欧州の日系部品メーカー:欧米メーカーとの取引拡大を狙う

現地部品メーカーの買収・提携、東欧では生産能力増強、ロシアでは新工場稼働延期

2015/08/05

要 約

 西欧17カ国のライトビークルの販売台数は、LMC Automotiveによれば、2014年が前年比5.2%増の1355万台、2015年1-6月は前年同期比8.4%増の773万台と増加を続けている。こうした中、日系自動車部品メーカーによる欧州での事業展開では、欧米自動車メーカー・部品メーカーからの受注拡大を図るものが多い。

ドイツ:ドイツ自動車メーカーなどへの販売拡大を目指す

 ドイツでは、地元の有力部品メーカーの買収(住友理工(旧東海ゴム)、日本電産)、生産体制の強化(東洋紡:基布工場設立、日清紡:生産拠点を再編しブレーキ用摩擦材の銅使用規制に対応)、自社の開発・営業拠点の設立(今仙電機、ジーテクト、村上開明堂、八千代工業など)、エンジニア・営業担当の増強(日本精機、パイオラックス)などにより、ドイツを中心に欧州自動車メーカーからの受注拡大を目指している。

東欧:新工場の稼働・工場拡張・設備増強が続く

 東欧では、新工場の稼働が多くみられる(曙ブレーキ、アドヴィックス、椿本チエイン、テイ・エステック、ニッパツ、三菱樹脂など)。工場拡張・設備増強では、欧米自動車メーカーからの受注拡大への対応(エクセディ、ケーヒン、ハイレックスなど)、欧州向け小型モーター用磁石の全量生産(愛知製鋼)、ディーゼル排ガス規制対応部品の生産能力増強(デンソー、日本ガイシは第2工場も建設)などがみられる。この他、欧州全域での事業拡大を目指す企業買収(旭硝子)、西欧拠点から開発・営業機能を移転し生産との一体化(小糸製作所)などがある。

西欧:開発・販売体制強化、生産能力増強、企業買収、事業再編

 開発・販売体制強化では、曙ブレーキが新たに完成品の研究開発拠点を仏国に設立、ヨロズが欧州事務所設立を計画。生産能力増強では、ユニプレスが新規受注に対応し英国で設備増設、河西工業が欧州大陸での生産拠点を仏メーカーとの協業で確保。

 JVCケンウッドは買収で、パナソニックはスペイン有力部品メーカーへの出資で、欧州自動車メーカーへの販路の拡大・新製品の開発を計画。事業の再編では、NTNが独、仏に高付加価値部品の新生産ラインを設置し、量産品生産はスロバキアに移転。ジェイテクトは、欧州各国の軸受事業を再編し黒字化達成。住友理工は、仏拠点の赤字部品事業をルーマニアに移転。

ロシア/トルコ:ロシアでは市場縮小で新工場の稼働延期、既存工場の生産量縮小への対応

 ロシアの2015年1-6月の自動車販売台数は前年同期比36.4%減の78万台と2013年からのマイナスが続いている。2015年1-5月の生産台数も61万台(同26.7%減)と低水準。

 このため、新設工場の稼働延期(ハイレックス、ユニプレス)、生産低迷による採算悪化で販拡活動強化(ティラド)、合弁事業からの撤退検討(エクセディ)などがみられる。この他、新車装着用タイヤの生産開始(横浜ゴム)などの動きもある。

 トルコでは、住友ゴムが新工場での乗用車・トラック用タイヤを生産開始。

 
日系部品メーカー動向関連レポート:
メキシコへの新規進出 (2015年6月)、メキシコでの増強とブラジルでの動向 (2015年7月)
東南アジア編 (2015年4月)、米国編(2015年3月)
中国編(上):華南・華中・西南での動向 (2015年1月)
中国編(下):華東・華北・東北地域・中国全体での動向 (2015年2月)
インド編 (2014年11月)
タイ編 (2014年9月)
 



ドイツ:現地企業買収(住友理工・日本電産)、生産体制強化(東洋紡・日清紡)など

 

会社名 活動内容
今仙電機
ドイツ支店を2015年6月に開設、商品開発・営業を展開
今仙電機製作所は、2015年6月にドイツ支店のIMASEN ELECTRIC INDUSTRIAL CO.,LTD.EUROPE OFFICE(仮称、Frankfurt市)を開設。欧州での先進自動車技術、医療福祉関連技術、航空関連技術の情報収集により、顧客ニーズに合わせた商品開発と営業活動を展開する。
ジーテクト
ミュンヘンに開発営業子会社を2015年7月に設立
ジーテクトは、2015年7月に開発営業子会社のG-TEKT (Deutschland)GmbH.(Bayern州Munchen市)を設立。資本金は55万ユーロ(7100万円)。VWなど欧州カーメーカーの地域戦略や次世代の先端的ボディ開発技術などの情報収集を強化。製品開発、市場開拓に必要な営業支援を行い、受注拡大を図る。また、日本と北米の研究開発拠点を連携し、次世代ボディの先行技術開発の具現化を目指す。
翔栄
次世代カーナビの情報収集拠点の事務所をフランクフルトに設立
翔栄は、2015年8月までにHessen州Frankfurt市に事務所を構える。タッチパネル式のカーナビシステムの普及を見据え、情報収集を行い、現地企業との開発段階からの協力を通じて、車載用タッチパネルの受注拡大を図る。2015年5月に米国でも同様の事務所を設立。2018年度に米欧で売上高150億円を目指す。
戸田工業
BASFとリチウムイオン電池用正極材の合弁会社を日本で設立
戸田工業は、独BASFと2015年2月にBASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社(東京都)を設立。資本金は1億円。出資比率はBASFジャパン66%、戸田工業34%。新会社では、日本でのNCA(ニッケル系正極材)、LMO(マンガン系正極材)、NCM(三元 系正極材)などの正極材料の研究開発、製造、マーケティング、販売を行い、バッテリー材料での事業拡大を目指す。年産能力は、1万8000トン。
住友理工 (旧東海ゴム)
買収したドイツの防振ゴムメーカーを活用し欧州メーカー開拓
住友理工は、2013年に買収したドイツ防振ゴムメーカーAnvis Group GmbH(Hessen州)の製造・販売網を活かして、従来比約30%の軽量化と約20%の小型化を実現した製品を投入する計画。これにより、欧州系メーカーからの受注拡大を目指す。
タカタ
インフレーターの生産をメキシコからドイツの工場に移す計画
タカタは、メキシコで生産しているエアバッグのインフレーターをドイツのTAKATA Sachsen GmbHのFreiberg工場(Sachsen自由州)に移す計画。BMWが米当局に提出した文書で明らかになった。
東洋紡
エアバッグの基布工場新設を2015年に計画、ドイツ、フランスが候補地
東洋紡は、2015年中に欧州にエアバッグのシート材となる基布工場を新設する計画。ドイツ、フランスなどが候補地。東洋紡は、2014年に買収したエアバッグ用原糸世界第2位の独PHPファイバーズの工場(日本、米国、中国、ドイツ)で原糸生産が可能となったが、欧州にも基布工場を建設し、原糸から基布までの一貫供給体制を整え、コスト競争力を高める。PHPの既存顧客向け原糸供給を続けながら、日系メーカー向けに基布生産を検討。
日清紡
ブレーキ用摩擦材の2つの生産拠点を再編し、銅使用規制への対応強化
日清紡ホールディングスは、2011年に買収したTMD Friction EsCo GmbH(Nordrhein-Westfalen州)の持つ2つのブレーキ用摩擦材拠点を2017年末までに再編する。ブレーキ用摩擦材の銅使用規制への対応強化のためで、Leverkusen拠点の生産機能をEssen拠点に集約して、銅規制対応材の最新生産設備を導入し、供給体制を強化する。投資額は5300万ユーロ(約74億円)を予定。Leverkusen拠点はTMD社のグループ管理とR&D機能に特化する。
日本精機
ミュンヘン開発拠点のエンジニアを増強し、ソフトウエアの開発設計能力強化
日本精機は、欧州子会社Nippon Seiki (Europe)B.V.(NETHERLANDS.)の車載用計器のMunchen開発拠点で、2014年度にエンジニアを60人から120人規模に倍増。その約7割はソフトウエア設計者で、開発設計能力強化を図る。顧客要望が複雑化している技術面での対応力を高め、実験や試作機能も追加し、製品開発のリードタイム短縮につなげる。
日本電産
ドイツの車載用ポンプメーカーを2015年2月に買収し、電動ポンプ事業を強化
日本電産は、2015年2月にドイツの車載用ポンプメーカーのGerate- und Pumpenbau GmbH Dr. Eugen Schmidt(Thuringen州。以下GPM)を買収。アイドリングストップ機能搭載車、ハイブリッド車、電気自動車等の需要拡大の中で、モーターを動力とする電動ウォーターポンプや電動オイルポンプなどの需要拡大も見込まれるため、買収により電動ポンプ事業強化を図る。GPMは、ドイツ、ブラジル、中国、米国に拠点を持ち、各種ポンプを乗用車・商用車メーカーに納入している。日本電産は、2020年に世界での車載事業の売上高1兆円達成を目指す。
パイオラックス
VWへの拡販に向け、営業担当者を2015年央以降ドイツに常駐
パイオラックスは、2015年初夏から秋をめどにドイツに営業担当者を常駐させる。VWへの受注活動を強化し、燃料系部品や開閉機構機器などの拡販を図る。同社の2014年度の売上高に占める海外メーカー比率は7%に留まっており、2017年度にはこれを12%に引き上げる計画。
村上開明堂
ドイツに営業・設計事務所を2015年4月に開設、欧州メーカーからの受注拡大を目指す
村上開明堂は、ドイツに営業・設計事務所のMurakami Corporation European Branch Office(Niedersachsen州Braunschweig市)を2015年4月に開設。ドイツを中心とする欧州でのバックミラーやオプトエレクトロニクス部品の受注拡大を目指し、マーケット調査とその分析、欧州メーカーや部品メーカーへの営業・設計の窓口活動を行う。
八千代工業
ドイツに欧州事務所を2014年12月に設立、ドイツメーカーへの受注活動本格化
八千代工業は、2014年12月に欧州事務所のYachiyo Germany GmbH(Niedersachsen州)を設立。資本金は2万5000ユーロ(約360万円)。主な事業内容は、営業・開発・購買業務。欧州での工場設立も視野に入れ、VWを中心とするドイツメーカーへの受注活動を本格化させる。

 

 



東欧:生産能力拡充(愛知製鋼・エクセディなど)、新工場稼働(曙ブレーキ・アドヴィックスなど)

 

会社名 活動内容
愛知製鋼
チェコで小型モーター用磁石の生産ライン新設へ、欧州向け全量を生産
愛知製鋼は、チェコのAichi Magfine Czech s.r.o.(Libelec市)の工場に小型モーター用のネオジム系磁石の生産ラインを新設し、2015年末までに生産開始する。欧州向けの全量を生産。投資額、生産規模は明らかでない。
曙ブレーキ
スロバキアのブレーキキャリパー工場が2015年8月に稼働、新規受注に対応
曙ブレーキは、ブレーキキャリパーの製造子会社Akebono Brake Slovakia s.r.o.(Trencin市)の工場が2015年8月に稼働。欧州の複数メーカーからのディスクブレーキ受注を受けての生産開始。インドネシア拠点からブレーキパッド(摩擦材)を運び、完成品に組み立てる。将来的には、価格ではなく機能性で勝負するため、仏アラスのブレーキパッド工場で生産する摩擦材を組み立てる高性能車向けアルミニウム製ブレーキャリパーの生産も検討。
旭硝子
ポーランドの自動車用補修ガラスメーカーを買収、欧州全域での事業拡大目指す
旭硝子は2015年4月、ポーランドの自動車用補修ガラスメーカーNordGlass Sp. z o. o.(Koszalin)を買収すると発表。買収額は100億円程度と見られる。旭硝子は、補修ガラスの生産工場をチェコ、ロシアに持ち、販売先は両国のほかフランス、イタリア、ドイツが中心。NordGlass 社はポーランドに工場があり、東欧、中欧、北欧に販路があるため、買収により欧州全域での事業拡大を目指す。買収完了は、2015年末から2016年初の予定。
アドヴィックス
チェコのブレーキ部品工場が2015年5月に稼働、ダイムラーからの初受注に対応
アドヴィックスは、チェコのブレーキ部品の生産子会社ADVICS Manufacturing Czech s.r.o.(Pisek市)が2015年5月に生産開始。欧州初の拠点で、独ダイムラーからディスクブレーキキャリパーを初受注したため、アイシン精機のAisin Europe Manufacturing Czech s.r.o.(Pisek市)工場の一部を借り受け生産体制を整備。
エクセディ
ハンガリーの工場拡張し、ATやCVTなどの部品生産へ
エクセディは、EXEDY DYNAX Europe Ltd. (Komarom-Esztergom県Tatabanya市)の工場を拡張し、生産ラインを3本から10本に増設。新たにAT、CVTなどのトランスファーに使われるペーパーディスク(子会社のダイナミックス製)を2016年1月から生産開始予定。年産能力は約7500万枚に増強。投資額は約33億円。欧州メーカー等からの受注量拡大に対応。
ケーヒン
チェコで生産ライン増設、フォード向けカーエアコン用コンデンサーを生産開始
ケーヒンは、チェコの子会社Keihin Thermal Technology Czech, s.r.o.(Kladno市)の生産ラインを増設し、2014年11月からフォードの「Focus」および「Escape」向けのカーエアコン用コンデンサーを生産開始。フォードへのコンデンサーの納入は初めて。
小糸製作所
ベルギー子会社の営業・開発機能をチェコ子会社に集約
小糸製作所は、欧州生産車向けの営業・開発を行ってきたベルギーのKoito Europe NVの全事業をチェコのKoito Czech s.r.o (Zatec市)へ2015年4月に移す。営業・開発・生産をチェコで一体化することで競争力の向上、受注活動の強化を図る。ベルギー子会社は2015年9月に清算する。
GMB
ルーマニアでウォーターポンプ組立てを2015年から開始
GMBは、韓国の子会社GMB KOREAが2014年6月に設立したルーマニアのGMB ROMANIA AUTOINDUSTRY S.R.L.(Arges県)でウォーターポンプの加工・組立を2015年から開始。欧州メーカーに納入。ルーマニア拠点の生産技術部門を強化し、ルーブル安で低調なロシアの生産拠点を補強する。
椿本チエイン
チェコにタイミングチェーンの新工場設立、稼働は2017年
椿本チエインは、チェコにTsubaki Automotive Czech Republic(仮称、Kolin市)を2015年7月に設立。資本金は約2億円。2017年11月からタイミングチェーンを生産する。欧州でのタイミングチェーン生産は英国工場のみで、ルノー向け生産の増加でフル稼働が続いている。このため、新工場ではタイミングチェーンのうち静粛性を高めたサイレントチェーンをルノー、オペル向けを生産する。生産能力は不明。
将来的には、欧州向けのサイレントチェーン全量を生産する計画。今後の欧州メーカーへの拡販に備え、増産や生産品目追加に対応できるように工場用地を広めに取得。2019年までに累計20億円を投資する計画。
テイ・エス テック
ハンガリーでVW向けシート生産を2015年5月に開始
テイ・エス テックは、ハンガリーのTS TECH Hungary Kft.(Szazhalombatta市)の工場を2015年5月に稼働。VWのSUVの3列目シートの生産を開始。
デンソー
ハンガリー工場を拡張し、新型コモンレールシステム生産へ
デンソーは、ハンガリーのDENSO MANUFACTURING HUNGARY LTD.(Szekesfehervar)の工場を拡張し、2015年度からディーゼルエンジンの燃費性能向上とクリーン化ができる新型コモンレールシステムを量産。投資額は約130億円。同システムは、排ガス規制「ユーロ6」に対応しており、欧州メーカーでの需要拡大に備え供給体制を整備。
ニッパツ
ハンガリーに懸架ばねの生産会社新設
ニッパツは、ハンガリーで懸架ばねの生産子会社NHK Spring Hungary Kft.(Komarom-Esztergom県)を2015年3月に設立。資本金は1億3500万円。2015年12月に生産開始予定。2020年度をめどに、年産能力をコイルばね350万本、スタビライザー120万本にする予定。日系メーカーに加え、欧州メーカー向け供給拠点とする。
日本ガイシ
ポーランドでNOxセンサー、ディーゼル車排ガス浄化部品の生産能力増強
日本ガイシは、日本の小牧事業所とポーランドのNGK CERAMICS POLSKA Sp. z.o.o(Gliwice市)の、車載用の高精度NOxセンサーの年産能力を、2015年10月までに2013年度比約1.5倍の1000万本超に増強。投資額は約30億円。
加えて、ポーランドには新たに第2工場を建設して、炭化ケイ素(SiC)製ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)の年産能力を約30%増強 し、ディーゼル車排ガス浄化用セラミックスの需要拡大に対応する。生産開始は2017年1月予定。投資額は約170億円。製品は欧州メーカーを中心に供給。
ハイレックス
ハンガリーでコントロールケーブルの生産設備を追加
ハイレックスは、ハンガリーのHI-LEX HUNGARY Kft (Retsag)に生産設備を追加し、2015年からコントロールケーブルの生産量を増やす。アウディやBMWなど欧州メーカーへの納入を拡大させ、2018年度の欧州事業の売上高を2014年度比2倍の100億円程度に引き上げる計画。
三菱樹脂
スロバキアに軽量強化熱可塑性プラスチックシートの工場新設
三菱樹脂は、スイス子会社のQuadrant AGグループが、スロバキアに設立したQuadrant Plastic Composites Slovakia s.r.o(Nitra市)の軽量強化熱可塑性プラスチックシート工場を2015年5月に竣工。2、3カ月内に稼働予定。同シートは、強度・剛性・軽量・吸音性に優れ、自動車のアンダーボディーシールドや天井材などの内装用途で使用。非自動車分野を含め、中欧、東欧地区の部品メーカーへの拡販を計画。
武蔵精密
ハンガリーでデファレンシャルを2016年度までに生産開始
武蔵精密工業は、ハンガリーのMusashi Hungary Manufacturing, Ltd.(Ercsi市)で2016年度までにデファレンシャルを生産する。同社はデファレンシャルの世界販売を、2019年度までに2014年度比2.5倍の1000万個に拡大する計画で、ハンガリーでの生産開始もその一環。

 

 



西欧:現地企業に出資・買収・協業(パナソニック・JVCケンウッド・河西工業)など

 

会社名 活動内容
曙ブレーキ
フランスでブレーキの新研究・開発拠点が稼働
曙ブレーキは、フランスにファウンデーションブレーキの開発拠点Akebono Engineering Center, Europe S.A.S.(パリ北東のBezannes市)を2013年に設立。2014年10月に土地購入仮契約を締結し、2015年にセンターを稼働させる計画。フランスには、既にパリ郊外のGonesse市にブレーキ摩擦材研究開発拠点を持っているが、新拠点では完成品の研究を進める。
NTN
欧州地域の部品生産拠点を増強・再編
NTNは、2018年度までにフランスとドイツの拠点で、軽量・高付加価値タイプのハブベアリング製品の新ラインを設置し、生産能力を80%増加させる。また、ドライブシャフトについては、仏NTN Transmissions Europe (Le Mans)で高級車向けの新ラインを設置する一方、量産品の生産については利益率向上のため、ルーマニアのNTN-SNR RULMENTI S.R.L.(SIBIU)に移管する。総投資額は90億円。
河西工業
仏内装メーカーと協業し欧州大陸での供給体制整備、仏に開発・販売の新会社設立
河西工業は、日産が2016年以降にルノーの仏フラン工場で生産する次期コンパクト車のドアトリムを受注したため、仏の内装部品メーカーEurostyle Systemsとの協業で供給体制を整備する。河西工業は英国に生産拠点をもつが、フランスを含む欧州大陸には工場がなく、輸送効率などを考慮し、現地サプライヤーとの協業を決定。また、日産がルノーと生産・開発・調達を一体化したことを踏まえ、両社の部品調達組織(RNPO)の拠点近くに内装部品の開発・販売の新会社(Paris)を設立(2015.7.報道)。欧州メーカーへの取引拡大につなげる計画。
ジェイテクト
欧州の軸受事業を再編し、黒字化の定着を目指す
ジェイテクトは、2015年から2016年をめどに欧州の軸受事業を再編する。英KOYO BEARINGS (EUROPE) LTD.(KBE:South Yorkshire州)での円すいころ軸受生産は採算が厳しく、ルーマニアのKOYO ROMANIA S.A.(KRA: Alexandria市)に生産を移管・集約。KBEはハブユニット軸受の専門工場化。
仏のKOYO BEARINGS VIERZON MAROMME SAS(KBVM)では3つ工場での針状ころ軸受などの生産品目を整理し、スリム化によりコスト削減。スペインのKOYO BEARINGS ESPANA S.A.(KBES: Madrid)は、軸受需要を見込めず2014年12月に事業活動停止。ドイツのKOYO BEARINGS DEUTSCHLAND GMBH(KBDE: Halle Westfalen)では、組織のスリム化、物流の見直し。これらにより欧州全体で2014年に約20億から30億円の収益を改善し、黒字転換を達成。
JVCケンウッド
イタリアの車載用機器メーカーを買収し、欧州メーカーへの拡販を図る
JVCケンウッドは2015年1月、カーエレクトロニクス事業の拡大に向けてイタリアのASK Industries S.p.Aの全株式取得を決定。ASKは、VW、ダイムラー、フィアット、BMWなどが取引先のため、完全子会社化により欧州メーカーとの取引拡大を図る。とりわけ、カーナビ、カーオーディオ、スピーカー、アンプなどを一貫納入し、OEMでライン装着部品の納入拡大につなげる計画。さらに、先進運転支援システム向け製品の受注も目指す。
住友理工
フランスの防振ゴム子会社の事業構造改善による黒字転換を目指す
住友理工は2014年10月、ドイツの防振ゴム事業子会社Anvis Group GmbHによる、傘下のフランス現地法人Anvis France Decize S.A.S.の事業構造改善を発表。仏自動車メーカーの減産の影響で2010年から続くDecizeの営業赤字改善が目的。不採算部門を縮小するため自動車部品事業をルーマニア拠点のSC Anvis Rom SRLに2015年3月までに移管し、従業員数を削減。今後、Decizeではグループ内供給を目的とした練りゴム事業を強化し、2015年度の黒字化を目指す。
パナソニック
スペインの大手部品メーカーに出資し、欧米メーカー向け車載事業を強化
パナソニックは、スペインの大手自動車部品メーカーFicosa International S. A.(Barcelona市)との資本業務提携のため、2015年6月末にFicosa株式の49%を取得。取得額は200億から300億円と見込まれる。両社の技術を融合して電子ミラー事業を早期に立ち上げるとともに、Ficosaの販路を活用し欧米メーカーへの既存車載事業での拡販を目指す。将来的には先進運転支援システムや車載テレマティクスユニット関連分野などでの協業を拡大させる。
パナソニック・ヨーロッパは2014年10月、欧州の車載・産業分野のグループ会社4社を統合した新会社Panasonic Automotive & Industrial Systems Europe GmbH (Hamburg)の設立を発表。営業や技術サポート体制の一本化による効率化や、部品単体からモジュール、システムまで幅広いソリューションの提供を目指す。
八千代工業エイチワン
英板金事業関連会社が全事業を現地部品メーカーに譲渡
八千代工業、エイチワンなどは、英関連会社UYT Ltd. (Coventry市)の全事業を2015年6月に現地部品メーカーのN Press Assembly Limited(Coventry市)に譲渡。UYTはホンダの英国工場にプレス部品などを供給していたが、事業環境の変化を踏まえ、今後の事業展開について検討を進めるなかで決定。
ユニプレス
英工場で2016年1月にプレス機を追加し、ルノー、アフトワズ、ホンダ向けに骨格部品納入
ユニプレスは、英国子会社のUnipress (UK) Ltd (Sunderland)に600トンと2500トンのプレス機2台を2016年1月に導入する。投資額は約20億円。骨格部品の年産能力を現在の50万台分から10~15%増強する。日産とルノーによるモジュール化戦略(CMF)に対応して新規受注したルノーのスペイン工場で生産するCプラットホーム車やアフトワズのBプラットホーム車向けのほか、ホンダの英国工場向けに供給する。
横浜ゴム
EU域内にタイヤ生産拠点新設を検討、2017年までに決定
横浜ゴムは、2017年度までの中期経営計画フェーズⅣ期間中に1200億円の新規増産投資を行い、世界のタイヤ年産能力を2014年度末の約6,800万本から2017年度末に約7,400万本、2020年度末までに約8,900万本に引き上げる。そのために、北米、ロシア、欧州、中国などでの工場新設・拡張を検討。欧州では、年間450万本以上の供給が見込めれば、2020年までにEU域内にタイヤ生産拠点新設を検討。自社工場のほかM&Aも視野に入れ、2017年までに決定する模様。このため、市販用タイヤ市場のみならず、欧州メーカーからの新車装着用タイヤの受注にも注力。
ヨロズ
欧州事務所の開設を計画
ヨロズは、2015年度からの3カ年の中期経営計画期間中に欧州事務所を開設する。日系メーカーに加え主要欧州メーカーへの拡販を計画。まず、日産とアライアンスを組むルノーからの本格的な受注を目指し、パリに事務所を設ける方向で検討中。VW、ダイムラーへの営業活動も強化する。

 

 



ロシア:新設工場の稼働延期(ハイレックス・ユニプレス)、減産対策で新顧客開拓へ(ティラド)

 

会社名 活動内容
エクセディ
クラッチ合弁会社の株式売却を検討
エクセディは、ロシア部品メーカーVAZ Inter Service が分社したクラッチメーカーEXEDY VIS RUS LLC(Samara州Togliatti市)に33%出資し、2013年からクラッチを生産しているが、自動車市場の低迷が続くなか、株式を手放すことを検討。
大同メタル
エンジン軸受の生産能力を2015-17年度に増強
大同メタル工業は、2015-17年度の3年間で、全社合計で350億円の設備投資を実施する計画。主力のエンジン用軸受でインドやロシアでの事業拡大を目指す。ロシアでは、トラックエンジン用軸受の生産立ち上げ、軸受材料の生産能力増強などを計画。
ティラド
ラジエーターの生産低迷による採算悪化で、拡販活動を強化
ティラドは、子会社のTRM LLC(Novgorod Oblast州)でのアルミ製ラジエーターの生産量が当初想定の年産30万台から、2013年度には10万台弱にとどまった。その後も生産低迷が続き、2015年半ばには固定費を賄えない水準まで低下。このため、主要納入先のGAZのみならず、ロシアに進出する日系をはじめとする外国メーカーへの拡販活動を強化し、採算改善を目指す。
ハイレックス
ロシア新工場の稼働延期
ハイレックスコーポレーションは、2015年5月に計画していたHI-LEX RUS LLC(Samara州Togliatti市)工場の生産開始を延期。コントロールケーブルやウインドレギュレーターをアフトワズや日米欧メーカーの現地工場に供給する計画だったが、新車市場の低迷により数カ月から1年程度の延期を予想。当面は、投資計画の8分の1程度の設備を導入し、従業員のトレーニングを実施する計画。
ユニプレス
車体プレス部品の新工場の操業開始予定を延期
ユニプレスは、2014年1月設立のUNIPRES RUSSIA LLC(Saint Petersburg市)工場の2016年1月操業開始予定を延期。日産サンクトペテルブルグ工場で生産するSUV向けに、年間7万台相当の骨格部品を組み立て、納入する予定だったが、稼働時期は未定。
横浜ゴム
新車装着用タイヤを2014年11月から生産開始
横浜ゴムは乗用車用タイヤ生産販売会社LLC Yokohama R.P.Z.(Lipetsk州Lipetsk特別経済区)で新車装着用タイヤを2014年11月に生産開始。日産の現地調達要請に応え、ロシア工場で生産するSUV「エクストレイル」と中型セダン「ティアナ」向けに供給。2015年内に、他の自動車メーカーにも供給開始予定。横浜ゴムは、ロシアでのタイヤ生産に使用する天然ゴム以外の材料の現地調達率を、2017年までに現状の約5割から7割まで引き上げる。ル-ブル安に伴う輸入コスト増への対策。調達するのは金属材料や薬剤、合成ゴムなどで、付加価値が高く、安価に供給できるサプライヤーが多いと判断。

 

 



トルコ:タイヤ新工場稼働(住友ゴム)

 

会社名 活動内容
住友ゴム
合弁のタイヤ新工場が2015年7月に稼働
住友ゴム工業は、トルコ現地企業との合弁会社Sumitomo Rubber AKO(Cankiri県)での乗用車・トラック用タイヤの生産を2015年7月に開始。日産能力は2019年末に3万本の計画。トルコ国内の新車用、市販用への販売のみならず、中東・北アフリカ・ロシア等の新興市場、及び欧州市場向けに輸出する。

(参考資料:各社広報資料, 各紙報道)

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>