークの製造を開始。また、Maruti Suzuki S-Pressoの発売に向けてサポートを提供。商用車事業では、オランダ DAFより部品供給に係る予備的合意書を受領した。また、技術提携先であるKONIからの援助のもと、Ashok LeylandのMBPプラットフォーム向けに高減衰力技術製品を開発。
受賞 (2020年3月期)
社名 | 仕向先 | 受賞名 |
Gabriel India | Maruti Suzuki | Best Support |
Gabriel India | Suzuki Motorcycles | Best in Cost Reduction Activities |
Gabriel India | Honda Motorcycle and Scooter, India | Delivery Management Award |
Gabriel India | Toyota | Gold award for QCC |
Spicer India | Ashok Leyland | Customer design requirements |
Mando Automotive India | Mahindra | Mahindra Supplier Excellence Awards |
Mando Automotive India | Hyundai | Best Vendor in Localisation |
Mando Automotive India | Tata Motors | Supplier award |
MAHLE ANAND Thermal Systems | Honda | Certificate of Appreciation |
Henkel ANAND | Toyota Kirloskar | Built-in Quality |
Faurecia Clean Mobility | Hyundai | Best Performer |
Faurecia Clean Mobility | Toyota Kirloskar | Zero PPM Award |
ANAND I-Power | Eicher Engines | Best Supplier Award |
見通し
Gabriel India Limited
-同社によると、2021年3月期の見通しは不透明であり、新型コロナウイルスの感染拡大をどれだけ制御できるかにかかっている。その一方で、同社は2025年までに「ショックアブソーバーの分野で世界5位以内に入る」とのビジョンに向けて引き続き取り組みを進める。品質面および技術面のアップグレード、ライン稼働効率および人的生産性の向上に努めるとともに、コストの最適化や品質強化を続けることでグローバル車種への参入における地位を固め、2020~21年度にSOPを計画している車種へ迅速に部品供給できることを目指す。
Anand Group
-同社は2022年までに売上高25億ドルを達成することを戦略的目標とする。
技術提携
-2020年3月期、同社グループはベルギーのMAZAROとの技術提携を発表し、排ガス削減に適した革新的なソリューションを提供する。グループのその他の技術提携は以下のとおり:
社名 | 提携先 |
ANSYSCO ANAND | LIQUI-MOLY |
制研化学工業 | |
BLUETECH HOLDINGS LTD | |
Gabriel India Limited | KYB |
ヤマハモーターハイドロリックシステム | |
KYBSE, SPAIN | |
KONI BV | |
Henkel Teroson India Limited | サンライズ |
研究開発費 (単位: 百万ルピー)
Gabriel India Limited
2020年3月期 | 2019年3月期 | 2018年3月期 | |||
総額 | 全社売上高に占める割合 (%) | 総額 | 全社売上高に占める割合 (%) | 総額 | 全社売上高に占める割合 (%) |
196.8 | 1.06 | 223.8 | 1.09 | 195.9 | 1.1 |
研究開発体制
Gabriel India Limited
-2021年3月期において、乗用車、商用車、鉄道向けの近代的な研究開発施設をPuneのChakanで建設予定であると発表した。乗用車、商用車、高速鉄道車両の新技術を開発し、近代化プログラムをサポートする狙い。新施設では、顧客ごとの現在および将来のニーズに対応した新製品開発、現地生産の原材料を使用した自社設計・開発製品、天然資源の消費量を削減するための設計最適化、環境に優しいグリーン技術の使用などを支援する。
研究開発活動
Gabriel India Limited
-2020年3月期における同社の主な研究開発分野は以下のとおり:
- 高度サスペンション技術の活用によるユーザーエクスペリエンスの向上
- 製品軽量化とグリーン技術活用によるCO2排出量削減
- 道路荷重データの取得を通じたストラットとダンパーの品質向上および最適化
- 応力解析を目的とした構造部品の仮想解析 (FEA) および高耐久性製品の開発
- 既存部品の再利用率を高め、生産性を向上させる製品ライフサイクル管理 (PLM) の導入
- 発売前の車両の乗り心地や操縦性能を改善するために、OEMとの共同ライドチューニングを実施
国内投資
SPICER India
-2020年2月、Chakan工場でのEV部品製造ラインの新設式典を行った。
CY Myutec ANAND
-2019年9月、Chennai工場において建屋新設の式典を行った。
Gabriel
-2020年3月期、2輪・3輪事業ユニットがSanandに製造拠点を新設。ホンダ二輪、およびScooter Indiaの事業サポートが目的。
MAHLE ANAND Thermal Systems
-2019年11月、MAHLE ANAND Thermal Systems (MATS) はPuneに新工場を開設。同工場は120名の従業員を擁する予定。新工場(第二工場)は、Lean production (リーン生産)、Industry 4.0 (インダストリー4.0)、Fit for Safety and Transformation (フィット・フォー・セーフティ・アンド・トランスフォーメーション)の頭文字から名付けられた「LIFT」プロジェクトの一環として建設された。第二工場は、HVAC生産ラインに特化したもので、MATSの総収益の約25%に貢献し、Volkswagen、Mahindra、Tata、VE Commercial Vehiclesの4つの主要顧客に製品を供給する予定。
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)による影響
-19-20年度第4四半期に中国で新型コロナウイルス感染症の流行が始まり、2020年3月中旬までには世界各地へ拡大したことから、現地規制への対応や従業員の健康確保を目的に、世界各地の工場で生産活動が中断された。中国では、19-20年度第4四半期の初めに生産量が減少したが、中国でのウイルスの拡散が収まったため、2020年3月には生産量が正常化した。その他の地域では、3月まで生産量が減少し、その結果、2020年3月期第4四半期の業績に悪影響が及んだ。欧州と米州の多くの工場は2020年4月末~5月初旬に生産を再開しており、顧客のスケジュールに合わせて徐々に正常化していくと予想される。