Ford(下):欧州は商用車強化と電動化促進、中国はLincoln車とSUV拡販

2022年はEV投入と半導体の供給改善により台数増と利益改善を見込む

2022/04/25

要約

2024年までに欧州市場でFordが投入するEVモデル
2024年までに欧州市場でFordが投入するEVモデル(Mustang Mach-EとE-Transitは発売済み)(出典:Ford)

  Fordは欧州市場で、商用車事業を強化するとともに、新たな電動化計画を発表してEVの投入を加速している。2030年までに乗用車すべてをEVに、商用車の3分の2をEVもしくはPHEVにすることを目指す。2024年までに新型EVの乗用車3車種と商用車4車種を発売する計画で、うち乗用車2車種は、VWのプラットフォームを使用する。また、韓国の電池メーカーSK InnovationとEV用バッテリーを生産する合弁会社をトルコに設立する。

  中国ではLincolnブランド車とSUVモデルの販売が好調。2021年には中国のLincolnブランド販売台数が初めて米国の販売台数を上回った。新型車投入計画では、Fordブランドでは2022年にコンパクトSUVのEquator Sportやピックアップトラックのオフロード仕様F-150 Raptor等を投入する。Lincolnブランドでは、同年3月に中国専用ミッドサイズセダン Zを投入した。

  南米では生産体制の再編を行っており、ブラジルで2工場を閉鎖し、エンジン生産も終了した。またインドでは、2工場で現行モデルの生産を終了し、1工場ではエンジン生産も終了する。2工場のうち1工場については、輸出向けEVの生産工場として活用することを検討している。

  Fordが2022年2月に発表した2021年通期の決算によると、売上高が前年比7.2%増の1,363億ドル、調整後EBIT(金利税引前利益)は前年の約4倍となる100億ドル、純利益は179億ドルとなった。北米部門と金融部門が利益を支え、Fordが出資するEVメーカーRivianの保有株の評価益が好決算に貢献した。Fordは、2022年について、半導体の供給改善により卸売台数が10-15%改善し、調整後EBITは前年比15-25%増の115-125億ドルとなると見込んでいる。


  既掲載のFord(上)では、同社の事業戦略、米国での販売状況、電動化計画について報告したが、本編はその後編として、Fordの欧州、中国、南米、インド市場の状況、並びに2021年の業績を報告すると共にLMC Automotiveによるグローバル販売予測を掲載する。

 

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