ASEAN:2018年新車販売は過去最高、景気後退による内需・輸出不振が懸念

タイで電動車生産が加速、マレーシア・ベトナムで新工場設立の動き

2019/02/28

要約

Proton X70
Protonと吉利汽車が共同開発したX70
(写真:Proton)

  ASEAN市場主要6カ国の2018年の新車販売は前年比5.5%増の約345万台。3年連続で前年を上回り、これまでの過去最高だった2013年の実績を超えた。インドネシアとタイでは景気回復により販売が拡大。マレーシアは政権交代による3カ月の税金の空白期間に販売が増加したが、その後、反動減が続き、販売台数は微増。ベトナムは非関税障壁となる政令の影響で完成車輸入が減少したが、内需が伸びて販売は拡大した。一方、フィリピンは2018年1月の税制変更を前に需要先食いが生じ、その反動減が2018年下期まで続いて国内販売が縮小。シンガポールも販売が減少した。2019年の新車販売は、昨年来の金利上昇の影響と、米中貿易摩擦や中国の景気減速による対中輸出の減少で、域内経済の減速が予想されることから、インドネシア、タイ、マレーシアの業界団体は前年比横ばいと見ている。

  ASEAN主要4カ国の2018年の生産台数は前年比8.5%増の416万台で、過去最高の2013年に次ぐ水準。タイは内需が増加して生産台数は5年ぶりに200万台超に回復。インドネシアは輸出向けが拡大し、初めて130万台を超えた。マレーシアも前年比13.1%増の56万台に拡大。4カ国の中で唯一フィリピンは、国内販売の落ち込みにより生産が前年を下回った。2019年のASEANの生産台数について、LMC Automotiveは2018年を若干下回る水準と予測している。

  最近はASEAN諸国でもEVシフトの機運が高まり、電動車の普及を進める施策が策定されている。タイ政府は2018年12月末までに電動車生産投資奨励策への参加申請を受け付け、既にトヨタ、日産、ホンダ、マツダにはHV生産、Mercedes-Benz、BMW、SAIC Motor-CPにはPHV生産、FOMMにはEV生産投資プロジェクトを認可した。電動車向けバッテリー生産や充電ステーションの設置プロジェクト等も認可している。

  ASEAN市場ではライドシェアリングなどモビリティサービスが拡大している。配車サービス大手のGrabは2018年4月にUberの東南アジア事業を統合。2018年にはトヨタが10億ドル、現代自グループが計2億7,500万ドルを出資した。同じく配車サービス大手のGO-JEKはGoogle、Temasek、Tencent等から出資を受け、本拠のインドネシアからベトナムやシンガポールへ進出している。

 

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ASEAN:主要6カ国の2018年販売は345万台、2019年は横ばいの見込み

ASEANの新車販売台数

  ASEAN市場主要6カ国の2018年の新車販売は前年比5.5%増の約345万台。内訳は、インドネシア105万台、タイ104 万台、マレーシア60万台、フィリピン39万台、ベトナム28万台、シンガポール9万台。

  ASEAN市場の販売台数は、各国の景気、自動車政策、販売促進策等に大きく影響される。タイでは2011-2012年に政府が導入した新車購入奨励策により、130万台前後と販売が拡大。その後、反動で80 万台前後と大きく縮小する時期が続き、2018年にようやく100万台超に回復した。インドネシアでは2013年にLCGC(Low Cost Green Car)政策が導入され、販売台数が120万台水準に拡大したが、その後は景気低迷の影響で100万台前後で推移している。

  マレーシアでは2018年5月に政権に復帰したマハティール首相が6月に物品・サービス税を撤廃し、9月に売上・サービス税を導入するまでの3カ月間に販売が拡大し、その後は反動減が続いている。フィリピンでは2018年1月の税制変更で価格が上昇する前に駆け込み需要が生じ、2018年はその反動減が続いた。ベトナムでは、2018年1月に政府が導入した政令116号による非関税障壁の影響で2018年の輸入車販売は大きく減少したが、需要は堅調で総販売台数は拡大した。

 

ASEANの新車販売台数

(台)

  2013 2014 2015 2016 2017 2018
タイ 1,264,273 843,453 770,833 725,250 871,647 1,039,158
インドネシア 1,196,375 1,191,842 954,318 1,007,751 1,002,939 1,051,276
マレーシア 655,793 666,465 665,295 581,953 576,635 598,714
フィリピン 181,283 234,747 311,393 361,298 456,478 391,431
ベトナム 96,692 133,588 208,568 271,833 250,619 276,817
シンガポール 30,600 43,224 74,544 106,642 113,357 93,836
合計 3,425,016 3,113,319 2,984,951 3,054,727 3,271,675 3,451,232

資料:MarkLines年次販売台数データ

 

ASEAN6カ国の新車販売動向

2018年
(前年比)
2019年見通し
(前年比)
国内販売の動向・見通し
インドネシア 1,051,276
(+4.8%)
1,100,000
(+4.6%)
(GAIKINDO)
・ASEANの最大市場であるインドネシアは、2018年も好調が続き、販売が拡大。政府は2018年4月に軽油補助金を復活。9月に完成車輸入を規制する方針を表明。
・インドネシア自動車製造業者協会(GAIKINDO)の予測では、2019年も堅調な景気に支えられ、引き続き国内販売は好調の見込み。懸念材料は米国の利上げに伴い2018年秋から続くルピア安と、2019年4月に実施予定の大統領選挙に際して様子見が起こることである。
タイ 1,039,158
(+19.2%)
1,050,000
(+2.4%)
(FTI)
・2018年は好況に支えられ、国内販売は好調に推移。2014年以降では最高水準となり、100万台を超えた。
・タイ工業連盟(FTI)の予測では、2019年は3.5-3.8%の経済成長を背景に、国内販売は前年比2.4%増の見込み。ただし、2019年3月に実施予定の国政選挙により政情不安が再燃すると、消費者心理に影響を与える可能性がある。
マレーシア 598,714
(+3.8%)
609,700
(+1.4%)
(フロスト&
サリバン)
・2018年5月にマハティール首相が政権に復活。6月に物品・サービス税(GST)を実質撤廃し、9月に売上・サービス税(SST)を導入するまでの税金の空白期間に自動車市場は膨らんだが、9月以降は反動減が生じている。2018年の販売は前年比3.8%増。
・調査会社フロスト&サリバンの予測では、2019年は経済成長、民間部門の投資拡大、新型車の導入等により、前年比1.4%増の見込み。懸念材料は主要貿易相手国である中国の景気減速、米中貿易戦争、量販セグメントの新車不足など。
フィリピン 391,431
(-14.2%)
約431,000
(+10%)
(CAMPIおよび
TMA)
・2018年の国内販売は、税制改正による価格上昇とインフレによる自動車購入先送り等により、前年比14.2%減。2018年1月の税制変更を前に2017年下期に需要先食いが生じ、その反動減が2018年下期まで継続。税制変更後はエントリーモデルの増税が響き、販売が減少。
・フィリピン自動車工業会(CAMPI)とトラック製造者協会(TMA)の予測によると、2019年は需要先食いの影響が解消され、経済成長により国内販売は前年比10%増の見込み。不安材料は2018年半ばまでにインフレが進み、2018年5-11月に政策金利が引き上げられ、景気減速の可能性があることである。
ベトナム 276,817
(+10.5%)
- ・2018年1月1日よりASEANからの完成車に対する輸入関税が30%から0%に引き下げられたが、ベトナム政府は輸出国政府が発行する車両登録証明書や原産国メーカーが発行する車両ごとの品質管理証明書等を求める政令116号を施行。非関税障壁となる同政令の要件により、完成車輸入は2018年上期は停滞したが、下期にかけて回復し、通年では6.2%減となった。2018年の総販売台数は前年比10.5%増。
・2019年は、政令116号の輸入車規制の影響は限定的となり、経済も堅調と見込まれるため、販売は拡大する見込み。
シンガポール 93,836
(-17.2%)
- ・新車販売は2013年から拡大を続けていたが、2018年は前年比17.2%減となった。シンガポールの経済は世界経済の動向の影響を受けやすく、今後も米中間の貿易摩擦が懸念材料となる。


ASEAN:タイ、インドネシア、マレーシアは生産拡大、フィリピンは内需減により生産縮小

ASEANの自動車生産台数

  ASEAN地域の2018年の自動車生産台数は、主要4カ国で前年比8.5%増の416万台。内訳はタイ217万台、インドネシア134万台、マレーシア56万台、フィリピン8万台。

  タイとインドネシアはエコカー政策やLCGC政策を通じてコンパクトカーの現地生産を奨励し、国内販売と輸出の増加を図って生産台数を拡大してきた。また、タイは小型車だけでなく、ピックアップトラックのグローバル生産拠点としても存在感を強め、インドネシアはMPVの生産拠点として発展している。

  タイの2018年生産台数は9.0%増の217万台、輸出台数は0.1%増の114万台。輸出はベトナムの非関税障壁や米中貿易摩擦の影響で前年と同水準にとどまったが、景気回復により内需が拡大し、国内販売が100万台を超え、生産が200万台の大台を回復した。タイ工業連盟(FTI)の予測では、2019年の国内生産台数は前年比0.8%減の215万台の見通し。国内販売向けは経済成長を背景に1.0%増の105万台、輸出向けは米中貿易摩擦の影響で3.6%減の110万台と予測している。各社の生産動向では、スバルとTan Chongの合弁工場が2019年3月に稼働を開始するほか、Tataは2018-19年度内にタイでの生産を終了し、CBU販売に切り替える。

  インドネシアの2018年生産台数は10.4%増の134万台で、4年ぶりに過去最高を更新。輸出は14.4%増の26万台となった。三菱自動車は販売が好調な小型クロスオーバーMPVのXpanderの増産のため、工場の生産能力を増強。現代自動車も工場建設を計画している。

  マレーシアは、2018年に前年比13.1%増の56万台を生産。2019年は国内販売の回復により、生産も拡大する見込み。中国・吉利汽車の親会社である浙江吉利控股集団の出資を受けるProtonは、2018年12月に発売した新型SUV X70の生産を中国からマレーシアに移管するために工場を拡張する。マレーシア政府は第3の国民車プロジェクトを発表し、2020年に最初のモデルを発売する計画。トヨタは同国で2つ目の工場の稼働を開始し、BMWはエンジン工場を開設した。

  フィリピンは4カ国の中で唯一、2018年の生産が前年より減少し、34.9%減の約8万台となった。税制改正とインフレにより、国内販売が落ち込んだことが要因とみられる。2019年は、増税前に生じた需要先食いの影響も解消し、内需が回復して生産は拡大する見込み。

  ベトナムとミャンマーは輸入車規制を強化し、外資系メーカーに現地生産への転換を迫っている。ベトナムの市場規模は28万台、ミャンマーの市場規模は2万台だが、いずれも数千万人の人口を抱え、経済成長を続けており、自動車市場として有望である。ベトナムは、初の自国ブランドVinFastが事業計画を発表、新工場も建設した。マツダ、トヨタ、現代自、三菱自もベトナムで工場を開設する。ミャンマーでは、現代自が工場を新設するほか、日産が既存工場の年産能力を10倍の1万台に引き上げる。

 

ASEANの自動車生産台数

(台)

2013 2014 2015 2016 2017 2018
タイ 2,457,057 1,880,007 1,913,002 1,944,417 1,988,823 2,167,694
インドネシア 1,116,961 1,289,865 1,092,596 1,103,439 1,216,615 1,343,714
マレーシア 601,407 596,418 614,664 545,253 499,639 564,971
フィリピン 52,260 96,711 101,533 96,835 126,566 82,353
合計 4,227,685 3,863,001 3,721,795 3,689,944 3,831,643 4,158,732

資料:MarkLines年次生産台数データ

 

タイ・インドネシアの輸出台数

2016年 2017年 2018年
輸出台数 前年比 輸出台数 前年比 輸出台数 前年比
タイ 1,188,515 -1.4% 1,139,696 -4.1% 1,140,640 +0.1%
インドネシア 194,397 -6.4% 231,169 +18.9% 264,553 +14.4%

資料:FTI・GAIKINDO輸出データ

 

タイの生産関連の動き

スバルとTan Chong、合弁生産開始   スバルとTC Manufacturing and Assembly (Thailand) の合弁会社、Tan Chong Subaru Automotive (Thailand)は、2019年3月にLat Krabang工場の稼働を開始する計画。最初の生産モデルはSUVのForester。10万台の年産能力を整備する計画だが、初期段階では年産1万5,000台とし、需要に応じて生産能力を拡大する。Tan Chongは、2019年にはスバル車の販売は前年の倍の5,000台となると見込んでいる。
Tata、タイでの生産終了   Tataは2018年7月、タイでの車両生産を終了すると発表した。現在、Bangchan General Assembly にピックアップトラックの生産を委託しているが、タイ事業は持続性がないとして、2019年3月までに終了する。今後は完成車(CBU)輸出に切り替え、商品ラインアップを充実させる。タイにおけるTataの2017年の販売台数は986台と低迷していた。

 

インドネシアの生産拡大の動き

三菱自、Bekasi工場の能力増強   三菱自動車は約40億円を投資して、Bekasi工場の年産能力を2020年度までに16万台から22万台に増強する計画(2018年10月発表)。販売が好調な小型クロスオーバーMPVのXpanderの生産台数を、11.5万台から2019年度に15万台、2020年度までに16万台に拡大する。このうち輸出向けを3万台から5万台に拡大する。日産向けにOEM供給も行う。Xpanderのエンジン生産も現地の日産工場で行い、現地生産化する。
現代自、新工場建設を計画   現代自はインドネシアでの新工場建設計画で政府と協議したと報じられた(2019年1月)。10億ドルを投資して、年産能力25万台の工場を西ジャワ州Bekasiに建設する計画。電動化車両も生産する。生産の半分をASEAN地域および豪州に輸出する。計画が実現すれば、現代自にとってASEAN地域における初の本格的な自社生産拠点となる。
マレーシアとASEANカー生産へ   2018年8月、インドネシアとマレーシア政府の代表者は、ASEAN域内調達率100%の車両(ASEANカー)を生産する合弁会社を設立するMOUを締結した。マレーシア自動車研究所とインドネシア自動車研究所が合弁会社を運営することもMOUに含まれる。両国は世界最大のパーム油産出国であることから、バイオディーゼルを燃料とする車両の生産も検討する。

 

マレーシアの生産拡大の動き

Proton、X70を現地生産へ   国民車メーカーのProtonは経営不振に陥り、2017年9月に中国大手の吉利汽車の親会社から49.9%の救済出資を受け入れた。2018年12月、吉利が開発したSUV「X70」を発売。ホンダCR-VやマツダCX-5と競合するが、価格は約3万リンギット安い。当面は吉利が中国でOEM生産するが、2019年後半を目途にマレーシアに生産移管する。Tanjung Malim工場に14億リンギットを投資して拡張工事を行い、年産能力を15万台から25万台に拡大後、X70のCKD生産を開始する。(2019年2月半ば現在1リンギット=27.19円)
第3の国民車プロジェクト   2018年10月、マレーシア政府は新国民車プロジェクトについて、最初のモデルを2020年までに発売、プロトタイプを2019年に公開する計画と報じられた。セミ自動運転機能搭載車で、海外販売を計画しており、若者をターゲットとする。プロジェクトは複数の政府機関のサポートを受けながら、民間部門が全額出資する。ASEAN各国からの部品調達を計画している。
Tan Chong、新工場建設   2018年5月、Tan Chong Motorはペラ州Began Datukに新工場を設立すると発表。総投資額は5億リンギット。4,000人を雇用し、2021年稼働予定。第1期工事では1億リンギットを投じ、土地の購入とバス・トラック工場の建設を行う。新工場ではマレーシア国内向けと輸出向けに生産する。Tan Chong Motorは日産-Renault車などを受託生産している。
BMW、エンジン工場稼働開始   BMWとマレーシアのパートナー企業Sime Darbyは2018年5月、エンジン組立工場を開設したと報じられた。ケダ州Kulimに建設した同工場では、3気筒・4気筒ガソリンエンジン、4気筒ディーゼルエンジン、PHV向けの3気筒・4気筒ガソリンエンジンを生産し、同国で生産するMINI 車とBMW車に搭載する。総投資額は1億3,200万リンギットで、最終的な年産能力は1直あたり1万基の予定。
PSA、Nazaの工場を取得   2018年2月、PSAグループはマレーシアのNazaグループ傘下のNaza Automotive Manufacturing (NAM) の株式の過半を取得し、合弁会社とすると発表。NAMがケダ州Gurunに所有する年産能力5万台の工場で、マレーシア国内およびASEAN市場向けにPSAグループのモデルを生産する。2018年にコンパクトSUVのPeugeot 3008、2019年にCitroen C5 Aircrossの生産を開始する。
トヨタ、新工場を開設   トヨタは20億リンギットを投資して建設したBukit Raja新工場を2019年1月に稼働開始。年産能力は5万台で、小型セダンのViosと小型ハッチバックのYarisを生産する。既存のShah Alam工場も2019年1月に近代化を終え、SUVを含むその他のモデルを生産する。2工場合わせた年産能力は約10万台となる。

 

フィリピンの生産拡大の動き

三菱自、プレス工場を開設   三菱自動車は2018年2月、ラグナ州Santa Rosa市で建設していたプレス工場が完成し、操業を開始したと発表した。車両生産工場に隣接するプレス工場にはプレス機2基を導入し、2直体制で3万5,000台の年産能力を備える。
現代自、工場を新設   現代自は2018年9月、フィリピンの販売会社であるHyundai Asia Resourcesを通して、現代自として初となるフィリピンのKD組立工場の建設に1億ドルを投資すると発表。ラグナ州で建設中の新工場の年産能力は、当初は3,000-5,000台だが、2023年までに5万台に拡大する計画。

 

ベトナムの生産拡大の動き

初の自国ブランド VinFastの事業計画   ベトナムの不動産最大手のVin Groupは2017年9月、自動車業界への参入を発表。傘下のVinfast Trading & Production (VinFast) はBMW、Magna Steyr、Siemens等に協力を求め、準備を進めて来た。2018年11月にベトナム初の国産電動バイクを発売。2019年6月に「Lux」シリーズのセダンとSUV、小型車の新型3車種を投入、同9月にEVを投入する計画。2020年には「Pre」シリーズでA-Dセグメントをカバーする7モデルを発売する計画。
新工場建設
  ラックフェン国際港近くに新工場を建設し、2019年2月に稼働予定。第1期プロジェクトでは年産能力25万台を整備する。サプライヤー誘致のため、70ヘクタールの土地を用意している。2025年には年産能力を50万台に引き上げる計画。
GMから事業譲渡
  VinFastとGMは2018年6月、ベトナムでの販売および生産での戦略的提携に合意したと発表した。VinfastはベトナムにおけるChevroletブランド車の配給会社となり、既存のChevroletディーラーを活用し輸入販売を継続する。また、GMのHanoi工場の所有権を引き継ぎ、GMの小型乗用車をライセンス生産する(ベース車はOpel Karlで、VinFastブランドの小型車Fadilとして販売する)。
マツダ、新工場を開設   マツダは2018年3月、ベトナムのチュオンハイが建設していたマツダ車組立の新工場の開所式を行ったと発表。東南アジア最大のマツダ車工場となる。クアンナム省のチューライ・チュオンハイ自動車産業パークに建設された。年産能力は10万台。全長2.4kmのテストコースも備えている。
トヨタ、新工場を計画   トヨタは2018年8月、Phuc Yen市の9.1ヘクタールの土地のリースを申請したと報じられた。4,000万ドルを投資し、ベトナム工場の年産能力を現行の5万台から2023年までに9万台に拡大する計画。
現代自、第2工場を建設   ベトナムで現代車の組立を行っているThanh Cong Groupは2018年3月、現代自動車、Thanh Cong Group、ニンビン省が現代自の乗用車工場拡張を進めるMOUを締結したと発表。このMOU締結により現代自とThanh Cong Groupはニンビン省に第2工場を建設する。現代自の現在のベトナムでの年産能力は6万台。
三菱自、第2工場を計画   三菱自動車は2020年までにベトナムで2カ所目となる工場を建設する計画。第2工場の年産能力は3万-5万台の予定。(2018年11月報道)

 

ミャンマーの生産拡大の動き

現代自、新工場を建設   現代自は2019年1月、現地パートナーであるShwe Daehan Motorsが982万ドルを投じて現代車の組立工場を開設し、コンパクトセダンの新型Accentを生産すると発表した。新工場はヤンゴン北部に位置し、現代車のセミノックダウン(SKD)生産を行う。年産能力は1万台だが、初年度は3,000台を生産する計画。
日産、年産能力を引き上げ   日産はマレーシア・Tan Chong Groupと協力してヤンゴン近郊の工場で小型乗用車Sunnyを生産している。現在は年産1,100台だが、2019年に年産能力を1万台超に引き上げる計画。今後の市場の成長を見込んで、供給力を高める。


電動化施策:タイは生産投資プロジェクトを認可

  タイ政府は2017年3月、電動車投資奨励策を発表。投資優遇を受けるため、各OEMは、HVについては2017年12月末までに、EV/PHVについては2018年12月末までにタイ投資委員会(BOI)に申請した。BOIはこれまでにトヨタ、日産、ホンダ、マツダのHV生産、Mercedes-Benz、BMW、SAIC Motor-CPのPHV生産、FOMMのEV生産、タイのバイオ燃料メーカーEnergy Absoluteの充電ステーション設置プロジェクト等を認可した。スズキはHV、トヨタと三菱自動車はPHVとEV、日産とマツダ、Mercedes-BenzはEV生産プロジェクトへの優遇措置の適用も申請している。一方、米国メーカーのFordとGMは電動化車両への投資は行わない意向。両社ともピックアップトラックの販売が堅調で、アフターサービスや販売網拡大に注力するとしている。

  タイでは電動車に対して物品税が10-20%低減されており、HV/PHVはCO2排出量に応じて5-25%、EVは2%に設定されている。BOIがインセンティブを認可した電動車については物品税がさらに低減される(税恩典の期限は2025年まで)。
  インドネシアでは現在、EVに対する奢侈税が免除されている。また、電動車導入施策は2019年以降に発表するとみられる。
  マレーシアでは、政府が2030年までの新自動車政策「NAP2018」を2019年第1四半期に発表する予定。コネクテッド・モビリティ、Industry 4.0、次世代自動車、人工知能(AI)に重点を置くとしており、電動車への優遇策が導入される可能性がある。

 

タイ:BOIに認可された電動車生産投資計画(2019年2月時点)

トヨタ ・190億バーツを投資してHVおよびHV用バッテリーと部品をChachoengsao県のGateway工場で生産する(2017年7月認可)。
・年産能力はHV7万台、電動車用バッテリー7万個、自動車部品(ドア、バンパー、フロント/リアアクスルなど)910万個。
・タイ国内で年間133億バーツに相当する部品を調達する。
・2018年初めからCH-RとCamryのHV生産を開始。
・2018年10月、バッテリーの生産開始時期を2020年初頭から2019年半ばに前倒しした。
日産 ・109.6億バーツを投資してHVおよびHV用バッテリーをSamut Prakan県のBang Saothong工場で生産する(2018年7月認可)。
・生産するのはe-Power搭載モデル。
・タイ国内で年間159億2,000万バーツに相当する部品を調達する。
ホンダ ・58.21億バーツを投資してHVおよびHV用バッテリーをAyutthaya工場とPrachinburi工場で生産する(2018年7月認可)。
・タイ国内で年間約27億6,680万バーツに相当する部品を調達する。
・まず、Accord Hybridを生産する。
・ホンダは2017年にタイでAccordを4,165台販売したが、HVの販売比率は20-25%。
マツダ ・マツダとFordの合弁会社AutoAlliance (Thailand) は114.8億バーツを投資してHVおよびHV関連部品を生産する(2018年11月認可)。
・タイ国内で年間約194.6億バーツに相当する部品を調達する。
・2019-2023年にこのプロジェクトを実施する計画。
Mercedes-Benz ・6.07億バーツを投資してPHVを、6億バーツを投資して電動車用リチウムイオンバッテリーを生産する(2018年3月認可)。
・PHVの生産はチョンブリ県Samut Prakan工場で行う。バッテリー工場は、Mercedes-Benzのタイの提携先Thonburi Automotive Assembly Plant (TAAP)の子会社Thonburi Energy Storage Manufacturingが2018年3月に起工し、2019年初めに稼働開始。
・Daimlerが2017年にタイで販売したMercedes-Benz車の4割〈約5,500台)がPHV。
BMW ・7億バーツを投資してPHVを(2018年7月認可)、5.4億バーツを投資して電動車用バッテリーを(同11月認可)生産する計画。
・PHVの生産では、BMWのラヨン工場を拡張してPHV生産ラインを設置し、330e、530e、X5 xDrive40e、740Leの4モデルのPHVを生産する。
・バッテリー工場は、ドイツの部品メーカー Draexlmaierと共同でラヨン県に新設し、2019年に稼働する計画。BMWのバッテリー工場は、ドイツ、米国、中国に続く4カ所目。
・BMWはタイで2017年に1,300台のPHVを販売。
SAIC Motor-CP ・上海汽車傘下のMGブランドのタイ法人MG Thailandは、13.6億バーツを投資してPHVを生産する計画。
FOMM ・日本の新興EVメーカーのFOMMは7.16億バーツを投資してEV生産を行う計画(2018年9月認可)。BOIがEVの生産投資プロジェクトを認可するのは初。
・FOMMは2018年10月、チョンブリ県の工業団地Amata City Industrial Estateに年産能力1万台の工場を建設するために10億バーツを投資。
・2019年1月に小型EVのFOMM Oneの生産を開始し、3月に発売する予定。続いて第2、第3のEVモデルを導入する計画。
Energy Absolute ・バイオ燃料製造などを手掛けるタイのEnergy Absoluteは、2018年にBOIに3つのEV関連プロジェクトを認可された。
・(1)リチウムイオン電池生産(投資額は20億バーツ)
・(2)充電ステーション設置(同10.9億バーツ)は子会社のEnergy Mahanakhonが担当で、EA Anywhereブランドで3,000カ所設置する計画。BOIが充電ステーション設置の投資プロジェクトを承認したのは初。
・(3)EVの研究開発施設建設(同1.3億バーツ)については、子会社のMine Mobility Researchが国産EVを2019年に発売する計画で、その研究開発に投資する。

 

タイ政府:新インセンティブ「Eco EV」を検討

エコカー計画との連携   タイ工業省工業経済局は電動化車両の量産推進に向け、政府のエコカー計画に参加した6社(日産、ホンダ、三菱、スズキ、マツダ、トヨタ)に対し、「Eco EV」と称する新インセンティブを検討していると報じられた(2018年11月)。同インセンティブでは、HV、PHV、EVを生産する場合、それらの生産台数をエコカーの生産台数に合算できるようになる。タイ政府のエコカー計画は年間10万台の生産を要件としているが、このインセンティブにより、自動車メーカーは生産ラインだけに投資が必要な少量生産のニッチモデルも生産することが可能となる。

Toyota All-New Camry 小型EVのFOMM One
2018年10月にタイで発売されたToyota All-New Camry
 (第4世代ハイブリッドシステム搭載)
小型EVのFOMM One


配車サービスのGrabとGO-JEKが事業拡大

  ASEAN地域では都市化がすすみ、スマートフォンのアプリを使った配車サービスが広まっている。若年層ほど配車サービスを利用しており、車の「所有に」こだわらない人も増えているという。ASEANではシンガポールのGrabとインドネシアのGO-JEKが配車サービスの2強で、両社とも配車のほか、アプリを利用して出前、宅配、決済など様々なサービスを提供している。Googleやソフトバンクなど大手企業が出資し、自らは電子マネーやネット決済などのスタートアップ企業に出資している。2018年にはGrabがUberの東南アジア事業を統合、トヨタ自動車が10億ドルを出資、現代自グループが計2億7,500万ドルを出資した。また、GO-JEKは2018年にベトナムに進出、2019年にシンガポールにも進出した。

 

Grabの概要 (本社:シンガポール)

主要事業 配車、電子決済(一部地域)、出前、宅配、投資部門
営業地域 シンガポール、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム、カンボジア、ミャンマー
出資元 トヨタ、現代自動車、ソフトバンク、Uber Technologies、滴滴出行など
出資先 Ovo (インドネシア・電子マネー)、Kudo (同・ネット決済)

最近の動き

Uberの東南アジア事業を統合   2018年4月にGrabがUber Technologiesの東南アジア事業を統合。フィリピンでは競争法の抵触を巡る審査が続いており、当局は配車アプリ向けの車両の登録台数に上限を設けているため、Grabは車両を増やすことができない。
トヨタが出資、ローン・メンテナンスサービスを提供   トヨタは2018年6月、Grabに10億ドルを出資。同年10月、フィリピンで、Grabの運転手向けに頭金の少なく、返済期間の長い自動車購入ローンを提供。購入後はバッテリーやエアコン等の保守整備にかかる費用を割引する。Grabで多く使われる小型車Vios等の買い替え需要を喚起する。
  トヨタは2018年12月、配車サービス事業者向けのトータルケアサービスを開発。まず、シンガポールでGrabが保有する1,500台に提供する。走行データや車両状態を収集・分析し、走行距離が一般車両の5倍とされる配車サービス車両に合ったメンテナンスを行う。
現代自グループが出資   現代自は2018年1月、Grabに2,500万ドルを出資。同年11月、現代自グループは2億5,000万ドルを追加出資(現代自が1億7,5000万ドル、起亜自が7,500万ドル)。現代自、起亜自、Grabは2019年にシンガポールで配車サービスにEVを導入する計画。

 

GO-JEKの概要(本社:インドネシア)

主要事業 配車、電子決済、出前、宅配、投資部門
営業地域 インドネシア、ベトナム、シンガポール。今後、フィリピン、タイ、マレーシア、ミャンマーへ展開予定。
出資元 Google、Temasek (シンガポール・政府系投資ファンド)、Tencent (中国・SNS大手)、Kohlberg Kravis Roberts (米国・投資ファンド)、京東集団(中国・ネット通販)、三菱商事など
出資先 Midtrans (インドネシア・電子マネー)、HaloDoc (同・遠隔医療)、Loket (同・電子チケット)

最近の動き

ベトナムに進出   GO-JEKは2018年9月、初の海外進出先となるベトナムでサービスを開始した。現地の起業家と連携し、二輪タクシーの配車サービス「GO-VIET」を展開する。経営は現地パートナーに任せ、GO-JEKはスマホアプリの開発支援や出資を行う。二輪配車と荷物配送から始め、数カ月以内に四輪配車、電子決済、出前等に拡大する。
シンガポールに進出   GO-JEKはシンガポールに拠点を置く東南アジアの銀行最大手DBS Group Holdingsと提携し、2019年初頭から同国でサービスを開始。DBSに口座を持つユーザーへの割引を実施するほか、GO-JEKが力を入れるモバイル決済サービスで連携する。


LMC Automotive 生産予測:ASEANの生産台数は2022年に473万台へ

(LMC Automotive, 2019年1月)

ASEANのライトビークル生産予測

  LMC Automotiveの生産予測(2019年1月)によると、ASEANの2019年の生産台数は前年比2%減の422万台となる見込み。その後、2020年には増加に転じ、2022年には473万台に達する。地理的に中国に近く、中国向け輸出への依存も強いため、中国の景気減速や不確実な米国の貿易政策も相まって、ASEAN地域の長期的な経済見通しには陰りが見える。南シナ海を巡る中国との領有権問題も、政治的なリスクをはらんでいる。しかし、ミドルクラスの規模が比較的大きく、成長し続けているASEAN地域は、拡大する消費者市場として機会を提供する存在である。

 

タイ

  タイにおける2019年のライトビークル生産は、輸出が米中貿易摩擦など様々な逆風にさらされるため、前年比5%減の205万台となる見込み。変動する石油価格も、タイ製ピックアップの輸出先として重要な中東の消費者の購買力を左右する。タイ政府は現在、「Eco EV」と称する新たな自動車政策を策定しているが、この政策はタイの電動車部門を大きく前進させるものとなる。2020年以後、タイでの生産は増加に転じ、2022年には225万台に拡大する見込み。

 

インドネシア

  インドネシアの2018年1-11月のライトビークル生産は前年比8%増。生産拡大の多くは新型車の生産によるもので、最も注目されるのは三菱Xpander、新世代のトヨタRush、その姉妹車のダイハツTerios、さらにWulingのConfero SとCortezなどである。2019年以降、インドネシアでの生産は着実に増加し、2022年には144万台に達する見込み。この生産拡大を支えるのは、2022年にインドネシアで稼働開始予定の現代自の新工場の開設である。同工場は国内需要に対応するだけでなく、他のASEAN諸国への輸出向けにも生産する。

 

マレーシア

  マレーシアにおける2018年1-11月の生産は前年比7%増。これは、3カ月間の税の空白期間に急増した需要に対応して各メーカーが増産し、7-8月の生産が18%増加したためである。マレーシアでの生産は2019年に4%減少するが、2020年以降は増加し、2022年には62万台に達する見込み。LMC Automotiveは、ASEAN市場全体に販売を拡大するとするProtonの中期計画を反映し、マレーシアの中・長期的な生産予測を若干上方修正した。Proton X70は2019年にインドネシアでプレビューされ、2020年から販売される見込み。マレーシアでのX70の生産は2019年半ばに開始される。

 

フィリピン

  フィリピンの2018年1-11月の生産台数は前年比41%減と大幅に減少した。この落ち込みの主な要因は、a)物品税率の引き上げにより、増税前の2017年に需要の先食いが生じたことと、乗用車セグメントの車両価格が上昇したこと、およびb)2018年1月に導入されたEuro IV排ガス基準に適合していないモデルの生産終了である。2019年以降、フィリピンでの生産は拡大し、2022年には12万台となる見込み。

 

ベトナム

  ベトナムの2018年1-10月のライトビークル生産は、前年比39%増と大幅に増加した。この生産拡大は、2018年1月1日にASEAN自由貿易協定により域内の輸入関税が撤廃されるとともに、「政令116号」による非関税障壁が発効するのを待って、消費者が2017年の購入を先送りにした結果である。政令116号により輸入手続きが厳格化され、2018年上期に完成車輸入はほぼ停止したが、現地生産される車両の販売は増加した。ベトナムでの生産は2019年に減少するが、2020年には増加に転じ、2022年には29万台となる見通し。

 

ASEANのライトビークル生産予測(LMC Automotive, 2019年1月)

(台)

COUNTRY 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022
Total 3,885,267 3,932,415 4,299,207 4,221,726 4,349,539 4,593,200 4,725,739
Thailand 1,920,952 1,963,557 2,156,909 2,053,207 2,075,327 2,213,948 2,254,600
Indonesia 1,122,938 1,145,698 1,248,135 1,295,439 1,319,479 1,379,305 1,435,172
Malaysia 541,933 502,881 554,572 531,454 592,104 605,706 618,735
Vietnam 203,427 182,030 256,376 239,187 256,378 270,821 287,336
Philippines 96,017 138,249 83,215 102,439 106,115 120,957 124,708
Singapore 0 0 0 0 136 2,463 5,188

Source: LMC Automotive "Global Automotive Production Forecast (January, 2019)"

(注) 1.データは、小型車(乗用車+車両総重量 6t以下の小型商用車)の数値。
2.本表の無断転載を禁じます。転載には LMC Automotive 社の許諾が必要になります。
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