トヨタ・日産のFCV:システム開発と早期普及に向けた取り組み

オートモーティブワールド2018、FC EXPO 2018の講演内容より

2018/03/22

要約

 本レポートは、東京ビッグサイトで開催された第10回オートモーティブワールド(2018年1月)および第14回FC EXPO(2018年2月)におけるFCV専門セッションの中から、トヨタと日産の燃料電池車の普及拡大に向けた開発と展望に関する内容を報告する。講演内容の趣旨は以下の通り。

 

トヨタ:水素社会とFCV開発

 トヨタは水素社会の実現に向け、燃料電池車(FCV : Fuel Cell Vehicle)「MIRAI」を投入している。「水素=将来の有力なエネルギー」であり、「FCV=究極のエコカー」である。MIRAIは、短い充電時間、航続距離の長さで、ガソリン車並みの使い勝手を実現している。トヨタ燃料電池システム(TFCS)の小型化を実現しつつ、今後さらなるコスト低減を目指す。

 トヨタはFCV販売台数について、2020年頃以降にグローバルで年間3万台以上、日本で年間1万数千台を目指す。FCVの早期普及に向けて、FCV関連特許の実施権を無償化し、FCバスの導入、FC大型商用トラックの実証実験など、様々な取り組みを実施している。

 

日産:電動車開発と燃料電池技術

 自動車の普及によって生じた4つの課題(エネルギー、地球温暖化、交通渋滞、交通事故)の解決に向け、日産は最適なアプローチ(電動化、知能化)を考え、地域のエネルギー事情に応じた技術の開発、普及を目指していく。

 100%エタノールまたはエタノール混合水を燃料とする新しい燃料電池自動車「e-Bio Fuel Cell」は、固体酸化物型燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)システムを搭載。大気並みにクリーンな排気、EV並みに安いランニングコスト、ガソリン車並みに長い航続距離などをコンセプトに掲げる。

 水素FCVの本格普及に向けては、FCVの低コスト化、水素ステーションの設置拡大などの課題があるとしている。

 
トヨタMIRAI

日産 e-Bio Fuel Cell (資料:日産)
Toyota MIRAI Nissan e-Bio Fuel Cell (資料:日産)



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