東風汽車グループ最新動向: 2015年販売500万台を目指す

Renault-日産/PSAと合弁、自主・合弁ブランド事業強化

2013/12/26

要 約

 

東風汽車グループ販売台数と自動車シェア 中国自動車大手で2012年生産販売共に2位の東風汽車公司 (Dongfeng Motor Corp.: 東風汽車グループ)は、2015年500万台/中国自動車シェア約20% (2013年はそれぞれ330万台/16%ほどになる見込み) の目標実現に向けて、自主/合弁ブランド事業や外資との提携を強化している。


注: ①"自主ブランド"には、「東風」(Dongfeng)以外に、東風裕隆汽車の「納智捷」(Luxgen) を含む。 ②"合弁ブランド"とは、東風日産乗用車の「啓辰」 (Venucia)、東風悦達起亜の「華騏」(Horki) のような、外資合弁会社が開発し知的所有権を保有する、外資ブランド以外の合弁会社独自の新しいブランド。


 2013年12月に、東風汽車グループは、Renaultと合弁生産契約に調印。PSAへ資本参加し、東南アジア市場を共同開発することで基本合意をした。また、福建汽車集団には45%資本参加し、子会社化を視野にいれて関連会社にした。


 東風汽車グループは自主/合弁ブランド事業では、2016年に乗用車と商用車を合わせて300万台の販売 (うち、輸出30万台) を目指して、生産販売の体制構築を加速している。

 日本メーカーとの合弁会社の販売目標について、乗用車では、東風日産乗用車は2014年に100万台以上と2015年に140万~150万台、東風ホンダは2014年に35万台から2023年に100万台と設定している (ホンダの中国合弁会社は東風ホンダのほかに、広州ホンダ/本田汽車 (中国)がある)。また、中型・大型商用車分野では、東風汽車グループは、既存中型・大型トラック中核事業を母体にし、AB Volvoと新合弁会社を設立。中型・大型商用車分野で「東風」(Dongfeng) ブランドを世界ブランドに育ていく。


 以下は、これらを踏まえた、東風汽車グループ傘下各社の販売目標・計画、生産体制増強に関する主な動き、モデル計画を含む、自主/合弁ブランド車事業の詳細などをまとめた。


関連レポート:



東風汽車グループの販売目標・計画: 2013年の約330万台から、2015年500万台へ

 東風汽車公司は、グループの自動車販売 (商用車シャシー/輸出を含む、工場出荷ベース) を2015年に、2013年の約330万台から500万台に拡大する目標を掲げている。うち、自主/合弁ブランドの乗用車はグループ全体の36%にあたる180万台目標である。

 合弁会社別にみると、2015年は、東風日産乗用車がライトビークル200万台超、神龍汽車は80万台。また、東風ホンダは2014年35万台と2023年100万台、東風悦達起亜は2016年100万台という目標が報じられている。

東風汽車グループ: 主な子会社別の年次販売目標・計画

OEM
(合弁相手)
詳細
東風汽車公司:
東風汽車グループ

(合弁相手は、日産,
Renault, AB Volvo/
UDトラックス, ホンダ,
 PSA, Kia, 裕隆汽車)
・2013年: 乗用車+商用車 約330万台 (2013年当初の目標台数、うち、輸出約10万台)

・乗用車: 約260万台
・商用車: 約70万台
・2015年: 乗用車+商用車 500万台
・自主/合弁ブランド乗用車 180万台
・2016年: N/A (うち、商用車 300万台)
・自主/合弁ブランド: 乗用車+商用車 300万台 (2012年実績は中国3位の113万台)


・中国市場: 乗用車+商用車 270万台
・海外市場/輸出: 乗用車+商用車 30万台 (2011年実績 6.38万台)
・一般海外市場: 9万台
・海外戦略市場: 21万台 (海外の子会社/合弁会社/地域運営センター/KDノックダウン工場等)




・東風 (自主) ブランド: 乗用車 100万台
・Luxgen (自主) ブランド:乗用車 25万台
・合弁ブランド: 乗用車 75万台
・東風ブランド: 商用車 100万台
東風汽車集団股份
有限公司
・2013年: 乗用車+商用車 230万~235万台 (2012年約215.5万台)

・乗用車: 190万~194万台
・商用車: 40万~45万台
・2015年: N/A
・自主/合弁ブランド: 乗用車+商用車 180万~200万台
東風汽車有限公司
(日産)
・2015年: ライトビークル 200万台超
・東風ブランド: 100万台目標
東風日産乗用車
(日産、裕隆汽車)
・2013年: 乗用車 90万台 (うち、輸出 8万~10万台。また、Venuciaブランド車10万台)
・2014年: 乗用車 100万台以上
  (なお、Infiniti 現地生産を開始、2車種投入。大連工場も操業開始へ。)
・Venuciaブランド:乗用車約15万台
・2015年: 乗用車 140万~150万台
・Venuciaブランド: 乗用車 30万~40万台
・2016年: N/A (うち、Infiniti 10万台以上)
・2017年: N/A (うち、Infiniti 20万台)
  なお、Venucia ブランドの累計販売目標は100万台以上。
東風汽車股份 ・2013年: ライトビークル 29.4万台
・2014年: ライトビークル 約50万台
鄭州日産汽車(日産) ・2013年: ライトビークル 12.1万台 (うち、輸出 1万台)
・2016年: ライトビークル 30万台 (2012年5月発表)
常州東風汽車 ・2014年: ライトビークル 約20万台 (国内微型車シェア 5%)
東風ホンダ
(ホンダ)
・2014年: 乗用車 35万台 (2013年約30万台の見込み)
・2023年: 乗用車 100万台
神龍汽車
(PSA)
・2013年: 乗用車 50万台以上

Citroenブランド: 約26万台
Peugeotブランド: 約24万台
・2014年: Peugeotブランド N/A、Citroenブランド 30.5万台
・2015年: 乗用車 80万台
  注: これまでの報道で、2015年までに75万台以上、または約100万台 (中国乗用車市場シェア目標 5%と、同年2,000万台市場規模で試算) との報道があった。

・Citroenブランド: 40万台
・Peugeotブランド: 40万台
東風Renault
(Renault)
・N/A (2016年から (SUV) 現地生産へ) なお、Renault の2015年輸入販売目標は10万台以上。
東風乗用車 ・2013年: 10万台 (乗用車のみ、以下同。2012年実績約6万台)
・2015年: 30万台
・2016年: 35万台
  なお、2012年~2016年累計目標は100万台 (うち、輸出累計2013~2016年合計9万台)
・2017年: 56.6万台
東沃 (杭州) 卡車:
前・東風日産柴汽車
(UDトラックス)
・N/A
  (2014年、大型トラック/ダンプトラック/トラクタートラックなど、年産能力5,000台を整備)
  注: 2014年第2四半期に納車開始を目指す。前身・東風日産柴汽車の2012年販売実績は約500台であった。
東風商用車有限公司
(AB Volvoとの合弁予定で、東風Volvoに社名変更へ)と、東風柳州汽車商用車公司
・2013年: 中型・大型トラック 18万台以上

東風商用車公司: 約14.5万台以上
東風柳州汽車商用車: 約3.5万台
・2015年: 中型・大型トラック 30万台以上
東風柳州汽車
乗用車公司
・2013年: 18万台 (乗用車のみ、以下同)
・2015年: 23万台
・2016年: 30万台
東風悦達起亜
(Kia)
・2013年: 52万台 (乗用車のみ、以下同)
・2014年: 前年比約10%増、台数試算値 60万台前後
・2016年: 100万台
 (但し、2012年7月に発表した2016年目標は80万台/中国乗用車シェア4%であった)
東風裕隆汽車
(台湾・裕隆汽車)
・2013年: 4万~5.5万台 (Luxgenブランド乗用車のみ、以下同)
・2015年: 20万台 (2012年12月報道、売上高は250億元以上)
・2016年: 25万台
東風小康汽車:
前・東風渝安車両
・2013年: 33.5万台 (微型・小型車、以下同,)
微型・小型乗用車約 20万台
・2017年: 100万台

注: 東風ホンダ、および広汽ホンダならびに本田汽車(中国)合計3社の中国生産合弁会社を有するホンダは、今後の目標として、中国における販売台数で日産を超えるに止まらず、VWを競合相手として追いかけるのを目指す中長期的な目標を表明している (2013年11月のインタビュー報道より)。

 

 



生産体制拡大: Renault-日産やPSA等との提携を強化、福建汽車集団を子会社化へ

Renaultとの合弁生産体制: 三江雷諾汽車を再編し、新合弁会社を設立

 東風汽車集団とRenaultは2013年12月、生産停止中の三江雷諾汽車有限公司 (湖北省孝感市) を再編し、折半出資で新合弁会社、「東風雷諾汽車有限公司」 (Dongfeng Renault Automotive Co., Ltd.: DRAC) を設立する契約書に調印した。
 新会社は、湖北省の武漢市 (経済技術開発区黄金口産業園) に立地し、投資総額は8.70億ユーロ相当の77.6億元。2013年12月に (第1期) 工場建設に着工し、2016年に生産を開始する予定。
 新工場はプレス/溶接/塗装/組立生産施設のほか、併設エンジン工場、R&Dセンターを含む。塗装設備は日本の大気社製を導入(発注済み)。完成車工場の総面積は95万㎡。年産能力は第1期建設でSUV/MPV 15万台 (ほか、エンジン15万基)。2017年頃からは第2期建設を開始し、年産能力を乗用車30万台 (同エンジン60万基) に拡大する。従業員は2,000人の予定。
 合弁会社は、最初の生産車モデルのSUV Koleos (科雷傲) を皮切りに、RenaultブランドSUV/MPVのほか、EV等の新エネルギーモデルや、提携双方が所有する合弁ブランド車 (東風ロゴ採用が最有力との報道がある) を追加導入する予定。今後、合弁ブランドを含む合弁会社生産車種の国内外における生産・販売の許可がRenaultから付与される。
 また、三江雷諾汽車や再編後の東風Renaultは、SUV/MPV以外の車種の生産資格を保有しておらず、今後、セダン等の生産を計画しているため、今後、同生産資格の申請手続きをする予定。

 Renaultとの合弁会社は、グループ会社の日産がこれまで中国で培った生産・販売・調達などの既存事業体制を活用し、プラットフォームやパワートレインを含む、部品の (共有) 汎用化を進め製品の競争力を向上させて、拡販を図る。(2013年12月時点中国におけるRenaultブランド車の保有台数は10万台超。)
 他方、再編後の三江雷諾汽車の孝感市工場は、新会社のエンジン/変速機等のパワートレインサプライヤー工場に改修される。なお、Renaultの中国におけるディーラーは2013年末に110店に増設され、2014年に輸入車小型SUV Capturが追加投入される予定。

 

日産との合弁会社: 鄭州日産汽車の鄭州完成車工場を再編へ

 東風日産乗用車は、傘下の鄭州部品子会社「広州風神汽車有限公司鄭州分公司」を通して、鄭州日産汽車の鄭州完成車工場 (2010年稼働、2011年10月併設エンジン工場建設開始) を、約11億元で買収し再編すると、東風汽車股份が2013年11月に発表した。
 再編した同鄭州完成車工場の建屋総面積は15.5万㎡、敷地面積は43.6万㎡。溶接/塗装/組立施設を含む。乗用車年産能力は2013年11月時点約20万台 (併設エンジンの生産能力は不明)。2015年までに、同鄭州完成車工場の(乗用車)年産能力を、現行の約20万台から45万台 (ほか、エンジン60万基)に拡大する予定。
 同鄭州完成車工場は、2012年4月に操業開始以来、東風日産乗用車の広州工場のSUV生産の委託を受けたほか、Venucia (啓辰) 合弁ブランド乗用車シリーズ (D50、R50等) の生産を行っている。
 広州風神汽車有限公司鄭州分公司は、ディスクブレーキ/コンビネーション・インストルメント/AT/電子装置/エンジン用およびシャシー用等の制御装置の生産や、その中核技術の開発を行う。
 東風日産乗用車は、Infinitiブランド車の現地生産を開始する2014年に、湖北省の襄樊工場の年産能力を現行の20万台から25万台に引き上げるほか、遼寧省の大連工場の操業を開始し、乗用車15万台の年産能力を増やす。2015年はさらに広州2工場の年産体制を現行の約67万台から70万台に引き上げ、東風日産乗用車の年産能力を鄭州/大連/襄樊工場と合わせて130万台以上の規模に拡大する。

 

▽日産/Renaultから小型トラック用キャブ (運転室) の開発、その構成部品生産を受注
 東風汽車股份は2013年12月、提携パートナーである日産から、日産車体のデータに基づき、日産/Renault小型トラック「F91G」の左ハンドル式キャブ (運転室) およびその構成部品の開発、供給を受注したことを発表。
 なお、東風汽車股份と日産グループの上記関連業務の取引金額は、2013年1月~10月にて合計5.2億元。

 

PSA への資本参加で交渉: 東南アジア向けに、低価格小型車を共同開発へ

 東風汽車公司は2013年12月、傘下の東風汽車集団を通して、約30億~40億ユーロでPSA 総株式の約17.6%相当分を取得する方向で、PSAと交渉を進めており基本合意段階に達したと報道された。(2013年9月は東風汽車集団が100億元で同株式の30%相当分取得の方向で交渉との報道であった。)
 同交渉の最終結果は2014年3月までに発表される見通し。同株式取引が実現されれば、東風汽車集団はフランス政府と並ぶ (筆頭) 大株主になる。但し、現段階の合意内容として、交渉双方は共同で、低価格小型車を開発し、東南アジア自動車市場を開拓していくと報じられている。
 なお、フランス国内市場への過度の依存で不振にあえいだPSAは、2015年海外販売をグループの50%する目標を掲げている。とりわけ、東南アジア市場での拡販目標を掲げ、神龍汽車製乗用車の輸出拡大を視野に入れ、2011年から試験的に同輸出事業に取り組みはじめた。(輸出実績は、2011年3,129台、2012年3,528台、2013年1~10月1,769台であった。)

 

 他方、東風汽車集団とPSAの合弁会社である神龍汽車は、武漢市にある新しい第3乗用車工場を2013年7月初めに稼働し、フルモデルチェンジした新型Elyseeの生産を開始した。これにより、神龍汽車の年産能力を、3工場合わせて45万台から15万台増の60万台に拡大した。2015年には同第3工場拡張により、さらに75万台にまで引き上げる計画がある。


 なお、東風汽車公司が25%資本参加をしている「東風悦達起亜汽車」に関する最新動向は、MarkLines調査レポート 「現代自グループの中国事業: 販売目標、完成車・エンジン生産体制など最新動向」 (2013年11月掲載) をご参照ください。

 

福建汽車集団を子会社化の計画: まずは45%資本参加に

 東風汽車公司は2013年5月、三菱/中華汽車/Daimlerと合弁生産を行っている福建汽車集団 (福建省汽車工業集団) に、資本参加することについて覚書に調印した。2013年11月時点、株式の譲渡などを推進するための資産評価・審査等の作業を進めている。(提携双方初の提携モデルを2015年に発売する予定。)
 これにより、東風汽車公司は、「東南」(Soueast) 等の福建汽車集団傘下にある自主ブランドを加えることで、グループの自主・合弁ブランド事業の拡大ができるほか、東南地域 (沿岸部) という優遇な立地条件などを活用して、海外事業への更なる進出も図れる。一方、福建汽車集団は、東風汽車公司の技術力などの経営資源を生かして製品競争力を強化することができ、相乗効果が狙える。
 増資を通じて、東風汽車公司は、福建汽車集団株式の45%を取得。また、福建汽車集団と折半出資し、東南汽車の持ち株投資会社を新たに設立。東風汽車公司は、東南汽車株式の一部の譲り受けや増資受け入れを合わせて、新投資会社株式の3分の2を保持し、残りの3分の1は福建汽車が保有する。
 なお、福建汽車集団によれば、2012年12月に明らかにした東風汽車公司の資本参加計画のフェーズ1は、東風汽車公司が福建汽車集団の 40%の持ち株を取得する計画であった。また、福建汽車集団の年販売台数が30万台を超えた場合、さらに増資を実施して同社の株式保有を40%から60%にまで拡大する計画であった。

 

AB Volvo/UDトラックスと、中・大型商用車事業で合弁提携

 東風汽車公司は、子会社東風汽車集団股份を通して、傘下の中型・大型商用車事業の再編・合弁提携をAB Volvoと進めている。両社は今後、湖北省十堰市の合弁会社(予定)で「東風(Dongfeng)」ブランド車、浙江省杭州市のUDトラックスの合弁会社で、「UD」「Volvo」ブランドの中型・大型商用車との棲み分けで、合弁生産および販売を進める。

▽AB Volvoとの提携: 「Dongfeng」ブランド車生産の新合弁会社を設立へ
 東風汽車公司は、傘下の東風汽車集団股份を通して、AB Volvoと中型・大型商用車事業の再編を進めている。2013年1月には両社が資本提携/合弁生産会社の設立を前提にした戦略的提携の契約に調印した。両社は今後、UD/Volvoを含むVolvoグループのブランド力を強化すると同時に、世界レベルの高品質な 「Dongfeng」ブランド商用車事業に取り組み、世界一流の「Dongfeng」ブランドを完成させる。
 これに併せて、東風汽車集団股份は2013年1月、日産との合弁会社の商用車部門である、「東風汽車有限公司商用車公司」の日産の保有株式をすべて約53億元で買い戻し、中型・大型トラック事業における日産との合弁提携を解消。同年1月には100%出資で設立した新しい商用車子会社「東風商用車有限公司」に統合した。
 東風汽車集団股份とAB Volvoとは、今後、湖北省の十堰市に、同東風商用車有限公司を母体にして、AB Volvoとの合弁会社 (仮称) 「東風沃尓沃商用車有限公司」 (Dongfeng Volvo Truck Co., Ltd.: DFCV) を設立する。早ければ2014年1月に中国政府から認可が得られる見通し。AB Volvoが約65億元で同合弁会社株式の45%を取得し、残りの55%は東風汽車集団股份が保有。
 両社は今後、合弁事業を通じて、互いに強みを生かし、技術など経営資源の共有や業務の協同体制を構築。「東風」 (Dongfeng) ブランドの中型・大型商用車を生産・販売する。
 なお、東風汽車公司は、新合弁会社の重要な課題は、中型・大型商用車製品及びその技術が要ではなく、海外市場におけるマーケティング力およびマネジメント能力等を吸収するのが狙いであるとの認識を明らかにしている。中国でのAB Volvo の2012年トラック販売は2,000台にとどまり、2013年12月時点のディーラー数は20社。

▽UDトラックスと、杭州合弁工場で、2014年にクエスターベースの大型商用車を生産・発売へ
 日産ディーゼルがUDトラックスに変わってから、東風汽車集団股份と前・日産ディーゼルが折半出資した合弁会社 (前・東風日産柴汽車有限公司(浙江省杭州市)) は、2013年11月、東沃 (杭州) 卡車有限公司 (Dongvo Truck Co., Ltd.) と社名変更し、中型・大型商用車の生産をこれまでのノックダウン方式 (CKD) から、完全の現地生産 (CBU) に切り替え、再編を進めている。
 今後、DFCV傘下に入る東沃 (杭州) 卡車は、2013年12月、再編後初の量産車で、UDトラックスの新興国向け新大型トラック「クエスター:QUESTER」(2013年6月タイで発表) のプラットフォームをベースに開発した、「T-ride」リアサスペンション技術を採用する、排気量11Lエンジンを搭載した「UD」ブランドの新大型トラック「酷騰」(KuTeng) を発表した。2014年には年産能力 5,000台を整備する。
 同モデルは長距離輸送、市内配送、危険物運搬、建設現場、公益事業など様々な用途に対応。4x2、6x2、6x4、8x4などの多様なトラックや牽引車など、多くのモデルラインナップをとり揃えている。大型ハイエンド商用車の中国市場をターゲットにし、メーカー標準販売価格は約40万~50万元。2014年4月から6月に納車開始を目指す。

 

 



自主/合弁ブランド事業強化: 2016年までの5年間300億元投資、2016年300万台販売へ

 東風汽車公司は、今後のグループ傘下における自主/合弁ブランド事業について、商用車で国内首位/世界3位、乗用車で世界トップグループ入りをするとの目標を掲げている。

 うち、グループの自主ブランド小型商用車 (Light-duty CV) の主体である東風汽車股份は、2014年までに、中国での小型商用車市場シェアで上位2位以内を目指すとしている。

 なお、東風汽車公司は、これに加えて、「東南」 (Soueast) 自主ブランドを保有する福建汽車集団の吸収を視野に入れ、グループの自主/合弁ブランド事業を更に強化する計画も進めている。


 グループ全体は、自主/合弁ブランド車の販売目標について、乗用車は2015年180万台、2016年200万台で、商用車は2016年100万台という野心的な計画を進めている。

グループの自主/合弁ブランド事業の中期5カ年計画 (~2016年)

 東風汽車公司は、LuxgenやVenucia/Horki を含む、自主/合弁ブランド事業の中期5カ年計画 (2012~2016年) を推進している。2016年300万台という販売目標・計画の実現に向けて、同事業の生産体制の拡張などに合計300億元の投資を実施するほか、自主/合弁ブランド新型車の研究開発にも売上高の3%以上を充てて自主開発分野を強化している。

 

 うち、東風汽車股份は2013年2月、2013年の販売目標発表 (29.4万台) と同時に、
  ① 既存量産モデルの改良やハイエンド装備搭載モデルの新規追加、
  ② 生産効率/耐久性を含む製品の品質/販売サービス品質・効率の向上、
  ③ 効率的な販売チャンネル構築、在庫/物流効率、高収益が得られる販売サービス提供の充実等を通じて、自主ブランドの
      商品力/生産力/マーケティング力を改善するといった、自主ブランド事業の方針に転換する具体策も打ち出した。

 

▽グループの自主/合弁ブランド事業範囲
 グループの自主ブランドについて、乗用車は、東風乗用車の風神シリーズ、東風柳州汽車の風行シリーズ、鄭州日産汽車の風度シリーズ、東風渝安車両の東風小康シリーズ、東風裕隆汽車のLuxgen シリーズを含む。また、商用車は東風汽車股份/鄭州日産/東風常州汽車などの東風ブランドの小型商用車、東風商用車公司 (東風Volvoに再編へ) および東風柳州汽車の「東風」ブランドの中型・大型トラックなどを含む。
 グループの合弁ブランドには、東風日産乗用車のVenuciaブランド、東風悦達起亜のHorki ブランド、東風ホンダのCiimoモデル(ブランド名称未発表)を含み、神龍汽車ないし計画中の東風Renaultがこれから投入する予定の、Peugeot/Citroen/Renault等、知的所有権が合弁会社に属す、外資ブランド以外の新しいブランドも含まれる。
 なお、今後、福建汽車集団を吸収すれば、「東南」(Soueast) ブランドを含む、その傘下の自主/合弁ブランド事業を東風汽車公司グループ傘下の同事業に加えられることになる。(福建汽車集団傘下の「金龍」等の自主ブランドバスを除いて、「東南」ブランド・ライトビークルの販売実績は2012年10.7万台で、うち、乗用車10.3万台であった。)


 

主なグループ会社別自主/合弁ブランド別モデル計画

OEM 詳細
東風汽車グループの
自主/合弁ブランド
モデル計画
(2012年~2016年)

注:2012年4月発表より
<乗用車>
  東風自主ブランド新型車 (セダン/ハッチバック合計18車種、微型車 3シリーズ)を開発・追加投入 (同時に、エンジン3シリーズ/変速機4シリーズのラインナップを整備)。
  うち、風神ブランドで2016年の5年間で三つのプラットフォーム、新型合計9車種 (この他、東風e-TECO シリーズエンジン 6機種) を開発・投入。
<商用車>
  東風ブランドで14の完成車プラットフォーム (エンジン/変速機などの4つの中核部品を含む) を開発・追加投入。(AB Volvo/UDトラックスグループの技術を採用した「東風」 (Dongfeng) ブランドの中型・大型商用車を含む。)





東風汽車股份 ▽東風ブランド (ライトビークル)
・2013年:
  現行の東風ブランドの主力小型トラック (凱普特/多利卡/福瑞卡/力拓 の4シリーズなど) マイナーチェンジ (40項目の改良を行う)
  ナイトビュー (いつでも可視範囲が前方50mと後方70m可能) や、MP5 オーディオ設備などの上級装備を搭載するハイエンド商用車
鄭州日産汽車 ▽東風ブランド: 風度シリーズ
東風柳州汽車 ▽東風ブランド: 風行シリーズ
東風乗用車 ▽東風ブランド: 風神シリーズ
・2010~2014年に、中型、ミディアムエンド/ハイエンドを含む、合計5車種、10数モデルを投入。排気量1.4~1.6L、2.0~2.4Lの合計2シリーズのエンジンの生産体制を整備。
・2014年: 合計新型3車種を投入(セダン、EV、新型SUV)
東風渝安車両 ▽東風ブランド: 東風小康シリーズ
  微型バン以外、小型MPVなどの小型車も追加へ
東風裕隆汽車 ▽Luxgen (台湾系) ブランド
注: 中国ブランドと定まっている。
東風商用車有限公司
(新設予定の「東風
Volvo Truck」の母体)
▽東風 (Dongfeng) ブランド
・AB Volvo/UD Trucks技術を採用する同自主ブランドの新型車も追加の予定
(参考)
東南汽車
▽東南 (Soueast) ブランド
注:今後、東風汽車グループは、今後、東南汽車の販売台数が30万台 (エンジンを含む) 超えることを条件として、福建汽車集団を子会社として再編・吸収するとしている。これに先立ち、東風汽車グループは福建汽車集団に45%資本参加を実施する。





東風日産乗用車 ▽啓辰 (Venucia) ブランド
・R50X (2013年11月発売)
・晨風e30 (EV、2014年発売)
・今後、さらに複数の新型モデルを投入する予定。
注:「Venucia」ブランドEV (晨風e30) の発売時期は、当初の2015年から2014年に約1年前倒しになる予定。
神龍汽車 ▽合弁ブランド
  (未発表。「神龍」が有力な候補名称で、「東風」ロゴ採用が浮上。)
・2014年に、合弁ブランドの初モデル (Peugeot 408と同じ「プラットフォーム2」 を採用) を発売へ。
・2015年: Citroen C5 と同じプラットフォーム3を採用する合弁モデル。
・2015年~2016年: Citroen C6 ベース車 (「紅旗 H7」を競合車種とする、ハイエンド乗用車 「東風1号」 (仮称)
・2016年前後: PSAと東風汽車の共同開発プラットフォームを採用するモデル
  なお、風神のハイエンドモデルとして製販するという報道もある。
東風ホンダ ▽合弁ブランド (未発表)
・ブランド名称未発表だが、初モデル「思銘 (Ciimo)」(8代目Civicベース) を発売した。
東風悦達起亜 ▽華騏 (Horki) ブランド
・2015年: "華騏"合弁ブランド初の市販モデル (EVが最有力) を生産開始 (コンセプトカーが2013年4月発表済み、新型Cerato がベース車)
東風Renault (予定) ▽合弁ブランド (未発表)

 

▽「東風」自主ブランドライトビークルのモデル計画: 今後、「東南」ブランドも加えられる見通し
 東風汽車公司は2013年、今後5年~10年をかけて、グループ今後の「東風」(Dongfeng: DF) 自主ブランドライトビークルのメインラインナップについて事業方針を明らかにした。うち、東風乗用車の「風神」シリーズはGMの「Buick」(ブランド)シリーズ、東風柳州汽車の「風行」シリーズは「Chevrolet」シリーズ、鄭州日産汽車の「風度」シリーズは「GMC」シリーズと、GM傘下の製品ラインナップをそれぞれ参照にして構築していく。
 これに加えて、東風ブランドの「風神」シリーズは技術重視、「風行」シリーズは家庭向け、「風度」シリーズは専用車種と、それぞれのモデルセグメントに位置付ける。 (これまで、東風ブランドの3シリーズのモデルセグメント定義はそれぞれ、家庭向け、MPV中心、小型商用車 (LCV) であった)。
 また、3シリーズの車種/セグメント別ラインナップ計画は下記の通り、
  ① 「風神」シリーズ: メイン車種であるセダン/ハッチバックにCrossoverを加える。
  ② 「風行」シリーズ: 主にMPV。
  ③ 「風度」シリーズ: Pickupを含む主に多機能型Crossoverを中心にラインナップを構築していく。
 なお、東風汽車公司は今後、軍用オフロード車「猛士」の民間用仕様車を、東風自主ブランドのハイエンドSUVとして発売する計画としている。
 この他、東風汽車公司は、現在45%出資している福建汽車集団を、今後子会社化をするに伴い、買収先傘下の「東南」ブランド事業も、グループ傘下の自主ブランドに吸収する見通し。

 

▽「東風」自主ブランドバス事業の最新動向
 グループのバス事業について、東風汽車公司は2013年11月、専用バス (架装車) および新エネルギーバスを重点的に集中して推進する方針を明らかにしている (グループ機関紙「東風汽車報」報道より)。
 同バス事業の当面の問題点について、生産 (製造) プロセス、販売方式に問題があるとの認識を自ら示したうえ、今後、協業体制づくり、バス業務の改良、ビジネスチャンス探りなどを通じて、業務統合を実施。バス業界の動きにあわせて、中型・大型バスおよび高級バス (旅行バス等) 事業を慎重に進めるとしている。

 

グループの自主/合弁ブランド車の輸出:2016年目標は乗用車・商用車合計30万台に

 東風汽車公司は、2016年までに、グループの自主/合弁ブランド自動車の輸出分野で、中国メーカーで上位3位入り、同輸出台数はグループの自主/合弁ブランド車目標 (300万台)の1割に当たる、30万台との目標を掲げている。(2012年4月発表)

 東風汽車公司は2013年7月、海外事業として、ロシア/イラン/ブラジルを含む、10の海外地域戦略市場を構築すると発表。同戦略市場では、アフターサービス/技術支援は代理人でなく、東風汽車公司が現地で自ら提供する方針を示している。同時点に、ロシア/イラン/ブラジルに地域販売会社を新設した。今後、ブラジル/イランでのCKD組立工場を建設すると発表した。

 なお、グループの自主ブランド乗用車の輸出実績は、2013年1~10月末累計で合計5,940台。その内訳は、東風柳州汽車は「風行」シリーズ 74台、東風渝安車両は「東風小康」(微型バン) 4,151台、東風乗用車は「風神」(S30/H30/A60) 1,122台、東風汽車股份は俊風CV03 計185台、鄭州日産汽車は風度シリーズ (御軒/帥客/奥丁) 408台であった。

 



LMC Automotive 生産予測:東風汽車の自主/合弁ブランドの生産台数は2016年には118万台へ

(LMC Automotive社、2013年11月)

 2013年11月のLMC Automotiveの予測によれば、「東風」「Luxgen」自主ブランドや合弁会社ブランドの2013年の生産台数は、前年比8.7%増の87万9,000台に増加する。東風汽車は2012年から日産と合弁会社ブランド「Venucia」を、ホンダとは合弁会社ブランド「DF Honda」(仮称) をスタートさせている。これらの新ブランドは2013年の東風汽車の成長に貢献している。
 東風汽車の自主/合弁ブランドライトビークルの生産台数は、2015年までに100万台に、2016年には2012年に比べて46%増となる118万台に達することが予測される。

東風汽車 自主ブランドと合弁会社ブランド別、国別のライトビークル生産予測

(台)
COUNTRY GLOBAL MAKE 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
Total 670,296 739,067 808,689 878,507 970,647 1,089,946 1,181,850
China DF Honda 0 0 14,160 15,665 15,983 17,322 18,128
Horki
(former "Dianyue")
0 0 0 0 0 3,240 3,937
Dongfeng 670,201 739,065 746,869 763,834 844,648 950,004 1,033,339
Venucia 0 0 45,141 96,923 107,368 116,549 123,628
Sub-Total 670,201 739,065 806,170 876,422 967,999 1,087,115 1,179,032
Thailand Dongfeng 0 0 2,483 2,085 2,648 2,831 2,818
Malaysia Dongfeng 95 2 36 0 0 0 0
資料:LMC Automotive "Global Automotive Production Forecast (November, 2013)"
(注) 1. データは、小型車(乗用車+車両総重量 6t以下の小型商用車)の数値
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