東京モーターショー2017:商用車メーカーの展示(2)

UDトラックス、SCANIA、日野、トヨタの出展

2017/12/01

要約

 東京モーターショー2017では国内外メーカー34社、ブランド27を含む153社・団体が出展。ワールドプレミア、ジャパンプレミアを含む380台が展示された。商用車は大型トラックメーカー6社、車体メーカー11社(小型メーカーを除く)が出展。

 本稿は商用車の展示内容を報告するレポートの第2弾として、UDトラックス、SCANIA、日野、トヨタの展示を紹介する。SCANIAは日本市場向けに投入する新型トラックをアジアプレミアとして展示。トヨタグループは燃料電池を搭載する量産型の大型路線バス「SORA」などを出展した。

 三菱ふそうといすゞの展示内容は下記レポートをご参照ください。
 東京モーターショー2017:商用車メーカーの展示(1) (2017年12月)

 

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UDトラックス:新型クオン(Quon)、新興国向けクエスター(Quester)

 UDトラックスの展示テーマは「Best truck for all drivers (すべてのドライバーにとって、ベストなトラックを目指して)」。ひとを想う商品開発を続け、「誰もが・簡単・快適・安全に運転できるトラック」を目指す。

 2007年以降、Volvo傘下となり、「日産ディーゼル」から「UDトラックス」に改称。中型・小型は他社からOEM供給を受け、セミトラクターでは国内販売トップの大型車専業メーカーである。(UD: 現在はUltimate Dependability(究極の信頼)。かつての特徴であった2サイクルディーゼルのUniflow Scavenging Diesel Engineの頭文字ではなくなった。)

 

 新排出ガス規制適合の大型3車種他を展示。
  1. クオン 6×2 ウイングバン
  2. クオン 4×2 セミトラクター
  3. クオン 6×4 ダンプ
 合わせてVolvoセミトラクターも展示。その他新興国向けクエスター 6×4セミトラクター、エンジン2基。

(左) 新興国向け「クエスター(Quester)」 2013年タイで発表
(中/右) 新型「クオン (Quon)」は新排出ガス規制適合車で、マイナーチェンジを実施した。大きな特徴のフロントグリル、バンパーは前回のショーでプレ展示。先に発売した「クエスター」と同じイメージでまとめている。

 

 

クオン(Quon) 6×2 カーゴ (展示用ウイングボディ)

展示用としてフロントグリルはメッキ、バンパーエアロパーツ仕様などとしている。ウイングボディだが、車両左側は開放してパネル展示。
全長11,980/全幅2,495/全高3,755mm、GVW 25トン、積載量 14.3トン。
リアエアサス、フルキャブ、直6エンジン(11L、390ps、1,750Nm)、トランスミッションは12段AMT (ESCOTⅥ)。

 

 

クオン(Quon) 4×2 セミトラクター

 クオン(Quon)セミトラクターは2016年国内市場販売台数2,363台で、Volvoの351台と合わせると国内トップシェアである。(UDトラックス資料)
 6×4トラクターは現在Volvoに譲り、UDブランドは無くなったが、旧型車は今でも人気があり、主力の4×2もコンテナトレーラー用を中心に人気がある。

 全長5,620/全幅2,490/全高3,335mm、第5輪荷重 11.5トン。直6エンジン(11L、460ps、2,200Nm)、トランスミッションは12段AMT(ESCOTⅥ)。

 


(左) LEDランプ  (右) バンパー、ステップ、ドア周りの始末

フロントパネル、バンパーは新設計、グリルはショー仕様でフルメッキ(ダンプ)や部分メッキ(トラクター他)を施す。
パネル内部は、ハーネス、パイピングなど若干変更したとのこと。

 

(左) Volvo D11エンジンを日本仕様にした主力エンジン GH11系(350ps/1440Nm~460ps/2200Nm)、高出力GH13の代替として460psまでカバー、トランスミッションは12段AMT (ESCOTⅥ)
(右) 2018年投入予定の新エンジンGH8(8L)

 

インパネ、内装

 ドライバーの使い心地を追求して一新したコックピット。ドライバーとクオンが自然に対話できるデザインによって、安全・快適・効率的な運転操作を可能にしている。(UDトラックス資料)

グレーとアイボリー色でまとめた標準内装とインパネ。3仕様の配色違いのインパネをオープンモックで出展。エンジンフード上面大型コンソールを含めた「囲い型インパネ」は、現行の骨格・レイアウトを流用し、デザインを新しく変更した。パーキングレバー、AMTレバーはコンソールから立脚。AMT操作パターンは使い易い上下スライドに変更した。衝突回避や車線逸脱予防などの安全支援装置も搭載済み。

 

 

クエスター(Quester) 新興国市場向け 6×4セミトラクター

 2013年発表・発売後、2015年には8Lエンジン搭載車をはじめ、多様なパワートレインを用意し、フルラインナップを完了。今後はアフリカ、中東へ投入予定。

 全長7,035/全幅2,495/全高3,946mm、GCW 80トン。直6エンジン(11L、420ps、2,000Nm)、マニュアル12段。

 



SCANIA:新型車NEXT GENERATIONを展示、2018年に日本市場投入

 2002年に日野自動車と販売提携後、2009年に日本法人として独立。欧州ではV8エンジンサウンドとともに、ドライバーに絶大な人気を誇る。MANとともにVWグループ傘下、世界販売で高い収益性を維持している。

 今回のショーでは「NEXT GENERATION SCANIA」(新型車世界統一キャッチコピー)を掲げ、最新車2台と廉価車1台、エンジン1基を展示。

 

 1891年創業時からのSCANIA車の歴史をミニチュアモデルで展示。1960年以降研究し1980年に製品化したSCANIAモジュールシステムは、業界全体の最適化設計の模範となっている。

 

 2016年8月に発表された最新車「NEXT GENERATION」を展示、2018年に日本で発売。

(左) G360 6×2 単車(トレーラーではないトラック)ウイングボディ:直5エンジン(9L、360ps、1,700Nm)、標準ルーフ、デイキャブ、リアエアサス
(右) R500 4×2 セミトラクター:直6エンジン(13L、500ps、2,550Nm)、スリーパーキャブ、ハイライン、リアエアサス


(左) G360、リアボディは内寸9.6m確保、GVW 25トン、積載量 13トン。全長11,990/全幅2,490/全高3,750mm。展示搭載ボディはトレックス製。
(右) R500セミトラクターシャシー。綺麗な始末のサイドパネル、リアフェンダー等、カプラー含め、展示車は欧州仕様。


(左) デイランプを盛り込んだLEDランプ  (中) 横幅がやや狭いステップ  (右) 欧州「S」仕様のルーフ、ポジションランプは無い

 

インパネ、内装

 展示車は右ハンドル仕様。機器レイアウト、装備内容は左ハンドルとほぼ同じ。同時展示のオープンモックはハイライン フラットフロアキャブの左ハンドル仕様。


(左) 内装 (SCANIA資料)  (右) オープンモック


日野:新型プロフィア (PROFIA)、レンジャー (RANGER)ほか市販車5台を展示

 日野自動車は「もっと、はたらくトラック・バス」をテーマに出展。純国産トラックが生まれて100年、これからの時代にできることは、トラック・バスをもっと効率的に、安全に進化させること、そして「人々の生活を支え世の中の役に立つ存在にしていく」という想いを展示した。

 

 新排出ガス規制適合車の新型大型・中型トラックを中心に、すべて市販車で5台を展示。
1. 新型「プロフィア (PROFIA)」、「レンジャー (RANGER)」
2. ハイブリッド小型トラック「デュトロ (Dutro)」
3. 小型電動バス「ポンチョEV (Poncho EV)」
4. ダカールラリー参戦車 (毎回出展)
5. 大型、中型搭載エンジン 2基

 

 新排出ガス規制適合車として4月に発表された大型・中型トラックを、他社がショー仕様に仕立てる中、市販完成車仕様で展示した。PR上ではフルモデルチェンジと謳われているが、キャブのみで捉えれば骨格、内外板は同じでフロント周りと内装を一新した大幅なマイナーチェンジである。なお、シャシーやパワートレインは大幅に変更している。

 展示車のプロフィールは後述するが、大型・中型車とも10月上旬に、2017年輸送機器部門で「グッドデザイン賞」を受賞した。また、「プロフィア」はショー開催中の11月2日に部門別の「金賞」を受賞した。1989年「クルージングレンジャー」で受賞して以来、トラックおよびデザインの役割が徐々に理解され、今回は受賞記念車として堂々とショー会場に展示された。

 

 

大型トラック 「プロフィア (PROFIA)」

 2003年末に新発売以来、14年ぶりに初の大幅マイナーチェンジとなる。
 外形は、フロントパネル(クオーターパネル廃止)、バンパー、ステップ、グリル、マーク、ヘッドランプを一新、併せてハイルーフやルーフのウインドディフレクターも一新した。パワートレイン、足回りは燃費向上、軽量化、架装性向上を狙い、新型9Lエンジン、シャシーフレームの一新、リアサスペンション変更等を施した。安全性向上機能は、衝突回避支援ブレーキ、車間距離センサー、居眠り防止、車線逸脱警報など。
 全長11,970/全幅2,490/全高3,780mm、9Lエンジン(380ps)、トランスミッションは12段AMT。

8×4 総輪エアサス、フルキャブハイルーフ、ウイングバンボディ市販車
ボディはトランテックス製、内寸9.6m

 

バンパー、ステップ周りを一新

 ヘッドランプはアイキャッチ的な形状のデイライトをレイアウトしたLEDランプ、ステップ後端穴はランプ調整用。バンパー後端上部/ドア下端/ステップ前端は、キャブティルトやキャブサス、ドア開閉などで始末が難しく、各社のデザイン/設計の腕の見せどころ。

 

 ドアハーネスや補給液など点検整備性を向上するため、内部レイアウトの若干の変更も含め、フロントリッドパネルを大型化(コーナーパネル廃止)。グリルステップも大型化。

 


(左) 中型用A05Cエンジン  (中) 大型用A09C エンジン  (右) 新スタックダクト

 大型用の新A09Cエンジン(直6、9L、380ps、1,765Nm)は、2段過給ターボ、2基の空冷インタークーラーを搭載、チューニングしパワーと省燃費の両立、軽量化を図った。スタックダクトは燃費とエンジン効率向上の低温吸気を狙い、新規吸気口をルーフ上に移設。

 

インパネ、内装

 インパネのラウンド形状は踏襲するが、ドライバーの操作性、居住性の向上を図るデザインに一新した。ドライバーの満足感を満たし、さらなる安全、効率的な運行ができるようにしている。

 エンジンフード部上面をフラット化。AMTレバーをはじめ、各種スイッチ類はダイヤル式にしてインパネ内にレイアウト。パーキングレバーもインパネ内に移設し、フロアのフラット化を成立。キャブ内の移動性、居住性を向上するとともに、快適かつ安全な運転に寄与している。

 操作性、視認性向上を狙い、ラウンドタイプのインパネ形状を踏襲。スイッチは大きなダイヤル式、空調アウトレットも調整しやすい丸口型である。メーター類も一新し、各種文字を拡大して見やすくなっている。

 ハイルーフはフラットなフロアトンネル上面から2,030mmの高さに変更し、室内で立つことができる。大容量の収納部も確保している。シートは3仕様、内装色は、インパネ、ドアトリム、フロアはブラウン系、トリムなど上部は明るいアイボリー色のツートンである。開放感と上質な快適空間を狙ったとのこと。

 

 

中型トラック 「レンジャー (RANGER)」

 プロフィアと同時に開発・発表されたレンジャー。2001年末に発売以来、16年ぶりの大幅変更となる。プロフィア同様、フロント周り、内装を一新した。先代レンジャーの外形イメージを残しつつ、近代化を図り、洗練させている。先代と同様に各部位の始末は良い。

展示車両は大型ナンバーの「FE」、4×2エアサス、ワイドハイルーフキャブ、ウイングバン
全長9,680/全幅2,490/全高3,590mm (含荷台)、GVW 13.5トン、積載量 8.3トン
新A05Cエンジン(直4、5L、260ps、882Nm)、トランスミッションは7段AMT

 


(左) ウオッシャータンク位置変更  (中) LEDランプ(オプション)  (右) ステップ、バンパー周り

 

インパネ、内装

 展示車は2人乗り。助手席への移動などを考慮し、大型トラックと異なりインパネはストレート形状。メーターは大型と共通。内装全般は色も含めて大型トラックと共通。

 

 

デュトロ ハイブリッド

 小型ハイブリッドトラックで販売実績No1。展示車両は10月に発表された広幅ワイドキャブ、全低床平ボディ。

 全長6,180/全幅2,180/全高2,270mm、積載量2トン。直4、4Lエンジン(150ps)、モーター出力36kW、ニッケル水素電池、トランスミッションは6段AMT。

 

 

ポンチョEV (参考出品・限定販売車)

 日野自動車は前々回のモーターショーからコンセプト電動トラックを参考出品し、ユーザーテストなどを実施している。
 今回出展したバスは、好評の小型ノンステップバス「ポンチョ」を電動にしたもの(フロント周り意匠を差別化)。すでに東京都や石川県などで営業運転中。約10km程度の1運行毎に充電する短距離走行・高頻度充電コンセプトに基づいている。

モーター出力200kW、バッテリー・リチウムイオン約30kWh。全長6,990/全幅2,080/全高3,100mm、36人乗り(ドライバー1人)、GVW7.8トン。



トヨタグループ:FCバスのコンセプト「SORA」、LCVコンセプト

SORA:FC(燃料電池)バスのコンセプトモデル

 SORA:地球の水の循環を表す Sky/Ocean/River/Air

 2003年のモーターショーで初披露されたFCバスはその後改良を重ね、各種走行試験や東京都、豊田市など各地での営業運行試験を経て、オリンピック・パラリンピック時に供給する市販バスベースでのコンセプトモデルとして出展。「受け継がれていく街のアイコン」を開発コンセプトに、FCユニットの特性を最大限に生かしたバス。①社会の「奉仕車」、 ②人を中心に捉えた「ユニバーサルデザインと機能」という2つの「想い」で路線バスのうれしさを大きく高めた。(トヨタ資料)

 

 デザインは従来の路線バスに見られる六面体(箱型)から大きく異なる立体的な造形を追求し、一目でFCバスとわかる特徴的なデザインとしている。
・前後ランプに特徴的なLED採用
・路線バスでは国産初のフロント1枚ガラス採用
・ボディと面一な大きな側面ガラスと後部出入口のスイングドア
・前後タイヤカバー

 

機能面の特徴:
・8個の車内外カメラによるバス周辺監視機能
・速やかで安全な加速制御
・バス停への自動正着制御
・ITS CONNECTによる利便性向上(バス間連絡、バス優先制御システムで輸送力や定時制の確保)

全長10,525/全幅2,490/全高3,340mm、乗客数78人/乗務員1人
FCスタック:最高出力114kW×2 (154ps×2)、 高圧水素タンク 10本
モーター:113kW×2 (154ps×2)、335Nm×2、 タンク内容積 600L
駆動用バッテリー:ニッケル水素、外部電源供給システム:出力9kW、供給電力235kWh

内外車体デザインおよび設計はトヨタグループの日野自動車が担当。


後部出入口は国内初の大型1枚ガラスのスイングスライドドアを採用
(左) 内外監視カメラやITS情報他、運行制御情報表示の大型ディスプレイ
(右) ユニバーサルデザインの室内、自動格納機構付きシート他、「乗ってよかった!また乗りたい!」と思われるバスを目指した。

 

 

LCV(ライトコマーシャルビークル)コンセプト

 ワンボックスワゴンやバンの開発~生産に特化しているトヨタ車体が魅力的なマルチユースバンを出展。1つの基本ボディで3仕様(D-カーゴ、ビジネスラウンジ、アスレチックツアラー)を用意。このうち、D-カーゴを実車展示。1人乗り、低床大開口スライドドア採用などが特徴。シトロエン、プジョーと共同開発している次期ハイエースのコンセプトを示唆するとされている。

 

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キーワード
モーターショー、商用車、トラック、安全、UDトラックス、SCANIA、スカニア、日野、トヨタ

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