欧州Tier1の中国事業動向

Bosch、Continental、ZF、Faurecia、Schaeffler

2022/04/22

要約
Bosch：自動運転、水素エネルギー分野で現地企業と提携及び研究開発を推進
Continental：地平線と自動運転の合弁会社を設立、中国における電動化製品の生産能力を向上
ZF：商用車分野の知能化を加速、電動パワートレインシステムなどの製品を現地生産へ
Faurecia：上汽商用車の水素タンクを受注、水素エネルギー領域を拡大へ
Schaeffler：パワー半導体企業に投資、燃料電池の発展を推進

要約

中国大手自動車メーカーよりHPCユニットに関して初受注
（出典：Continental Group 公式サイト）

　新型コロナウイルスの流行は2021年も引き続き世界的に厳しい情勢を与えた。さらに国内外で半導体不足が続く中、中国市場の自動車、産業技術、消費財分野は急速に回復し、2021年中国自動車市場は明るい傾向を示した。中国自動車工業協会(CAAM)の発表によると、2021年の中国の新車販売台数は前年比3.8％増の2,627.5万台、乗用車の販売台数は前年比6.5％増の2,148.2万台、商用車(バスを除く)の販売台数は前年比6.6％減の479.3万台となった。うちNEVの販売台数は前年比157.5%増の352.1万台。なお、2022年の販売台数は2,750万台と予測する。

　疫病や半導体供給不足による課題はあるものの、欧州Tier1は引き続き中国市場を積極的に開拓している。Boschは自動運転分野でAIチップを開発する黒芝麻智能(Black Sesame)や、広汽とNIOの合弁企業の合創汽車と提携。電動化については中国一汽、慶鈴汽車などと水素エネルギー関連製品を共同開発している。ContinentalはAIチップの地平線と合弁会社を設立し、先進運転支援システム(ADAS)及び自動運転向けのソフトウェアとハードウェアのトータルソリューションの開発に力を入れるとともに、重慶にソフトウェア開発センターを設立。革新的な運転支援システムの開発を後押ししている。ZFは、AI企業の天瞳威視(CalmCar)と戦略的提携契約を締結し、コストパフォーマンスが高い自動駐車支援(APA)及び自動バレーパーキング(AVP)システムを共同開発する。また、傘下の商用車制御システム事業部門と自動運転の革新的企業である小馬智行(Pony.ai)が提携に関する覚書の締結を発表した。Faureciaは中国大手の水素タンクメーカー瀋陽斯林達安科新技術有限公司(Shenyang Gas Cylinder Safety Technology Co., Ltd)の買収手続きを完了した。Schaefflerはパワー半導体企業の臻駆科技(Leadrive Technology)と電気駆動システム分野で提携を締結した。

　本レポートでは欧米Tier1のBosch、Continental、ZF、Faurecia、Schaefflerの中国市場における自動運転、電動化、インテリジェント化などに関する主な動向を総括する。(対象期間：2021年1月から2022年3月)